日本薬理学雑誌
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72 巻 , 8 号
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  • 西野 仁雄
    1976 年 72 巻 8 号 p. 941-954
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    雄性白鼠を用いurethaneあるいはchloralose-urethane麻酔下に視床下部外側野および腹内側核(LHA,VMN)より単位放電を記録した.放電頻度には5~10秒,3~5分の小リズムと24時間にわたる日内リズムが認められ,LHAニューロンは昼間の方が夜間に比し一般に放電頻度ならびにリズム変動度共に大であった.同時に記録された35組のニューロン中5組のニューロン(14%)はたびたび相反性変動を示し,10組(29%)は時として相反性変動を示した.この相反性変化はLHAニューロン活動が上昇ないし下降の変化時により多く観察された.外的刺激(Spl N,Cortex,SEPT刺激)に対する反応性は刺激時の自発放電頻度により影響された.SEPT,SCN高頻度刺激はLHAニューロン放電を抑制するが,0.2~1cps,0.2~0.4msec,2~4Vの弱刺激は放電頻度に影響なくそのリズム変動のみを特異的に変化させた.視神経刺激は検索されたSCNl29ニューロン中50ニューロン(40%)を促進し,33ニューロン(25%)を抑制した.一方SCN刺激は頸部交感神経放電を抑制した.iontophoreticalに投与したAChは検索されたSCN158ニューロン中126ニューロン(80%)を促進したが,NAは149ニューロン中96ニューRン(64%),DAは98ニューロン中59ニューロン(60%),5HTは126ニューロン中93ニューロン(75%)をそれぞれ抑制した.また視神経刺激効果と薬物感受性の関係よりみると,視神経刺激により促進されたニューロンはDAおよび5HTによりそれぞれ9ニューロン中6ニューロン,8ニューロン中6ニューロンが抑制を受けたが,視神経刺激により抑制されたニューロンに対するDAおよび5HTの抑制は僅少であった.以上視床下部内LHAおよびVMNニューPン活動調節ならびに視神経からの松果体活動調節系におけるSCNの機能的意義およびその性質に検討を加えた.
  • 島田 力, 布浦 由樹, 北中 英良, 岩上 正蔵, 水田 泰子
    1976 年 72 巻 8 号 p. 955-967
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    カネクロール(KC)300,400,500,600,(塩素含量はそれぞれ43,48,55,61%)をマウス,ラットに1回投与しpentobarbitalによる睡眠時間,肝ミクロゾームヘム蛋白質含量,組織中のPCB量あるいはそのガスクロマトグラムパターンの変動などにおよぼす影響を検討した.各カネクロールを1回経口投与しpentobarbitalによる睡眠時間を測定すると,投与初期には睡眠延長作用があるが,時間経過にしたがって睡眠短縮作用となり二相性の変化を示した.初期の睡眠延長作用はマウスに強く現われ,塩素数の少ないKC-300が最も強い変化を示した.睡眠短縮作用はラットで強く,塩素数の多いカネクロールほど強い作用を示した,これらの睡眠時間におよぼすPCBの影響には種差,系統差のあることが考えられる.ラットにおける睡眠短縮作用あるいはチトクローム(Cyt.)P-450含量の増大は塩素数の多いカネクロールほど長く続くが,投与初期では塩素数の多少にかかわらず同じ程度の変化を示す.カネクロール投与により誘導されるCty.P-450は,CO-差スペクトルで448nmに極大値を有する.またCyt.b5含量の増大はCyt.P-450の場合と変化が異なり,極大値に達する時間が遅れる.KC-500をラットに1回経口投与した場合の組織中への移行は,投与後8時間前後までは肝臓に高濃度検出されるが,それ以後は脂肪中の濃度が高くなる.脂肪中のPCB濃度は,酵素誘導作用と相関性を示し,塩素数の多いカネクロールほど高い値を示した.ラットにおける組織中PCBのガスクロマトグラムから,保持時間の長いピークほど体内への吸収がよく,また長く残留する.クロマトグラム上のピーク15の成分は,体内からの消失速度が早い,マウスの睡眠延長あるいはラヅトの睡眠短縮作用における経口と腹腔内投与の比較では,経口投与の方がどちらの変化も早く現われ,経口的なPCBの肝臓への移行の早いことを示す.
