日本薬理学雑誌
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71 巻, 8 号
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  • 村山 好道, 渡辺 悟
    1975 年 71 巻 8 号 p. 753-755
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
  • 田村 秀明, 白沢 義障, 堀 平二, 近藤 章市
    1975 年 71 巻 8 号 p. 757-768
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    作用持続が長く,かつ選択的な冠血流増加作用をもつ虚血性心疾患治療薬dilazepの各種摘出平滑筋に対する作用を検討し,次の結果を得た.1)各種摘出平滑筋に対して10-5~3×10-4Mの濃度で弛緩作用,また,各種agonistによる収縮に対して3×10-6~10-5M以上の濃度で非競合的拮抗作用(PD'2:4.40~5.05)を示した.2)モルモット結腸紐のK拘縮に対して,adrenaline,adenosineとは異なり,K拘縮後も弛緩作用を示し,特にK拘縮のtonic componentを特異的に抑制し,papaverineの作用と類似した,3)モルモット結腸紐において3×10-6M以上の濃度でCa++拮抗作用を発現し,その作用はdipyridamole,Na-層NO2,aminophyllineより強く,papaverine,hexobendineと同程度であった.4)Adenosineおよびadenine nucleotideによるモルモット結腸紐の弛緩作用を10-8M以上の濃度で増強し,その作用はdipyridamolよりも強かった.以上の結果,摘出平滑筋で認められたdilazepのadenosineおよびadenine nucleotide増強作用とCa++拮抗作用は,その冠血流増加作用の発現に重要な役割を演じていると考えられ,それらの作用発現濃度からすると,adenosineおよびadeninenucleotide増強作用の方が冠血流増加作用に関与し,さらに,濃度を増すとCa++拮抗作用も関与してくると推察される.
  • 桜田 忍, 東海林 徹, 木皿 憲佐
    1975 年 71 巻 8 号 p. 769-777
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1)Tyramine(Ty)160μgをマウスの脳内に投与し,30分後に脳内のnoradrenaline,doPamineおよびserotonin含量を測定したところ,noradrenalineおよびserotonin含量は減少し,dopamine含量は増加することが認められた.2)Isocarboxazide(Iso)前処理下におけるTyのマウス脳内投与(lso-Ty)によって,光束法における自発運動量は著しく増加を示したが,回転篭法では自発運動量の減少を示した.3)Parachlorophenylalanine(P-CPA)400mg/kg i.P.2日間投与後Iso-Ty40μg,80μgおよび160μg脳内投与によって光束法における自発運動量は増加を示した.回転篭法においてはTy投与後30分までは回転活動量の減少を認めたが,30分後から90分までは増加を認めた.4)α-methyl-p-tyrosine(α-MPT)125mg/kg i.p.2回投与後Iso-Ty40μg,80μgおよび160μg脳内投与すると光束法における自発運動量はα-MPT無処理群と比較して著しく自発運動量の減少を示したが,α-MPT処理下のIso-saline投与群よりは自発運動量の増加が認められた.回転篭法においては,α-MPT処理下のIso-TyとIso-saline脳内投与群との間の回転活動量の有意な差は認められなかった.5)p-CPAおよびα-MPT両薬物の前処理下におけるIso-Tyの脳内投与によっては光束法および回転篭法による自発運動量の増加は認められず,saline投与の対照群とほぼ同程度の自発運動量であった.6)Iso-Ty投与によってひきおこされる光束法による自発運動量の増加はhaloperidol前処理によって抑えられ,haloperidolのED50値は0.3mg/kgであった.7)これらの実験結果から,Iso前処理下のTyの脳内投与によってひきおこされる光束法による自発運動量の増加には脳内のcatecholamineとserotoninが関与し,回転篭法における回転活動量の減少にはserotoninが関与しているものと推測される.
