日本薬理学雑誌
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129 巻 , 4 号
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特集:心血管病に関与する細胞内情報伝達系
  • 新井 昌史, 庭野 和生
    2007 年 129 巻 4 号 p. 238-243
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    SERCA2aタンパクは,心筋小胞体膜に存在するタンパクで,細胞質のCa2+を濃度勾配に逆らって,心筋小胞体内に汲み上げる働きをする.これにより,心筋は弛緩することができる.非代償性心不全では,SERCA2aのmRNA発現,タンパク量,Ca2+汲み上げ能が低下する.一方,SERCA2aを過剰発現させたマウスは,単に左室弛緩能が改善するだけでなく,圧負荷や糖尿病に伴って生ずる心機能低下を予防する効果を有することが報告されている.しかし,トランスジェニックマウスは遺伝的にSERCA2aがもともと増強されている動物であり,実際の病態での治療効果を反映しない.そこで,われわれはラットに心筋梗塞を作製し,これによって生じた慢性心不全に対し,SERCA2a遺伝子を発現するレンチウイルスベクターを冠動脈から注入し,心不全に対する治療効果を6カ月間にわたり検討した.SERCA2a遺伝子導入群は,対照遺伝子であるβ-galを導入したものに比べ,心エコーでの駆出分画の改善し,左室内腔の拡大,すなわち,心不全による左室リモデリングを抑制した.その結果,有意に生存率を改善した.さらに,SERCA2a遺伝子導入により,SERCA2a発現が改善するだけでなく,心機能の改善に伴って二次的に,他の心筋保護的な遺伝子発現の上昇と心筋障害的な遺伝子発現の低下をもたらすことが判明した.永続的なSERCA2a遺伝子導入は,難治性心不全に対する治療のための新たな選択肢として期待できると考えられた.実際には,心臓移植までの橋渡しなどが現実的な適応になるものと思われる.大型動物での検討を経て,臨床応用が望まれる.
  • 岸 博子, 川道 穂津美, 加治屋 勝子, 小林 誠
    2007 年 129 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    血管平滑筋の異常収縮は,虚血性心疾患やくも膜下出血後の脳血管攣縮などの疾患の病態生理に重要な役割を果たしている.この異常収縮の分子機構として,RhoキナーゼによるCa2+-sensitizationが重要である事が知られているが,我々はこれまでに,Rhoキナーゼの上流の,血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル分子として,スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)を同定し,更に,SPCが,Srcファミリーチロシンキナーゼ(Src-TK)を介して,Rhoキナーゼを活性化する事を明らかにした.我々は,Src-TKの中で,血管平滑筋組織および培養血管平滑筋細胞において,Fynおよびc-Srcが発現している事を確認し,どちらが血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル伝達に関与するかを検討した.培養血管平滑筋細胞において,SPC刺激により,Fynは細胞内から形質膜へ移動したが,c-Srcの細胞内局在は変化しなかった.そこで,1)siRNAによるFynの特異的ノックダウン,2)β-escinスキンド血管平滑筋標本における組み換えFynタンパクの導入,の2つの方法を用いて検討し,血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル伝達におけるFynの関与を直接的に証明しうる所見を得た.また,ヒトおよびコレステロール負荷家兎の血管平滑筋のSPC反応性と血清コレステロール濃度が相関する事を見出した.β-サイクロデキストリン処理により,細胞膜から選択的にコレステロールを除去すると,血管平滑筋組織において,SPC収縮は特異的に抑制され,培養平滑筋細胞では,ラフトのマーカーであるカベオリン-1による標識が著しく抑制され,SPCによるFynおよびRhoキナーゼの細胞内から形質膜への移動は抑制された.以上の所見より,血管平滑筋Ca2+-sensitizationのシグナル伝達において,コレステロールおよび細胞膜ラフトが,重要な役割を果たす事が示唆された.
