日本薬理学雑誌
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78 巻 , 5-6 号
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  • 竹田 秀一, 阿部 武志, 大塚 正道
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 393-401
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    カプセル剤をラットの胃に装着したカニューレを通じて直接胃内へ投与する方法を検討し,二,三の知見を得た. 1) casein hydrolysateおよび総合ビタミン剤を正常食の他に補給した力ニューレ装着ラット群の体重は,正常ラット群とほぽ同様の増加傾向を示した. 2) indomethacin溶液 (2mg/rat) 投与による正常ラット群とカニューレ装着ラット群の各時間における血漿中濃度に有意差はなかった. 3) indomethacinカプセルを2mg/rat投与したカニューレ装着ラット群の血漿中濃度は2時間で最高に達し,以後漸次減少した. 4) barium sulfateカプセルを投与したカニューレ装着ラットでは, 2時間後にbarium sulfeが小腸へ移行しているのがX線写真により認められた. 5) カニューレ装着ラット群のカラゲニン浮腫に対するindomethacinカプセル2mg/ratの効果は数時間持続した. 6) indomethacinカプセル投与による血漿中濃度とカラゲニン浮腫抑制率との間に,相関性が認められた.以上の結果から, indomethacinカプセルを投与したカニューレ装着ラットは良好な薬理的挙動を示し,本法によりラットを用いて錠剤やカプセル剤の評価が可能である.
  • 北条 雅一, 吉田 洋一, 長坂 保則, 片山 理, 芹沢 功
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 403-429
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    新しい抗-histamine剤, Mequitazine (LM-209) は種々のchemical mediatorに対して広範囲な拮抗作用を,さらに, IgGおよびIgE抗体が関与するアレルギー反応に対しても強い抑制効果を有し,その効果の持続性が認められている.また,中枢神経系に対して作用の少ない薬物である.今回は中枢神経系以外の一般薬理作用についてclemastine fumarate (C. L.) を対照として検討した.その結果, 1) LM-209は脈圧の増大およぴ頻脈作用が認められたがC. L. では認められなかった. 2) 交感神経支配の強い輸精管ならぴに瞬膜収縮に対する抑制作用はC. L. に比べ著明に弱かった. 3) 消化器系および消化分泌系における抑制作用はC. L. よりやや強かった. 4) histamine降圧反応を抑制する用量でnorepinephrine昇圧反応に対して増強を示したのに比べC. L. では抑制を示した. 5) 抗-histamineおよび抗-アレルギー作用を示す用量の経口投与では一般薬理学的な鎮咳作用を有したが, C. L. では認められなかった. 6) 局所麻酔作用はlidocaineよりやや強かった(C. L. は実施せず). LM-209とC. L. との間に以上のような相異点が観察きれた.しかしながら,その他のほとんどの一般薬理作用ではC. L. とほぼ同様の薬理学的性質と強さを示し,その作用は抗-histamineならびに抗-アレルギー作用を示す用量より高用量で認められた.
  • 北条 雅一, 長坂 保則, 片山 理, 芹沢 功
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 431-438
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    新しい抗-histamine剤, Mequitazine (LM-209) は広範囲なchemical mediatorに対して有効で, IgGおよびIgE抗体が関与するアレルギーの反応に対しても著明な抑制効果を有し,また,中枢作用および一般薬理作用においては既知の抗-histamine剤であるclemastine fumarate (C. L.)とほぼ同等の薬理作用を有することが認められている.このMequitazineの主代謝産物であるMequitazine sulfoxide (LM-209 SO) の薬理作用をLM-209と比較下に検討し,以下の結果を得た. 1) LM-209 SOの摘出モルモット回腸における抗-His作用および抗-ACh作用はそれぞれLM-209の約1/8と約1/20であった. 2) LM-209 SO 5mg/kg p. o. によるマウスhistamine致死防禦効果はLM-209の1/2.5であった. 3) LM-209 SOのp. o. によるマウス急性毒性はLM-209と同様,雌雄差は認められず,その強さはLM-209の約1/3であった.また,中毒症状,死亡例および生存例における剖検所見はLM-209のそれと質的に類似していた. 4) LM-209 SO 5mg/kg i. v. はウサギにおける自発脳波,覚醒反応(音および中脳網様体電気刺激)ならびに漸増反応に対し何ら影響をおよぼさず,催眠作用が弱いと言われているC. L. とほぼ同等の脳波反応を持つLM-209より遥かに弱かった. 5) LM-209 SOのp. o. によるマウス散瞳作用はLM-209に比べ明らかに弱いことが認められた. 6) LM-209 SOの局所麻酔作用はLM-209に比べ表面麻酔作用で1/20以下であり,浸潤麻酔作用では約1/2であった. 7) LM-209 SOは効果面でLM-209に比べ弱いことがうかがえ, LM-209に認められる毒性,中枢作用および抗-cholineによる軽度の副作用に対しても明らかに弱いことが結論付けられた.
