日本薬理学雑誌
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76 巻, 5 号
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  • 村木 篁
    1980 年 76 巻 5 号 p. 271-279
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    This report concerns a review of the neuroendocrine effects of narcotic analgesics and endorphins. Acute administration of narcotic analgesics to rats increases the blood levels of ACTH, GH and prolactin, and decreases levels of LH and TSH, however, there is no general consensus regarding changes in serum FSH, ADH and oxytocin as induced by narcotics in rats. In humans, the narcotic analgesic increases in serum prolactin, decreases in serum LH and has no effect on the release of other known pituitary hormones. Endorphins mimick morphine regarding hormonal effects. Effects of naloxone on the basal levels of prolactin, LH or GH were inverse to the effects seen with narcotics and endorphins, therefore endorphins may play a role in regulating the basal levels of these hormones. Narcotic analgesics depress the increased blood levels of prolactin, gonadotropins or TSH elicited by specific measures. While chronic administration of morphine results in tolerance to the stimulant effect of ACTH, and possibly of prolactin secretion, tolerance does not develop to the stimulant effect on GH secretion. The analgesic potency of narcotic analgesics correlates with their suppressive effect on the pituitary-gonadal system and the potency with which endorphins bind to the opiate receptors correlates with their prolactin releasing activity. It is assumed that narcotic analgesics and endorphins exert their hormonal effects by altering the release of neurotransmitters in the CNS. Thus, a release of hypothalamic releasing hormones is involved rather than a direct action on the pituitary. The central neurotransmitter systems involved in the hormonal effects of narcotics are now being intensively investigated by various groups of workers.
  • 片野 由美, 大鳥居 健, 仲川 義人, 嶋本 典夫, 酒井 賢, 今井 昭一
    1980 年 76 巻 5 号 p. 281-292
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたguanfacine(G)の心臓,冠循環,心筋エネルギー代謝に対する作用をclonidine(C)の作用と比較検討した.モルモット左心房標本では両薬物とも10-8~3×10-5g/mlで収縮張力を増大せしめ,これらの作用は,tripelennamine(T),metiamide(M)およびPropranolol(Prop)によって抑制された.一方10-8~10-6g/mlによる収縮張力増加作用はphentolamine(Phentol)によっても抑制された.右心房標本の拍動数に対しては両薬物とも10-8~3×10-6g/mlまで殆んど作用がなかったが,それ以上の濃度でGでは拍動数減少,Cでは増加が認められた.Gによる減少はいずれのblockerによっても殆んど影響されなかったが,Cによる増加はMによって著明に抑制された.右心房の収縮張力に対しては両薬物ともこれを増大せしめたが,Gの場合3×10-5g/ml以上の濃度では減少を起した.Gによる陽性変力作用はpropおよびTによって抑制され,Mによってもかなり抑制された.一方CのそれはTでもかなり抑制されたが,Mによって著明に抑制された.イヌ心肺標本ではG(100μg,1mg)およびC(30,100μg)で冠血流量の減少(Gの作用はCの約1/2~1/3)と右心房圧の上昇が認められ,それらの作用はPhentolにより抑制された.心拍数および心筋収縮力に対しGは殆んど影響を及ぼさなかったが,Cはそれらを僅かに抑制した.心筋酸素消費は何れの場合も僅かに減少し,心筋酸化還元電位は陽性化の傾向を示した.これを要約するとモルモット摘出心房標本に於てやや高濃度のGでみとめられる陽性変力作用にはヒスタミン受容体(右心房では,H1,左心房ではH1およびH2)とアドレナリン作働性β受容体が関与(左心房で10-6g/mlまでの作用にはα受容体も関与)すること,さらに高濃度(10-5g/ml以上)では心筋直接作用による陰性変時作用が現われる事になる.一方イヌ心肺標本では主としてα受容体を介する冠血管と肺動脈の収縮,心筋酸化還元電位の陽性化が認められ,心筋酸素消費量も僅かに減少した.