  • 多久和 陽
    2007 年 129 巻 4 号 p. 253-257
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    細胞膜脱分極や受容体作動性アゴニスト刺激によりひき起こされる細胞内遊離Ca2+濃度([Ca2+]i)の上昇は,平滑筋収縮において必須の役割をはたしている.[Ca2+]iの上昇はカルモジュリン依存性リン酸化酵素ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を活性化することにより,20 kDミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化をひきおこし,収縮が惹起される.我々は,Ca2+がMLCKを活性化するのみならず,MLCを脱リン酸化するミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)を抑制することを見出した.従来,受容体作動性生理活性物質はG12/13を介してRho-Rhoキナーゼを活性化することによりMLCPを抑制し,効率よくMLCリン酸化および収縮を引き起こすと理解されていたが,新たに,受容体を介さないCa2+依存的なRho-Rhoキナーゼ-MLCP系の制御機構の存在を明らかにした.この発見は,Ca2+による平滑筋収縮活性化機構に関する従来のドグマに変更を迫り,Ca2+によるMLCK,MLCP二重制御を示している.Ca2+によるRho活性化のプロセスには,これまで高等動物における機能が不明であったホスホイノシチド3-キナーゼクラスIIアルファ酵素(PI3K-C2α)が介在している.すなわちCa2+はPI3K-C2αを介してRhoを活性化し,Rhoキナーゼ依存的にMLCPの調節サブユニットMYPT1およびMLCP阻害タンパクCPI-17をリン酸化することによりMLCPを抑制する.Ca2+依存的なRho活性化およびMLCP抑制は,細胞膜脱分極のみならず受容体作動性アゴニストによる血管平滑筋収縮においても,G12/13依存性機構とともに関与する.このCa2+-PI3K-C2α依存的な機序により,Ca2+は効率良くMLCリン酸化,従って収縮をひきおこす(Ca2+-induced Ca2+-sensitization).
  • 千本松 孝明
    2007 年 129 巻 4 号 p. 258-261
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    レニン-アンジオテンシンシステム(RAS)は心血管系の機能調節並びに疾患形成に関わる重要な因子であり,循環器領域に関わる臨床医,研究員にとって最も関心深いシステムの一つである.アンジオテンシンII(Ang II)による成長促進,血圧上昇,肥大と言った作用は主に1型受容体(AT1)を介していると考えられている.一方,2型受容体(AT2)の作用はホスファターゼの活性などAT1受容体の作用に対して拮抗するものと考えられているが,その細胞内情報伝達機構は未だ不明な点が多い.RASを抑制する薬剤としてAngiotensin Converting Enzyme Inhibitor(ACEI)とAngiotensin II Type1 Receptor Blocker(ARB)がある.両薬の循環器疾患に対する有効性は数々の臨床大規模試験で証明されているが,その相違は未だはっきりしていない.この両薬はAT1受容体を介するAng IIの作用を抑制するが,ARBでは血中Ang II濃度が上昇しそれがAT2受容体を刺激する.一方ACEIはAng II産生そのものを抑制するためAT2受容体を抑制することになる.AT2受容体の機能がAT1受容体に拮抗するものであれば,理論的にはARBはACEIよりも有効性が高いはずなのだが,ARBの優位性を求めた臨床大規模試験ではその優位性を完全に立証することが出来ていない状態である.我々はAT2受容体遺伝子欠損マウスを用いて,腹部大動脈縮窄による慢性圧負荷およびAng IIの長期投与を施行したところ,AT2受容体遺伝子欠損マウスは心肥大を示さなかった.さらに心臓においてAT2受容体はpromyelocytic leukemia zinc finger protein(PLZF)を介して成長促進に作用していることを発見した.PLZFは74 kDのトランスクリプションファクターで組織選択的発現性が高く,心臓,肝,腸管では発現を認めるが,少なくとも正常な血管,腎では発現を認めない.AT2受容体はPLZF存在下では成長促進を示すが,非存在下ではホスファターゼの活性など成長抑制を示した.AT2受容体の新しい作用を示したこれらの結果はACEIとARBの使い分けのヒントを提示する可能性がある.
  • 岩本 隆宏, 喜多 紗斗美
    2007 年 129 巻 4 号 p. 262-265
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    筋収縮,神経伝達,ホルモン分泌など,様々な生体機能は,細胞内Ca2+シグナルにより巧みに制御されている.このCa2+シグナルは,細胞膜Ca2+チャネルや小胞体Ca2+放出チャネルなどのCa2+動員系により誘導され,細胞膜Na+/Ca2+交換体や細胞膜・小胞体Ca2+ポンプなどのCa2+除去系により終結される.Na+/Ca2+交換体は,3個のNa+と1個のCa2+を交換輸送する細胞膜イオントランスポーターである.通常,この交換体は,細胞膜を介するNa+の濃度勾配に従ってCa2+を細胞外へ排出する役割を担っている(“forward mode”).しかし,病態時などの特殊な状況下では,この輸送体を介するCa2+流入(“reverse mode”)が引き起こされる.筆者らは,Na+/Ca2+交換体の特異的阻害薬および遺伝子改変マウスを用いた研究から,1型Na+/Ca2+交換体(NCX1)を介するCa2+流入が心臓や腎臓の虚血再灌流障害および食塩感受性高血圧の発症に関与することを明らかにしてきた.また最近,心筋特異的なNCX1トランスジェニックマウスが心肥大を呈することを見いだし,心不全発症におけるNCX1の役割について解析を進めている.本稿では,これらの知見を中心に心血管病におけるNCX1の役割について概説したい.
