日本薬理学雑誌
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80 巻 , 4 号
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  • 竹永 秀幸, 曲渕 徹雄, 野坂 邦雄, 玉木 元
    1982 年 80 巻 4 号 p. 271-278
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    trimebutine maleateは,消化器系疾患治療に有用な薬物であることが知られている.本実験では,あらかじめフォーストランスジューサーを装着した無麻酔犬を用い,消化管運動に対するtrimebutine maleateの作用を,静脈内投与により調べ,metoclopramideおよびhyoscine-N-butylbromideの作用と比較,検討した.空腹期の運動静止時にtrimebutine maleateを投与すると,消化管各部位に暫時持続する収縮運動が発生し,あるいは,静止期が短縮した.一方,食後期の運動発現時にtrimebutine maleateを投与すると,胃前庭部および十二指腸の運動は抑制されたが,空腸,回腸および結腸の運動は亢進した.metoclopramideでは,空腹期静止時に主として上部消化管に持続的な運動を発生させたが,食後期の収縮運動に対しては胃前庭部に弱い運動亢進作用を認めたのみで,小腸,結腸にはほとんど作用を示さなかった.hyoscine-N-butylbromideは,空腹期の運動静止時に投与しても作用を示さず,食後期においては消化管各部位の運動を抑制した.以上のように,無麻酔犬の消化管運動に対するtrimebutine maleateの作用様式は,metoclopramideやhyoscine-N-butylbromideとは異なっており,亢進,抑制の二面的作用を有することが示された.
  • 古城 健太郎, 田中 修, 木村 哲夫, 斎藤 輝男
    1982 年 80 巻 4 号 p. 279-288
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    亜硝酸剤の薬理作用と考えられている前負荷および後負荷の減少に起因する脈圧減少作用を応用して,無麻酔犬でisosorbide dinitrate(ISDN)テープ剤の作用強度および持続性をISDN徐放錠と比較検討した.また両製剤の脈圧減少作用と血漿中ISDN濃度およびその代謝物isosorbide 2-mononitrate(2-ISMN),isosorbide 5-mononitrate(5-ISMN)濃度との関係についても検討を加えた.ISDN徐放錠40mg/dog(20mg×2錠)経口投与により脈圧は徐々に減少し,投与後3時間で最大36.9%減少した.その後作用は徐々に減弱したが12時間まで有意な減少が認められた.一方,ISDNテープ剤40mg/dog(1枚)貼付による脈圧減少作用は徐放錠40mg/dogと比較して効果発現は緩やかで,最大効果の指標値はわずかに低いが,貼付後12時間で脈圧は最大34.8%減少し,48時間後まで安定した作用を示した.ここで得られた脈圧減少の経時的推移と血漿中ISDN濃度の経時的推移との間にはそれぞれ相関性が認められた.ISDNの最高血漿中濃度は,徐放錠投与の場合と比較してテープ剤の方が約1.7倍高く,貼付後48時間まで高い値を維持したが,代謝物の2-ISMNおよび5-ISMNの最高血漿中濃度は逆にテープ剤の方がそれぞれ1/15および1/17と極めて低い値を示した.またISDNテープ剤貼付後の血漿中ISDN濃度のピーク値に対する2-ISMNおよび5-ISMNのピーク値の比率はそれぞれ1/2.5および10倍であったが,ISDN徐放錠の場合はそれぞれ10倍および300倍と極めて高い値を示した.以上の成績は,ISDNテープ剤貼付の場合,ISDN徐放錠投与の場合と異なり肝臓での“first-pass” effectを受けないためと考えられる.さらにISDNテープ剤はISDNの新しい投与形態として,薬理学的作用の上からもpharmacokineticsの面からも合理性を有しているものと思われ,狭心症の予防と治療に一層長時間安定した効果を発揮するものと期待される.
  • 鈴木 良雄, 伊藤 幹雄, 高村 俊史
    1982 年 80 巻 4 号 p. 289-298
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    HgCl2によるラットの急性腎不全に対するazosemideの利尿効果をfurosemideの場合と比較検討した.HgCl2 1,2ないし4mg/kgを1回皮下投与することにより急性腎不全を惹起させ,被検薬物をHgCl2処置後48時間目に投与した.HgCl2処置後血漿中のurea nitrogenおよびcreatuune値(mg/dl)はHgCl2の投与量に比例して上昇した.HgCl2 lmg/kg投与による急性腎不全に対しazosemideは10から40mg/kgの経口投与で尿量(ml/5hr),尿中へのNa+,K+,Cl-排泄(mEq/5 hr)を用量依存的に増加させ,40mg/kgにおいては尿量を3.5倍,尿中へのNa+,K+,Cl-排泄をそれぞれ4.5,2.1および4.1倍増加させた,この場合,この薬物は血漿電解質に対しては影響を示さなかったが,20皿g/kg以上の用量で血漿urea nitrogenおよびcreatinine値を有意に増加させた.azosemideの利尿効果はHgCl2 1mg/kgよりもHgGl2 2mg/kgによって惹起した急性腎不全ラットにおいて著しく減弱された.HgCl2 2mg/kg処置の場合の利尿効果は40から320mg/kgの経口投与で用量依存的であった.血漿電解質,urea nitrogenおよびcreatinine値はこの薬物によりほとんど影響を受けなかった.HgCl2 4mg/kgを受けたラットにおけるazosemideの利尿効果はHgCl2 2mglkgの場合に比べてさらに著しく減弱された.この場合,azosemideは320mg/kgにおいて尿量を2.6倍,また尿中へのNa+,K+,Cl-排泄をそれぞれ4.8,4.6および3.9倍増加させた.しかし,いずれの血漿パラメーターもこの薬物によって影響を受けなかった.azosemideの利尿効果は特にHgCl2 2および4mg/kgによって惹起した急性腎不全の場合にfurosemideよりも若干強力であった.
