日本薬理学雑誌
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135 巻 , 2 号
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特集 心房細動の薬物・非薬物療法の現状と将来展望
  • 奥村 謙
    2010 年 135 巻 2 号 p. 52-54
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    心房細動(AF)の治療には洞調律維持を図る抗不整脈薬療法(リズム治療)と頻脈を抑制する治療(レート治療)がある.抗不整脈薬が奏功しない場合は非薬物治療(カテーテルアブレーション)が第二選択として考慮される.心原性脳梗塞のリスク例にはワルファリンによる抗凝固療法が適応となる.さらに高血圧,左室肥大,心不全などのAF発症の助長因子の治療も必要となる(アップストリーム治療).これらの現状と展望について概説する.
    (オンラインのみ掲載)
  • 中谷 晴昭
    2010 年 135 巻 2 号 p. 55-58
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    心房細動の薬物治療戦略にはリズムコントロールとレートコントロールがあるが,欧米でのいくつかの大規模臨床試験では,抗不整脈薬による洞調律維持が必ずしも予後改善につながらないことが示されている.それらの欧米臨床試験の結果を日本の心房細動治療指針に適用可能か否かを検討するために,J-RHYTHM試験が行われた.この試験によって,発作性心房細動に対してリズムコントロールを目的に適切な抗不整脈薬を使用すれば予後を悪化する事無く,QOLを維持することが出来ることが示された.しかしながら,持続性心房細動に対しては,欧米の臨床試験と同様にレートコントロールの方が望ましいことが示された.また,J-BAF試験では,持続性心房細動に対して有効な抗不整脈薬を用いてリズムコントロールが出来たとしても,その副作用発現には注意しなければならないことが明らかとなった.現在の心房細動の薬物療法には明らかに限界があり,副作用が無く有効性の高い心房細動治療薬の開発が望まれている.
  • 熊谷 浩一郎
    2010 年 135 巻 2 号 p. 59-61
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    心房ストレッチや炎症によりアンジオテンシンIIが上昇すると,Ca2+過負荷をきたし撃発活動を誘発し,肺静脈から群発興奮が発火する.この頻回興奮により不応期が短縮する(電気的リモデリング).一方,アンジオテンシンIIの上昇はErkカスケードを活性化し,線維化を促進する(構造的リモデリング).心筋の線維化は伝導障害を招き,リエントリーの素地ができると多数の興奮波が形成され心房細動はさらに持続すると考えられる.ACE阻害薬やARBは短期的な電気的リモデリングを抑制するだけでなく,線維化のような長期的な構造的リモデリングに対しても抑制効果があるため,心房細動慢性化予防のアップストリーム治療のひとつになりうることが期待される.
  • 山下 徹
    2010 年 135 巻 2 号 p. 62-65
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    心房細動は臨床的に最も遭遇の機会が多い不整脈とされ,心原性脳塞栓症発症の独立した危険因子である.そのほか患者への不利益も多く,積極的な治療と管理を必要とする疾患と理解されている.本疾患は,加齢に伴い指数関数的に有病率が増加する疾患であり,高齢化社会の到来に伴いますます患者数増加が見込まれる.現在,種々の抗不整脈薬が臨床で使用されているが,催不整脈や心機能低下を引き起こす薬剤が多く,臨床上の課題と認識されている.そのような状況の下,心房だけに特異的に発現する標的分子をターゲットにした新しいタイプの抗不整脈薬の研究開発が進められている.1つの期待されるターゲットは,心房の再分極相にかかわっている超高速活性化遅延整流K+電流(IKur)であり,もう1つの期待されるターゲットは,心房の再分極相および静止電位相の調節に重要な役割を果たしているアセチルコリン感受性K+電流(IKACh)である.各イオンチャネル電流をつかさどるチャネルタンパク質は,心臓において心房だけに発現しており,心室には発現していない.そして,それぞれのイオンチャネル電流が活性化された時,心房細動が発症すること,心房細動病態の維持にかかわる興奮波前面のリエントリーの不整脈基質が構築されることが明らかにされている.そのようなことから,IKurあるいはIKACh阻害作用を有する新しい化合物は,心房細動治療の進歩に大きく貢献すると考えられる.心房選択的な抗不整脈薬の出現は,ダウンストリームアプローチを抜本的に変革することになるであろう.
