日本薬理学雑誌
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80 巻 , 1 号
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  • 原 公生, 生駒 幸弘, 押野 臨
    1982 年 80 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    lisuride hydrogen maleate(lisuride)の中枢ドーパミン(DA)作用を行動薬理学的に検討した.lisurideはマウスおよびラットの自発運動量に対し,二相性の作用を示した.すなわち,低用量では運動量減少作用が,中,高用量では運動量増加作用が認められた.ラットでのlisuride(0.00625mg/kg,s.c.)による運動量減少作用は,低用量(10mg/kg,i.p.)のsulpirideにより,またlisuride(0.05mg/kg)による運動量増加作用は,0.1mg/kgのhaloperidolにより拮抗された.またreserpineとα-methyl-p-tyrosineの併用前処置により減少した運動量は,lisuride(0.05mg/kg)の投与により有意に増加した.マウスのmethamphetamineによる運動量増加は,低用量のlisurideにより拮抗された.6-hydroxydopamine注入による一側黒質線条体破壊ラットで,低用量のlisurideは正常側への旋回運動を誘発し,この旋回運動誘発作用はhaloperidolにより拮抗された.以上の成績から,lisurideは中脳辺縁系および黒質線条体系のDAニューロン系において,低用量でシナプス前DA受容体および超過敏化したシナプス後DA受容体に効果的に作用する中枢DA作動薬であることが示された.
  • 植木 昭和, 渡辺 繁紀, 山本 経之, 片岡 泰文, 柴田 重信, Danny SUWANDI, 柴田 和彦, 高野 正子, 佐藤 陽子, ...
    1982 年 80 巻 1 号 p. 15-30
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    マウス,ラットを用いてKB-509およびその代謝産物の行動薬理学的作用をdiazepamのそれと比較した.これらの薬物は0.5%CMCに懸濁して経口投与した.1)Animex testにおけるマウスの自発運動はKB-509およびdiazepamの比較的高用量で抑制された.2)ラットにおけるKB-509の抗conflict作用はdiazepamと同程度であったが,diazepamが50mg/kgの投与で安全期のレバー押しを有意に抑制したのに対して,KB-509は100mg/kgの投与でも安全期のレバー押しには何ら影響を与えなかった.3)KB-509はshuttle boxにおけるラットの条件回避反応を1000mg/kgというきわめて大量ではじめて抑制した.KB-509のこの作用はdiazepamの約1/10と非常に弱いものであった.4)マウスのfootshock-induced fightingはKB-509によって著明に抑制され,KB-509はdiazepamの約8倍も強力であった.5)KB-509の嗅球摘出ラットの情動過多抑制作用はdiazepamよりも強力であったが,muricide抑制作用はdiazepamよりも弱かった.6)KB-509はdiazepamと同様にマウスの最大電撃およびpentetrazolけいれんを抑制したが,後者に対する作用がより強かった.またKB-509およびdiazepamはマウスのstrychnineけいれんも抑制した.7)マウスにおけるKB-509のbarbital麻酔増強作用はdiazepamの約2.6倍強力であった.8)マウスのrotarod法におけるKB-509の協調運動障害作用はdiazepamよりも少し強い程度であった.9)マウスのtraction test法におけるKB-509の筋弛緩作用はdiazepamより強力であった.10)KB-509の代謝産物であるdesalkyl-KB-509の作用は全般的にKB-509より強力であったが,desalkyl-3-OH-KB-509はKB-509とほぼ同程度の強さであった.以上,KB-509は質的にはdiazepamに類似した行動薬理学的作用を有し,その作用は全般的にdiazepamより少しく強い程度であるが,作用持続の長い点が特徴である.
  • 江田 昭英, 西依 健, 永井 博弌, 松浦 直資, 土屋 博司
    1982 年 80 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    23種の生薬および3種の漢方方剤のI型およびIV型アレルギー反応に及ぼす影響を検討した.1)ラットのIgE抗体による48hr homologous PCAは韓国祝実,中国柴胡,五味子,黄苓および大喪の水性エキスならびに細辛,韓国祝実,中国柴胡,中国人参,東北甘草,和厚朴,五味子および括呂仁のメタノールエキスの経口投与によって有意に抑制され,また,小柴胡湯の経口投与によっても抑制された.2)マウスのpicryl chlorideによる接触性皮膚炎は韓国人参,中国人参,中国厚朴の水性エキスおよび茯苓末の経口投与によって有意に抑制され,特に中国厚朴によって最も強く抑制された.また,柴朴湯によっても抑制された.3)prednisoloneの接触性皮膚炎抑制作用は柴朴湯の併用によって有意に増強された.
