日本薬理学雑誌
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104 巻, 5 号
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  • 藤田 耕一郎, 小浜 一弘
    1994 年 104 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    The sites of action of many chemical agents that modify the contraction of smooth muscle are in the smooth muscle membrane. However, a few agents, such as calmodulin inhibitors and protein kinase inhibitors, interact directly with contractile elements of the actomyosin system so as to modify smooth muscle contraction. Here, we describe experimental procedures that are applicable for the screening of smooth muscle relaxants with this mode of action. Myosin B was extracted from chicken gizzard smooth muscle. Because myosin B was a crude preparation of smooth muscle actomyosin, it consisted of regulatory proteins of calmodulin, myosin light chain kinase and protein phosphatase in addition to the contractile proteins of actin and myosin. Interaction of chemical agents with these proteins could be detected by measuring the Mg-ATPase activity of the myosin B preparation. Then we examined whether the agents that altered the ATPase activity was associated with changes in phosphorylation of myosin light chain. If the levels are altered, the agents may interact with the regulatory protein(s). If not, the site of their action was in the cotractile proteins. The analysis with these respective proteins will be also described.
  • 鹿児島 正豊, 小平 久正, 島田 英世
    1994 年 104 巻 5 号 p. 369-377
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラット胃粘液ゲル層と表層部胃粘液細胞を組織学的に同時に観察するための最も適している組織固定液について検討した.固定液には各種温度(-80°C~20°C)のエタノール,-80°C メタノール,カルノア液,ホルマリンエタノール,ホルマリンタイロードを用いた.固定後,腺胃部の胃底腺および幽門腺領域のそれぞれ一定部分を切り出し,パラフィン包埋後,薄切切片を作成して表層部粘液観察のためのAlcian blue(pH2.5)-Periodic acid Schiff(AB-PAS)染色を施した.胃粘液状態の評価法としては光学顕微鏡的な粘液ゲル層の厚さの測定と表層部粘液細胞数の算定を行なった.胃底腺領域における粘液ゲル層の厚さは,-80°C エタノール>-80°Cメタノール>カルノア>ホルマリンエタノール=ホルマリンタイロードの順であった.またPAS陽性粘液細胞数は,-80°Cメタノール>-80°C工タノール>ホルマリンタイロード>カルノア>ホルマリンエタノールの順に,AB陽性粘液細胞数は,-80°Cエタノール>ホルマリンタイロード>-80°Cメタノール>カルノア>ホルマリンエタノールの順に多く観察された.幽門腺領域でもほぼ同様の傾向が認められた.またエタノールの温度条件について別に検討した結果,低温になるにつれて粘液ゲル層の厚さおよび粘液細胞数が増加して観察され,-80°C が最も良い条件と思われた.さらに,固定後の各種固定液中に含まれるヘキソースおよびヘキソサミン量を測定して胃粘液成分の保持能力を観察した結果,いずれも-80°Cエタノール固定液で最も少ないことが認められ,組織中胃粘液成分の固定液への遊離,脱落が少ないことが確認された.さらに,-80°C工タノール固定液では,包埋後の組織が変形するなどの形態的変化あるいは粘膜上皮細胞の収縮などがほとんど見られず個々の粘液細胞の観察が可能であった.以上の結果から,胃粘液観察のための組織固定液としては-80°C工タノールが最も適していると考えられた.
  • 鹿児島 正豊, 小平 久正, 島田 英世
    1994 年 104 巻 5 号 p. 379-389
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    我々は,新規H2受容体拮抗薬FRG-8813[(±)-2-(furfurylsulfinyl)-N:-(4-(4-(piperidinomethyl)-2-pyridyl)oxy-(z)-2-butenyl)acetamide]をラットに1日2回7日間連続して経口投与し,胃粘液動態に与える影響をシメチジンおよびファモチジンと比較検討した.胃粘液の評価には,粘液ゲル層と表層部粘液を同時に観察するための固定法として-80°C工タノール固定後にパラフィン包埋切片を作成し,alcian blue(pH2.5)-periodic acid Schiff(AB-PAS)およびhigh iron diamine-alcian blue(pH2.5)(HID-AB)染色により染め分けられる胃粘液を画像処理により測定した.また,胃粘液構成糖であるヘキソース,ヘキソサミンおよびシアル酸についての測定も行なった.AB-PASおよびHID-AB染色による組織学的検討からは,シメチジン7日間投与により胃底腺領域においてPAS陽性を示す中性粘液の有意な減少や,HID-AB染色により染め分けられる酸性粘液(スルポムチンおよびシアロムチン),粘液ゲル層の減少傾向が見られたが,FRG-8813では粘液ゲル層および中性・酸性粘液の減少は観察されなかった.また生化学的検討からは,FRG-8813投与群では,胃底腺領域において粘膜中ヘキソース,ヘキソサミンおよびシアル酸含量の用量依存的な増加が見られた.さらにファモチジン群においては組織学的な評価から幽門腺領域の酸性粘液に減少が見られた以外は,コントロール群と比べて大きな変化は見られなかった.以上の結果から,FRG-8813はシメチジンやファモチジンなどの既存のH2受容体拮抗薬に比べて胃粘液減少作用は低く,むしろ胃底腺領域においては胃粘液成分のヘキソース,ヘキソサミンおよびシアル酸を増加させたことから胃粘液を増加させる可能性が示唆された.