  • 千葉 むつ子, 三宅 雅久, 玉田 輝巳, 藤本 康夫, 岡部 進
    1976 年 72 巻 8 号 p. 969-978
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Reserpine誘導体で,rescinnamineとほぼ同程度の抗高血圧作用を有するCD-3400のラット胃粘膜に対する作用,胃液分泌,さらに慢性的実験潰瘍である酢酸潰瘍におよぼす影響をrescinnamine,reserpineと比較検討した.1)絶食ラットにCD-3400を1回大量皮下投与すると胃体部粘膜に出血性びらんが認められた。胃損傷の程度はreserpineが最も強く,次いでrescinnamineでありCD-3400は最も弱いものであった.2)非絶食ラットにCD-3400の1日1回3日間連続投与ではほとんど胃損傷がみられなかったのに対し,rescinnamineおよびreserpineでは胃損傷の増悪傾向が認められた.3)酢酸潰瘍に対してはCD-3400および低用量のrescinnamineとrcserpine投与では対照群との間に差異は認められなかったが,rescinnamineおよびreserpineではCD-3400と同用量では死亡例が認められた.4)胃液分泌については幽門結紮ラットを用い前処理時間を変えて検討したところ,CD-3400およびreserpineは胃液量の減少傾向の他に,酸度,K+の低下とNa+の増大を示し,いわゆる胃酸の逆拡散が生じているのが推定された.この胃液成分の変化は特にreserpineでは顕著にみられたのに比べ,CD-3400では弱いものであった.5)5日間連続投与による場合にもreserpineでは胃液量および酸度の減少が認められたが,CD-3400では全く認められなかった.6)CD-3400やreserpineによる胃損傷および胃液成分の変化は副交感神経遮断薬により抑制された.以上の事実からCD-3400の皮下投与によってみられた胃損傷作用は,rescinnamineやreserpineのそれらに比べ非常に弱いものであることが判明した.また,その発現機序にはreserpineと同様に自律神経系が関与し,さらに胃液成分の変化もその一因となっていることが示唆された.
  • 長谷川 和雄
    1976 年 72 巻 8 号 p. 979-984
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    雄性今道ウイスターラットの外側視床下部後部におけるself-stimulation(SS)行動とアドレナリン作働性機構との関連について,注射針を改良して作製した脳室内投与装置を用い,種々の薬物を側脳室内に投与することにより吟味した.1)l-Epinephrine(Ep)の0.5μgでは有意な作用はなかったが,5begではSS行動を明らかに増強し,20μgではさらに著明な促進作用が認められた.2)l-Norcpinephrine(NE)の0.5μgでは作用なく,5μgでは明らかな促進作用がみられ,20μ9ではさらに箸明な作用が認められた.3)NE(20μg)の注入と同時に電流を切断すると,NEによる著明なSS行動の促進作用は出現しなかった.4)l-Isoproterenolは0.5,5,20μgとも作用がみられなかった.5)Dopamineは0.5,5,20μgとも作用が認められなかった.6)Phcntolamineの10および50μgともSS行動を明らかに抑制した.7)Propranololは10および50μgとも明らかな作用をきたさなかった.8)以上の結果から次の事が示唆された。(a)EpがSS行動において何らかの役割を果たしている可能性がある.(b)外側視床下部のSS行動の陽性強化には,ドパミン作働系よりもアドレナリン作働系(Ep作働系またはNE作働系)の方がより重要な役割を果たしており,またβ受容器よりもα受容器の方が緊密な関連を有する.(c)NEによるSS行動の促進作用は,レバー押し現象の非特異的な増強ではなく,脳内の電気刺激と関連したものである.
  • 長谷川 和雄
    1976 年 72 巻 8 号 p. 985-990
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    雄性の今道ウイスターラットを用い,黒質のself-stimulation(SS)行動におけるl-nor-epinephrine(NE)やdopaminc(DA),γ-aminobutyric acid(GABA)等の影響を側脳室内に投与することにより調べた.薬物は電極と同側と反対側の両方の側脳室内投与を試みた.またαおよびβアドレナリン作働性受容器の遮断薬を前処置した時のNEの作用も検討した.1)NEの1begでは作用は認められなかったが,5,20,50μgではSS行動を促進した.2)DAは5,20,50μ9とも顕著な作用を有しなかった.3)GABAの5,20,50,100μgの投与では一定の作用が認められなかった.4)Propranolol,50μgはNEの作用を全く抑制しなかったが,phentolamine,50μgはNEの作用を抑制した.5)以上の結果から,黒質のSS行動においては,DAやGABAよりもNEがより重要な役割を果たしており,そのNEの作用はαアドレナリン作働性受容器を介することが示唆された.