  • 柳浦 才三, 北川 晴美, 細川 友和, 三澤 美和
    1982 年 80 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    pentazocineの属するbenzomorphane誘導体と比較的類似した新規化合物であるmethanobenzazonine(2,3,4,5,6,7-hexahydro-1,6-methano-lH-4-benzazonine)誘導体の鎮咳および呼吸に対する作用を,モルモットを用いて比較検討した.鎮咳実験は無麻酔下にPEC法(puncture electrode-induced cough method)で行い,薬液の適用は腹腔内に行った.呼吸に対する作用はurethane麻酔下で検討した.呼吸は気管cannulaより低圧transducerを介して測定した.この場合薬液適用は右側洞神経除去を行った後に,右側総頸動脈内に脳に向って行った.対照薬としてはcodeineとmorphineを用いた.up and down法にて求めた鎮咳効果は各誘導体ともにcodeineの1/2~1/3の活性を示した.50%鎮咳用量はmorphine 1.2,codeine 3.5,d-TS-2121 11.1,dl-TS-2121 9.3,l-TS-2121 11.9,d-ST-2123 7.9,dl-ST-2123 7.9,l-ST-2123 11.3,d-ST-2121 9.3,dl-ST-2121 7.3およびl-ST-2121 11.3 mg/kg(i.p.)であった.呼吸に対してはST-2123,TS-2121はd体,dl体,l体ともに0.2~0.8mgの動注では何ら影響しなかった.ST-2121はd体では作用がなく,l体では0.2~0.8mgで,dl体では0.4~0.8mgで呼吸抑制を生じた.ST-2121の呼吸抑制作用はおよそ100秒後には回復を示した.対照薬として用いたcodeineおよびmorphineにおいては呼吸抑制傾向または呼吸抑制がみられ,morphineに強くみられた.以上の様にmethanobenzazonine誘導体とその光学異性体は鎮咳効果を有していたが,鎮咳効果とある程度独立して呼吸抑制作用の強弱あるいは有無がみられた.これら誘導体間の作用強度については化学構造と薬物受容体との関連で考察したが,これらの結果は呼吸中枢と咳嗽中枢の相違点を示す一つの資料を提供すると思われる.
  • 柳浦 才三, 北川 晴美, 細川 友和, 三澤 美和
    1982 年 80 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    呼吸中枢の活動性を変化させた場合の咳嗽反射への影響を検索する目的で,pentobarbital 20mg/kg i.v.軽麻酔下のイヌを用いてpentylenetetrazol,nikethamideおよびpentobarbitalをおのおの椎骨動脈内に適用した場合の,上喉頭神経切断中枢端の電気刺激により誘発される咳嗽反射への影響を検討した.呼吸作用はrespiratory rate(RR),amplitude(RA)およびvolume(RV)を,咳嗽反射はnumber of coughs(NC)およびamplitude of cough(AC)をおのおの指標とした.pentylenetetrazolにおいて呼吸に影響のみられなかった2.5mg,5mg適用でNCにおのおの約25%および50%の増加が認められ,10mg適用ではRAに適用直後に約20%の増強が認められ,NCに約80%の増加が認められた.各用量とも咳嗽反射の増強は適用5分後には回復を示した.nikethamideにおいて呼吸に対して影響の認められなかった5mg,10mg適用でNCにおのおの約30および65%の増加が認められた.この増加は適用5分後には回復した.20mg適用ではRRに直後から1分後にかけて約20%の増加がみられた.この増加は5分後には回復を示した.pentobarbitalの0.25mg,0.5mgおよび1.0mgの適用時には呼吸に対してはほとんど影響は認められなかったが,NCは適用直後に各用量において約30,55および90%の抑制が認められ,ACにおいても適用直後に各用量で約30,50および80%の抑制が認められた.これらの抑制は適用10分後には回復を示した.以上,呼吸興奮は一般に咳嗽反射の増強を,呼吸抑制は一般に咳嗽反射の減弱を起こすことが明らかになり,その場合咳嗽中枢と呼吸中枢の薬物感受性閾値は咳嗽中枢の方が低い事が示された.さらにnumberとamplitudeにおいて呼吸,咳嗽反射おのおのの作用態度の相違から,呼吸と咳嗽反射のamplitude control systemとnumber control systemはある程度独立していることが示唆された.
  • 今井 浩達, 村松 弥生, 丹生 一三, 野崎 正勝, 藤村 一
    1982 年 80 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    非ステロイド系抗炎症薬であるsuprofenの血小板凝集に対する作用をketoprofen,indomethacinと比較検討した.in vitro血小板凝集試験には,ウサギおよびラットの多血小板血漿(PRP)を用い,collagenまたはarachidonic acid(AA)によって凝集を惹起した.suprofenは,この血小板凝集に対し,比較薬よりも有意に強力な抑制作用を示し,特にウサギ血小板のAA凝集においては,そのIC50が0.01μMと非常に微量で有効であった.ex vivoラット血小板凝集試験においても,suprofenはketoprofen,indomethacinと比較して,同等あるいはより強力な作用を示した.またin vivo,AAウサギ急性致死阻止試験においてもsuprofenの最小有効量は0.05mg/kgとなり,これはketoprofenと同等で,indomethacinの1/4であった.ラット大動脈片からのPGI2産生に対して,被験薬はすべて同程度の弱い阻害作用を示したがラットPRPのAA凝集に対してはsuprofenが最も低用量で抑制した.ラットのゲル濾過血小板のADPあるいはcollagen凝集に対して,被験薬はすべて有意な抑制作用を示したが,被験薬間の薬効に有意差は認められなかった.さらに,薬物と膜脂質との相互作用を検討するために,血小板膜モデルとして血小板膜類似の脂質組成を有するリボゾームを調製してそのCa2+による凝集に対する被検薬の作用を試験した.被検薬はこのリボゾーム凝集を抑制し,その強度はindomethacin,suprofen,ketoprofenの順となったが,その差はわずかであった.以上の結果より,suprofenはketoprofen,indomethacinと同等またはそれ以上の強い血小板凝集抑制作用を示し,抗血栓症薬としての臨床応用の可能性が示された.