  • 柳原 行義, 信太 隆夫, 吉井 春夫
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 439-449
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    vaccinia virusを接種したウサギ炎症皮膚組織抽出物であるNeurotropin (NSP) の免疫促進作用について検認した. NSP単独ではマウス脾細胞およびヒト末梢リンパ球 (PBL) に対してmitogenic activityを示さなかった.しかし, NSPはconcanavalin A (Con A) によるマウス脾細胞およびヒトPBLの幼若化を有意に促進したが, lipopolysaccharide (LPS) によるマウス脾細胞の幼若化に対しては促進的に作用しなかった.一方, 5μg/mlのmitomycin C (MMC) 前処置または100~500R照射したマウス脾細胞のCon Aによる幼若化の低下はNSPによって回復または回復傾向を示したが, 5~50μg/mlのMMC前処置または100~1000R照射したマウス脾細胞のLPSによる幼若化の低下はNSPによって回復しなかった.また, 50μg/mlのMMCを前処置したBDF1マウス脾細胞をstimulator cellとし,またC57BL/6マウス脾細胞をresponder cellとしたone-wayのmixed lymphocyte culture (MLC) 反応はNSPによって有意に促進された.また, 5~10μg/mlのMMC前処置または100~250R照射したresponder cellを用いたMLC反応の低下もNSPによって回復または回復傾向を示した.以上の結果から, NSPは非特異的mitogenのみならず,特異抗原によるT cellの幼若化を促進し,かつMMCや放射線照射によって低下したT cell機能をも賦活することが明らかとなった.
  • 柳原 行義, 信太 隆夫, 吉井 春夫
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 451-458
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    免疫促進作用を有するNeurotropin (NSP) のマウスにおけるgraft-versus-host (GVH) 反応におよぼす影響を検討した. allogeneicなC3H/Heマウス脾細胞を900 R照射したBALB/cマウスにtransferしたsystemic GVH反応はNSPの投与によって強く抑制された.この抑制効果は500 R照射したBALB/cマウスをhostとしたsystemic GVH反応のそれとほぼ同程度であった. NSPはGVH反応のinduction phaseにおけるマウス脾細胞の幼若化を有意に抑制した.しかし, NSPはGVH反応を惹起しているマウス脾細胞のtransferによるeffector phaseでのsystemic GVH反応およびlocal GVHは抑制しなかった.一方, 100~900 R照射したマウスの造血機能の低下に対して, NSPは回復傾向を示した.また, cyclophosphamide, mitomycin C, methotrexateおよびvinblastine投与によるマウスの造血機能の低下に対しても, NSPの併用投与は回復傾向を示した.しかし, NSPはsyngeneicな骨髄細胞をtransferした900 R照射マウスの造血機能に対しては何ら影響を与えなかった,以上の結果から, NSPは放射線照射によって低下したhostマウスの免疫機能を賦活することにより, host-versus-graft反応を介してGVH反応を抑制することが示唆された.
  • 永瀬 毅, 笹 征史, 高折 修二
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 459-464
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    ifenprodilは抗ヒスタミン作用および脳血管拡張作用を有し,二重盲検法によリヒトにおいて抗めまい作用があると判定されている薬物である.今回はネコ前庭神経外側核 (LVN) ニューロンに対するifenprodilの作用を電気生理学的方法により検討した. LVNニューロンは前庭神経末梢を刺激した時の反応から単シナプス性,多シナプス性I型および多シナプス性II型ニューロンに分類され,これらのニューロンにおける順行性伝達に対するifenprodilの作用を検討した. ifenprodilの5mg/kgまでの静脈内投与では単シナプス性ニューロンは影響を受けなかった.一方,多シナプス性I型およびII型ニューロンでは, ifenprodil 1mg/kg静脈内投与によりスパイク発火が有意に抑制された.しかし, 5および10mg/kg静脈内投与では用量依存性の影響は認められなかった.すなわち,抑制されるニューロンと逆にスパイク発火数が増加するニューロンが認められ,さらに, 5mg/kg投与時まで抑制され, 10mg/kg投与によりその抑制が消失するニューロンも存在した.大腿動脈血圧は用量依存性に下降したが, 1, 5および10mg/kg投与では20分後でも各用量の投与前の水準まで回復せず,それぞれ,実験開始時の血圧よりも0~30, 35~65および45~90mmHg下降した状態であった.以上の結果は, ifenprodilの10mg/kgまでの投与はLVNの単シナプス性ニューロンにはほとんど影響せず,選択的に多シナプス性I型およびII型ニューロンに作用することを示しており, ifenprodilの少量では多シナプス性ニューロンは直接抑制され,大量ではおそらく血流の増加によりニューロンの反応性が高まるものと考えられる.
  • 阿部 博子, 小西裕 紀子, 有地 滋
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 465-470
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    糖質コルチコイドと漢方処方“小柴胡湯合五苓散(柴苓湯)”の併用による抗炎症作用の増強について検討を行なった.ラットに綿球を植え込み,4日間柴苓湯を投与しても有意の抗肉芽作用は認められないが, dexamethasone 1.5mg/kg/dayと柴苓湯を併用すると, dexamethasoneのみ投与したラットの抗肉芽作用に比べてその作用は有意に増強された.またdexamethasoneを0.5mg/kg/dayに減量して,柴苓湯を併用した場合, dexamethasone 1.5mg/kg/dayのみ投与したラットと同様の抗肉芽作用が得られ,柴苓湯の併用によって, dexamethasoneの減量が可能であることが見い出された.
