Trapymin(TM)10
-5~10
-4Mは摘出したウサギ腎,肺,大腿部および腸間膜動脈およびブタ冠動脈を弛緩した.この冠動脈弛緩作用はpropranololによって抑制されなかった。TM静注および経口投与により冠血流量は増加した.静注時の用量反応直線の傾きはpapaverineおよびnitroglycerinに近似し,dipyridamolおよびadenosineよりも大であった.TM10
-5~10
-4Mは摘出ラット心房の収縮増大および心拍数増加をおこした.TM30mg/kg/dayを10日間連続経口投与により,TMの冠血流量増加作用は僅かに低下する傾向を示した.TMは冠動脈電気凝固によるウサギ心筋梗塞およびvasopressin誘発ラット狭心症にも有効であった.一方,ラットのCaCl
2誘発不整脈には無効であったが,adrenaline静注による不整脈にTMは拮抗した.TMによって心臓,脳,副腎のnoradrenaline量は減少したが,肝および脳のmonoamine oxidaseおよび副腎のdopamine-β-hydroxylase活性には影響しなかった.TMはネコ交感神経節の節前節後を抑制した.TMによる血糖上昇,心および肝glycogen低下は,Propranololによって抑制されたが,血清遊離脂肪酸増加は影響されなかった.ウシ心筋Na
+-K
+ATPase活性,ラット心筋ミトコンドリアP/O比にはほとんど影響せず,大量でADPによる血小板凝集を抑制した.以上の結果は,TMの冠拡張がpapaverine様作用を主とし,これに節遮断抗catecholamine遊離などが加わり,さらに抗adrenaline作用と共にcatecholamine遊離およびβ受容体を介する強心作用を有することを示す.
抄録全体を表示