日本薬理学雑誌
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86 巻, 4 号
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  • 南 勝, 富樫 広子, 吉岡 充弘
    1985 年 86 巻 4 号 p. 241-255
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    Imidazoline derivatives, clonidine and guanfacine, were reviewed with respect to their effect on blood pressure. Excitation of the central alpha-adrenoceptors induced by clonidine or guanfacine produced a simultaneous decrease in peripheral sympathetic tone, hypotension and bradycardia. Both ponto-medullary regions and the hypothalamus are important action sites for these two drugs. With respect to the effects of clonidine or guanfacine on central alpha-adrenoceptors, two possibilities were investigated. First, we presumed that the excitation of central alpha-adrenoceptors induced by these two drugs appears to be located at postsynaptic sites. Thus, the alpha2-subtype was considered. Secondarily, stimulation of the central presynaptic alpha2 receptor produced by clonidine or guanfacine could not be excluded completely. It has been reported that after abrupt cessation of guanfacine, a withdrawal syndrome infrequently occurs which is moderate as compared with that caused by the abrupt cessation of clonidine. In comparison with clonidine, the characteristics of guanfacine pharmacokinetics, including its large volume of distribution, long biological half life and long duration of action, appear to be associated with the infrequent occurrence of withdrawal syndrome after guanfacine cessation.
  • 秋田 晶平, 佐藤 公道, 高木 博司
    1985 年 86 巻 4 号 p. 257-260
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    pirprofenの鎮痛作用についてラットならびにウサギでのbradykinin(BK)誘発後肢屈曲反射法を用いてindomethacin,ibuprofenの作用と比較検討した.pirprofenは10 mg/kg~200 mg/kgの経口投与時ラットでのBK誘発後肢屈曲反射を抑制しその作用は30 mg/kg以上でほぼ平衡に達し200 mg/kgでは56%の抑制率を示した.同様の傾向はibuprofen 30mg/kg~300 mg/kgの経口投与時にも認められた.一方,indomethacinは1 mg/kg~10 mg/kgで用量依存性の後肢屈曲反射抑制作用を示し10 mg/kgの経口投与時83%の抑制率であった.ラットでのBK誘発後肢屈曲反射に対するpirprofen,indomethacin,ibuprofenのED50値はそれぞれ68 mg/kg,3.3 mg/kg,94 mg/kgであった.一方,ウサギでのBK誘発後肢屈曲反射に対してpirprofenは10 mg/kgの経口投与で約半数に抑制作用を認めindomethacin 10 mg/kg,ibuprofen 10 mg/kgでもほぼ同等の作用であった.以上,BK誘発後肢屈曲反射に対しラットとウサギでは3種の薬物について種差が認められた.
  • 竹内 正吉, 矢ケ崎 修
    1985 年 86 巻 4 号 p. 261-268
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    コリン作働性神経支配を受けている腸以外の組織におけるprostaglandins(PGs)の神経活動に対する作用を検討する目的で,モルモット横隔神経筋標本とヒナ食道副交感神経筋標本を用い,電気刺激による収縮反応とacetylcholine(ACh)放出に対するindomethacin(IND)とPGE2の効果を調ぺた,モルモット横隔神経筋標本において,IND(56 μM)は筋直接および神経刺激による筋収縮に影響を示さなかった,PGE2は,1 μg/mlの濃度でsubmaximalな強さの直接および間接刺激で生じた収縮を増強したが,supramaximalな強さの刺激による収縮には効果を示さなかった.横隔神経刺激時のACh放出に対して,IND(56 μM)は影響を与えなかったが,PGE2(10 ng~1 μg/ml)は高頻度(50 Hz)刺激時の放出を用量依存性に抑制した.また,低頻度(1 Hz)刺激時のACh放出を高濃度のPGE2は抑制する傾向があった.一方,IND,PGE2共にhigh-K+刺激時のACh放出には影響しなかった.ヒナ食道副交感神経筋標本では,IND(2.8~5.6 μM)は4例中2例において,0.017 Hzの神経刺激による筋収縮を増強した.この増強はPGE2 10 ng/mlにより回復した.しかし,1または10 Hz,5秒間の連続刺激で生じた収縮には影響しなかった.PGE2(10 ng/ml)では神経電気刺激による筋収縮は,一過性に抑制された.10 Hz刺激時のACh放出に対して,IND(2.8 μM)は有意な増加を生じた.この増加はPGE2 10 ng/mlにより拮抗された.PGE2(10 ng/ml)単独では,1または10Hz刺激時のAch放出は有意に抑制された.以上の結果より,PGはprejunctionalな作用(神経)とpostjunctionalな作用(筋)を有し,モルモット横隔神経筋とヒナ食道副交感神経筋両組織においては,PGE2は神経刺激時のACh放出に対して抑制的に作用しつつ,一方筋に直接作用し,その収縮を増すものと思われる.また,INDを用いた実験結果より,内因性PGsは運動神経終末より,自律神経終末の神経活動に対して,生理的重要性が高いように思われる.