  • 小島 康生, 工藤 幸司, 石田 柳一
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 471-482
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    中枢性筋弛緩薬afloqualone (AFQ) は各種実験動物において運動失調を惹起する大量を投与しても明らかな催眠作用を示さないが, methaqualone (MTQ) と類似の化学構造を有していることからその催眠作用の有無について慢性電極植込みネコを用い行動および8時間 (9:00~17:00) の睡眠-覚醒リズムに対する面から検討を加えた. AFQは10および25mg/kg (p. o.), chlormezanone (CMZ) は25~100mg/kg (p. o.) で筋弛緩作用を,またそれぞれ50および200mg/kg (p. o.) で運動失調を惹起したが, AFQはCMZと異なち発揚症状を惹起しなかった. tolperisone-HCl (TPS) は100mg/kg (p. o.) までの投与で筋弛緩作用を示さず,200mg/kg (p. o.) では間代性痙攣を惹起した.一方, MTQとpentobarbital-Na (PB) ま低用量で発揚症状を,高用量で催眠作用を示した.睡眠-覚醒サズムに対する作用ではAFQは25mmg/kg (p. o.) の中等度筋弛緩作用発現量で安静 (REST) 期および徐波浅睡眠 (SWLS) 期を増加し,覚醒 (AWK) 期,徐波深睡眠 (SWDS) 期および速波睡眠 (FWS) 期を減少した.50mg/kg (p. o.) の著明筋弛緩作用発現量ではSWLS期のみが選択的に増加し,その他の4期は減少ないし不変であった.これに対してTPS, CMZ, MTQおよびPBではいずれも中等度および著明筋弛緩作用ないし催眠作用発現量でSWDS期のみが選択的に増加し,その他の4期は減少ないし不変であった.以上の結果よう, AFQのネコ行動および睡眠-覚醒リズムに対する作用はTPS, CMZ, MTQおよびPBのいずれの比較薬とも質的に異なり,その催眠作用も筋弛緩作用発現量ではほとんどないか,またはあったとしても軽度なものと考えられた.
  • 久保 信治, 森川 宏二, 山崎 光雄, 松原 一誠, 加藤 日出男
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 483-490
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    新しい抗コリン作働性の鎮痙薬である3-(di-2-thienylmethylene)-5-methyl-trans-quino-lizidinium bromide (HSR-902) の神経筋遮断作用をネコ上頸交感神経節前線維刺激によって節後線維から導出される活動電位を指標として検討し,神経節遮断薬であるhexamethonium chlorideならびに抗コリン作働薬で3級アミンのatropine sulfate, 4級アンモニウム塩のbutylscopolamine bromide, timepidium bromideおよびprifinium bromideのそれと比較検討した.各被検薬の神経節遮断作用の序列はhexamethonium chloride>timepidium bromide〓butylscopolamine bromide>prifinium bromide>HSR-902>>atropine sulfateとなり, HSR-902の神経節遮断作用は他の4級アンモニウム塩に比べて弱いことが明らかとなった.また,各被検薬の神経節遮断作用はネコの骨盤神経刺激による膀胱攣縮に対する抑制作用との間に相関性を示したことから,各被検薬の骨盤神経刺激による膀胱攣縮に対する抑制作用はその神経筋遮断作用が反映されたものと考えられた.一方,ネコの上頸交感神経筋後線維刺激による瞬膜収縮に対してHSR-902のみが軽度な抑制作用を示し,またHSR-902のモルモット摘出大動脈において競合的な抗noradrenaline作用が認められたことから, HSR-902は軽度なα-遮断作用を有する鎮痙薬であることが考えられた.
  • 永松 正, 鈴木 良雄
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 491-499
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    蛋白尿と尿中酵素活性の漏出を指標として,異種血清アルブミン投与によるラット慢性血清病腎炎モデルの作り方を追試し,新しい優れた作成法を確立した.始めにFennellらの方法に準じてWistar系ラットに各種血清アルブミン (3mg/rat) をcomplete Freund's adjuvant (CFA) と共に1週おきに3回背部皮下注射して予備免疫とし,その2週後から抗原 (3mg/rat) を週1回つつ静脈注射した.その結果,ウサギ血清アルブミン (RSA) 投与群に静脈注射2週目から軽度ではあるが明らかな腎炎が得られた.しかし70%の死亡率を示した.次にYamamotoらの方法に準じて, Wistar系ラットにウシ血清アルブミン (BSA) の1mg/ratを背部皮下または足蹠皮内に注射して予備免疫し,その8週後からBSA 1mg/ratを連日静脈注射した. BSAを背部皮下に予備免疫後毎日1回4週間静脈注射した群には5週目から著明な腎炎の発症が見られた.しかし50%の死亡率を示した.以上の結果を考慮に入れて著者らは,腎炎がより発症しやすいと言われているSprague Dawley (SD) 系とDonryu系ラットを用いて, RSA 3mg/ratとCFAを背部皮下に注射して予備免疫し,その2週後から1日おきにRSA 1mg/ratを静脈注射する方法を行った.その結果両系ともにRSA静脈注射開始後3週目から蛋自尿が出現し,経日的に強い腎炎の発疲を導いた. 7週目で抗原の静脈注射をやめ,その後の経過を観察したが,その後29週目まで著明な蛋白尿が継続して認められた.この場合の死亡率は0%であった.この新惹起法は予備免疫の期間が短かく,また抗原の1日おきの静脈注射で慢性的な腎炎が得られることから,ラットの慢性血清病腎炎モデルとして価値が大きいと思われる。