  • 桜井 栄一, 福勢 元, 植田 公孝, 村田 亮, 引地 登, 丹羽 弘司
    1980 年 76 巻 5 号 p. 293-299
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    下痢誘発物質として作用機序の異なる各種の下剤,すなわち,浸透圧性下剤に属するmagnesium sulfateやmannitol,浸潤性下剤に属するdioctyl sodium sulfosuccinate(DSS),刺激性下剤に属するcastor oil,副交感神経刺激剤に属するpilocarpineを用い,マウスに下痢を誘発させ,下痢誘発時の腸間膜微小血管の透過性と炭末輸送能を検討し,併せて組織serotonin(5-HT)やhistamine(His)量を測定し,従来いわれている作用機序以外に,これら下剤の下痢誘発にこれらアミンがいかなる役割を果すかについても検討を加えた.さらに,物質輸送能との関連性が示唆されているputrescine(Put),spermidine(Spd),spermine(Spm)などのpolyamineが下痢誘発により小腸中でどのような変化をうけるかを推論した.1)magnesium sulfateやmannitol誘発下痢時には色素の小腸腔内への漏出量は著明に増大し,小腸中のHisは対照群と比較して有意に減少し,血液中のそれは有意に増加した.この結果はmagnesium sulfateやmannitolによる下痢は小腸からのHis遊離にともない,腸間膜微小血管の透過性が亢進し,従来からいわれている作用機序の他に,これらが下痢誘発要因の一つとしてあげられる.一方,DSSやcastor oilによってはこのような現象は認められなかった.2)下痢時の腸管輸送能と小腸における5-HTやHis動態との関係を検討したが,小腸中の5-HTやHisの変動と腸管運動との間に一定の関係を得ることはできなかった.3)小腸中Spdはいずれの下痢時にも変動はみられないが,PutやSpmはpilocarpine誘発下痢時を除いていずれも有意に減少しており,下痢の誘発により二次的に小腸中でのpolyamine代謝能に変化が生じたものと思われる.さらに,小腸中で生じたpolyamine代謝能の変化は下痢時に観察される物質輸送の低下,吸収障害となんらかの関係があるものと推察される.
  • 西尾 晃, 加納 晴三郎
    1980 年 76 巻 5 号 p. 301-306
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    家兎にpyrogenを一回投与したときと,長期にわたり頻回投与したときの肝臓ミトコンドリア(Mt.)の内外膜の変化を生化学的に検討して以下の成績を得た.1)pyrogen(0.5μg/kg.,i.v.)を投与すると投与15分前後より直腸温が上昇しはじめ30分後に約0.5°C,60分後に1°C前後となり約3時間後に最高の約2.5°Cを示し,以後次第に下降するが,5時間後でも1°C以上の上昇が持続していた.2)肝Mt.のモノアミンオキシデース(MAO)活性はpyrogen投与30分後に一過性に上昇した.しかし,呼吸活性は有意に変動しなかった.3)Pyrogenを0.5μg/kg(i.v.)から20μg/kg(i.v.)まで次第に増量して投与すると約40日後には0.5μg/kg(i.v.)のpyrogen量では発熱反応を示さなくなった.この状態の家兎を発熱耐性家兎と定義した.4)発熱耐性家兎ではMAO活性は上昇していた.呼吸活性もglutamateを基質としたときADP/O比が有意に上昇していた.これらの成績からpyrogenの急性効果はMt.の外膜に現われ,慢性効果は外膜のみならず内膜にもおよぷことが考えられた.
  • 東 治喜, 押野 臨
    1980 年 76 巻 5 号 p. 307-319
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    薬物の胆汁中移行過程の詳細な解析は,in vivoでは全身的な因子が加わり困難である.本研究は,代謝されることなく速かに胆汁中に排泄されるヨウ素系胆道造影剤のiotroxic acidを用いて,蛋白を含まない灌流液で灌流したラット摘出灌流肝臓での胆汁中移行,ならびにiopodic acid,BSP,dexamethasone-21-sulfate(DXMS)との拮抗性を検討した.iotroxic acidは速やかに肝臓内に移行し,灌流液からの消失のkineticsは灌流後60分迄一次反応速度式に従ったが,その一次速度定数は灌流液中初濃度の増加とともに減少した.肝臓内濃度は灌流液中濃度に依存して増加し,約2.8μmoles/g liverで上限値を示した.この値は蛋白結合性が強く肝蓄積性の高いiopodic acidの肝内蓄積飽和値,ならびに胆管結索肝臓での肝臓内iotroxic acid濃度の最高値とほぼ一致した.胆汁中iotroxic acid最高濃度,排泄最高速度は肝臓内濃度に関係なく,それぞれ20~24mM,38~48nmoles/min·g liverの一定値を示し,用量を高めても排泄速度,胆汁中濃度は最高値を示す時間が延長しただけであった.iotroxicacid排泄時には滲透圧性利胆作用により,胆汁流量は約2倍に増加し胆汁色素濃度は低下した.BSPはiotroxic acidの肝臓内から胆汁中への移行を阻害することなく肝へのとりこみを著しく阻害した.iopodic acidの肝臓内蓄積後ではiotroxic acidの肝への移行は著しく低下し,肝臓内濃度と胆汁への排泄最高速度はそれぞれ対照の20%,50%に低下した.DXMSの胆汁中移行はiotroxic acidまたはiopodic acidの共存下で完全に阻害されたが,肝へのとりこみはiopodic acidで部分的に阻害をうけたのみであった.以上の結果よりiotroxic acidの肝臓内への移行は受動拡散と肝内蛋白との結合により見かけ上能動的な輸送様式を示し,肝臓より胆汁中への移行はcarrierによる能動輸送機構を介すると結論される.また他の薬物との拮抗性から,少くともアニオン性有機化合物の胆汁中への移行には共通の機構が介在すると推定される.
