日本薬理学雑誌
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96 巻, 4 号
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  • 宮本 英七
    1990 年 96 巻 4 号 p. 141-152
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    When the stimuli by nerve impulses, neurotransmitters, hormones, peptides and growth factors are administered to the neurons, one of the responses of the nerve cells is the enhancement of Ca2+ influx and/or the release of Ca2+ from the intracellular storage site. Ca2+ may be related to several types of neuronal functions such as biosynthesis of neurotransmitters, stimulussecretion coupling of neurotransmitters and hormones, microtubule assembly-disassembly cycle and many metabolic reactions. Although the precise molecular mechanism mediating the actions of Ca2+ in the brain remains to be elucidated, accumulating evidence suggests that the actions of Ca2+ are mediated through Ca2+-binding proteins. The role of troponin C, a Ca2+-binding protein, was extensively studied in the skeletal muscle first. Subsequently calmodulin, a ubiquitous Ca2+-binding protein, was found to be widely distributed in many tissues and to be in involved in a variety of Ca2+-mediated cellular processes. In an attempt to elucidate Ca2+ actions in the central nervous system, we have been studying Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase II (CaM kinase II) and calcineurin (Ca2+/ calmodulin-dependent protein phosphatase). These enzymes have many common substrates and, therefore, may be involved in the neuronal functions via phosphorylation and dephosphorylation of specific proteins.
  • 東口 高志, 呉 晃一郎
    1990 年 96 巻 4 号 p. 153-161
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    変形性関節症に対するNeurotropinの作用をprednisoloneおよびindomethacinと比較検討し以下の成績を得た。1)papainをウサギの膝関節腔内に注入することにより誘発した実験的変形性関節症モデルでは,関節軟骨におけるsafranin-0染色性,ウロン酸,総ヘキソサミンおよびヘキソース含量の著しい低下が認められ,軟骨基質中のプロテオグリカソ含量の低下が推察された.Neurotropin投与群ではpapain注入による関節軟骨基質におけるsafranin-O染色性,ウロン酸,総ヘキソサミンおよびヘキソース含量の低下は明らかに回復した.一方,prednisoloneおよびindomethacin投与群では軟骨変性はpapain処置対照群に比してさらに悪化した.2)Neurotropinは関節軟骨の自己融解現象に対しては何ら作用を及ぼさなかったが,軟骨基質プロテオグリカン中への14C-acetateの取り込みを有意に促進した.3)prednisoloneおよびindomethacinは関節軟骨の自己融解現象および軟骨基質プロテナグリカン中への14C-acetateの取り込みをともに顕著に抑制した.以上の成績より,Neurotropinは変形性関節症に対してprednisoloneやindomethacinなどの抗炎症薬とは異なり,関節軟骨基質におけるプロテオグリカン含量の低下を改善することにより治療効果を有することが推察された.
  • 原 信行, 原 洋一, 夏目 康弘, 後藤 義明
    1990 年 96 巻 4 号 p. 163-168
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    GABAの脂溶性誘導体であるbaclofenの潰瘍惹起作用と体温との関係をラットを用いて検討した.ウレタン麻酔下で体温を低下(28~30°C)させたラットにおいてbaclofenは2,4および8mg!kg,s.c.投与により用量依存的な胃潰瘍惹起作用を示した.また高用量の8mg/kg,s.c.投与群では十二指腸においても高率に潰瘍性病変が発生した.しかしながら,正常体温(37~38°C)に保ったラットにおいてはbaclofenは8mg/kg,s.c.によっても潰瘍惹起作用を示さなかった.一方,baclofen8mg/kg,s.c.と同等の酸分泌刺激効果を有するhistamine30mg/kg,s.c.は低体温ラットにおいても正常体温ラットにおいても同程度に胃潰瘍を発生させ,体温との関係は認められなかった.以上の結果は,GABA誘導体がラットの消化管に潰瘍を惹起させ,しかも,その作用が体温調節機構と密接に関連することを示しており,水浸拘束や寒冷暴露といった体温低下処置による実験潰瘍の成因を研究する上で重要な手掛かりを与えるものと考えられる.