  • 山口 勲, 秋本 芳明, 西山 信右, 佐藤 匡徳, 中島 宏通, 清本 昭夫
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 501-509
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    diltiazemの副腎髄質からのcatecholamine (CA) 分泌に対する作用を, Locke液で灌流したネコ副腎標本を用いて検討した. 1) acetylcholine (10-4M) およびhigh K+ (56mM) 刺激によるCA分泌に対し, diltiazemは10-6Mでは有意な作用を示きなかったが, 10-5Mでは明かに抑制(約50%)し, 10-4Mでは極めて強く抑制(約90%)した. diltiazemのこれらの抑制作用はいずれも可逆的なものであった. 2) Ca2+-free液灌流下でCaCl2 (2.2mM) 添加によって誘起されるCA分泌をdiltiazemは10-6M以上の濃度で濃度依存的に抑制した.この抑制作用はdiltiazem除去により回復した. 3) 灌流液のNa+除去(sucroseで置換することにより灌流液の等張性を維持した)によって誘起されるCA分泌に対して, diltiazemは10-5M以上の濃度で可逆的抑制作用を示した.この抑制作用はacetylcholine, high K+およびCaCl2添加刺激実験で認められる抑制作用より弱かった. 4) acetaldehyde (3×10-3M) によって誘起されるCA分泌に対して, diltiazemは高濃度 (10-4M) に於いても抑制作用を示さなかった.以上の結果より, diltiazemは副腎髄質からの外液Ca2+依存性CA分泌に対し,その抗Ca2+作用により阻害作用を示すことが強く示唆された.
  • 中村 政記, 吉中 康展, 鈴木 秀雄, 和田 靖史
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 511-519
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    indomethacinのプロドラッグであるacemetacinのラット胃腸管刺激作用についてindomethacinを対照薬として検討した. acemetacin 1回経口投与による胃粘膜障害は軽度であったが, indomethacin投与では3~5時間後に著明な粘膜障害が観察された.腸管に対する障害は短時間ではacemetacin投与群が軽度であったが, 24時間以降では両薬物投与群とも同程度の障害が観察された.連続投与時の胃腸管障害も1回投与の場合と同様であり, acemetacin投与群の胃粘膜障害はindomethacin投与群より軽度であった.腸管に対する障害は両投与群で明らかな差が認められなかった. in vitroの粘膜刺激実験において, indomethacinは摘出腸管から剥離する粘膜量を著明に増加したが, acemetacinは作用を示さなかった. acemetacin, indomethacin経口投与後の胃粘膜PG生成能を検討した. indomethacin投与群では15分後から著しいPG生成能の低下が認められたが, acemetacin投与群はindomethacin投与群の約1/2の抑制と軽度にとどまった.以上の結果から,未変化体acemetacinは粘膜に対する直接刺激作用が弱いために, acemetacinを生体に経口投与した場合の胃粘膜障害が軽度にとどまると推察され,これには一部胃粘膜のPG生成能に対する抑制作用が弱いことが関連すると考えられる.
  • 橋本 慶吾
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 521-528
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    ラットを食餌制限により動機づけ, 2秒間以上レバーを押し続けた時のみ餌を与える“2秒response durationスケジュ一ル”によリタイミング行勲を学習させた.次にこの様にしてレパーを放すタイミングの時間弁別を行う様になったラットに, pyrithiamhle (チアミン拮抗物質)を連続投与した時に起る行動の変化を検試した. 1) 対照実験でのレパー押し反応持続時間は,十分に安定した行動基線が得られた.また反応持続時間の分布を示すヒストグラムも平均値の時間帯をピークとする正規分布を示した. 2) pyrithiamine 2mg/kgを連日腹腔内に投与すると,反応持続時間 (2.06±0.03秒) は次第に延長し14日目には2.22±0.03秒となった. pyrithiamine投与を中止すると,反応持続時間は徐々に旧値に復した. 3) pyrithiamine 4mg/kg連日投与では,反応持続時間は投与2日目から延長し,またヒストグラムは正規性を失い右方(長時間)に膨れた平坦な型に変化した. 4) 脳内への移行の悪いチアミン拮抗物質oxythiamine 4mg/kg投与では,反応持続時間は投与2日目から有意に短縮した. 5) この実験で用いた条件では, pyrithiamineおよびoxythiamine投与によりラットの体重や一般症状の著しい変化は認められなかった.以上の成績はラットに内的時間感覚の存在することを強く支持するものであり,またpyrithiamine投与により脳内チアミン欠乏が起り時間弁別行動に障害をおこすことが示唆された.
