1. 著者の考案したストロボ法を用いて,マウスのRighting reflexにおよぼす各種薬物の影響について報告した.
2. 麻酔薬は,一般に初期の頭部の立直りに著しい影響を与える.
3. 麻酔薬のなかで, Urethaneによるものは,他のものと異り,尾反応を示すことが特有である.
4. この尾反応は, Mg塩においても認められる.
5. AlcoholやMorphineには,ある時期に著しい頸反射の現われを示す場合がある.
6. Phenobarbitalも麻酔薬と同様,指反応,尾反応の消失を示す.
7. Chlorpromazineは,投与後の経過時間に従い多少異った反射の現われを示すが,着床後の乱れは共通の現象として把握される.しかも,みかけ上,鎮静状態にあっても, Righting reflexの出現することは興味のある事実である.
8. 筋弛緩薬も筋緊張の亢進をおこす薬物も,ともにRighting reflexの現われ方に対しては,可成り類似した影響を与えているように思われる.
9. Histamineは, Righting reflexに可成り著しい影響を与えることは興味のあることで,眼振発生機転との関係についても論じた.
稿を終るにあたり御懇篤なる御指導と御校閲を賜わつた恩師小林竜男教授に深甚なる感謝を捧げます.
なお本研究にあたり,御助言,御協力を頂いた本学腐敗研究所小倉助教授ならびに公私ともに御援助いただいた東大農学部杉二郎教授に厚く御礼申し上げます.
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