  • 柏俣 正典, 平松 正彦, 南 直臣
    1990 年 96 巻 4 号 p. 169-183
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    雌雄のラットの肝細胞膜に結合する125I-epidermal growth factor(EGF)量とEGF受容体のリン酸化活性におよぼす種々の内分泌学的処理の影響について検討した.成熟雄ラットの肝細胞膜に結合するEGF量は,成熟雌の約2倍の値であった.Scatchard解析による結果から,EGF結合量の性差は,膜分画中のEGF受容体の数の違いによるものであることが判明した.雌雄ラットの肝臓のEGF受容体数は,加齢とともに増加し,4週齢以後に明らかな性差が認められた.雄ラットを成熟期に去勢すると,肝臓のEGF受容体数はわずかに減少した.雄ラットを新生仔期に去勢した場合には,成熟後の受容体数は,雌のレベルにまで減少した.新生仔期に去勢した雄ラットに,生後241時間以内にtestosterone(TP)を1回投与した後,成熟期にもTPを投与すると,受容体数は正常雄のレベルにまで回復した・成熟期に脳下垂体を摘除した場合,受容体数は雌雄ともに正常雌レベルとなり,性差は完全に消失した。脳下垂体を摘除した雌雄のラットにTPあるいはtriiodothyronineを投与しても,受容体数に変化は認められなかった,正常雄ラットにヒト成長ホルモン(hGH)を浸透圧ポンプを用いて持続注入した場合,受容体数は雌のレベルにまで減少した,一方,正常の雌ラットあるいは脳下垂体を摘除したラットに,上記と同量のhGHを1日2回皮下投与すると,受容体数は正常の雄レベルにまで増加した.以上の結果から,ラット肝臓のEGF受容体数の性差の発現には,新生仔期のandrogenによるインプリンティング機構が関与していることが明らかとなった.さらに,成熟期に認められる成長ホルモンの分泌パターンの雌雄差が,肝臓のEGF受容体の数を制御していることが強く示唆された.
  • 若林 修一, 関口 仁美, 小坂井 一宏, 望月 誠一郎, 加島 正明, 冨山 格
    1990 年 96 巻 4 号 p. 185-204
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    azuletil sodium(AZE)の一般薬理作用を検討した.AZE100mg/kg,P.o.は,マウスを用いての一般症状,自発運動量,pentobarbital睡眠,および正常体温に対しては影響を及ぼさず,その他抗痙攣作用,鎮痛作用および筋弛緩作用はみられなかった.しかしAZE300mg/kg,p.o.は,一般症状で体緊張を伴う歩行障害を示し,その他では自発運動量および電撃痙攣を軽度抑制した,自発脳波に対してはAZE30mg/kg,i.v.まで,影Aを及ぼさなかった.また,鎮痛作用の検討でAZElOOおよび300mg/kg,p.o.は用量依存的に酢酸writhingを軽度抑制した.AZEは10-5g/mlまでモルモットの回腸および気管ならびにラットの輸精管および子宮の各種アゴニストの収縮に対して影響を及ぼさなかったが,3×10-4g/ml以上で回腸のserotonin収縮を,3×10-5g/ml以上で子宮のoxytocin収縮を抑制した.ウサギ回腸およびラット子宮の自動運動に対しては,3×10-4g/ml以上で抑制した.犬の呼吸,血圧,心拍数,心収縮力,心電図,気道内圧,大腿動脈血流量および冠動脈血流量に対して,30mg/kg,i.v.以上で,血圧の下降もしくは上昇,呼吸換気量および呼吸数の増加,冠動脈および大腿動脈血流量の増加を示した.しかし,AzE300mg/kg,p.o.は無麻酔ラットの血圧,および心拍数に対してほとんど影響を及ぼさなかった.AZEは10-4g/ml以上の濃度ではモルモット右心室乳頭筋および左心房の収縮力を増加させた.AZEは100mg/kg,p.o.以上で軽度の消化管輸送能の促進作用を示した.AZEは300mg/kg,p.o.まで,尿量尿中電解質排泄,血糖値およびプロトロンピン時間に影響を及ぼさなかった.以上のことから,本実験で検討したAZEの一般薬理作用に関する諸作用は臨床用量:に比べて高用量より発現し,これらの作用が臨床適用時に障害となる可能性は少ないと考えられる.また,水溶性azuleneと比べてもその作用に著しい質的・量的差異は認められなかった.
  • 香月 博志, 佐藤 公道
    1990 年 96 巻 4 号 p. 205-207
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
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