  • 保原 怜子, 岡崎 雅子, 安原 一, 坂本 浩二
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 529-538
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    thiamine (T) 拮抗物質であるoxythiamine (OT), pyrithiamine (PT), あるいはT欠乏食 (TDD) を用いることによって,ラットに比較的短期間内にT欠乏状態が発現し,肝においては種々な機能的,形態的な変化が認められた.肝の障害度はTDD飼育下でOTを投与した群(OTD群)が最も強く現われ, TDD飼育下でPTを投与した群(PTD群), OT投与群(OT群), PT投与群(PT群), TDD飼育群(TDD群)でも,おのおの特徴のある変化が認められた1).今回は,これらの各群の血液,肝,尿中のT含量を定量し,前報において報告した肝障害度と,生体内T量の関連を検索した.その結果,肝中T量は,無処置対照群(NC群) 15.07μg/gに対して, OT群が約89%, PT群が約76%, OTD群が約25%, PTD群が約33%, TDD群が約24%であり,血液中のT量は, NC群が417ng/mlに対して, OT群が約91%, PT群が約88%, OTD群が約14%, PTD群が約16%, TDD群が約15%であった. T欠乏によると思われる種々な肝障害度と,肝,血液中のT含量はある程度相関するものの,肝障害度が特に著しかったOTD群では, TDD群に比べて有意なT量の低下を示さず, PTP群ではTDD群よりも高値を示す等, T拮抗物質によるT量の低下が明確に現われない場合が認められた.拮抗物質の作用時間は,尿中T排泄量からOTは約3~15時間, PTは約0~18時間と推測される.よって拮抗物質により,ラットに確実にT欠乏状態を発現させるには,1日2回投与が望ましい.このように,生体内T量は,拮抗物質の作用時間に,著しく左右されるので,拮抗物質の作用時間を考慮に入れると,本実験条件下によるT欠乏状態時の肝の障害度と,生体内T量の変動の間には,ある程度の相関関係が得られた.
  • 大槻 浩, 岡部 進
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 539-547
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    新しいhistamine H2-受容体拮抗薬, ranitidineのhistamine, pentagastrinおよびcarbachol刺激胃液分泌に対する効果を, Heidenhain pouch犬(雄性ビーグルおよび雑犬,計6匹)を使用して検討し, cimetidineの効果と比較した. 20時間絶食したイヌに, histamine 2HCl (40μg/kg), pentagastrin (2μg/kg) およびcarbachol (2μg/kg) を15分間隔に8回筋注し, 15分間に排出される胃液を採取し,胃液量,酸およびペプシン排出量を測定した. ranitidine (0.1, 0.3, 1および10mg/kg)およびcimetidine (1および10mg/kg)は,各種刺激薬投与60分前にgelatin capsuleに封入して経口投与した. ranitidineは用量依存的にhistamine, pentagastrinおよびcarbachol刺激胃液分泌を抑制し,その効果は投与後約3時間持続した. histamineおよびpentagastrin刺激による胃液分泌に対しては強力な効果を示した. cimetidineも同様に各種刺激薬による胃液分泌を抑制したが, histamine刺激分泌を十分に抑制する用量 (10mg/kg) では, pentagastrinおよびcarbachol刺激分泌に対して効果は弱かった. ranitidineのcimetidineに対する効力比を,各種刺激薬による胃液量,酸およびペプシン排出量に対する50%抑制量で比較し,以下の結果を得た. histamine刺激分泌: 5, 3.3および2.7倍, pentagastrin刺激分泌: 16.7, 10および10倍, carbachol刺摘分泌: 13.3, 2および4倍. ranitidine 10mg/kgを経口投与し, 8時間後よりpentagastrin刺激を行ない効力の持続を検討した結果, ranitidineは投与10時間後でも胃液分泌を著明に抑制することが判明した. cimetidine 10mg/kgでもかなり強い抑制を示したが, ranitidineに比較すると持続効果は弱いことが判明した.以上より, ranitidineはイヌにおいて胃液分泌の強力な抑制薬であり,また,作用の持続時間も長く,消化性潰瘍の治療薬には有用であることが示唆された.
  • 岡部 進, 田端 敬一, 大槻 浩
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 549-555
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    ranitidineのラットおよびイヌにおけるhistamineおよびaspirin潰瘍に対する効果を検討した.対照薬としてcimetidineおよびgefarnateを使用した. histamine潰瘍はラットでは, histamine-2HCl 100mg/kgを腹腔内投与し, 4時間後に剖検し,イヌでは, histamine-2HCl 10mg/kgをolive oil (5% beeswax含有)に混和し, 5日間連続的に筋肉内投与し6日目に剖検した. aspirin潰瘍は,ラット,イヌ共に,24時間絶食後aspirin 100mg/kgを2回, 15時間間隔で経口投与し, 2日目の投与9時間後に剖検した. ranitidineは.ラットおよびイヌのhistamine潰瘍の発生を用量依存的に強力に抑制した. cimetidineも同程度の抑制効果を示した. ED50 (50%潰瘍発生抑制量)で比較するとranitidineの効果は,ラットでは約2倍,イヌでは約9倍cimetidineより強力であることが判明した. gefarnateは,ラットではhistamine潰瘍の発生を抑制する傾向を示したが,イヌでは抑制効果は認められなかった. ranitidineはラットおよびイヌのaspirin潰瘍の発生も用量依存的に強力に抑制した. cimetidineもaspirin潰瘍の発生を強力に抑制した. ED50で比較すると, ranitidineの効果は,ラットでは約1.7倍, cimetidineより強い効力を示したが,イヌでは両薬物の効果はほぼ同じであった. gefarnateのaspirin潰瘍発生に対する抑制効果は弱いことが判明した. ranitidineは胃酸の関与すると考えられる潰瘍の発生の防御に極めて有用な薬物と考えられた.