  • 三宅 雅久, 長谷川 良夫, 玉田 輝巳, 藤本 康夫
    1976 年 72 巻 8 号 p. 991-1000
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    抗高血圧作用を有する新rauwolfia alkaloid誘導体methyl O-(4-hydroxy-3-methoxycinnamoyl)reserpate〔CD-3400〕の末梢作用,特に平滑筋臓器に対する作用を,rescrpineおよびrescinnamineと比較検討した.マウス瞳孔に対して,CD-3400,reserpineおよびrescinnamineの投与により縮瞳作用を示したが,CD-3400の作用は最も弱かった.また,マウス腸管輸送能に対してreserpineは,促進作用を示したが,CD-3400には認められなかった.モルモットおよびラット摘出輸精管平滑筋のnorepinephrine(NE)収縮に対する作用は,CD-3400 10-5Mで非競合的抑制作用を示したが,1mg/kg/day(i.p.)5日間前処置により,NE収縮は増感された.これらの効果は,reserpineおよびrescinnamineのそれらより弱いものであった.また,CD-3400を前処置した標本に対するtyramincの収縮作用は,有意に抑制され,reserpineおよびrcscinnamineとほぼ同程度の効果であった.ラット生体位子宮自動運動に対して,これら3薬物の1および2mg/kg(i.v.)投与では,著明な影響は認められず,さらに,CD-3400 4mg/kg(i.v.)投与でも著しい変化はみられなかった.ラット摘出子宮平滑筋に対するCD-3400の作用は,直接および前処理によってもoxytocin収縮およびisoproterenol弛緩反応に著しい影響を示さなかった.以上のことから,CD-3400の末梢作用は,reserpineと同様にcatecholamine storeを枯渇して交感神経機能を衰退させることにより生じ,この効果は,reserpineやrescinnamineに比して弱いものであることが示唆された.
  • 板谷 公和, 清永 城右, 石川 宗義
    1976 年 72 巻 8 号 p. 1001-1011
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    前報にひきつづき,γ-oryzanolの作用機作を解明するため,atropine,propranolol,sulpirideを対照薬として用い,γ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用に日.内変動があるかどうか,他種実験潰瘍モデルに対するγ-oryzanolの効果がどのようであるか,また生体アミン量に影響する薬物を併用した場合に,γ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用がいかに影響されるかなどについて検討を加えた.その結果,ストレス潰瘍の発現は,午前8時には低いが,午後2時に最高となり,午後8時には再び低値を示す日内変動を示した.また,γ-oryzanolは,午前2時,5時,11時および午後2時にそれぞれ6時間のストレス負荷を開始した場合,有意の抗潰瘍作用を発現した.他種潰瘍モデルに対する効果については,γ-oryzanol100mg/kg(S.C.)8日間投与は,絶食潰瘍を有意に抑制したが,幽門結紮,stress-atropine,酢酸潰瘍に対しては,同量5日間投与によって軽度の抑制傾向を示すのみで,reserpineまたはserotonin潰蕩に対しては無効であった.また,上記各種潰瘍時の血清gastrin値をみると,幽門結紮潰瘍では上昇,reserpine潰瘍では減少し,serotonin,酢酸潰瘍では有意に変動しなかった.潰蕩治癒効果と,血清gastrin値の間に一定の関係を認めなかったが,血清gastrin値に対しγ-oryzanolはatropine,propranolol,sulpirideとは異なる影響を示した.他方,γ-oryzanol5日間投与後,ストレス負荷前に,reserpine,α-methyl-p-tyrosine(α-MT),DL-p-chlorophenyl-alanine(PCPA)などを処置すると,γ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用は消失した.Reserpine5mg/kg前投与によるγ-oryzanolの抗ストレス潰瘍作用消失は,5-hydroxy-dl-tryptophan(5-HTP),あるいはL-DOPAの投与により回復傾向を示し,その傾向はL-DOPAの方が大であった.これらの結果から,γ-oryzanolの抗潰瘍作用に,生体アミンとくにcatecholamineおよびserotoninの関与を推察した.