  • 森下 信一, 齋藤 隆, 三島 泰宏, 水谷 睦, 平井 康晴, 川上 萬里
    1985 年 86 巻 4 号 p. 269-292
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    動物性強心ステロイドのcinobufagin(CB)と植物性強心ステロイドのdigitoxin(DT)の一般薬理作用を比較した.CBあるいはDTにより自発運動の低下,酢酸ライジングの抑制,睡眠延長,筋弛緩,体温降下,下熱,呼吸興奮,局所刺激,強心などの作用が共通して認められた.CB投与によってのみ認められた作用は赤血球膜安定化,小腸輸送能抑制作用であった.DT投与によってのみ認められた作用は瞳孔の散大,神経筋接合部伝達の促進,胃液分泌の抑制,抗炎症,利尿作用であった.これらの作用の発現はCBでは速く経口投与後30分から1時間で発現するのに対しDTでは遅く経口投与後3から4時間で発現した.また摘出臓器に対する作用として,CBとDTは1×10-6Mでモルモット摘出回腸を収縮,それに続く弛緩,自動運動の停止を起こさせ,摘出気管を弛緩,摘出動脈片を収縮させた.また,ラットの発情問期の摘出子宮の収縮を両薬物は1×10-4Mで軽度に増強させた.摘出輸精管,胃条片に対する両薬物の単独作用は認められなかったが,CBは両臓器の薬物による収縮に影響を与えた.
  • 大村 一平, 牧 栄二, 成瀬 友裕, 陳 清松, 池田 宜司, 浅見 照美
    1985 年 86 巻 4 号 p. 293-302
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるMK-421およびcaptoprilの単回並びに3週間連続経口投与による降圧作用を,正常血圧ラットおよび実験的高血圧症ラットにおいて検討した.単回経口投与試験:ラットの平均大動脈血圧を無麻酔無拘束の状態で薬物投与後24時間測定した.MK-421 3 mg/kgおよびcaptopril 10 mg/kgの経口投与により,2K-RHRの平均大動脈血圧は著しく下降し,その作用は投与24時間後まで持続した.両ACE阻害薬は1K-RHRにおいても降圧作用を示したが,その効果発現用量は2K-RHRにおける用量よりも大量を要し,MK-421 10 mg/kgおよびcaptopril 30 mg/kgの投与により軽度の降圧作用を示した.一方,DOCA/salt型高血圧ラットおよび正常血圧ラットにおいて,両AGE阻害薬は降圧作用を示さなかった.連続投与試験:ACE阻害薬を1日1回3週間連続投与し,ラットの収縮期血圧をtai1-cuff法により週2回薬物投与4時間後に測定した.2K-RHRにおいて,MK-421 3 mg/kgは投与初日より顕著な降圧作用を示し,その作用は投与期間中安定であった.一方,captopril 10 mg/kgも投与開始初期はMK-421と同様の降圧作用を示したが,その作用は投与継続と共に減弱する傾向であった.両AGE阻害薬はこれらの用量でSHRにおいても安定した降圧作用を示したが,その効果は2K-RHRにおける効果よりも軽度であった.正常血圧ラットではMK-421 10 mg/kgおよびcaptopril 30 mg/kgの投与により1週目より弱い降圧作用が認められた.なお,ACE阻害薬の単回あるいは連続投与による心拍数の有意な変動はいずれのモデル動物においても認められなかった.以上の成績の如く,両ACE阻害薬は高血圧維持にレニン関与の高い2K-RHRモデルで最も顕著な降圧作用を示すが,レニンの関与が少ないSHRあるいは1K-RHRにおいても降圧作用を示すと結論される.MK-421は用量比較においてcaptoprilの約3倍の降圧活性を示す.