  • 中島 博和, 重原 りゅう子, 島田 正豊, 戸塚 佳男, 荒井 悦郎, 小林 雅文
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 557-569
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    Wistar系雄性ラットに生理食塩液(生食液)もしくはreserpine (RE 1.25mg/kg i. p.) を隔日に13日間投与し,その最終注射22時間後にα-methyl-p-tyrosine (α-MPT 50mg/kg, 125mg/kg, 250mg/kg) を腹腔内注射し,さらに2時間後methamphetamine (MAPT 10mg/kg i. p.) を投与し,以後60分間にわたってstereotyped behaviour (特にlickingとbiting)と自発運動量とを測定した.特に後者については, α-MPT投与前についても測定した.その結果, 1) 生食液連用群にMAPTを投与したときは,その大多数にstereotyped lickingとbitingが生じた.しかしα-MPTを前処置しておくと,いずれの投与量においてもこれらの出現を殆んど抑制した. 2) RE連用群にMAPTを投与したときは,その大多数にstereotyped bitingが発現したが,その多くは自身の前後肢や尾部あるいはcage mateの尾部を激しく咬みながらころげまわるという内容のものであった.しかしながらα-MPTの前処置(特に125mg/kg)は,これらの発現を殆んど抑制した. 3) REを長期投与されたラットは最終注射22時間後においても,生食液投与ラットにくらべ自発運動量(水平方向運動と垂直方向運動)は著しく低下していた. 4) MAPT投与後の水平方向運動は,全群ともMAPT投与前とくらべ増加した.特にRE連用群(但しα-MPT 125mg/kg併用例を除く)にそれが著明であった. 5) 生食液連用群, RE連用群に共通して, α-MPTを前処置(50mg/kgおよび125mg/kg,ただしRE連用群では125mg/kgのみ)したものは,それを前処置しないものにくらべ, MAPT投与後の水平運動に抑制が認められた. 6) MAPT投与後の垂直方向運動は,生食液連用群において特にα-MPT前処量例に著明な促進が認められた.以上の成績からRE連用による“MAPT-stereotypy”の促進は, MAPTによるdopamineの新合成をREが促進したためと考えられるが,自発運動の促進については,この作用は部分的に関与するものと思われる.
  • 久保 信治, 森川 宏二, 山崎 光雄, 松原 一誠, 加藤 日出男
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 571-577
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    HSR-902の骨盤神経終末と膀胱壁筋との間の神経伝達への作用をモルモット摘出膀胱壁筋の経壁刺激による収縮(TM収縮)を指標として検討し,その作用をatropine sulfate, butylscopolamine bromide, timepidium bromideおよびprifinium bromideのそれと比較した. 1) TM収縮 (50Hz, 1msec, 100V, 5秒間)はtetrodotoxin (3×10-8g/ml) で完全に抑制されたが, hexamethonium chloride (1×10-4g/ml) でまったく抑制されず,またatropins sulfate (1×10-5g/ml) でわずかに抑制された.さらにTM収縮はneostigmine bromide (1×10-7g/ml) で増強されたが,その作用はatropine sulfate (1×10-5g/ml) で完全に抑制された. 2) 各被検薬は1×10-7~1×10-5g/mlにおいてTM収縮をほとんど抑制せず, HSR-902では1×10-6~1×10-5g/mlにおいてむしろ増強が認められ, 1×10-5g/mlでは単独でtonusの上昇を示した. 3) phenoxybenzamine hydrochloride (1×10-8g/ml) およびtolazoline hydrochloride (1×10-5g/ml) はTM収縮を増強させ, tonusも上昇させた.また, HSR-902のTM収縮増強作用およびtonusの上昇作用はpropranolol hydrochloride (1×10-5g/ml)存在下のnoradrenaline (1×10-5g/ml) によって完全に抑制された.以上の結果より,各被検薬は経壁刺激によって生じた骨盤神経終末と膀胱壁筋との間の神経伝達をほとんど抑制せず, HSR-902においてはむしろ増強を示すことが示唆された.またこのHSR-902による増強作用の原因として,α-遮断作用に基づく下腹神経の骨盤神経終末部に対する抑制の解除が考えられた.
