日本薬理学雑誌
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108 巻, 1 号
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  • 森 寿, 三品 昌美
    1996 年 108 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    Molecular cloning has elucidated the molecular diversity of the N-methyl-D-aspartate (NMDA)-receptor channel and has provided a solid basis for extensive studies of the structure and function of the NMDA-receptor channel. Mutational analyses have assigned functional domains and the transmembrane topology of the channel subunits. Identification of the multiple subunits with distinct distribution, properties, and regulation has suggested that NMDA-receptor channels are distinct in molecular architecture and functional characteristics in various brain regions at different developmental stages. The physiological significance of the NMDA-receptor channel diversity is presently under investigation by various techniques including gene targeting.
  • 樋口 行人, 山下 樹三裕, 谷山 紘太郎, 佐竹 元吉, 尾崎 正若
    1996 年 108 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    抗高血圧薬として用いられている七物降下湯を脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHRSP)に経ロ投与し,血圧上昇および脳卒中発症に対する効果を検討した.その結果,七物降下湯投与により血圧上昇を抑制しえないにもかかわらず,七物降下湯2g/kg/day投与群は脳卒中発症を抑制し有意な延命効果を認めた.近年,脳血管障害の一因としてフリーラジカルがあげられている.よって,これらの作用機序を明らかにするため,大脳皮質と脳幹のフリーラジカルを産生するキサンチンオキシダーゼ(XOD)活性およびフリーラジカルを消去するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性を測定したところ,大脳皮質のXOD活性は七物降下湯2g/kg/day投与群が対照群に対して有意に低値を示した.大脳皮質のSOI)活性は七物降下湯投与群が対照群に対して有意に低値を,脳幹のSOD活性は七物降下湯投与群が対照群に対して有意に高値を示した.また,in vitroにおける電子スピン共鳴(ESR)法による測定で七物降下湯にフリーラジカル消去作用が認められた.さらにin vitroにおけるxOD活性に対する七物降下湯の添加はXOD阻害作用を示し,SOD活性に対する添加はSOD増強作用を示した.これらのin vitroの実験結果は七物降下湯を経ロ投与されたSHRSPの脳のフリーラジカル関連酵素の活性の変動と類似していた.今回の実験の結果から,七物降下湯を経ロ投与されたSHRSPは,七物降下湯のフリーラジカル産生系に対する阻害作用とフリーラジカル消去作用の両方によって脳卒中発症が抑制されたと推察される.
  • 石塚 修, 藤田 晃, 神戸 悦子, 野口 満枝, 細野 誠, 崎玉 克彦
    1996 年 108 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラットにノルアドレナリン(NA)を長期間持続投与して作製したβ受容体脱感作モデルに対する(+)-(3R,4aR,5S,6S,6aS,1OS,1OaR,1ObS)-5-acetoxy-6-(3-dimethylaminopropionyloxy)-dodecahydro-10, 1Ob-dihydroxy-3,4a,7,7,10a-pentamethyl-3-vinyl-1H-naphtho[2,1-b]pyran-1-one monohydro-chloride(NKH477)の心臓作用を,非選択的β作動薬であるイソプロテレノール(ISO)およびホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬である3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)の作用と比較検討した.NA(400μg/kg/hr,s.c.)を7日間持続投与したラット心臓において,β受容体数の減少およびPDE活性の増加が認められた.NAを7日間持続投与後の左心房標本および右心室標本における変力作用並びに右心房標本における変時作用を測定した.対照には無処置のラット心房筋および心室筋を用いた.NKH477,ISOおよびIBMXは左心房標本において濃度依存的な陽性変力作用を示した.ISOおよびIBMXの陽性変力作用は正常ラットに比べ脱感作ラットで減弱したが,NKH477の陽性変力作用は影響を受けなかった.右心房標本において各薬物は濃度依存的な陽性変時作用を示したが,いずれの薬物も正常ラットと脱感作ラットの心臓で有意差を認めなかった.右心室標本においてNKH477およびISOは濃度依存的な陽性変力作用を示した.ISOの作用は脱感作ラット心臓では減弱したが,NKH477の作用は変化しなかった.これらの結果から,NKH477の陽性変力作用はβ作動薬やPDE阻害薬の効果が減弱するようなβ受容体脱感作状態の心臓においても減弱せず,NKH477は少なくともβ受容体脱感作を伴う心不全に対し,β作動薬あるいはPDE阻害薬よりも優れた有効性を示すと考えられる.
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