oxaprozinの抗炎症作用を,急性および慢性炎症モデル動物で,また,その作用機序をin vitro試験で検討した.ラットにおける酢酸誘発腹腔内血管透過性亢進,carrageenin足浮腫,綿球肉芽腫およびadjuvant関節炎に対するoxaprozinの抑制作用の強さは,いずれもaspirinと同等であった.一方,マウスにおけるcarrageenin足浮腫および酢酸誘発腹腔内血管透過性充進に対するoxaprozinの抑制作用は,sulindacやfenbufenと同等か強く,ibuprofen,phenylbutazoneおよびaspirinよりも強かった.oxaprozinのcarrageenin足浮腫抑制作用は,副腎摘出ラットにおいても認められた.ウシ精嚢腺ミクロゾーム標品によるarachidonic acidのprostaglandin E
2への変換に対するoxaprozinの50%阻害濃度は,8.0×10
-6Mで,ibuprofenと同等のシクロオキシゲナーゼ阻害活性が認められた.ウシ血清アルブミン熱変性およびウサギ赤血球熱溶血のいずれに対してもoxaprozinは抑制作用を示した.しかし,ラットにおけるserotonin,formalinおよびdextranによる急性足浮腫に対し,oxaprozinは抑制作用を示さなかった.以上の結果は,oxaprozinが一般的な酸性非ステロイド性抗炎症薬と同質の抗炎症活性を有することを示している.また,oxaprozinのラットにおける胃粘膜障害作用はphenyl-butazoneおよびaspirinより弱く,ibuprofenと同程度と考えられる.なお,oxaprozinの代謝速度には大ぎな動物種差があり,ラットでは他の動物種にくらべ著しく代謝速度が速いため,血中濃度の持続が得られず,ラットにおけるOxaprozinの効力が弱い理由となっている.しかし,比較的代謝速度の遅いマウスにおける効力はfenbufenやsulindacと同程度で比較的強くなっている.oxaprozinのヒトにおける血中濃度半減期は,49~69時間であり,血中濃度持続時間が長いため,ヒトにおいては比較的強い作用が長時間持続することが期待される.
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