  • 村上 松太郎, 冨永 詩郎, 渡辺 勝宏
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 579-587
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    全身麻酔が脳内cyclic nucleotides量におよぼす影響は大きいと予想され,二種の麻酔によるcyclic nucleotides量とnoradrenaline量の変化を観察し,さらにreserpine処理の脳内cyclic nucleotide量に与える影響を通して,麻酔時のcyclic nucleotides変化に対するmonoaminergic neuronの関与を考察した. reserpine処理, pentobarbital麻酔および非薬物麻酔であるhypothermia-rebreathing麻酔を施したラットをマイクロ波照射にて屠殺し,摘出脳をcerebellum, pons and medulla oblongata, hypothalamus, mid brain, striatum, hippocampus, cerebral cortexの7部位に分割し,各部位のcyclic nucleotidesとnoradrenaline量を測定した. hypothermia-rebreathing麻酔はpentobarbital麻酔と同様に,全体としてcyclic AMP, cyclic GMP, noradrenaline量を減少させる傾向があった.しかし, hypothalamusのcyclic AMPや, striatum, hippocampus, cerebral cortexのnoradrenaline量に対する影響には両麻酔法間で大きな差が認められた. control群およびhypothermia-rebreathing麻酔群においては,いずれの部位においてもcyclic AMP量とcyclic GMP量間に負の, cyclic AMP量とnoradrenaline量間に正の, cyclic GMP量とnoradrenaline量間に負の含量相関がみられ,麻酔時のcyclic nucleotides調節に対するmonoaminergic neuronの関与が示唆された.しかし,両麻酔によるnoradrenaline量の著明な減少にもかかわらず, cerebellumのcyclic AMP量とhypothalamusのcyclic GMP量は影響を受けにくい傾向にあり, monoaminergic neuron以外による調節機序の存在も示唆された. cyclic AMP/cyclic GMP比をcontrol群と比較すると, pentobarbital麻酔群ではcerebellumを除いて最もcontrol群に近く, reserpine処理群ではすべての部位で低値を示し, hypothermia-rebreathing麻酔群では高値を示した.以上より,脳内cyclic nucleotides量におよぼす麻酔の影響にはmonoaminergicneuron以外にも数種の神経が関与しており,それらの麻酔種による感受性が異なるためにcyclic nucleotides変化が異なるものと考えられた.
  • 柳原 行義, 信太 隆夫
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 589-597
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    vaccinia virusを接種したウサギ炎症皮膚組織抽出物であるNeurotropin (NSP) のI型アレルギー反応におよぼす影響を検討した. 10~1000μg/animal i. v. のNSPはマウスのASA, homologous PSAおよびheterologous PSAによる致死を抑制しなかったが, 5000μg/animal i. v. のNSPはASAおよびheterologous PSAによる致死を5例中1例救命した. 10-6~10-4g/mlのNSPはマウスIgE抗体を用いて受動的に感作したラットmast cellからのanaphylactic histamine遊離を軽度に抑制したが, dose-dependencyは認められなかった.また, A23187およびcompound 48/80による正常ラットmast cellからのhistamine遊離に対してもNSPは抑制的に作用した.一方, 10-6~10-4g/mlのNSPによるラットmastcellからのanaphylactic histamine遊離抑制作用はisoproterenolまたはtheophyllineと相乗効果を示さなかった.また, 10-6~10-4g/mlのNSPは30% D2O添加によるanaphylactic histamine遊離の増強を全く抑制しなかった.ダニ抗原に感作されている気管支喘息患者の末梢白血球からのanaphylactic histamine遊離は10-4g/mlのNSPによって明らかに抑制された.しかし,喘息非発作時の白血球を用いた場合のhistamine遊離抑制効果は5例中2例にしか認められなかったが,喘息発作時の白血球を用いた場合には5例中全例にその抑制効果が認められた.以上の結果から, NSPは喘息発作時のような一種のストレス状態にある細胞に対してより優位に作用することが示唆され,またNSPによるanaphylactic histamine遊離の抑制作用は細胞内のcyclic AMP量の増加またはmicrotubuleの破壞に依存しないことが示唆された.
  • 亀山 勉, 鍋島 俊隆, 山口 和政, 鵜飼 良, 奥山 茂, 榊原 曩人
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 599-612
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    eptazocine (l-1, 4-dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の鎮痛作用と脳内catecholamineとの関係について薬理学的および神経化学的方法を用いてpentazocine (PZC) およびmorphine (MOR) と比較検討した. eptazocineの圧刺激法における鎮痛作用はdisulfiramおよび6-hydroxydopamine (6-OHDA) の前処置により有意に減弱した. eptazocineは,脳幹のnorepinephrine (NE) 含量を有意に上昇させ,皮質のdopamine (DA) を減弱させた. α-methyl-p-tyrosine (α-MT) を前処置し, eptazocineを投与すると,皮質および脳幹のDAおよび脊髄のNEの消失速度が減少した. PZCの鎮痛作用は, α-MT, disulfiram, 6-OHDAおよびreserpine (RSP) により減弱された. PZCは,皮質および脳幹のNE含量および線条体のDA含量を減少させ, α-MT前処置後,脳幹および脊髄のNEの消失速度を上昇させた. MORの鎮痛作用は, α-MTにより増強され, RSPおよび6-OHDAにより減弱された. MORは,皮質NEおよびDA含量および脳幹のNE含量を減少し,脳幹のDAおよび脊髄のNE含量を増加させた. α-MT前処置後,皮質および脳幹のNEの消失速度を上昇し,高用量では,線条体のDAおよび皮質,脊髄のNEの消失速度を減少させた.以上の結果より, eptazocineは,皮質および脳幹のDAおよび脊髄でのNEの代謝回転または遊離を減少し, PZCは,脳幹および脊髄でのNEの代謝回転の上昇を,一方, MORは,低用量で皮質および脳幹のNEの代謝回転を上昇し,高用量では,線条体DAおよび脊髄NEの代謝回転を減少させることが示唆された.従ってeptazocineの鎮痛作用は, PZCやMORとは異った機序で発現するものと思われる.