  • 高橋 淳
    2010 年 135 巻 2 号 p. 66-69
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    孤立性あるいは反復性の心房期外収縮が発作性心房細動発生のトリガーとなることが報告され,本心房期外収縮が心房細動の発生機序として重要であることが認識されている.本起源の多くは肺静脈内心筋に存在することから,肺静脈開口部周囲への焼灼により,肺静脈心筋と心房筋を電気的に離断し,心房細動の根治効果を発揮する肺静脈隔離アブレーションが考案され,発作性心房細動の非薬物治療として広く施行されるようになった.本法は当初,個々の肺静脈開口部を標的とした個別肺静脈隔離法が施行されていたが,近年,肺静脈開口部を広範に焼灼する拡大肺静脈隔離法のより高い有効性が報告されている.さらに拡大肺静脈隔離法を基礎に,心房細動基質へのアブレーション法の開発もなされ,発作性のみならず慢性心房細動も根治可能となってきている.一方,本アブレーションによる合併症およびその対策も報告されており,心房細動におけるカテーテルアブレーション治療の適応は広がりつつある.
総説
  • 佐神 文郎
    2010 年 135 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    2005年に改正された「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」に,動物実験における3R(Replacement,Reduction,Refinement)の国際原則が明文化され,翌年,改正動物愛護法の施行と同時に,文部科学省(文科省),厚生労働省(厚労省),農林水産省(農水省)の「動物実験に関する基本指針」や日本学術会議の「ガイドライン」が発出された.これまで,わが国において普及している,動物実験の各研究・試験機関による自主管理の内容の客観性を保証し,実効と信頼性を一段と強めるために,日本学術会議の提言(2004年)による,これらのガイドラインの実効を担保するための動物実験実施施設の第三者評価制度が検討され,スタートした.本稿では本制度設立への背景と経緯,そして(社)日本実験動物協会(日動協)による実験動物生産者事業者等を対象とした「第2期実験動物生産施設等福祉調査」,国立大学法人動物実験施設協議会(国動協)と公私立大学実験動物施設協議会(公私動協)による大学等を対象とした「動物実験に関する相互検証プログラム」および財団法人ヒューマンサイエンス振興財団(HS財団)による厚労省所管の研究所や企業を対象とした「動物実験実施施設外部評価・検証事業」の概要について紹介し,その背景と現状,そして今後の課題について考えた.
創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その4)排泄(3)
  • 前田 和哉
    2010 年 135 巻 2 号 p. 76-79
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    近年,ヒト肝臓において非常に多くのトランスポーターが同定・機能解析されるにつれて,トランスポーターの遺伝子多型や薬物間相互作用による機能変動が薬物動態に与える影響を明らかにするための臨床研究も続々と報告されてきている.それに伴い,異物解毒システムの中でのトランスポーターの重要性が広く認知されてきた.代謝によって消失すると考えられてきた薬物の中にも肝取り込みトランスポーターの基質が含まれていることが明らかとなり,取り込みトランスポーターの機能変動が薬物動態の変化につながる事例が複数報告されてきている.本稿では,ヒト肝臓に発現する主な薬物トランスポーターを紹介すると共に,これらの遺伝子多型・薬物間相互作用が薬物動態や薬効・副作用に与える影響について概説することを目指した.
創薬シリーズ(4)化合物を医薬品にするために必要な薬物動態試験(その5)その他(1)(2)
  • 塚田 秀夫
    2010 年 135 巻 2 号 p. 80-83
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    PET(Positron Emission Tomography: 陽電子断層画像装置)は,生体内分子ターゲットを特異的に認識するポジトロン標識化合物の生体内動態・分布を非侵襲的に体外から計測する事で,生体内機能を画像化・定量化できる分子イメージング法として,実験動物を対象にした基礎研究からヒト患者を対象にした臨床研究まで,幅広く応用されてきた.例えば,がん細胞に高い集積を示すグルコースの類縁物質である[18F]FDGを用いた「がん検診」に活用されている.創薬研究の分野では,膨大な開発期間と費用を要する医薬品開発の効率化のため,これらのPETの優れた特性を利用しようという試みが,既に欧米では1990年代初頭から始まっており,この数年ようやく国内にも広がってきた.本稿では,中枢作動薬開発における疾患モデル動物を対象にした,前臨床段階におけるPET研究の有効性と課題について概説する.
  • 中川 俊人
    2010 年 135 巻 2 号 p. 84-86
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/02/14
    ジャーナル フリー
    ヒトにおける薬物動態予測は医薬品開発にとって非常に重要である.種々の予測法がある中,in vitro試験からの予測法は,動物種差を考慮せず,理論に基づく予測が可能であるため,様々な手法について,近年盛んに研究・報告されている.特に肝ミクロゾームや肝細胞などをもちいた代謝クリアランスの予測や薬物間相互作用の予測は,近年の低分子医薬品開発にとって非常に影響が大きい.それらを中心に,種々のin vitro試験からのヒト体内動態予測法について概説する.
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