日本薬理学雑誌
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82 巻 , 2 号
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  • 原 洋一, 中原 創, 宮岸 明, 仲谷 坦
    1983 年 82 巻 2 号 p. 103-116
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    新しいβ遮断薬,arotinolol(S-596)の連続経口投与による血圧および心拍数に対する影響を高血圧発症過程deoxycorticosterone acetate(DOCA)-salineラットおよび高血圧既発症の高血圧自然発症ラット(SHR)を使用し,他のβ遮断薬等と比較検討した.また,正常血圧ラットの無麻酔・無拘束状態での経口投与によるβおよびα遮断作用をも検討し,抗高血圧作用との関連性を調べた.実験はいずれの場合も大腿動脈に慢性的に植え込んだカニューレより血圧を直接的に測定した.propranolol 100mg/kg/dayおよびhydrochlorothiazide 10mg/kg/dayの14日間連続投与によりDOCA-salineによる高血圧発症が抑制されたが,S-596 20,50および100mg/kgldayあるいはpindolol 10mg/kg/dayでは明らかな影響が認められなかった.一方,高血圧既発症のSHRの血圧に対してS-596は10mg/kg/day以上の用量で14日間連続投与により血圧を低下きせ,明らかな抗高血圧作用を示した.同様にpropranolol 50mg/kg/day,pindolol 10mg/kg/day,labetalol 100mg/kg/dayおよびhydro-chlorothiazide 10mg/kg/dayでも抗高血圧作用が認められた.この時の投与量はいずれのβ遮断薬の場合でもラットで経口投与によるβ遮断効果が発現する用量よりも高用量を要した.心拍数はS-596,propranololあるいはlabetalol投与により減少し,特にSHRでは明らかであった.薬物の連続投与期間中に投薬後の急性の血圧や心拍数に対する影響をも両モデルで検討したが,S-596は10~20mg/kg以上の用量でDOCA-salineラットおよびSHRにおいて投与後4~8時間に降圧作用を示した。この投与量はラットでの経口投与によるα断効果を発現する用量と近接していることから,labetalolと同様にS-596による降圧作用には一部α遮断作用が関与しているものと推測された.なお,SHRではpindololでも同様な急性の降圧作用が認められたが連続投与することにより消失し,propranololの場合にはむしろ昇圧反応が認められた.
  • 佐藤 雄二, 藤田 敏郎, 山下 亀次郎
    1983 年 82 巻 2 号 p. 117-130
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    DOCA-Salt高血圧(DOCA-Salt)ラットを用いて,Kの降圧作用ならびにNa利尿作用における腎交感神経系および中枢norepinephrine(NE)作働性ニューロンの関与について検討した.DOCA-SaltラットはDOCA-Salt(1% NaCl)投与1週間後より有意な血圧上昇を示し,4週間後には収縮期血圧が181±3mmHgに達した.これに対し,0.2% KClあるいは1% KClを1% NaClに添加し飲料水として投与すると,DOCA-Saltラットの血圧上昇は用量依存的に抑制され,4週間後の収縮期血圧はおのおの145±3および120±1mmHgであった.また,1%KClの同時投与はDOCA-Salt投与によるNa貯留を軽減するとともに,1週間後および4週間後におけるNaスペースの増加をも抑制した.さらに,DOCA-Salt投与2週間後よりK:を投与した場合にも,Naスペースの減少と有意な降圧が認められた.そこで,KのNa利尿作用における腎交感神経系および中枢NE作働性ニューロンの関与を検討するため,DOCA-Salt投与4週間後に組織NE turnover rateを3H-NEまたはα-methyl-p-tyrosineを用いて測定した.腎NEのturnoverrateはDOCA-Saltラットでは対照群にくらべいずれの方法においても充進していたが,KClの同時投与はこのtumover rateの亢進を有意に改善した.さらに,視床下部および延髄のNE turnover rateはDOCA-Saltラットでは対照群にくらべ遅延していたが,0.2%KCl投与によりこの遅延は改善した.以上の結果,DOCA-Salt高血圧ラットにおけるKの降圧作用はNa利尿に基づく細胞外液量の増加の抑制に起因し,このKのNa利尿作用ならびに降圧作用に,腎交感神経系の抑制か重要であるとともに,その機序に視床下部,延髄の交感神経抑制ニューロン系が関与することが示唆された.
  • 大野 知親, 山口 保子, 矢島 孝, 中村 圭二
    1983 年 82 巻 2 号 p. 131-147
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    prostaglandin E2(PGE2)の誘導体であるtrimoprostilの胃粘膜保護作用,胃粘液分泌作用,抗ストレス潰瘍作用,胃腸管局所血流量におよぼす作用,胃酸分泌抑制作用さらに副作用面からの検討として胃腸管排出能,腸管内水分貯留におよぼす影響についても検討した.対照薬としてPGE2,cimetidineおよびsulpirideを用いた.trimoprostilおよびPGE2の経口投与は,無水ethanol,0.6N HCl溶液,0.2N NaOH溶液,25% NaCl高張液誘発のラット胃粘膜障害を用量依存性(1~300μg/kg,p.o.)に抑制した.この胃粘膜保護作用はcimetidine,sulpirideではみられなかった.またaspirinによるイヌ胃腸管内出血はtrmoprostil,PGE2により著明に抑制された.ラットの自発性胃粘液分泌に対しては両薬物による影響はみられず,ストレス負荷による粘液分泌減少を抑制した.ストレス潰瘍に対するtrimoprostilの抑制作用はPGE2,cimetidine,sulpirideより強い.ラット胃局所血流量(51Cr-microsphcre法)に対しては胃粘膜保護作用を示す量では影響を与えなかった.胃酸分泌について,幽門結紮ラットに対する胃内へ直接投与により酸分泌は抑制された.この抑制はPGE2より強力であった.またHeidenhain-pouch犬でも著明な酸分泌抑制を示し(ED50=33μg/kg,p.o.),cimetidine(ED50=6.1 mg/kg,p.o.)よりはるかに強力であった.胃腸管排出能についてtrimoprostilは大量の3mg/kg,p.o.で腸管輸送能を亢進し,10mg/kg,p.o,で下痢を誘発したが,これらの作用はPGE2(3,10mg/kg,p.o.)に比較して明らかに弱かった.さらに腸管内水分貯留量に対する髭響を検討したがPGE2はtrimoprostilより1.6倍強力であった.以上経口投与で著明な胃酸分泌抑制作用を示すtrimoprostilは強い胃粘膜保護作用をも有しており,これは胃粘液分泌の保持作用によると推定される.このような胃粘膜保護作用はcimetidine,sulpirideにはみられなかった.