  • 東 治喜, 宮澤 友明, 押野 臨, 石川 智久
    1982 年 80 巻 1 号 p. 69-81
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    lisurideは強い中枢dopamine作用ならびに中枢serotonin作用を有する麦角アルカロイド誘導体である.脳機能と密接に関連する脳内微細部位のグルコース利用へのlisurideの影響を検索するため,autoradiographic 2-deoxyglucose法により覚醒・麻酔ラットおよび黒質傷害ラットを用いて検討し以下の結果を得た.1)覚醒ラット脳灰白質部位のグルコース利用率は脳部位によってさまざまで50~150μmoles glucose/100g・minを示し,特に大脳皮質において高いグルコース利用が認められた.一方,白質部位では,灰白質の約1/3-1/5の低いグルコース利用性を示した.lisurideは覚醒ラット小脳灰白質(山頂葉・虫部葉・虫部垂・小脳半球)のグルコース利用を用量(0.05,0.25,0.50mg/kg s.c.)に依存して高め,約80%の促進が認められた.視床外側核でも25%の有意な促進が見られ,他の灰白質部位でも促進傾向が認められた.しかし,海馬・扁桃体・視床下部・乳頭体・上丘・橋・白質部位でのグルコース利用には全く変化はなく,運動量増加などに由来する変化とは異り,lisurideの促進効果には部位特異性が認められた.2)haloperidol,sulpiride前処理により脳内グルコース利用は低下し,lisurideの促進効果は消失した.3)pentobarbital麻酔ラット・γ-butyrolactone投与ラットでのグルコース利用は,分割した全ての脳部位で覚醒ラットの約1/2に低下した.この低下に対してlisurideによる促進効果は認められなかった.4)一側黒質破壊ラットの傷害側聴覚皮質のグルコース利用は約15%低下し,この低下に対しlisurideは低用量で促進効果を示した.以上のように,小脳・視床でのグルコース利用を高めることよりlisurideが大脳皮質からの運動支配の調節機能(運動協調性)を高めることが期待される.また,lisurideの促進効果がdopamine受容体blockerで消失することより,lisurideの中枢dopamine作用と脳内グルコース利用への影響との関連性が示唆された.
  • 加藤 稔, 杉本 達芳
    1982 年 80 巻 1 号 p. 83-91
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    malotilateのcarbon tetrachloride(CCl4)投与により惹起された慢性肝障害に及ぼす影響を調べた.CCl4を0.5ml/kgの割合で週2回10週間雄性ラットに腹腔内投与した.malotilateは0.2%の割合で飼料に混合して経口摂取させた。CCl4投与により血漿トランスアミナーゼ活性は上昇し,肝triglycerides(TG)およびmalonedialdehyde(MA)量は8週後まで経時的に増加した,肝コラーゲンの指標である4-hydroxyproline量は10週後まで増加しつづけた.CCl4投与期間を通してmalotilateを経口摂取させたラットでは,10週後に肝TGがやや増加した以外いずれの指標においても変化は見られなかった.CCl4投与5あるいコは8週後よりmalotilateを経口摂取させたラットにおいても,これらの指標は10週後にはmalotilate経口摂取開始時より改善されていた.肝病理組織像ではCGl4投与5週後に脂肪変性と思われる空胞化が認められ,8週後では空胞化とともに明らかな偽小葉の形成が認められた.10週後に空胞化は軽度となったが,偽小葉の形成がより顕著となり明らかに硬変肝像を示した.malotilateを全期間通して経口摂取させたラットでは8週後まではほぼ正常な組織像を示し,10週後に軽度の空胞化を示したのみであった.5週あるいは8週後からmalotilateを経口摂取させたラットでも空胞化や偽小葉の形成の程度が改善された.この様にCCl4の長期投与によって脂肪肝を経て明らかに硬変肝に至ったが,malotilateは硬変肝への移行を著しく抑制した.一方肝ミクロソームリン脂質への14CCl4由来の放射能の共有結合はmalotilate経口摂取によって対照群の70~80%と低下したにすぎなかった.このことはCCl4の活性化の抑制だけでここでみられた硬変肝の発症抑制作用を説明することは困難であり,他の作用機構の存在を示唆すると思われたので,その要因について考察を加えた.
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