日本薬理学雑誌
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78 巻 , 2 号
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  • 岡部 進, 川上 雅之
    1981 年 78 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    新しいhistamine H2-受容体拮抗薬ranitidineのラットの胃液分泌に対する効力を検討し, cimetidineと比較した.実験方法は急性fistulaラット(雄性Donryu系, 200~220g)に, histamine•2HCl (8mg/kg/hr), pentagastrin (125μg/kg/hr) およびcarbachol (128μg/kg/hr) を尾静脈より連続注入し,胃液を採取する.胃液量,酸およびペプシン排出量を算出した. ranitidineおよびcimetidineは刺激薬の投与開始30分後に静脈内に1回投与し,以後1時間毎に胃液を採取し効力を検討した. 1) ranitidine (1および10mg/kg) およびcimetidine (10および60mg/kg) はhistamine刺激分泌(胃液量,酸およびペプシン排出量) を約1~4時間有意に抑制した. 2) ranitidine (10mg/kg)およびcimetidine (60mg/kg) はpentagastrin刺激分泌も約2~3時間有意に抑制した. 3) ranitidine (10mg/kg) およびcimetidine (10および60mg/kg) はcarbachol刺激胃酸排出量を強力に抑制した.しかし, cimetidine (10および60mg/kg) はcarbachol刺激胃液量およびペプシン排出量の亢進を示した.以上の結果より,ラットにおいてはranitidineはhistamineおよびpentagastrin刺激胃液分泌の抑制に関してはcimetidineより約6倍強いが, carbachol刺激胃液分泌に対してはcimetidineとほぼ同等または若干強力であることが判明した.
  • 永富 光, 光広 茂夫, 荻田 忠厚, 水島 裕
    1981 年 78 巻 2 号 p. 63-70
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    新しく開発された変形性関節症治療剤, Artroglobina (AG) より精製した特異抗体を用いて種々の軟骨組織に対する組織結合活性を検討した.ブタ肝臓および筋肉ホモジネートで吸収処理した精製物異抗体はブタ心臓組織に対して結合性を示さないが,ブタ軟骨組織に対して有意の結合活性を示した.同じく,精製特異抗体はラットおよびニワトリの軟骨組織に対しても有意の結合性を示した.さらに,ヒト軟骨組織に対して同様の結合性反応を認めた.しかし予め,ブタあるいはヒト軟骨組織で吸収処理を行なうと,ヒト軟骨組織に対する結合活性は完全に消失した.この様に, in vitroの組織結合性試験では,精製特異抗体は動物の軟骨組織ばかりでなくヒト軟骨組織に対して有意な結合性を示すことが明らかにされた.従って,臨床面におけるAG坐剤投与による変形性関節症患者の治療では,軟骨組織に対する同様の組織結合反応が予想される.
  • 成川 秀隆, 大山 礼子, 針谷 祥一
    1981 年 78 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    抗コリン薬timepidium bromide (TB) は強塩基性の四級アンモニウム塩であり,胃粘膜から吸収されないと考えられる.そこで, TBの胃粘膜への作用と血行を介した作用を調べる目的で,幽門結紮ラットまたは胃内灌流ラットを用い, TB胃内投与および皮下,十二指腸内投与実験を行い, pepsinおよび胃酸分泌に対する作用を検討した. 1) 幽門結紮ラットにおいて, TB 100mg/kg胃内投与で,弱い胃液分泌量の減少および顕著な遊離塩酸濃度, pepsin濃度の減少が認められた. 2) 同用量のTB十二指腸内投与では,胃液分泌量,胃酸分泌は強く抑制されたが, pepsin濃度に対する影響は認められなかった. 3) TB 10mg/kg皮下投与では,胃液分泌量,遊離塩酸濃度は強く抑えられたが, pepsin濃度は対照に比し増大する傾向にあった. 4) atropine, hyoscine-N-butylbromide, oxethazaine (Ox) 胃内投与では, Oxにのみpepsin濃度の低下が認められた. 5) 胃内灌流ラットを用いた場含, bethanechol刺激による胃酸およびpepsin分泌亢進は, TB 3ないし10mg/kgの胃内投与で抑制された.しかし, TB 10mg/kgを十二指腸内投与した際には,影響は認められなかった. 6) TB 250μg/ml含有溶液により曽内灌流を行うと, bethanechol刺激による胃酸およびpepsin分泌亢進は抑制された. 7) in vitroにおいて, TBはpepsin活性に対し阻害作用を示さなかった.以上の結果から,TBは胃粘膜に直接作用して,胃酸およびpepsin分泌を抑制する作用を有するものと考えられる.