  • 鈴木 勉, 范姜 宏仁, 阿部 洋一, 大谷 孝吉, 柳浦 才三
    1983 年 82 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    methamphetamine誘発anorexiaに対するquinineの効果を検討した.実験にはSD系雄性ラットを10:00から16:00までの6時間の制限摂餌で予備飼育後使用した.薬物混入飼料としてmethamphetamineを適用するとanorex三aが観察され,このanorcxiaは2週間の実験期間中継続して観察された.したがって,methamphetamine混入飼料を適用した場合には,anorexiaに対する耐性は獲得されにくいことが示唆できる,一方,methamphetamineとquinineを併用した薬物混入飼料を適用すると,methamphetamine単独に比較してきらに著明なanorexiaが観察され,quinine単独ではanorcxiaを示さないことから,mcthamphetamine誘発anorexiaをquinineが増強する可能性が示唆できた.しかし,薬物混入飼料としてこれらの薬物を適用する場合には味覚変化についても考慮しなければならない.そこで,methamphetamineを皮下注射,quinineを経口投与し,methampetamine誘発anorcxiaに対するquinineの効果を検討した.結果は薬物混入飼料として適用した場合と同様にmethamphctamine誘発anorexiaがquinineにより著明に増強され,この増強作用はquinineの用量に依存していた.したがって,quinineのmethamphetamine誘発anorexia増強作用が明確となった.methamphetamineの尿中排泄は尿のpHによって大きく影響きれるが,quinineの併用で尿のpHに変化は見られなかった.一方,methamphetamineを反復投与した場合にはanorexiaに対して耐性が獲得される.そこで,methamphetamine誘発anorexiaに対する耐性に及ぼすquinineの効果を検討した結果,quinineを併用してもanorexiaに対する耐性は獲得されることが明らかとなった.結論として,methamphetamine誘発anorexlaがquinineにより著明に増強されることを見出した.
  • 南 勝, 富樫 広子, 佐野 真知子, 遠藤 泰, 斉藤 秀哉, 橋本 文教, 藤田 克裕, 安田 寿一, 栗谷本 厳也, 西野 友善
    1983 年 82 巻 2 号 p. 159-169
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    カリジンを家兎に免疫して得られた抗血清を用いたRIAによってヒト血漿ブラジキニン濃度(BK)を測定し,本態性高血圧症患者(HYT),労作性狭心症(IHD)および他の心疾患患者(CARD)の血漿BKを比較した.同時に採血測定した血漿カテコールァミン(CA;NE,E)濃度,血漿レニン活性(PRA)との関連牲,ついでcaptopril(SQ14225)投与前後および寒冷昇圧試験前後での血漿BKの変動について検討した.測定値のバラッキを防ぐため,キニネース抑制薬とカリクレイン抑制薬ならびにXII因子の活性化を抑制するポリブレンの混合液をあらかじめ真空採血管に入れておき採血した.血漿CA濃度はHPLCを用いたTHI螢光法により,PRAはRIAにより測定した.1)50サンプルを3群にわかち,採血当日(17.6±4.1 pg/ml),10日後(18.4±4.8 pg/ml)さらに17日後(19.5±3.1 pg/ml,mean±SD)の間隔をおいて測定した値は良好な再現姓を示した.2)健常者の血漿BK濃度は12.24±10.00 pg/mlであった。HYTは9.25±5.09 pg/ml,IHDは8.04±3.17pg/mlとともに低値を示しCARD(14.07±8.70pg/ml)との間に有意な差異があった(P<0.05).3)心不全患者にcaptoprilを投与したところ30分より血圧,肺毛細管圧が下がり,心拍出量は増加し,肺うっ血が改善した.PRAはcaptopril投与後30分より上昇した.血漿BK濃度は一旦下降した後上昇を示した.血漿NE濃度は一時上昇した後,もとのレベルに復した.4)寒冷昇圧試験による血漿BK濃度の変化では,健常者の場合は,血圧の上昇とともに血漿BK濃度が上昇したが,HYTは血圧の上昇とともに血漿BK濃度が下降するものが多かった.従来,血漿BK濃度の測定値はパラツキが大きく臨床的評価は困難であった.本RIAは再現性も良く,血漿BK濃度を変化させる寒冷ストレスやcaptopril投与に応じて血漿BK濃度も変化することがわかった.今後,血漿BK濃度は同時に採血した他の体液性因子と比較検討され,その臨床的意義が明らかになっていくものと思われる.
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