  • 東 治喜, 押野 臨
    1980 年 76 巻 5 号 p. 321-332
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ラット摘出灌流肝臓を用いてtriiodobenzeneを基本骨格とする8種のヨウ素系造影剤の胆汁中移行動態と化学構造との関連性を比較検討し,さらに3種の造影剤についてはin vivoに於ける動態をも併せて観察した.灌流肝臓に於ける各造影剤の動態は,肝細胞膜透過(肝臓内への移行速度),肝臓内蓄積(細胞内蛋白との結合性),胆汁中移行(能動輸送速度)の3過程で特徴を示し,次の4群に大別された.[I]肝細胞膜透過性,胆汁中移行性は高く,肝内蓄積性は比較的低い[iotroxic acid(1),iodipamic acid(2),iodoxamic acid(3),ioglycamic acid(4)],[II]肝細胞膜透過性は低く,胆汁中に殆ど排泄されない(diatrizoic acid,metrizamide],[III]肝細胞膜透過性・肝臓内蓄積性は最も高いが胆汁中移行性は低い[iopodic acid],[IV]胆汁中移行性を示すが肝細胞膜透過性は低い[Z.K.73 215].第I群の造影剤はいずれもtriiodobenzoateの二量体で,相互の差は架橋構造が異るだけだが,肝細胞膜透過性(灌流液からの消失半減期)は(1)≥(2)>(3)>(4),胆汁中への最高移行速度(Tm)は(1)>(2)>(4)>(3)の順であり,胆汁申移行速度の経時変化は,(1)(2)では灌流後20分でTmに達するが(2)では移行速度は徐々に増加し灌流後50分でTmに達し,それぞれ個有の移行動態を示した.in vivoでは(1)は最も速かに高いTmを示した,(3)は(1)とほぼ等しいTm値を示したが高用量ではTmに達する時間は遅延した.(2)では(1),(3)に比べてTm値は低く排泄は遅延した.灌流肝臓では造影剤灌流前の胆汁流量がin vivoより低いために排泄速度はin vivoより低いが,胆汁中造影剤濃度,排泄の経時変化,造影剤の浸透圧性利胆作用には,両実験系で殆ど差は見られなかった.また両実験系における(2)と(3)の移行動態の相違は,灌流肝臓でみられた(2),(3)の動態学的特徴に加えて,血液蛋臼との結合性における相違を考慮することで説明された.
  • 和田 靖史, 江藤 義則, 大平 明良, 生田 殉也, 加藤 靖, 佐野 宣之
    1980 年 76 巻 5 号 p. 333-345
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    コルチコステロイド外用剤を目的として合成されたprednisolone 17-valerate 21-acetatc(PVA)の抗炎症作用を主にラットを用いて,betamethasone 17-valerate(BV),hydrocortisone 17-butyrate(HB)およびprednisolone 17-valerate(PV)などの効果と比較し,外用剤としての有用性を検討した.カラゲニン足浮腫法,カオリン足浮腫法および肉芽腫法によるPVAの抗炎症作用は,背部皮下投与の場合BV,HBなどと比較し極めて弱く,BVの1/15~1/45,HBの1/5~1/15 ,PVの約1/30であった.一方,局所投与によるPVAの効果はBV,HB,PVなどと同等ないし,それ以上であった.また局所投与による肉芽腫法において同時に測定した胸線萎縮作用は,PVAが比較的弱い傾向を示した.さらに,これらコルチコステロイドの軟膏製剤の各種炎症モデルに対する抗炎症作用を検討した.カラゲニン足浮腫法においてPVA軟膏は濃度依存の抑制作用を示し,PVA0.3%軟膏がBV0.12%軟膏と同程度の効果を示した.創傷部肉芽増殖,クロトン油耳浮腫,受身皮膚アナフィラキシーおよび遅延型皮膚炎に対してもPVA0.3%軟膏はBV0.12%およびHB0.1%軟膏と同程度かまたはそれ以上の強い抗炎症作用を示した.さらに創傷部肉芽増殖の実験において全身への影響として胸線萎縮作用を同時に検討したが,PVAのその作用は比較的弱い傾向であった.また,PVA皮下投与による肝グリコーゲンの蓄積,尿および電解質排泄および性ホルモン作用に対する影響は他のコルチコステロイドと同等であり,程度は弱かった.以上の結果から,PVAは局所効果が他と同等かそれ以上に強く,全身への影響は弱いコルチコステロイドであることが明らかにされ,外用剤としての臨床における有用性が示唆された.