  • 桜田 忍
    1975 年 71 巻 8 号 p. 779-787
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Isocarboxazide(lso)処理下tyramine(Ty)のマウスくびふり運動について検討を加え次の成績が得られた.1)Iso処理下,β-phenylethylamine誘導体のうち,p-hydroxyamphetamine,(p-OHamphetamine)Tyによってマウスにくびふり運動が認められた.またp-OHamphetamilleは単独脳内投与によってもくびふり運動をひきおこした.2)5-hydroxytryptophan(5HTP)i.p.およびi.c.投与によってくびふり運動が認められた.3)Iso処理後5HTP20mg/kgをi.p.投与しても,マウスにくびふり運動が認められなかったが,Iso-5HTP20mg/kg投与後Ty40μgおよび80μgを投与すると,Iso-Tyの場合よりくびふり運動の著明な上昇が認められた.4)α-methyl-p-tyrosine(α-MPT)処理後Iso-Tyを投与すると,Iso-Ty投与の場合よりくびふり運動の著明な増加が認められた.5)para chlorophenylalanine(p-CPA)を連続処理後,Iso-Tyを投与すると,Iso-Ty投与の場合より,くびふり運動は著明に減少した.6)Dimetotiazine投与後Iso-Tyを投与するとくびふり運動は著明に減少したが,haloPeridol処理下でのIso-Ty投与によるくびふり運動には影響を与えなかった.
  • 植木 昭和, 藤原 道弘, 井上 和秀, 片岡 泰文, 伊比井 信広, 和田 幸雄
    1975 年 71 巻 8 号 p. 789-815
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    マウス,ラットを用いてmaprotiline(N-methy1-9,10-ethanoanthracene-9(10H)-propylamine)の行動薬理学的特性を,amitriptylineおよびimipramineと比較検討した.maprotilineは1)reserpine体温下降に対してamitriptylineおよびimipramineと同程度の強さの拮抗作用を示し,2)tetrabenazine眼険下垂およびhaloperido1のcatalepsyに対して,amitriptylineおよびimipramineよりも強い拮抗作用を有し,3)嗅球摘出ラットならびにΔ9-tetrahydrocannabinolによって誘発されたラットのmuricideを,amitriptylineおよびimipramineよりも強く抑制した.また,4)methamphetamine,L-DOPAならびにapomorphineの作用を,amitriptylineおよびimipramineと同様に増強した.しかし5)physostigmineの致死作用およびoxotremorineの振せんに対して,maprotilineはほとんど拮抗作用を示さず,これは中枢性抗コリン作用の欠如を示唆する.さらに6)嗅球摘出ラットおよび中隔野破壊ラットの情動過多を,amitriptylineよびimipramineよりもはるかに強く抑制した.7)thiopentarおよびether麻酔増強作用はamitriptylineよりもはるかに弱く,shuttleboxにおける条件回避反応抑制およびmethamphetamine群毒性抑制作用はamitriptylineと同程度であった.8)pentetrazolけいれんに対しては助長作用を示した.9)inclined screen testにおける筋弛緩作用,rotarod testにおける協調運動抑制作用はamitriptyline,imipramineよりも弱かった.10)マウスにおけるLD50はimipramineの約2倍,amitriptylineの約3倍で,急性毒性は弱く,安全域の広い薬物である.以上の動物実験の結果からみると,maprotilineは,amitriptylineやimipralnineよりも強力な抗うつ作用を有し,しかもある種のtranquilizing actionをもかね備えていること,また中枢性抗コリン作用がほとんどない点がとくに著しい本薬物の特徴であり,毒性も低く,新しいタイプの抗うつ薬と考えられる.
  • 小林 雅文, 野村 寿男, 沢 国生, 若松 佳子, 荒井 悦郎
    1975 年 71 巻 8 号 p. 817-822
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ダイコクネズミにおいて甲状腺機能のn進および減退が,amphetamine投与後の脳amphetamine集積量,norepinephrine量にどのような影響を与えるかを見た,その結果は次のとおりである。1)甲状腺機能減退の場合,amphetamine投与による体温上昇は全く見られず,むしろ鎮静状態が生じた.脳におけるamphetamine集積量は高い値を示し,その減少傾向も鈍かった.脳内norepinephrine量の変動は対照とほとんど差がなかった.2)甲状腺機能充進の場合,amphetamine投与後の体温上昇は対照よりはるかにたかく,従って著しい興奮状態が生じた.脳のamphetamine集積量は,対照と同じ程度の値を保った.脳内norepinephrine量については,15分値は対照とほぼ同じだが,その後対照に見られるような減少傾向は見られなかった.
