日本薬理学雑誌
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71 巻, 3 号
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  • 小川 義之, 加納 晴三郎
    1975 年 71 巻 3 号 p. 263-271
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    家兎腹水系多核白血球(polymorphonuclear leucocytes,PMN)のin vitroでの白血球性発熱物質(leucocytic pyrogen,LP)生成遊離機構を明らかにするために,まずPMNを培養して経時的に細胞外のLPの発熱活性と,細胞内各種分画の発熱活性の消長を調べた.つぎにPMNの培養に伴うLPの生成遊離と,lysosomeの動態をβ-glucuronidaseの活性を指標にして測定し,両者の相互関係を追求して,次のごとき実験成績がえられた.1)microsomeおよびlysosome分画は細胞外LPと異なるtime lagの長い持続的上昇を示す発熱パターンであった.105,000g上清は細胞外LPと同じくtime lagの短い典型的な内因性pyrogenの発熱パターンを示した.2)37°CでPMNを培養したとき,細胞外LPの活性は60分がもっとも強く,105,000g上清分画は30分がもっとも強かった.3)37°CでPMNを培養したとき細胞外え遊離される総蛋白は培養30分までにほぼ完了していた.また105,000g上清分画の蛋自量も培養30分までに著明に減少した.4)PMNを37°Cで細菌性発熱物質(lipopolysaccharide,LPS)と共per,培養するとlysosomeの崩壊が促進されたがPMNより分画して得たlysosomeとLPSとを37°Cで培養してもlysosomeの崩壊は認められなかった.
  • 小澤 光, 植松 利男
    1975 年 71 巻 3 号 p. 273-284
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    Clonidine低用量投与により麻酔ラット血圧は,一過性の昇圧作用と持続性降圧作用からなる二相性の血圧反応を示した.90分後に同用量のclonidineを投与すると,さらには降圧はみられず,二峰性の昇圧作用のみみられること,脊髄ラットでは昇圧作用のみ観察されることと,一方降圧作用は遅れてあらわれること,guanethidineおよびhexamethonium処理後になお降圧がみられる反面,二峰性の昇圧が認められることなどから,低用量のclonidineの血圧作用は,末梢作用に基因する二峰性の昇圧作用と,遅れてあらわれる中枢に基因する持続性降圧作用の合成されたものと考えられる.末梢性の二峰性昇圧作用は,nialamide処理により増強され,NAの作用には増強ないし影響を与えず,indirect sympathomimetic amineの作用を抑制するcocaine,imipramine,比較的低用量のchlorpromazineおよびhaloperidolなどの処理により抑制されることから,一つは直接的α-mimetic作用に基づき,遅れてあらわれるもう一つの峰は間接作用に基づくものと考えられる.Clonidine高用量投与による血圧反応は,二峰性の昇圧作用のみ示し,cocaine,imipramineおよびguanethidine前処理により増強され,脊髄ラットおよびreserpine処理により抑制されることから,末梢性の昇圧作用と中枢性昇圧作用の合成されたものと考えられる.従ってclonidineは交感神経中枢に対し,partial agonistとして働き,低用量ではα-lytic作用により抑制効果を,高用量ではα-mimetic作用により興奮効果を示すと考えられる.Clonidineに対してTyなどは血圧反転作用および摘出輸精管において収縮の停止作用を示したが,それらはpropranol処理により消失することから,β-mimetic効果と考えられ,clonidineのα-receptor保護作用2)に基因すると考えられる.Clonidineは交感神経終末に影響をおよぼさない用量で選択的に交感神経中枢を抑制すると考えられる.
  • 柳浦 才三, 田頭 栄治郎
    1975 年 71 巻 3 号 p. 285-294
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    著者らは先の実験でmorphine(M)あるいはquinine(Q)を飼料中に混入してMとQをケージ内に並置した条件下で,薬物の自発的摂取率の変化を観察しラットでの薬物探索行動モデルを検討した.本実験は薬物依存動物にみられる強迫的な薬物欲求行動に着目して,さらに短期間に嗜好形成能を検定できる方法を試みた.5週令ラットを用いてM,phenobarbital(PhB)およびdiazepam(DZP)を12~15週間強制適用期間中,3週間隔で1週間M(1mg/g)VS.普通飼料(NF),PhB(1mg/gおよび2mg/g)vs.NFおよびDZP(1mg/g)vs.NF条件下で各薬物の自発的摂取率を4~5回にわたって観察した.対照群はnaiveラットで同様の自発的摂取試験を行ない,依存ラットと比較し有意差検定を行なった.その結果,M依存ラット(1日平均40~60mg/kg)は初回38%から5回目58%まで漸次増加し,対照群(2%)に比べて有意差(P<0.01)がみられた.PhB依存ラット(50~90mg/kg/day)は6~9週間強制適用後まで増加したが,Mに比べて早期に増加が停止した.したがってPhBの嗜好形成能は弱いが内在すると思われる.DZP依存ラットは80~120mg/kg/dayの範囲内の用量を3週間以上強制適用するとDZPの嗜好はdose-dependelltに増加し,高用量の適用では嗜好形成の時期が早まった.またDZPはPhBの嗜好形成より遅く獲得されるが,獲得時点での程度は強いと思われる.以上の諸成績からラットの薬物探索行動は薬物依存動物にみられる薬物の強迫的な欲求の程度をnaiveラットと依存ラットの自発的薬物摂取率を指標として検定するのは一つのスクリーニング法と考えられる.また本実験方法は精神依存能の弱い薬物にも適応でき,しかも推計学的に処置しやすい利点がある.
  • 向出 惇, 亀山 勉
    1975 年 71 巻 3 号 p. 295-300
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    マウスの皮下結合組織由来のL細胞を用いて薬物の細胞に与える直接の毒性について研究を行ない,次の結果を得た.1)薬物による50%細胞増殖抑制濃度(ID50)はibuprofen185,naproxen185,Y-555(9-oxo-xanthen-2yl-α-propionic acid)175,dichlofenac145,aminopyrine>500各μg/mlであった.2)培養細胞の脱落を指標とした薬物の最少阻止濃度は,ibuprofen125~250,naproxen250~500,Y-5554(9-oxo-xanthen-2y1-α-propionic acid)125~250,dichlofenac62.5,aminopyrine1000~2000各μg/mlであった.以上の結果から培養細胞の脱落を指標とする方法は,薬物の毒性をスクリーニングするのに簡単で再現性のある有用な方法であるという結果を得た.
  • 向出 惇, 亀山 勉
    1975 年 71 巻 3 号 p. 301-305
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ヒト胎児皮膚・筋組織由来のDiploid CellのHuman Embryonic Skin and Muscle Fibroblastsを用いて薬物の細胞に与える影響について前報に引きつづき研究を行ない,次の結果を得た.1)おのおの薬物の50%細胞増殖抑制濃度(ID50)はibuprofen150,naproxen320,Y-5554225,dichlofenac110,aminopyrine>500各Kg/mlであった.2)培養細胞の脱落を指標とした薬物のMinimum concentrationはibuprofen250,naproxen250~500,Y-5554 250~500,dichlofenac62.50~125,aminopyrine1000~2000各μg/mlであった.
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