日本薬理学雑誌
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87 巻 , 1 号
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  • 黒沢 元博
    1986 年 87 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    The interactions of rat mast cells with a variety of stimuli results in the secretion of a number of mediators through intracellular biochemical events. Calcium and cyclic AMP appear to be two major biochemical factors for the control of cellular activities and are known to activate protein kinases. Another line of evidence indicates that extracellular stimuli induce phospholipid turnover in their target cells. In this article, the author reviews protein phosphorylation and phospholipid metabolism, especially that of inositol phospholipid, during mediator release from stimulated rat mast cells.
  • 藤井 芳夫, 藤原 寛, 田中 千賀子
    1986 年 87 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    視床下部に含まれているepinephrine(E)が神経伝達物質であるかどうかを確かめるために,モルモット視床下部スライスにおける[3H]Eの取り込み,[3H]Eおよび内因性E遊離を検索した.[3H]Eの取り込みには,高親和性および低親和性の2つの機構が存在し,高親和性取り込みのKm1=7.7×10-8 M,Vmax1=0.13 pmoles/mg/10分,低親和性取り込みのKm2=1.8×10-6 M,Vmax2=1.4 pmoles/mg/10分であった.ガスクロマトグラフ/質量分析計によつて視床下部スライスから電気刺激に対応して内因性Eが遊離することを証明した.更に[3H]norepinephrine([3H]NE)を負荷したスライスから電気刺激により[3H]Eが遊離するのを確認した.[3H]Eを負荷したスライスからの電気刺激による[3H]E遊離は刺激電流量,刺激頻度依存性でtetrodotoxin(TTX)感受性,Ga2+依存性であった.電気刺激による[3H]E遊離はyohimbine処置により増大し,この効果はclonidine処置で抑制された.以上の結果は,視床下部におけるEの神経伝達物質としての役割を示唆するものであり,更にE神経終末からの遊離はシナプス前α2受容体を介し制御されていることを示すものである.
  • 久留 正生, 後藤 一洋, 角部 行信, 安倍 千之, 塩川 優一
    1986 年 87 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    5×108個のヒツジ赤血球(SRBC)で免疫後4日目のBALB/cマウスの脾および胸腺ロゼット形成細胞(RFC)の産生は,20 mg/kgのcyclophosphamideを免疫する前日および当日の2回経口投与すると有意に抑制された.traxanox(3および30 mg/kg, p.o.)はcyclophosphamideの前処置による脾および胸腺RFC産生能の低下に対して回復または回復傾向を示した.本化合物(30 mg/kg, p.o.)は3 mg/kgのcyclophosphamideとの同時投与で脾および胸腺RFC産生能の低下を防止した.また,本化合物(30 mg/kg, p.o.)はdexamethasone(0.1 mg/kg, p.o.)による脾および胸腺RFC産生能の低下を回復させ,10 mg/kgのprednisoloneによるそれを防止した.dexamethasone処置マウスの脾付着細胞のSRBC貧食能は無処置マウスのそれに比し著明に抑制され,この脾付着細胞を同系マウスに移入しても,マウス脾溶血斑形成細胞(HPFC)の産生能亢進は認められなかった.このdexamethasone処置マウスの脾付着細胞にtraxanox(10および30 μM)を加えて恒温保持するとSRBC食食能は回復し,その細胞の移入によるHPFC産生能の亢進作用も回復した.また,本化合物(30 mg/kg, p.o.)はindomethacin(1 mg/kg, p.o.)またはacetylsalicylic acid(300 mg/kg, p.o.)による脾および胸腺RFC産生能の低下を防止した.さらに本化合物(3および30 mg/kg, p.o.)は0.03mgのcarrageenanによるHPFC,脾および胸腺RFC産生能の低下を回復させた.このcarrageenan処置マウスの脾付着細胞にtraxanox(3および30 μM)を加えて恒温保持するとSRBC貪食能の低下は回復し,その細胞の移入によるHPFC産生能の亢進作用も回復した.以上の成績から,traxanoxは人為的に低下させた抗体産生能を回復させ,その回復作用はマクロファージを介して発現されるものと推定された.