  • 亀山 勉, 鍋島 俊隆, 山口 和政, 鎌田 勝雄, 鵜飼 良, 奥山 茂, 榊原 曩人
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 613-627
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    eptazocine (l-1, 4-dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の鎮痛作用と脳内5-hydroxytryptamine (5-HT) との関係についてpentazocine (PZC) およびmorphine (MOR) と比較検討した. eptazocine, PZCおよびMORの圧刺激法における鎮痛作用は, 5-HTの枯渇剤であるp-chlorophenylalanineまたは, 5, 6-dihydroxytryptamineの前処置により,減弱した.また, 5-HTニューロンの分布している脊髄後角およびraphe magnusの破壊によりこれら薬物のtail-flick法における鎮痛作用は,消失したが,中心灰白質の破壊では, MORおよびPZCの鎮痛作用のみ消失し, eptazocineの鎮痛作用は影響を受けなかった. eptazocine, MORおよびPZCは,脳幹,線条体および脊髄の5-hydroxyindole acetic acid (5-HIAA) の含量を増加した.さらに, eptazocineは,皮質の5-HIAAおよび海馬の5-HT含量を減少させ,脊髄の5-HT含量を増加した. PZCは,皮質の5-HIAA含量を増加し,脳幹の5-HT含量を減少した.一方, MORは脳幹および線条体の5-HT含量を減少させた.以上の結果より, eptazocineの5-HT7ニューロンに対する作用は, MORおよびPZCの作用に類似するが,一部,作用態度を異にすることが明らかとなった.
  • 亀山 勉, 鍋島 俊隆, 山口 和政, 鎌田 勝雄, 奥山 茂, 辻久 直, 榊原 曩人
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 629-645
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    eptazocine (l-1, 4-dimethyl-10-hydroxy-2, 3, 4, 5, 6, 7-hexahydro-1, 6-methano-1H-4-benzazonine) の中枢薬理作用を検討した,マウスにおいてeptazocineの低用量で鎮静,高用量で挙尾反応およびよろめき歩行がみられた.ラットにおいては鎮静はみられなかったが高用量ではよろめき歩行がみられた. eptazocineは回転籠運動量を用量依存的に減少させAnimex法における運動量を低用量ほど強く減少させた.一方,ラットのopen-field法におけるambulationは増加した. rotarod法, traction testにおいてeptazocineは用量依存的に筋統制機構の抑制を示し,ラットの筋電図における電位を低下させ,脊髄反射も抑制し,そのID50値は9.2mg/kg s. c.であった.さらに, eptazocineはマウスの正常体温を低下させ, pentobarbitalの睡眠作用を増強した.一方, pentylenetetrazol痙攣に対しても高用量で抑制を示した.また,電気刺激法によるマウスのfighting behaviorを用量依存的に抑制し, metamphetamineの中枢興奮作用も抑制した.しかし, eptazocineの鎮痛用量では脳波への影響は認められなかったが, shuttle box法およびskinner box法での回避反応を抑制した.以上の結果より, eptazocineは中枢神経系全般に対し非特異的な抑制作用を示すものと思われる.
  • 小友 進, 樋口 昭平, 中池 司郎, 竹下 紀美代, 田中 誠, 後藤 佳也, 長田 祐子, 土田 勝晴, 井上 健次, 京極 和旭, 樽 ...
    1981 年 78 巻 5-6 号 p. 647-658
    発行日: 1981年
    公開日: 2010/07/30
    ジャーナル フリー
    hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate (HBP) の抗炎症作用を全身投与ならびに局所投与で検討した. HBPの皮下投与によるラットcarrageenin足浮腫抑制作用は, fluocinolone acetonide, fludroxycortideおよびbetamethasone 17-valerate (BV) などのハロゲン化steroidよりもかなり弱く, hydrocortisone 17-butyrate (HB) とほぼ同程度であった.また,同じく皮下投与によるラットdinitrochlorobenzene (DNCB) 皮膚炎,ラットcotton pellet肉芽腫, adjuvant関節炎およびマウス遅延型アレルギー性足浮腫に対する抑制作用ならびに胸腺退縮作用,肝glycogen蓄積作用および脳下垂体・副賢皮質機能に対する作用もBVより弱く, HBとほぼ同程度であった.一方,軟膏として皮膚に適用したときのラットcroton oil皮膚炎とcroton oil耳介浮腫ならびに局所投与によるcarrageenin足浮腫, cotton pellet肉芽腫に対する抑制作用は, BVやHBよりも強く,そのときの胸線退縮作用はBVよりも弱く, HBと同程度であった.すなわち,全身投与によるHBPの薬効は, BVなどのハロゲン化steroidよりも弱く, HBと同程度であったが,局所投与による薬効は, BVやHBよりも強かった.また,炎症細胞である多形核白血球に対するin vitroでの親和性はHBPが最も高く, 次いでBV, HBの順であった.一方,非炎症細胞である赤血球に対する親和性は, 3薬物間で大きな差異は認められなかったが, HBPとBVに同等の親和性が認められ, HBはこれらよりも親和性が弱かった. HBPのin vitroでの低張圧溶血抑制作用は, BVと同等かやや弱く, HBよりも強かった.以上のことから, HBPは,適用局所における薬効に優れ,しかも全身的影響の少ない薬物であると判断される.
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