生薬マオウの主成分である
d-pseudoephedrine(
d-pseudo)をマウスの腹腔内に投与した際の中枢作用を
l-ephedrine(
l-eph)と比較検討した.1)locomotor activityは
l-eph 50,100および200mg/kgにより亢進されたが,
d-pseudoによっては有意な変動を受けなかった.2)車廻し行動は
d-pseudo,
l-eph共に200mg/kgにより抑制された.3)直腸温は,
l-ephにより上昇したが,
d-pseudoでは50および100mg/kgにより低下し,200mg/kgによっては低下に続いて上昇した.4)pentobarbital誘発睡眠時間は,
l-eph50および100mg/kgにょり短縮したが,
d-pseudoによっては影響を受けなかった.5)L-3,4-dihydroxyphenylalanine(L-DOPA)前処理により
d-pseudoおよび
l-ephの作用は,著しく増強されたが,reserpineや6-hydroxydopamine(6-OHDA)前処理によっては,
l-ephの作用のみが増強され,
d-pseudoの作用は,影響を受けなかった.以上の結果より
d-pseudoの中枢作用は,
l-ephより弱いだけではなく,
l-ephとは異なる作用機序により惹起されている可能性が示唆される.
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