  • 高橋 和雄, 庄野 辰彦
    1986 年 87 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    新規化合物MY-5116; isoamyl 5,6-dihydro-7,8-dimethyl-4,5-dioxo-4H-pyrano[3,2-C]quinoline-2-carboxylateおよびその代謝物のラットhomologous PCA(以下PCA)およびラット腹腔浸出細胞(以下PEC)からのhistamine遊離に及ぼす影響を検討した.MY-5116は,10,30および100 mg/kgの経口投与で,種々の濃度の血清を用いたPCAを有意に抑制した.また12倍希釈した抗卵白アルブミン(OVA)ラット血清を用いたPCAでは,MY-5116は30 mg/kgの経口投与で投与10分から2時間までPCAを有意に抑制し,投与30分後のED50は19.1 mg/kgであった.また,MY-5116の代謝物MY-1250,7HPQ,8HPQ,7CPQおよび8CPQの静脈内投与によるPCAの抑制作用を検討したところ,MY-1250の抑制作用が最も強かった.血中の代謝物の濃度からも7HPQ,8HPQ,7CPQ,8CPQの抑制作用の関与は少なく,主にMY-1250が生体内で作用していることが推測された.またMY-5116を静脈内投与しPCA抑制作用を検討したところ,時間経過とともに抑制作用が増加し10分で最大抑制を示した.DMSOに溶解したMY-5116のPECからのhistamine遊離抑制作用は10-7~10-6 g/mlで認められず,代謝物のMY-1250は10-7~10-6 g/mlで有意な抑制作用を示した.これらの結果からMY-5116がMY-1250に代謝を受けMY-1250が主要活性代謝物として作用していると考えられる.このMY-1250のhistamine遊離におけるIC50は1.4×10-7 g/mlで,DSCGの2.4×10-6 g/mlに比べ約17倍強い作用であった.また,MY-1250は静脈内投与でOVAもしくはDNP-Ascarisを抗原としたPCAを抑制し,DSCGより約10倍強かった.以上の結果から経口投与されたMY-5116は生体内で代謝されてMY-1250となりこの主要活性代謝物のMY-1250が肥満細胞からhistamine遊離を抑制する作用機構でPCA抑制作用を示すものと推察された,
  • 木下 力
    1986 年 87 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    マウスにおける最大電撃けいれんの各種パラメーターのうち,どのパラメーターが抗けいれん薬の脳内濃度と最もよく相関するかを明らかにし,抗けいれん薬のスクリーニング法としての最大電撃けいれん法を再検討することを目的とした.最大電撃けいれんは加速度計を用いて考案した装置によって記録紙上に記録し,パラメーターとしてtonic flexion(TF),tonic extension(TE),clonic convulsion(CL)のそれぞれの持続時間,TEとTFの持続時間の比(TE/TF比),TEおよびCL発現時のマウスの体の振動の強さについて測定した.phenobarbita1(PB)の腹腔内投与によってTFの持続時間は延長し,TE,CLの持続時間は短縮した.したがってTE/TF比は小さくなった.TE時の体の振動は減少したがCLでは一定の変化を示さなかった.PB投与1時間後のこれらパラメーターとPB脳内濃度との相関は,TE/TF比が相関係数−0.901と最も高かった,phenytoin,carbamazepineおよびsodium valproateについてもPBと同様の検討を行い,TE/TF比と脳内濃度との相関係数はそれぞれ−0.816,−0.866および−0.879と高い値を示し,phenytoinおよびsodium valproateではいずれも最高の値であった.上記4薬物を含む主な抗けいれん薬9種について,投与量とTE/TF比との関係を検討した結果,tonic-clonic発作(いわゆる大発作)に有効な薬物はいずれも投与量が10倍以内の範囲でTE/TF比が0に近ずく急峻な作用曲線を示すのに対して,clonazepam,diazepam,ethosuximideおよびtrimethadioneは作用曲線の勾配がゆるやかで,明らかな違いが認められた.これらのことは最大電撃けいれんのパラメーターとしてのTE/TF比がtonic-clonic発作抑制薬のスクリーニング法として重要な指標となることを示している.
  • 森田 真寿行, 櫨 彰, 後藤 新, 服部-今泉 尚美, 長谷川 嘉成
    1986 年 87 巻 1 号 p. 53-66
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    新規抗腫瘍物質であるVP16-213(VP-16)のマウス実験腫瘍に対する効果を単独投与および他の抗腫瘍剤との併用により検討した.Ehrlich carcinoma(Ehrlich癌)およびsarcoma 180の腹水型腫瘍および固型腫瘍に対し,VP-16の腹腔内,静脈内あるいは経口のいずれの投与経路においても用量に依存した効果が得られ,特に,Ehrlich癌に対して高い効果が得られた.ELI-LP-12の静脈内移植腫瘍,P388およびB16 melanomaの腹腔内および皮下移植腫瘍,Lewis lung carcinomaおよびcolon 38の皮下移植腫瘍,colon 26の腹腔内移植腫瘍に対しても有効であった.しかし,B16 melanoma,Lewis lung carcinomaおよびcolon 26に対しては,経口投与では静脈内および腹腔内投与と比べ高用量にもかかわらず効果が得られなかった.Ehrlich癌固型腫瘍を用いて,VP-16経口投与時の至適投与スケジュールを検討した結果,腫瘍細胞移植24時間目(day 1)の1回投与,あるいは24時間目および5日目(days 1 and 5)の2回投与の方が24時間目,3日目および5日目(days 1, 3 and 5)の1日おき3回投与や翌日からの5日間連続(days 1~5)投与より優れた効果が得られた.また3日目(day 3),または5日目(day 5)の各1回投与では,day 1に比べて効果は減少するが,高用量で有意な抑制効果が認められた.投与間隔を短くすると死亡例は増加するのみで抗腫瘍効果は逆に減少することが判明した.Ehrlich癌固型腫瘍およびEL-LP-12静脈内移植腫瘍を用いたVP-16と他の抗腫瘍剤との併用実験では,cycloPhosPhamide,BCNU,mitomycin Cあるいはcisplatinとの組合せで相加的あるいはそれ以上の効果が得られた.