  • 大村 一平, 牧 栄二, 成瀬 友裕, 池田 宜司, 浅見 照美, 佐川 直敏
    1985 年 86 巻 4 号 p. 303-313
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    2腎型腎性高血圧ラット(2K-RHR)におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるMK-421およびcaptoprilの単回および連続経口投与による血圧下降作用とレニン・アンジナテンシン系に対する作用との関係を知るために,血漿および組織中のACE活性に対する抑制効果ならびに血漿レニン活性(PRA)に対する効果を調べた.MK-421(1および3 mg/kg)およびcaptopril(3および10 mg/kg)は単回投与により,2K-RHRの血圧を用量依存的に著しく抑制した.腎および大動脈のACE活性に対する抑制効果の時間的推移は降圧効果と相関したが,血漿ACEに対する抑制効果は減衰が速く,降圧効果と相関しなかった.比較に用いた正常血圧ラットにおいて,両ACE阻害薬のこれら高用量の単回投与は降圧作用を示さなかったが大動脈,腎および血漿の各ACE活性を有意に抑制したが,2K-RHRにおける抑制効果に比べ軽度であった.MK-421(3 mg/kg/day)およびcaptopril(10 mg/kg/day)は3週間の連続経口投与期間中,著明な安定した降圧効果を示し,最終投与後の腎および大動脈のACE活性は強く抑制されたが,肺のACE活性は変化しなかった.一方,血漿ACE活性は単回投与の成績とは異なり,著明に上昇したが,血中angiotensin IIは有意に抑制された.2K-RHRのPRA値は正常血圧ラットのPRA値の約10倍の高値を示した.両薬物の単回および連続投与初期に2K-RHRのPRAは著明に上昇した.以上の成績より,2K-RHRにおける両ACE阻害薬の血圧下降作用には,血漿ACE活性に対する抑制効果も当然関与しているが,血管あるいは腎などの局所組織部位におけるACE活性に対する抑制作用が強く関与していると示唆される.
  • 前負荷および後負荷に対する作用
    古城 健太郎, 斎藤 輝男
    1985 年 86 巻 4 号 p. 315-321
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ペントパルビタール麻酔開胸大を用いて,isosorbide 5-mononitrate(5-ISMN)の心機能ならびに血行動態に及ぼす影響を検討するとともに,これを塩酸ベラパミルおよび塩酸プロプラノロールと比較検討した.5-ISMN(3 mg/kg)の静脈内投与により,収縮期血圧(SBP)は有意に低下し,また心臓の一回拍出量(SV),分時拍出量(CO),心仕事量(CW)および右心室圧(SRVP)は有意に減少した.平均肺動脈圧(MPAP),平均肺動脈楔入圧(MPCWP)および平均右心房圧(MRAP)は90分以上持続する有意な減少を示した.心拍数(HR)は一定の傾向を示さず,また全末梢血管抵抗(TPR)も減少する傾向を示したが,有意な変化ではなかった.一方,塩酸ベラパミル(0.3 mg/kg)の静脈内投与により,全身血圧とくに拡張期血圧(DBP)は著明に低下した.HR,TPRおよびCWは著明に減少し,SRVPおよびMPCWPは減少する傾向を示した.SVは著明に増加し,MPAPおよびMRAPも増加する傾向を示した.また塩酸プロプラノロール(0.5 mg/kg)の静脈内投与により,SBPはわずかに低下した.HR,SRVP,CO,CWおよびMPAPは有意に減少し,MPCWPも減少する傾向を示した.SVは著明に増加し,TPRもわずかに上昇する傾向を示した.以上のことから5-ISMNは主に前負荷を減少し,これに加えて後負荷減少作用も心筋酸素消費の軽減に有利にはたらくものと思われる.一方,塩酸ベラパミルは後負荷の減少および心抑制が,また塩酸プロプラノロールは主に心抑制が,それぞれ心筋酸素消費の軽減に関与しているものと推察される.
  • (第2報)抗アノキシア作用
    泉 律好, 安田 寛
    1985 年 86 巻 4 号 p. 323-328
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    sufoxazineの抗アノキシア作用をマウスを用いた種々の実験モデルで,既存の脳循環代謝改善薬と比較検討した.非致死量のKCN(1.8 mg/kg)静脈内投与による昏睡に対して,sufoxazineは5 mg/kg, i.p. から用量に依存して有意に昏睡時間を短縮させた.又,致死量のKCN(2.5 mg/kg)投与による死亡率を低下させ,30 mg/kgではKCNの致死作用を完全に防止した.低圧(210 mmHg)および常圧(96% N2, 4% O2)の低酸素負荷条件のマウスに対しても,sufoxazineは生存時間の延長作用を示した.一方,対照薬として用いたdihydroergotoxinとifenprodilはKCN誘発昏睡モデルで効果が認められたが,低酸素負荷モデルでは生存時間を有意に短縮させた.calcium hopantenateは300 mg/kgの高用量でKCN誘発致死の抑制作用と生存時間の延長作用を示した.これらの成績から,sufoxazineは対照として用いた脳循環代謝改善薬に比べ,優れた抗アノキシア作用を有することが示唆された.
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