  • 東 洋, 宮沢 艶子
    1975 年 71 巻 8 号 p. 823-831
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    モルモット摘出右心房標本の経壁刺激効果,ならびにnicotine反応におよぼすdoxapramの影響をdimorpholamineのそれと比較検討し,以下の成績を得た.1)Doxapramおよびdimorpholamineは,適用直後に一過性の軽度の心運動充進作用を来たしたが,後,抑制に転じた.2)Doxapramは,用いた濃度において経壁刺激効果に顕著な影響を示さなかったが,高濃度のdimorpholamineは,経壁刺激により生ずる心運動の停止を阻止し,また,停止につづく陰性変力ならびに変時作用を抑制した.3)Nicotineによる陰性変時ならびに変力作用に対して,doxapramおよびdimorpholamineは,いずれも顕著な抑制効果を示した.しかし,高濃度ではnicotineの陽性反応に対しても抑制作用を示した.4)外来性のacetylcholine(以下ACh)による心運動抑制作用に対して,doxapramおよびdimorpholamineはほとんど影響しなかった.外来性noradrenaline(以下NA)による心運動充進に対して,doxapramはほとんど影響しないか,軽度の抑制作用を示すのみであったが,dimorpholamineは,軽度に増強した.5)経壁刺激による副交感神経終末および交感神経終末の興奮伴い,またnicotineの副交感神経節および交感神経終末刺激を介し,それぞれAChおよびNAが遊離されることにより,陰性および陽性反応を生ずる.上記2),3)および4)から,doxapramは用いた濃度では副交感神経終末,ないしは心房筋muscarine受容体に対してほとんど影響することなく,むしろ一定濃度において,洞房結節ないしはその近傍に存在する副交感神経節のnicotine受容体遮断の結果,終末からのACh遊離を抑制することにより,nicotineの心房運動停止作用を阻止することが結論される.対照に用いたdimorpholamineは,そのほか副交感神経終末に対する直接作用によりACh遊離を阻害し,経壁刺激に対する心房運動停止反応を阻止すると考えられる.また,両薬物とも高濃度では,交感神経終末に対する作用によりnicotineのNA遊離を抑制し心房運動促進を阻止する.
  • 鶴見 介登, 安部 彰, 渋谷 具久, 藤村 一
    1975 年 71 巻 8 号 p. 833-841
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    鎮痛抗炎症作用に関するpyrazole誘導体のscreeningからPZ-177が選出されたので,この新規化合物について抗浄腫作用を検討した.PZ-177はcarrageenin,dextranによって惹起されたラット足浮腫を用量依存性に著明に抑制した.egg albumin,serotonin,formalinおよびbradykininなどによる足浮腫に対しても軽度から中等度の有意な抑制作用を示し,抗ラット・ウサギ血清によるラット皮膚浮腫に対しても明らかな抑制作用を呈した.従ってPZ-177は起炎物質の種類を問わず普遍的な抗浮腫作用を示し,mepirizoleと同等かわずかに強い浮腫抑制作用を有することが認められた.他方PZ-177はmorphineとの併用においてmorphineの抗浮腫作用をごくわずか増強したにすぎず,また副腎摘出動物ではその抗浮腫作用は明らかに減弱した.なお脊髄切断動物ではごくわずかの効果減弱を示したにすぎなかった.これらの成績からPZ-177の抗浮腫作用は直接的抗浮腫作用のほかに,副腎を介する間接的効果が考xられ,また実験レベルではわずかではあったが中枢抑制作用による影響があるかもしれない.