  • 鈴木 勉, 河合 貞子, 上杉 二郎, 吉井 利郎, 柳浦 才三
    1981 年 78 巻 2 号 p. 79-90
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    ラットはmorphine (M) 混入飼料と普通飼料の選択試行およびM混入飼料のみの強制試行を繰り返すことによりM混入飼料に対する顕著な選択摂取行動を示す.この選択摂取行動の強度を量的に評価することが本研究の目的である.実験には長さ150cmの単走路を用い,この単走路内に2つの容器を設置し,スタート地点からみて手前に普通飼料,遠方にM混入飼料を置き,訓練試行および試験試行を行った.試験試行時にラットがM混入飼料 (1mg/g food) を摂取するためには,重りを牽引しなければならないという条件下で, M混入飼料を摂取するためにラットが最大限どこまで重量を牽引するかを測定した.ラットの摂取時間はすべて9:00から17:00までの8時間に制限した.選択試行1日と強制試行2日から成る1セッションの実験を7回繰り返した後,ラットはM混入飼料に対して顕著な選択摂取行動を示した.すなわち,総摂餌量に対するM混入飼料の摂餌率は約60%であった.このようにしてM混入飼料に対する選好性を示したラットを用い単走路内で訓練試行と試験試行を行った.試験試行において,ラットは最大50g/100g body weightの負荷重量を牽引してM混入飼料を摂取した.他方,対照群では20g/100g body weightの重量を牽引することはほとんどなかった.さらに,依存強度と牽引重量の関係を検討するため, M-L群は0.5 vs 1mg/g foodを1週間次いで1mg/g foodを1週間処置し, M-H群では0.5 vs 1mg/g foodを1週間, 1 vs 2mg/g foodを2週間,さらに2mg/g foodを1週間処置し,その後訓練試行と試験試行を行った.試験試行時に, M-L群のラットでは最大40g/100g body weightを, M-H群では最大80g/100g body weightを牽引した.これらの結果より,ラットが重りを牽引してM混入飼料を摂取するという行動は薬物混入飼料に対する摂取欲求を表わしていること,また,逆にラットの牽引重量からmorphineに対する欲求を推測する事ができるといえる.
  • 中山 貞男, 坂下 光明, 西村 忠典, 坂本 浩二
    1981 年 78 巻 2 号 p. 91-107
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    ラットの実験的高脂血症について, 0.5, 1.0, 2.0%のcholesterolを添加した高cholesterol飼料 (HCD) でラットを飼育し,血清,肝,動脈の脂質分画を測定し検索した.血清のtotal lipid (TL), total cholesterol (TC) は1.0% HCDにおいて最も増加が著しく,飼育18~21日後に最高値を示した. 0.5%と2.0% HCDではほぼ同程度の増加を示したが, 0.5% HCDでは最高値に達した後の低下が急速であり, 2.0% HCDではやや緩徐であった. 0.5%と1.0% HCDにおいて測定した血清のfree cholesterol (FC) は0.5%HCDでは飼育12日後, 1.0% HCDでは21日後に増加が最大となったが,その後の低下はTL, TCの場合に比して軽度であった. phospholipid (PL) は0.5%, 1.0% HCD共に飼育12日後に最高値を示し, 1.0% HCDでは42日後まで低下を認めなかった. triglyceride (TG) は飼育前半に増加,後半に低下を示したが0.5%と1.0% HCDの間に差はなかった. high density lipoprotein中のcholesterol (HDL-C) はHCD飼育で減少し, 2.0% HCDでは4週後から対照値へ回復する傾向を示したが, 0.5%と1.0% HCDでは減少のみを認めた. 0.5%と1.0% HCDにおけるHDL-phospholipid (HDL-PL) の変化はHDL-Cと同様であった.肝脂質はHCD飼育によってTL, TCの著明な増加とPLの減少を認め, TGは増加の後低下するという血清TGと同様の変化を示した.動脈脂質はHCD飼育によってTL, TCの減少を認めた. HCD飼育による高脂血症は, 1.0% HCDにおいて血清TLが対照の6.7倍, TCが18.5倍, FCが33.1倍と最も増加が著しく, HDL-C, HDL-PLの減少も著明かつ持続的であった.実験的高脂血症モデルとしては1.0% HCDを用いることが最適であり,比較的短期間の投与による薬物の作用検索には0.5% HCDが適当と思われる.持続的なHDLの減少は薬物の脂質代謝作用の実験において新しい情報を提供するものと推察きれる.