  • 金戸 洋, 渡辺 穣
    1980 年 76 巻 5 号 p. 347-354
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    摘出モルモット回腸縦走筋-神経叢標本(標本)の電気刺激による収縮を各種のopioidが抑制し,その効力はmorphine(Mor)=methionine-enkephalin(Met-enk)>pentazocine (Pz)<pethidine(Pt)の順であった.標本を4°Cで22時間,各薬物を含む緩衝液(正常標本に対する50%抑制効果のそれぞれ150~200倍濃度)中でincubateすることによってMor,Ptでは上記抑制効果に対する耐性が形成されたが,Pz,Mct-enkでは耐性の形成はみられなかった.Mor,Ptに対する耐性形成はそれぞれの1/10量のnaloxone(Nx)の共存で完全に阻害され,また,形成された耐性は標本を正常緩衝液に戻すことによって24時間後には消失した.MorとPt耐性標本はMet-enkに対しても耐性を示し,各薬物間に交叉耐性の成立が認められた.同様のincubationによって,Nx添加で惹起される収縮高の増大と攣縮を指標として判定される依存の形成がMor>Pt>Pzの順でみられたが,Met-enkに対しては依存は形成されなかった.回腸の回盲部から45cmまでを4部位に分け,各部位から得た標本について3H-dihydromorphine,3H-D-Ala2-Met-enkephalinamideおよび3H-Leu-enkephalinをligandとしてradioreceptor assayによってopiateおよびenkaphalin受容体の分布を検討したところ,両受容体の分布が異る上,部位によっても大きな分布の差がみられた.これら受容体の分布と上記電気刺激収縮に対する抑制効果,耐性および依存形成効果の間には必ずしも平行関係はみられず,受容体の多様性が示唆された。一定した条件下,標本は3日間の反復検定に耐え,従来の回腸片を用いるよりも安定した成績が得られ,in vivoでのopioidの効果との平行性からも簡素化したopiate受容体モデルとしてopiate作用物質のscreeningをはじめ,鎮痛効果,耐性,依存形成機構の研究に応用できる有用性を認めた.
  • 阿部 泰夫, 入倉 勉, 百々 研次郎, 都留 清志
    1980 年 76 巻 5 号 p. 355-361
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    urethane麻酔ウサギおよびpentobarbital麻酔犬の胃粘膜血流量に対する3-(3,4,5-trimethoxybenzamido)piperidine(KU-54)の影響を交叉熱電対を用いて検討した.ウサギでは胃体部血流量がKU-545mg/kg(i.v.)投与1分後で増加のピーク(11.9%)に達し,消退まで約8分間持続したが,血圧は一過性に約20%の低下を示した.KU-54によって胃粘膜血流量増加と血圧低下が同時に起ったことからβ作用が疑われたが,これらの変化はβ-blocker(propranolol)で抑制されなかった.gefarnateの作用はKU-54より弱いものであり,sulpirideは粘膜血流量を増加そして正常値以下の減少,再増加という2峰性のパターンを示し,KU-54の胃粘膜血流量増加パターンとは明らかに相異した.ウサギの胃幽門境界部ではKU-54 5mg/kg(i.v.)による粘膜血流量増加のピークが投与4.5分後にみられ,胃体部より持続性(3.5分)がみられた.gefarnate 1.25mg/kg(i.v.)でも持続性がみられ,KU-54の場合と類似したがsulpiride 1.25mg/kg(i.v.)では胃体部よりむしろ,血流量減少期間が持続し,KU-54と反対の反応を示した.絶食ウサギではKU-54による胃粘膜血流量増加の主区間が非絶食ウサギの場合より持続した.イヌではKU-54 5mg/kg(i.v.)投与7分後に粘膜血流量増加のピーク(16%)が認められ,6分間持続したが,粘膜血流量増加の発現時間はウサギの場合より約6分おくれた.sulpirideはウサギの場合と異り粘膜血流量増加のピーク時間が投与1分後にみられ,血流量増加は4分間持続した.sulpirideとKU-54のピーク時間との間に約6分間の差が認められ,KU-54はsulpirideの作用様式と異ることを示唆した.