  • 鶴見 介登, 森井 勇, 野崎 正勝, 藤村 一
    1975 年 71 巻 8 号 p. 843-856
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    PZ-177は各種起炎物質によって惹起した血管透過牲亢進を明らかに抑制し,急性浮腫に対する抑制作用と同等の効果が認められた.この効果はmepirizoleよりわずかに強く,代謝物PZ-222はわずかに弱くはあったが同様の作用を有することが認められた.しかしPZ-177は紫外線紅斑,肉芽増殖ならびにadjuvant関節炎などに対しては抑制作用なく,慢性炎症には無効であるが,創傷治癒を遅延することはなく,また胃粘膜障害作用も弱い特徴を有することが認められた.さらに既知塩基性抗炎症薬と同様尿酸排泄促進作用はなく,タンパク変性抑制作用も認められなかったが,phenylbutazone程度の溶血阻止作用を有し膜安定化作用が認められた.従ってPZ-177が血管透過性亢進および浮腫の急性炎症反応を強く抑制する作用機構として,直接的には膜安定化作用により間接的には副腎刺激作用によることが示唆された.なおPZ-177の鎮痛作用はaminopyrineの約2倍の活性を示し,下熱作用はほぼ同等であった.以上の結果からPZ-177は亜急性慢性炎症に対しては抑制作用をもたないが,急性炎症に対しては明らかな抑制作用を示ししかも比較的強い鎮痛下熱作用をもつ化合物であることが認あられた.なお代謝物PZ-222にもかなりの効果が認められ,PZ-177は塩基性非ステロイド抗炎症薬として臨床上価値のある薬物と考えられる.
  • 丸山 裕, 寺澤 道夫, 阿南 惟毅, 角部 行信
    1975 年 71 巻 8 号 p. 857-873
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    新規化合物Y-8004〔2-(5H-〔1〕benzopyrano〔2,3-b〕pyridin-7-yl)propionic acid〕の抗炎症作用を既知抗炎症薬と比較検討した。Y-8004はcarrageeninおよびkaolin浮腫を特異的に抑制し,そのED50はそれぞれ1.08,9.86mg/kg p.o.で,indomethacin(IM)と同程度かそれを凌ぐ効力であった,しかし,dextranおよびeggwhite浮腫に対してはIMと同様に弱い効果を示すにすぎず,抗アレルギー薬のcyproheptadineとは異なる性質を示した.紫外線紅斑法,ラットを用いたevans blue-carrageenin胸膜炎法およびWhittle's法に対しても,Y-8004は0.1~1mg/kg p.o.の用量で明らかな抑制作用を示し,IMを凌ぐ効力であった.一方,cotton pellet法およびadjuvant関節炎に対する予防実験では,Y-8004は1mg/kg p.o.以上の用量で明らかな抑制作用を示し,IMと同程度であったが,granuloma pouch法ではIMの1/2の効力であった.また,Y-8004はIMと同様にkaolin浮腫およびadjuvant関節炎に対して治療効果を示した.しかも,Y-8004にはglucocorticoid様の作用はなく,また下垂体-副腎系を介する作用も認められないことから,Y-8004の抗炎症作用はそれ自身の直接作用によるものと考えられた.さらに,Y-8004は硝酸銀関節炎法,Randall-Selitto法およびphenylquinone法などの炎症性痔痛に対して0.5~5mg/kg p.o.の用量で鎮痛作用を示し,その機序はIMと同様に末梢性と考えられた.また,Y-8004はTTG発熱ウサギにおいて10mg/kg p.o.で解熱作用を示した.Y-8004の消化管障害作用はラットで主に空腸,回腸部に認められるが,潰瘍惹起作用と抗炎症作用を示す用量がIMよりも分離していた.これらの成績から,Y-8004は非ステロイド性抗炎症薬の範ちゆうに属し,その安全域はIMよりも広く,抗炎症薬として臨床的に有用であろうことが示唆された.
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