2-(2-Fluoro-4-biphenylyl)propionic acid(Flurbiprofen,FP-70)のprostaglandin(PG)合成阻害作用およびPG抑制作用をin vivoおよびin vitroで検討した.FP-70はモルモット肺ホモジネート中でarachidonic acidからのPG合成を0.64μMで50%阻害した.この合成反応液中のPGを抽出し,SamuelssonのAI systemの溶媒系を用いて薄層クロマトグラフィー(TLC)法でPGE
2およびPGF
2αを分離し定量した.FP-70はindomethacin(IM)およびacetylsalicylic acid(AS)と同様にPGE
2の合成をPGF
2αよりやや強く阻害した.ラット後肢carrageenin浮腫に対するarachidonic acidの増強作用をFP-70は1mg/kg経口投与でほぼ完全に抑制したが,PGE
2の増強作用に対しては,1mg/kg経口投与でほとんど抑制作用を示さなかった.Magnus法でPGE
2(10
-8g/ml)によるラット胃条片収縮に対してFP-70は10
-5g/ml(4×10
-5M)まで抑制作用を示さず,10
-4g/ml(4×10
-4M)で弱い抑制作用を示した.以上の結果から,FP-70はin vivoおよびin vitroでPGの合成を強く阻害するが,PGに対する直接抑制作用は示さず,FP-70のPGに関連した抗炎症作用としては,PG合成阻害作用が重要であると思われる.
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