治療薬シリーズ(14)高脂血症
  • 谷本 達夫
    2007 年 129 巻 4 号 p. 267-270
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    高脂血症,特に高コレステロール血症ははすでにスタチンの登場によりかなり医療満足度の高い領域になった感がある.しかしながら,多くの大規模臨床試験の結果からLDL-コレステロールをより下げることが冠動脈疾患の予防に繋がること(the lower the better)から,高脂血症ガイドラインもより低く再設定された.スタチンだけでは目標のLDL-Cに到達できない患者も多く,さらなる併用可能なLDL-コレステロール低下剤が求められるようになって来た.また,トリグリセリドの低下剤やHDL-コレステロールの上昇薬のニーズもある.最近の薬剤の開発状況を見るとCETP阻害薬,MTP阻害薬,SQS阻害薬,HM74aアゴニスト,Lp-PLA2阻害薬など様々な新規ターゲットを狙った薬剤が開発されており,数年~10年後にはいろいろなタイプの薬剤がラインアップされ,単独のみならず多様な組み合わせの併用によりさらに医療満足度が上がることが予想される.
  • 寺井 崇二, 松本 俊彦, 坂井田 功
    2007 年 129 巻 4 号 p. 271-275
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は肝硬変症に進行する病態であり,その病態としてFree fatty acid(FFA),Tumor necrosis factor-α(TNF-α),レプチン,レジスチンの上昇とアディポネクチンの低下が報告されている.これらの変化は体重の減量によって可逆的で,NASHの改善につながることが知られているが,実際には生活習慣の改善が難しい症例が多く,NASHの病態から考えた薬物療法が必要とされている.薬物療法は4つの方向性が考えられる.(1)インスリン抵抗性の改善(インスリン抵抗性改善薬),(2)脂肪酸生合成の抑制と肝内に蓄積した脂肪酸の燃焼(高脂血症薬),(3)脂肪酸の代謝過程で生じた酸化ストレスからの保護(抗酸化剤や肝庇護剤)である.(4)さらに抗NASH作用を持つアディポネクチンのレセプターに対するアゴニストや抗TNF-α剤なども,今後,検討すべきだろう.また,肝線維化抑制の側面より,アンジオテンシンIIレセプター拮抗薬が,NASHにおける肝線維化抑制薬として作用する可能性が期待される.
創薬シリーズ(2)リード化合物の探索
  • 植木 智一
    2007 年 129 巻 4 号 p. 276-280
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    1990年代に欧米の製薬企業で相次いで導入された高速大量スクリーニング(HTS)は,標的分子に親和性を有する化合物の探索の重要な手段として利用されている.その規模は,現在百万化合物を超える化合物ライブラリーを対象にしたスクリーニングに達している.このようなスクリーニング規模に到達した要因として測定技術をはじめとする多くの分野での技術革新が挙げられる.また,HTSの技術利用は,従来の創薬研究の初期段階である「新薬候補化合物の探索」からリード化合物選定に重要な安全動態分野である肝代謝試験,変異原性試験等へ拡大しており,創薬研究の重要な基盤技術となっている.一方,このように応用範囲が拡大するにつれて,予想外な課題や問題点も浮き彫りになってきた.この重要な創薬基盤と位置づけられる高速大量スクリーニングの現状と今後の展望について紹介する.
  • 三井 郁雄
    2007 年 129 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    「HTSからリード化合物はでるのか?」の問いに対しては「Yes」である.そして,この「Yes」は単にリード化合物を獲得できるという意味ではなく,世界中の競争相手に勝つという意味が付加されなければならない.勝たなければリード化合物を獲得しても意味がない.HTSに関して日本の製薬企業と欧米の製薬企業を比較すると,規模的な面,すなわち標的数や化合物数などで日本企業は劣っている.従って,日本企業が競争に勝つためには,日本人が比較的得意とするチームスピリットの発揮,規模に依存しない考える力,すなわち個人の判断力を最大限に生かせる評価系構築力や結果評価能力などで優位性を確保する必要がある.勿論,これを実現することは容易ではないが,工夫することにより実現可能になると考えている.そして,世界との競争に勝つ確率を高めるためには日本企業間の協力など,新たな方策を考える必要があることも確かである.  HTSは世界中の製薬企業で実施されており,既に特殊な技術ではなく,広く使用されているリード化合物(注1)を見出すための一つのスクリーニング手法である.このHTSでは,日本の製薬企業(日本企業)と欧米の製薬企業(欧米企業)の間に,設備・マンパワーなどに大きな差が存在し,規模的な面で日本企業が劣っている.ここでは日本企業における「HTSからリード化合物はでるのか?」に限定して,私の考えを書かせて頂く. 注1)リード化合物 薬を宝石とすれば,リード化合物は宝石の原石のようなものであり,日本製薬工業協会(http://www.jpma.or.jp/)ではリード化合物を「薬理活性のプロファイルが明らかであり,これを化学的に修飾することで活性の向上,毒性の減弱が期待できる新規化合物」と説明している.
