アルツハイマー病の治療戦略としてアミロイド
β (A
β)の生成や凝集を阻害すること,あるいはA
βを除去することなどが考えられている.A
βを除去するという観点では,アミロイド
β免疫療法が最も妥当性が高いと考えられる.アミロイド
β免疫療法は,エラン社のDale SchenkらがヒトAPP高発現マウス(PDAPPマウス)にA
β1-42を免疫し脳内のアミロイド形成抑制,除去を示したことからはじまる.しかしながら,最初に治験されたA
βワクチンAN1792は髄膜脳炎の発生により十分な薬効評価を行えず中止を余儀なくされた.その後,A
βのN末端だけを抗原に用いるなど髄膜脳炎を発生しにくいことを想定したA
βワクチンの開発が進んでいる.一方,抗体療法においては,多くのメーカー/機関により様々な部位をエピトープとする抗A
β抗体の開発が進められている.その中で,我々は,スウェーデンの家族性AD患者から新たに見出されたArctic変異を有するA
β(A
β E22G)の凝集性の高さに注目し,これから調製されたプロトフィブリルを抗原にして作製した抗A
βプロトフィブリル抗体mAb158(マウス抗体)からの創薬を進めてきた.mAb158はA
βプロトフィブリルに高い結合能を示し,Tg-APP ArcSweマウス脳内のA
βプロトフィブリル量を顕著に減少させたことから,mAb158のヒト化抗体(BAN2401)を作製しAD免疫療法として開発すべく様々な検討を行っている.
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