日本薬理学雑誌
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106 巻 , 2 号
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  • 石川 紘一
    1995 年 106 巻 2 号 p. 67-76
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    Discoveries of long-term potentiation and immediate early gene in the central nervous system have enabled new developments in experiments on learning and memory. These experiments are conducted in many kinds of animals with different procedures, physiology, chemistry and pharmacology. However, there is still some confusion when these various procedures are discussed. Memory is defined as information storage of an animal's previous experiences. The memory induces changes in behavioral performance. This means that memory must be observed in whole animals, and one question that can occur is how does long-term potentiation, for example, correlate with memory. Furthermore, memory has been divided into two major classifications, declarative and non-declarative, from the comparison of amnesias observed in humans and animals. The declarative memory can be observed in human subjects, but not in animals. This article presents a neuronal circuit concerning memory formation and some results obtained from benzodiazepines, and it discusses some problems encountered executing when experiments on learning and memory. In addition, the discussion speculates over the possibility for an “antidementia drug”.
  • 増田 義勝, 村井 繁夫
    1995 年 106 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    This report deals with three different maze methods using spontaneous learning behavior. Fortyeight mice housed in an apparatus with a multiple maze mastered the maze task on the 5th day after the start of housing. Then they were divided into four groups, and two of the groups were treated with AF64A (3.5 nmol, i.c.v.) or trimethyltin (TMT, 3 mg/kg, p.o.), and the other two groups were treated with the vehicle as the respective control. Seven days after the treatment, their memory retrieval was tested. Subsequently, the same mice were housed in the apparatus with a T-maze. After the finish of the experiment using the T-maze, they were housed in the apparatus with an eight arm radial maze. The control groups mastered the T-maze task with a 3-sec delay on the 4th day after the start of housing and the radial maze task on the 10th day after the start of housing. Both the treatments lowered the performance in all maze tasks. These results show that the mice housed in the apparatus with maze learned to negotiate the maze spontaneously, and the apparatuses are useful for estimating memory in mice with little effort.
  • 鹿児島 正豊, 津端 由佳里, 島田 英世
    1995 年 106 巻 2 号 p. 85-97
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    低酸素血症は,呼吸不全,大手術,熱傷等に合併して起こる消化管粘膜障害の原因とされているが,その発生機序はいまだ不明な点が多い.今回我々は,レスピレーターを用いた安定なラット低酸素血症モデルの作製,さらには全身的な低酸素-再酸素化モデルへ応用することを目的として,分時呼吸回数,一回換気量などの基礎的検討を行った.次に,脳下垂体,副腎,心臓,胃,腎臓への低酸素負荷あるいは再酸素化の影響をMasson's trichrome染色法PAS染色法を用いて組織学的に,また,臨床で低酸素血症の患者に上昇が見られるとされる血漿中GPT(glutamic pyruvic transaminase)活性の測定により生化学的に検討した.さらに,脳下垂体,副腎については臓器重量の測定も合わせて行った.その結果,レスピレーターを用いた低酸素あるいは低酸素-再酸素化モデルとしては,体重220~240gのラットを用い,呼吸回数80回/分,換気量1.5ml/stroke,吸気内酸素濃度14%が適していることが示唆され,この条件では動脈血中酸素分圧量(PaO2)が低下あるいは上昇しても動脈血中二酸化炭素分圧量(PaCO2),動脈血中pHに大きな変化がなかったことより,本モデルは,様々な低酸素血症の病態の中でも,特に環境性の低酸素血症を誘発させるものであると考えられた.GPT活性は低酸素負荷により対照群と比較して有意な上昇を示したが,再酸素化の影響は顕著には反映しなかった.脳下垂体,副腎の臓器重量は,対照群と比較し,3時間の低酸素負荷において有意に増加したが,6時間の低酸素負荷あるいは低酸素-再酸素化では上昇傾向は認められたものの,有意な差は認められなかった.しかし,副腎,脳下垂体は組織学的に傷害が最も重度であり,低酸素あるいは再酸素化の影響を顕著に受けたことが認められた.
  • 岩久 義範, 安永 幸弘, 越智 宏, 松浦 衛, 今吉 朋憲, 寺澤 道夫
    1995 年 106 巻 2 号 p. 99-111
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    新しい酸性非ステロイド性鎮痛・抗炎症薬,Y-23023の急性,亜急性および慢性の疹痛,ならびに足腫脹に対する作用をラットを用いてカラゲニン足浮腫法,硝酸銀関節炎法およびアジュバント関節炎法で検討した.カラゲニン足浮腫の急性炎症性痔痛(Randall-Selitto法)に対する予防実験で,Y-23023(0.3~3mg/kg,p.o.)は,用量に依存して有効率の高い鎮痛作用を示し,足浮腫を強力に抑制した.カラゲニン注射2時間後にY-23023を投与した治療実験では,足浮腫に影響を与えず,低下した癒痛閾値を回復させた.また,Y-23023の鎮痛作用はナロキソンで拮抗されず,プロスタグランジンE2で減弱することから,作用点は末梢性で,プロスタグランジンの産生阻害作用をその機序と考えた.硝酸銀関節炎(屈曲法)に対しても,Y-23023は用量に依存した有効率の高い鎮痛作用を示し,ジクロフェナクナトリウム,インドメタシンおよびロキソプロフェンナトリウムに比べ強い活性を示した.また,アジュバント関節炎を用いた慢性関節炎癒痛(Randall-Selitto法)および足浮腫に対して,アジュバント注射後15日目から投与したY-23023(0.3~1mg/kg/day,p.o.)は,ジクロフェナクナトリウムおよびインドメタシンと同程度で,ロキソプロフェンナトリウムに比べて強力な鎮痛・抗炎症作用を示した.以上の結果から,Y-23023は特に急性および亜急性痔痛に対して強力な鎮痛作用を示し,鎮痛・抗炎症剤として有用な薬剤となり得ると考えた.