新薬紹介総説
  • 天野 学, 後藤 新
    2007 年 129 巻 4 号 p. 287-297
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    エンテカビル(ETV)はグアノシンのヌクレオシド類縁体であり,経口投与で有効な抗ウイルス薬である.本薬はB型肝炎ウイルス(HBV)に選択的な阻害作用を示し,他のウイルスに対する阻害作用は弱い.ETVは細胞内のキナーゼによってリン酸化され,活性体であるETV三リン酸(ETV-TP)となる.ETV-TPは天然基質のデオキシグアノシン三リン酸と競合し,HBV DNAポリメラーゼが有する3つの機能活性全てを阻害すると共にウイルスDNAに取り込まれてその伸長を停止させHBV複製を阻害する.HepG2.2.15細胞を用いたin vitro試験における本薬のHBV複製阻害のEC50値は0.00375 μMであり,ラミブジン(LVD)のEC50値0.116 μMに比し約30倍強い活性を示した.一方,本薬の細胞性DNAポリメラーゼα,β,γ,δ,εに対する阻害作用は弱いかまたは阻害作用を示さず,肝細胞に対する毒性の指標であるCC50値はEC50値の約8,000倍高かった.本薬とLVDとの間には弱い交差耐性が認められたが,本薬はLVD耐性ウイルスに対しても臨床曝露量で有効性を示した.ウッドチャックおよびアヒルのB型慢性肝炎モデルにおいて,ETVは0.5または1 mg/kgの1日1回投与によりいずれのモデルのウイルスDNA量も検出限界未満まで低下させた.国内臨床試験において,本薬0.5または1 mgの1日1回52週間投与によりヌクレオシド未治療患者およびLVD不応患者における本薬の有効性と安全性が確認された.また海外臨床試験において,LVD耐性HBVを有さないヌクレオシド未治療患者に本薬0.5 mgを1日1回96週間投与しても耐性の発現はみられなかった.以上の成績より,ETVは強力な抗HBV活性と良好な安全性を有し,また耐性発現が低いことからB型慢性肝炎の治療に新たな選択肢を提供する抗ウイルス薬と考えられた.
  • 国原 峯男, 佐瀬 真一, 荒川 明雄
    2007 年 129 巻 4 号 p. 299-307
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    ガバペンチンは,1973年にワーナー・ランバート社(現ファイザー社)のドイツ研究所で合成されたGABA(γ-アミノ酪酸)誘導体である.当初の予想に反し,GABAおよびベンゾジアゼピン受容体への親和性を示さず,その他多くの受容体(グルタミン酸,NMDA,AMPA,カイニン酸,グリシン受容体など)にも作用せず,長く作用機序が不明のままであった.ガバペンチンは,ラット欠神発作モデルおよびヒヒ光過敏性ミオクローヌスモデルでは無効であったが,マウスのペンチレンテトラゾール誘発閾値間代性けいれんモデルをはじめとして他のてんかん動物モデルに有効であった.近年ガバペンチン結合タンパクは電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットと同定され,ガバペンチンは興奮性神経の前シナプスのカルシウム流入を抑制し,神経伝達物質の放出を部分的に抑制した.また,ガバペンチンはGABA神経において脳内GABA量を増加させ,GABAトランスポーターの細胞質から膜への細胞内輸送を促進し,GABA神経系を亢進させた.これらの知見から,ガバペンチンはグルタミン酸神経などの興奮性神経を抑制し,GABA神経系を亢進することにより,抗けいれん作用を発現するものと考えられる.国内臨床試験では,既存の抗てんかん薬治療で十分に抑制できない部分発作を有するてんかん患者を対象としてプラセボ対照二重盲検試験を実施し,他の抗てんかん薬との併用療法における有効性および安全性が確認された.ガバペンチンは,体内で代謝されず,ほぼ全てが未変化体のまま尿中に排泄された.また,血漿タンパク結合率は3%未満であり,臨床用量では薬物代謝酵素の阻害あるいは誘導を起こさないため,抗てんかん薬治療でしばしば問題となる薬物動態上の薬物相互作用のリスクが低いと考えられた.以上の特徴から,ガバペンチンは,部分発作を呈する難治てんかんに対する有用な併用治療薬であると考えられる.
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