  • 友利 正行
    1986 年 87 巻 1 号 p. 67-76
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    副腎髄質の生理的役割をラットを用いて検索した.Wistar-今道系雌雄ラット3週令幼若期,あるいは12週令成熟期に副腎髄質を摘出(AdMx),対照群にはSham手術を施行した.血圧はtail-cuff法により測定した.1) 幼若期,成熟期AdMx群とも術後5~6週以降,収縮期血圧が徐々に上昇した.血漿レニン活性は,AdMx雌雄ラットで対照群よりも低い傾向にあった.2) l-アドレナリン50 μg/kg皮下注射による血圧反応は,AdMx群と対照群で有意な差はなかった.3) 幼若期AdMx群においてイソプロテレノール50 μg/kg皮下注射による降圧効果が大であった.4) チラミン200 μg/kg皮下注射により幼若期AdMx群雄において,著明な血圧上昇反応が示された.成熟期AdMx群の反応は対照群と同様に小であった.5) 幼若期AdMx群雄の血圧は,レセルピン処置24時間後も110 mmHgに保たれ,チラミン投与後血圧上昇がわずかに認められた.これに対し,対照群雄の血圧はレセルピン処置後80 mmHgまで下降し,チラミンに対する血圧上昇反応も消失した.以上in vivo実験の結果から,ラットにおいて副腎髄質摘出を行なうと,末梢交感神経系のノルアドレナリン遊離調節機構に変化をもたらすことが示唆された.この変化は幼若期手術群,特に雄において大きいことが明らかとなった.
  • 森田 真寿行, 櫨 彰, 後藤 新, 服部-今泉 尚美, 長谷川 嘉成
    1986 年 87 巻 1 号 p. 77-88
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    マウス,ラット,モルモット,ウサギおよびイヌを用いて抗腫瘍剤VP 16-213の自律神経系,末梢神経系およびその他いくつかの項目について主として経口,静脈内投与およびin vitroの系について検討を行った.VP 16-213は10-5 g/ml以下の濃度の適用では,摘出平滑筋の緊張,自動運動および各種薬物に対する反応性に影響を及ぼさなかった.VP 16-213はウサギの血糖値,マウスの消化管輸送能,ラットの足浮腫,ウサギの坐骨神経刺激による前脛骨筋の収縮およびイヌの腎機能に対し作用を示さなかった.VP 16-213は静脈内投与において,20 mg/kgで胃液量および総酸度を減少させpHを上昇させた.VP 16-213は溶血作用および局所刺激作用を示さず,血液凝固能にも影響を及ぼさなかった.ラット肝機能に対して,VP 16-213は経口1回投与ではBSP排泄能に影響を及ぼさなかったが,10日間連続投与では明らかにBSP排泄能を低下させた.また,VP 16-213の経口および静脈内投与により免疫抑制作用が認められた.
  • 木庭 守, 山本 紀之, 橋本 佳幸, 三宅 秀和, 増田 啓年
    1986 年 87 巻 1 号 p. 89-97
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    関節内投与ステロイド剤THS-201(halopredone diacetate)の抗炎症作用活性を急性,亜急性および慢性炎症モデル動物で検討した.対照としたtriamcinolone acetonide(TA),methylprednisolone acetate(MPA),hydrocortisone acetate(HA)およびTHS-201の母化合物であるhalopredone(HP)は,急性炎症モデルであるラットのcarrageenin足浮腫,CMC pouch法による白血球遊走,亜急性炎症モデルである線球肉芽腫,carrageenin granuloma pouch法による滲出液の貯溜を,皮下・局所投与によってほぼ一定の傾向の活性比で抑制した(TA>MPA>HA=HP).THS-201は皮下投与では100 mg/kg/dayでも全く抑制作用を示さなかったが,局所投与では急性モデルでは弱い(HA>THS-201),亜急性モデルでは強い(TA≥THS-201>MPA),作用時間依存性の抗炎症作用を示した.慢性モデルのウサギの抗原惹起型関節炎では,THS-201のみが2mg/jointの関節内投与により著明な関節腫脹抑制作用を示し,有意な抑制は30日以上持続した.これらの成績および関節炎ウサギにおけるTHS-201の残存量の成績は,THS-201が組織貯溜性が高く全身循環への移行速度が極めて遅いために,対照薬が投与局所から消失し,炎症反応の開始または再燃が起った後も有効濃度が持続したことを示唆している.また,THS-201は局所および皮下のいずれの投与でも全く全身性の作用を示さなかったが,対照薬では抗炎症作用に比例した全身性の薬理作用が認められた.ステロイド剤のような活性の強い薬剤では関節内のような局所投与であっても全身性の副作用を伴うが,THS-201は投与関節の炎症のみを特異的にしかも持続的に抑制するものと考えられる.
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