  • 小林 富二男, 服部 幸男, 古志 朋之, 名古屋 隆生
    1980 年 76 巻 5 号 p. 363-372
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    prednisolone 17-valerate 21-acetate(PVA)のマウスにおける各種免疫応答に及ぼす影響をhydrocordsone 17-butyrate(HB)およびbetamethasone 17-valerate(BV)と比較,検討した.これらの薬物の皮下投与によりマウスの脾臓重量,脾臓有核細胞数およびPFC応答は抑制され,PVAの抑制作用はHBと同程度であり,BVより弱かった.これらの薬物のヒツジ赤血球に対する血中抗体価の抑制作用は,IgG抗体に比べて,IgM抗体でより明瞭に認められた,PVAのIgM抗体抑制作用は,HBよりやや低用量でみられたが,BVより弱く,またIgG抗体の抑制はHBと同程度であった.遅延型皮膚反応は,これらの薬物のいずれによっても感作過程に比して誘発過程に薬物を投与した場合に,より低用量で抑制が認められた.また脾臓細胞の各種mitogen反応性に及ぼす3種類の薬物の影響にも差が認められた.すなわち,HBおよびBVは,phytohemagglutinin-P反応性に対して促進的に作用したが,PVAは促進作用も抑制作用も示さなかった.concanavalin A反応性に対する抑制作用は,BVが最も強く,PVAとHBは同程度であったが,lipopolysaccharide反応性の抑制はBVが強く,次いでPVA,HBの順であった.大腸菌に対する感染抵抗性の減弱作用は,PVAが最も弱く,腹腔マクロファージ数の減少も少なかった.以上,マウスの免疫応答に対するPVAの作用は,B細胞,T細胞およびマクロファージの3者に作用する複雑なものであり,細部においてはHBやBVと相違がみられたが,総括的にはcorticosteroidに共通した作用を有し,各種免疫応答に及ぼす影響は,BVよりも弱くHBとほぼ同程度であった.さらに,これらの成績にもとついて,各薬物の免疫担当細胞機能に対する作用について考察した.
  • 吉村 弘二, 山本 研一
    1980 年 76 巻 5 号 p. 373-411
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    morphine(MP),phenobarbital(PNB),diazepam(DZP),methamphetamine(MAPT)およびcocaine(CC)依存ラットについて薬物依存形成期ならびに突然休薬時の自発運動と脳波を日内リズムとの相関から解析し,同時に脳内アミン(NE,DA,5-HT)の消長を調べた.正常ラットの自発運動や脳波は一般に昼間睡眠,夜間覚醒型の日内リズムを有しているが,MP(5→50mg/kg),MAPT(0.5→5mg/kg),CC(5→40mg/kg)を1日2回8週間連続皮下注射する中に投与量と投与日数の増加に伴い注射直後から約4時間の間,自発運動は著しく増加し,脳波的睡眠図では覚醒期の増加,徐波―速波睡眠期の減少が認められた.このときMAPT,CCでは脳波が賦活されるが,MPでは動物の行動が覚醒的であるのに高振幅徐波が現れ行動と脳波の分離が認められた.barbiturate型薬物PNB(10→70mg/kg)とDZP(10→120mg/kg)を1日2回連続経口投与すると昼間の覚醒期は減少し,徐波睡眠期は増加するが,日内リズムには著しい変化が認められなかった.突然休薬を行うとMP群の自発運動は昼夜間差のない単調で低い活動レベルに終始する日内リズムに変わり,脳波では覚醒期の増加,徐波深睡眠期と速波睡眠期が減少して安静波ないし浅睡眠波のみとなった.PNBとDZP群では昼夜間とも活動型のリズムに転じ,脳波では覚醒期が増加,徐波睡眠期は減少した.この現象はDZPよりPNR群においてより著しかった.一方,MAPT,CC群では休薬後昼間の睡眠―覚醒周期はたちまち対照のリズムに戻るが夜間の睡眠量は対照に比べ増加した.各薬物の依存形成期ならびに突然休薬期には脳内のNE,DA,5-HT含量およびその代謝回転率に変化が現れた.すなわちMP禁断時には視床下部の5-HT代謝回転が促進し,その含量は著しく減少した.MAPTの連続投与により視床下部のNE含量と5-HT含量は著しく減少するが,一方,線条体のDA含量は増加し,5-HTの代謝回転は促進した.
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