胃粘膜保護作用を有する新しいタイプのヒスタミンH
2受容体拮抗薬である,FRG-8813:(±)-2-(furfurylsulfinyl)-
N-[4-[4-(piperidinomethyl)-2-pyridy1]oxy-(Z)-2-butenyl]acetamideの胃粘液動態におよぼす作用をカプサイシン感受性神経の関与の有無を中心に16,16-dimethyl prostaglandin E
2(dmPGE
2)およびカプサイシンと比較検討した.さらにアンモニア胃粘膜損傷に対する抑制効果を調べ,胃粘膜保護作用と胃粘液増加作用の関連性についても検討した.正常ラットにおいて,FRG-8813,dmPGE
2およびカプサイシンは,胃粘膜保護作用を示した.カプサイシン感受性神経除神経(除神経)ラットでは,FRG-8813およびカプサイシンの胃粘膜保護作用は消失したが,dmPGE
2の胃粘膜保護作用は影響を受けなかった.胃粘液におよぼす作用では,正常ラットにおいて,FRG-8813,dmPGE
2およびカプサイシンはそれぞれ投与5分後に粘液ゲル層の厚さを増加させた.除神経ラットにおいて,FRG-8813,dmPGE
2およびカプサイシンの粘液ゲル層増加作用は消失した.また,正常ラットにおいて,カプサイシンは粘膜内粘液を減少させる傾向を示したが,FRG-8813およびdmPGE
2は粘膜内粘液を減少させなかった.除神経ラットにおいて,FRG-8813およびdmPGE
2は粘膜内粘液増加作用を示したが,カプサイシンは著明な変化を示さなかった.以上の成績より,被験薬投与5分後の粘液ゲル層の増加作用は胃粘膜保護作用に関連するものと考えられ,この作用はFRG・8813の作用機作の1つと推察された.また,この粘液ゲル層増加作用にカプサイシン感受性神経の関与が示唆された.さらに,FRG-8813およびdmPGE
2は粘液合成促進作用を有するが,この機構はカプサイシン感受性神経を介さないことも推察された.
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