  • 内藤 惇, 久我 哲郎
    1976 年 72 巻 8 号 p. 1013-1023
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    モルモットの摘出平滑筋臓器(回腸,盲腸紐,子宮,輸精管および気管)およびウサギ摘出回腸の運動性におよぼすperimetazineの影響について検討した結果,特異的な抗histaminc作用,抗serotonin作用および抗adrenaline作用が観察された.Perimetazineの高濃を応用した際には,平滑筋に対する非特異的な抑制作用があらわれ,それに基づいた抗acetylcholine作用,抗BaCl2作用および筋緊張低下が観察された.さらにモルモット摘出盲腸紐の自発性活動電位は,発生頻度および振幅ともperimetazineにより抑制された.Perimetazineによるこれらの特異的ならびに非特異的抑制作用についてchlorpromazineと比較考察した.
  • 舛本 省三, 増田 千春
    1976 年 72 巻 8 号 p. 1025-1031
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    2-(2-Fluoro-4-biphenylyl)propionic acid(Flurbiprofen,FP-70)のprostaglandin(PG)合成阻害作用およびPG抑制作用をin vivoおよびin vitroで検討した.FP-70はモルモット肺ホモジネート中でarachidonic acidからのPG合成を0.64μMで50%阻害した.この合成反応液中のPGを抽出し,SamuelssonのAI systemの溶媒系を用いて薄層クロマトグラフィー(TLC)法でPGE2およびPGFを分離し定量した.FP-70はindomethacin(IM)およびacetylsalicylic acid(AS)と同様にPGE2の合成をPGFよりやや強く阻害した.ラット後肢carrageenin浮腫に対するarachidonic acidの増強作用をFP-70は1mg/kg経口投与でほぼ完全に抑制したが,PGE2の増強作用に対しては,1mg/kg経口投与でほとんど抑制作用を示さなかった.Magnus法でPGE2(10-8g/ml)によるラット胃条片収縮に対してFP-70は10-5g/ml(4×10-5M)まで抑制作用を示さず,10-4g/ml(4×10-4M)で弱い抑制作用を示した.以上の結果から,FP-70はin vivoおよびin vitroでPGの合成を強く阻害するが,PGに対する直接抑制作用は示さず,FP-70のPGに関連した抗炎症作用としては,PG合成阻害作用が重要であると思われる.
  • 福島 英明, 岡 俊晴, 浅見 幸男, 北川 純男
    1976 年 72 巻 8 号 p. 1033-1044
    発行日: 1976年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    行動薬理学的特性を見い出す目的で,ラットのオペラント行動に対する1-methyl-5-(o-fluorophenyl)-7-chloro-1,3-dihydro-2H-1,4-bcnzodiazepin-2-one(ID-540)の作用を検討し,diazepamの作用と比較した。条件づけスケジュールとしては定時間隔(FI-60sec)と低頻度差別(DRL20sec)食餌強化スケジュール(ともに正強化),シドマン型条件回避スケジュール(負強化)およびコンフリクト・スケジュールの4種を用いた.FI-60secスケジュールにおいて,ID-540,diazepamともに4mg/kg以下の投与量で投与初期に反応促進,8mg/kg以上の投与量で反応抑制という2相性の作用を示した.作用の持続はID-540の方がdiazepamより長かった.DRL20secスケジュールでは反応の促進はみられず,大量投与で反応数および強化数とも抑制され,時間弁別能の乱れがみられた.シドマン型条件回避反応は,ID-540,5mg/kgの経口投与によっても反応数・被ショック数とも影響がみられず,ID-540にneuroleptic様の作用は認められなかった.ID-540を2mg/kgと2,5mg/kgをそれぞれ10日間連続投与しても,FI-60secとシドマン型条件回避スケジュールの反応数には変化がみられなかった.コンフリクト・スケジュールにおける罰期の反応をID-540は0.0625mg/kg(i.p.)で増加させ,0.5mg/kg(i.p.)投与時にその効果は最大となった.一方diazepamのコンフリクト・スケジュールにおける罰期の反応を増加させる作用は4mg/kg(i.p.)投与時が最大で,ID-540とdiazepamのコンフリクト行動に対する効力比は約8対1と推測された.
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