モルモットの脳,肝臓および腎臓ミトコンドリア中に含まれるtype B MAOの分子量を,
3H-pargylineの結合実験より測定し,これらがすべて同一であるか否か,またtype B MAOの生体内での存在状態を比較検討した.分子量の測定に先立って指標として用いたそれぞれの濃度の
3H-pargylineがtype B MAOに特異的に結合していることをpargylineの5-HT(type A MAOの基質)とβ-PEA(type B MAOの基質)に対する阻害曲線より確かめた.またpargylineはFADを含むMAOと1:1の分子比で非可逆的に結合する性質を利用して各臓器ミトコンドリァと
3H-pargylineを37°Cで5時間反応させることによりtype B MAOに特異的にかつ非可逆的に結合させ,このサンプルをSDSディスク電気泳動でMAOの分子量を測定したところ各臓器とも6% SDSで溶解処理すると分子量6万の単一・ピークとして得られたが2% SDSで溶解処理すると各臓器とも6万より高分子側に数本のピークが得られた.肝臓では12万と24万に,腎臓では18万にピークが得られたことより,type B MAOはそれぞれdimer,trimerで存在し,そのサプユニットは分子量6万である可能性が示唆された.一方,脳では6万の他に10万にピークが得られたことより,FADをもつ6万とFADを持たない6万以下のサブユニットとのdimerで存在していると思われる.
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