  • 永富 光, 光広 茂夫, 荻田 忠厚, 水島 裕
    1981 年 78 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    軟骨および上皮小体で免疫きれたウマ抗血清のβおよびγ-グロブリン分画により製剤化されたartroglobina (AG) を用いてラットおよびモルモット直腸内からの吸収および特異抗体産生反応について検討した.また, Phase I Studyの被検者血清について一部免疫学的検査を行なった. 1) ラット直腸内に125I標識AGを坐剤として投与すると,血中濃度は2時間後に最高値に達し,血清中の放射活性は投与量の3.1%を示した.また, 0.3%が抗Fab抗体に反応した. 2) 臨床用量の約40倍に相当するAG坐剤20mg/kgをラット直腸内に1日1回, 14日間設与すると,休薬後に行なったゲル内沈降反応およびPCA試験の陽性反応を認めた.この結果, IgG抗体をはじめとする沈降抗体の産生とレアギン型のIgE抗体産生が確認された. 3) AG坐剤をモルモットに直腸内投与して感作の成立を調べるため,惹起試験を同じ直腸内投与で行なってもアナフィラキシー特有の反応は認められなかった.しかし,静脈投与を行なうとアナフィラキシー症状が観察され,直腸内投与による感作の成立が確められた. 4) AG坐剤25mgを2クール(1クール:1日1回,12日間投与および12日間休薬)投与された被験者血清の特異抗体産生, immune complexおよび補体価を経時的に調べると,臨床用量では特異抗体の産生はみられず,その他の検査項目にも影響を認めなかった.以上の結果,臨床用量での使用上の問題点は観察されなかったものの,投与量を上げると動物実験でみられるような免疫学的変化を伴なうので,臨床使用での慎重な取扱いが必要と考えられる.
  • 西広 吉, 石橋 昭, 堀井 大治郎
    1981 年 78 巻 2 号 p. 117-126
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    suloctidil (MY 103), cinnarizineならびにpapaverineの脳循環に及ぼす作用をgallamine不動化イヌを用いMichenfelderらのvenous outflow methodによって比較検討した.その結果, 1) MY 103, papaverine 0.1~1.0mg/kgならびにcinnarizine 0.3, 1.0mg/kgを静脈内に投与するといずれの薬物も,用量依存性に上矢状洞静脈血流出量を増加させた.その作用強度はMY 103≥papaverine>cinnarizineの順であった. 2) これら三薬物による洞静脈血流出量の増加時には脳血管抵抗はいずれの用量によっても有意に低下した. 3) 平均動脈圧の下降度はpapaverine>MY 103>cinnarizineの順に強かった. 4) 洞静脈血流出量の増加時の動脈血液のpHならびに血液ガス組成はMY 103, papaverine各1mg/kgの静脈内投与により有意な影響を受けなかった. 5) MY 103ならびにpapaverineは脳静脈血液中の炭酸ガス分圧の下降と,酸素分圧の上昇を来す傾向がみられた. 6) 脳静脈血液中の酸素飽和度はMY 103によって平均12.3%の有意な増加を来し, papaverineでも11.2%増加しだ. 7) MY 103ならびにpapaverine共に脳酸素代謝率には有意な影響を及ぼさなかった.以上の結果からMY 103は血液ガス組成には著明な変化を及ぼすことなく脳血流量を増加させ,その程度はpapaverineおよびcinnarizineよりも強いと結論される.
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