  • 嶋本 典夫, 田辺 正雄, 今本 哲治, 平田 稔
    1982 年 80 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    20週齢のSHRラットにCV-2619(10および30mg/kg p.o.)およびubiquinone-10(Q-10,10mg/kg p.o.)を5週間連続投与し,両薬物の抗高血圧作用および心筋エネルギー代謝に及ぼす影響を検討した.CV-2619の10および30mg/kg連続投与は,ともに,週齢による緩徐な血圧上昇に対し,抑制作用を示したが,Q-10の 1Omg/kgでは同作用は認められなかった.本SHRラットに認められた心肥大に対しては,いずれの薬物も軽減しなかった.CV-2619およびQ-10ともに,心筋解糖系中間代謝物(glycogen,glucose,pyruvateおよびlactate)および高エネルギーりん酸化合物(creatine phosphate,ATP,ADPおよびAMP)には有意の影響を与えなかった.しかし,CV-2619の高用量では,心筋のエネルギー状態を示すenergy chargeを有意に増大させ,またlactate/pyruvate比の有意の低下およびcyclic AMP含量の有意の増加が認められた.以上の成績から,CV-2619は高血圧維持期のSHRラットにおいて,緩和な抗高血圧作用を示し,心筋エネルギー状態を改善し,この心筋エネルギー状態の改善は,血圧上昇抑制による後負荷の減少と心筋代謝改善によることが示唆された.
  • 嶋本 典夫, 田辺 正雄, 平田 稔
    1982 年 80 巻 4 号 p. 307-315
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    8週齢雄性Ta-SHRラットを用いて,adriamycin(ADM)性心障害および心筋エネルギー代謝変化に及ぼすCV-2619(10および30mg/kg P.o.)およびubiquinone-10(Q-10,10mg/kg p.o.)の影響を調べた.ADM(1mg/kg/day i.p.)24日間の連続投与により,経日的に心電図(ECG)QRS間隔の延長が認められた.ADM投与開始15日目よりCV-2619およびQ-10を投与したとき,ADM投与で惹起されたQRS闘隔の延長は抑制された.しかし,ADM投与による体重および心室筋重量の減少に対してはCV-2619,Q-10ともに影響を与えなかった.一方,ADM投与による血圧下降はCV-2619およびQ-10により増強された.ADM投与により,心筋glycogenおよびglucose含量の減少が認められたが,lactate含量には変化が認められなかった.また,creatine phosphate含量の増加が認められたが,Pi,ATP,ADPおよびAMP含量には影響が認められなかった.ADM投与によるこれらの変化に対してCV-2619およびQ-10は有意の影響を与えなかったが,両薬物ともに,心筋lactate含量の減少および心筋エネルギー状態の指標であるphosphorylation potentialの増加をおこした.一方,QRS間隔とphosphorylation potentialとは有意の逆相関が認められた.以上の知見は,CV-2619およびQ-10はADM性心障害を軽減するとともに,心筋エネルギー状態を改善することを示唆している.
  • 萩原 正敏, 遠藤 登代志, 日高 弘義
    1982 年 80 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    脳循環代謝改善薬vinpocetine(TCV-3B)はこれまでに,家兎摘出血管条片標本において,KCl拘縮を弛緩させ,脳底動脈標本のhistamine,serotonin,noradrenaline,prostaglandinF,angiotensin II等の種々agonistによる反応を非選択的に抑制することが明らかになっている.そこで,このように非選択的抑制作用を示すTCV-3Bの作用部位の一つとして,血管の収縮・弛緩に関与が考えられている細胞内情報伝達系を想定し,TCV-3Bの血管弛緩作用と血管壁のcyclic AMPおよびcyclic GMPとの関連性について検討した.TCV-3B投与により,血管壁cyclic AMPレベルに変化は認められなかったが,cyclic GMP量はTCV-3Bにより有意に増加し,血管壁cyclic GMP量の増加とTCV-3Bの投与量の間には相関が認められた.さらにTCV-3Bは環状ヌクレオチド合成酵素adenylate cyclase,guanylate cyclaseに影響を与えなかったが,分解酵素Ca2+-calmodulin dependent phosphodiesterase(Ca2+-PDE)を選択的に阻害した.このCa2+-PDEに対する阻害作用はCa2+-calmodulinの存在に影響されず,また基質であるcyclic GMPとも競合しなかったため,TCV-3BはCa2+-PDEに直接作用することで,この酵素の活性を選択的に阻害し,血管壁中のcyclic GMPレベルを上昇させると考えられる.
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