  • 山口 志津代, 和泉 隆之, 小松 浩一郎, 千葉 元派
    1994 年 104 巻 5 号 p. 391-399
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    抗腫瘍性抗生物質の一つドキソルビシンをラットに投与し,下顎非咬合切歯の萌出率,歯髄細胞や歯根膜組織,および象牙質形成量などに及ぼす影響について検索した.実験群の動物には,体重1kgあたり5mgのドキソルビシンを1日1回,7日間にわたり腹腔内注射した.ドキソルビシン投与後,切歯萌出率は徐々に低下し,投与7日目には対照値の14%(127±64μm/24hr)まで減少した.組織学的には切歯基端部付近で歯根膜および歯髄細胞の著しい破壊が観察された.テトラサイクリンによるラベリング法を用い硬組織形成量を調べたところ,第一臼歯近心根付近から得られた切歯横断切片において象牙質の形成量には有意の低下は認められなかった(58~61μm/3days).これらの所見から,ラット下顎切歯の萌出抑制と切歯基端部付近の組織破壊には,何等かの関連性がある可能性および切歯の萌出と象牙質形成との間には関連性がない可能性が示唆された.
  • 杉山 隆之, 片井 努, 興津 美佐子, 大多和 正浩, 児玉 岳久, 金森 直明, 衣笠 えり子, 秋澤 忠男, 越川 昭三
    1994 年 104 巻 5 号 p. 401-412
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    イヌ血液透析モデルにおいて,parnaparin sodium(LHG)50,100および200IU/kg,ヘパリンナトリウム(ヘパリン)100および200IU/kgを開始時単回投与法にて投与して血液透析を施行した.:LHGは投与量に依存した血液凝固阻止効果を発現し,同一抗Xa活性のヘパリンに比して長時間の透析継続が可能であった.LHG投与による血漿中抗Xa活性の消失の半減期は,同一抗Xa活性のヘパリンに比して長かった.LIHG投与時の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は,用量に依存して延長したが,ヘパリン投与時に比して極めて軽度であり,APTTが投与前値に復してもLHGの血液凝固阻止効果が継続した.LHG投与により,全血Xa凝固時間(XCT)および血漿Xa凝固時間(PXCT)はAPTTに比して著明に延長し,開始前値以上に延長している間は透析を継続することが可能であった.したがって,XCTおよびPXCTはLHGのモニター法として適切であることが確認された.ヘパリン投与により,著明なAPTTの延長が認められ,ほとんどの例がAPTTが前値に復した時点で透析の継続が不可能となった.しかし,その時点で,XCTおよびPXCTは前値よりも延長している例が認められた.したがって,ヘパリンにはAPTTが良いモニターと考えられた.tissue factor pathway inhibitor(TFPI)活性は,LHGおよびヘパリンの用量に依存して上昇し,TFPI活性のピーク値に両薬剤間で差は認められなかった.しかし,8時間の透析継続が可能であったLHG100および200IU/kg群ではTFPI活性の上昇が持続する傾向が認められ,ヘパリンに比してLHGで透析がより長時間継続できたのは,アンチトロンビンIII依存性の機序のみならず,TFPIを介する機序も関係している可能性が示唆された.
  • 小泉 久仁弥, 飯島 宏治, 能美 雅才, 中山 貞男, 小口 勝司
    1994 年 104 巻 5 号 p. 413-419
    発行日: 1994年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    和漢薬である白〓・黄〓の熱水抽出凍結乾燥エキス(hot water extract;HWE)のラット肝薬物代謝酵素系に対する影響を,単回ならびに連続経口投与によって検討した.HWEの単回経口投与による薬物代謝酵素の経時的変化の観察では,アニリン水酸化酵素(ANH)活性は白〓1.0g/kgで卸制されたが,5.0g/kgでは投与早期に抑制し,後期に促進を示し,黄〓5.0g/kgは抑制を示した.アミノピリンN-脱メチル化酵素(APD)活性は白〓で抑制され,黄〓5.0g/kgで促進を認めた.チトクロームP-450(P-450)含量は白〓と黄〓で減少を示した.チトクロームb5含量は白〓と黄〓で増加した.チトクロームc還元酵素(cyt. c red.)活性は白〓の投与後3時間で増加し,6,12時間で減少した.黄〓1.0g/kgはcyt. c red.活性の減少を示したが,5.0g/kgでは投与後6時間で増加,12時間で減少を示した.白〓・黄〓のHWEを,14日間連続経口投与(0.1,1.0g/kg/日)した最終投与24時間後で白〓はAPD活性,P-450含量,cyt. c red.活性を抑制した.黄〓ではcyt. c red.活性の抑制がみられた.以上の結果から,白〓の連続投与ではP-450の分子種に影響を与えるために,P-450で代謝される薬物と白〓との併用では注意が必要であると考えられる.
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