  • 吉本 宏, 永野 伸郎, 西鳥羽 剛, 佐藤 広三, 宮田 そのえ, 日下 多, 景 世兵, 山口 達明
    1995 年 106 巻 2 号 p. 113-122
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    現在,慢性腎不全およびそれに伴う諸症状の治療には,透析療法の他,降圧剤,利尿剤等の薬物療法や食事療法が行なわれているが,より有効に腎不全の進行を遅らせ,尿毒症症状を改善し,透析導入期を遷延化させる薬物の開発が期待されている.我々は,慢性腎不全状態下で生体内に蓄積した尿素,アンモニア等の尿毒症物質を消化管内で吸着し,糞便中に排泄させることにより腎不全の進行を抑制する目的で,セルロースにアルデヒド基を導入し(酸化セルロースlDAC),さらに表面アルデヒド基を天然高分子であるキトサンで処理したキトサン被覆酸化セルロース(キトサンDAC)を経口吸着剤として新たに開発した.今回,キトサンDACのin vitroにおける吸着能を既に保存期慢性腎不全患者に使用されている活性炭経口吸着剤(クレメジン)と比較したところ,クレメジンには認められない尿素およびアンモニアに対する高い吸着能が認められた.また,糞,尿および血液に対する作用を検討する目的で,キトサンDACを1,2,3,4,5,7,10%の割合で正常粉末食と混合し,制限給餌下で正常ラットに混餌投与した.3週間後に代謝ケージを用いて24時間糞および24時間尿を採取後,全採血を施し分析に供した.その結果,キトサンDACの混餌投与により,糞量の増加,糞水分含量の増加,糞中窒素排泄量の増加,糞中電解質排泄量の増加,タンパク質の見掛けの消化吸収率の低下,血中尿素窒素値の低下および血清カリウム値の低下傾向が低用量より用量依存的に認められ,代償的な尿中尿素排泄量の低下および尿中ナトリウム排泄量の低下が観察された.以上の結果は,キトサンDACは慢性腎不全に伴う尿素を主体とした尿毒症物質の貯留,浮腫,腎性高血圧,高カリウム血症等に有用な作用を有する可能性を示唆するものであり,今後の腎不全モデル動物を用いた評価が期待された.
  • 永野 伸郎, 吉本 宏, 西鳥羽 剛, 佐藤 広三, 宮田 そのえ, 日下 多, 景 世兵, 山口 達明
    1995 年 106 巻 2 号 p. 123-133
    発行日: 1995年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全状態下で生体内に蓄積した尿毒症物質を消化管内で吸着し,糞便中に排泄させる機序により腎不全の進行を抑制させる目的で開発した新規経口吸着剤であるキトサン被覆酸化セルロース(キトサンDAC)の慢性腎不全動物に対する作用を検討した,ラットにアドリアマイシンを反復静脈内投与することで進行性の慢性腎不全ラットを作製後,キトサンDACを5%の割合で正常粉末食と混合し,paired-feeding条件下で約4カ月間飼育した.途中,2~4週間間隔で採尿,採糞および採血を行なった.また,対照薬として,保存期慢性腎不全患者に対しての有用性が報告されている活性炭経ロ吸着剤(クレメジン)を同様に混餌投与した.その結果,正常食群およびクレメジン群では摂食処置63~65日後より死亡例が観察されたのに対し,キトサンDAC群では100日後で初めての死亡例が認められた.摂食処置後の平均生存日数は,正常食群(93.9±7.8日)に対しクレメジン群(92.7±6.4日)では差は認められなかったが,キトサンDAC群(117.3±5.0日)では著明な生存日数の延長が観察された.また,アドリアマイシン投与ラットは高窒素血症,高クレアチニン血症,高リン血症,高脂血症,タンパク尿および貧血に特徴付けられた慢性腎不全症状を呈したが,キトサンDAC混餌投与により,血中尿素窒素値の上昇の抑制,血清クレアチニン値の上昇の抑制,血清リン値の上昇の抑制,赤血球数の減少の抑制が観察された.更に,キトサンDAC混餌投与により糞量の増加,糞水分含量の増加,糞中窒素排泄量の増加,タンパク質の見掛けの消化吸収率の低下,糞中リン排泄量の増加および糞中ナトリウム排泄量の増加が観察され,これらの作用が腎不全の進展に対して抑制的に作用したものと推察された.以上の結果は,慢性腎不全の薬物治療における経口吸清剤療法の新たな可能性を示唆するものと考えられた.
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