日本薬理学雑誌
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95 巻, 2 号
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  • 尾崎 幸紘
    1990 年 95 巻 2 号 p. 47-54
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    本邦産植物のカギカズラおよびチョウジソウから得られたインドールアルカロイドのhirsutine(HS),hirsuteine(HST)およびβ-yohimbine(β-Y)の血管拡張作用を麻酔犬を用いて検討した.HS,HSTおよびβ-Yは,動脈内への局所投与により全身血圧には影響を与えない用量で後肢動脈の血流を増加させ血管拡張作用を示した.HSおよびHSTの作用効力は若干HSの方がHSTよりも強く,またパパベリンと比較してほぼ同程度であった.一方,β-Yの血管拡張作用は,yohimbineと同様にα-adrenoceptorの抑制によることが少なくとも考えられた.その作用効力はyohimbineと同程度であり,パパベリンと比較すると強かった.HSは,動脈内への局所投与により冠状動脈および脳動脈の血流を増加させた.この時全身血圧には影響を与えなかったので,この作用は血管拡張作用と考えられた.これらの血管拡張作用の効力は血管の部位により若干の相違が認められ,冠状動脈における血管拡張作用の効力はパパベリンと比較して若干弱く,脳動脈における作用効力はほぼ同程度であった.
  • 金子 茂, 北里 健二, 山崎 泰英, 岡田 博匡, 永井 正則, 入來 正躬
    1990 年 95 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    propiverine hydrochloride(P-4)の除脳イヌの生体位膀胱機能に対する作用について,排尿障害の治療に用いられている抗コリン剤,propanthelineと比較検討した.シストメトリーにおいてP-4は5および10mg/kg,i.v.で最大膀胱容量の有意な増加を示し,10mg/kg,i.v.ではさらに有効膀胱容量の有意な増加を示した.しかし,いずれの用量においても残尿量の有意な増加を示さなかった.一方,対照薬として用いたpropanthelineは0.25および0.5mg/kg,i.v.で最大膀胱容量の有意な増加を示したが,有効膀胱容量の増加を示さなかった.また,propanthelineは0.016mg/kg,i.v.以上の投与量で残尿量の有意な増加を示した.これらの結果から,P-4の頻尿改善剤としての有用性が示唆された.
  • 小野 尚彦, 山本 紀之, 角南 明彦, 山崎 靖人, 三宅 秀和
    1990 年 95 巻 2 号 p. 63-81
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    新規非ステロイド性鎮痛,抗炎症薬mofezolacの鎮痛,抗炎症,解熱作用および消化管障害作用をindomethacin,ibuprofen,mefenamic acid,aspirinおよびaminopyrineの作用と比較検討した.mofezolacはマウスおよびラットphenylquinone writhing,マウスacetylcholine writhing反応を10mg/kg以下の低用量で抑制し,その作用はindomethacinより若干弱かったが,他の対照薬に比べ3~31倍の効力であった.このように,mofezolacは化学発痛物質によるwrithing反応に対しては比較的感受性が高かった.この傾向はphenylquinoneで誘発したマウス腹腔内色素漏出反応においても認められ,mofezolacはindomethacinより若干弱かったが,他の対照薬の6~24倍の効力であった.また,ラット炎症足の痛覚過敏反応(硝酸銀関節炎,Randall-Selitto法)に対するmofezolacの作用は,indomethacinよりは弱かったものの,他の対照薬の0.6~8倍であった.また,イヌの尿酸関節炎において,mofezolacはindomethacinと同程度の治療効果を示した.一方,mofezolacの抗炎症作用(ラットcarrageenin足浮腫,ラットcarrageenin肉芽嚢,ラットadjuvant関節炎)および解熱作用(ラットyeast発熱,ウサギLPS発熱)は,indomethacinよりも明らかに弱く,概してibuprofenと同等以下であった.さらに,副作用として危惧される消化管障害作用は軽微であった.mofezolacは,in vitroにおけるprostaglandin生合成およびsodium arachidonateあるいはcollagenで惹起したウサギ血小板凝集を,indomethacinと同程度に強力に抑制した.これらのことより,mofezolacは主としてcyclooxygenaseを阻害することにより薬効を発現するものと考えられる.また,mofezolacは経口投与後,速やかに吸収され,消失も比較的速いことが明らかにされている.以上から,mofezolacは急性炎症性疹痛の緩解に速効性の期待できる有用な鎮痛,抗炎症薬であるものと思われる.
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