日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
81 巻 , 6 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 江馬 真, 加納 晴三郎
    1983 年 81 巻 6 号 p. 469-480
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    食品添加物として使用されている硝酸カリウム(KNO3)の次世代に及ぼす影響についてWistarラットを用いて検討した.妊娠ラット(F0)の妊娠7から14日まで2.5,0.5または0.1%のKNO3を含む飼料を与え,妊娠末期胎仔および自然分娩させて得た仔(F1)に対する影響,さらに,生後13週に達した同一群の雌雄を交配させ,F1の妊娠7から14日まで,それぞれの母親(F0)に投与したと同濃度のKNO3を含む飼料を与え,F1の仔(F2)についてF1と同様に検査し,次の結果が得られた.1)妊娠母体(F0)に対するKNO3投与による影響はみられず,生存胎仔(F1)の数および体重にもKNO3投与群と対照群との間に差は認められなかった.2)いずれの群にも外表奇形胎仔は観察されなかった.骨格および内臓検査でも著明な影響は認められなかった.3)生後13週までのF1の成長においてもKNO3投与による影響はみられず,F1の生殖能力も各群とも良好であった.4)生存胎仔(F2)の数および体重,また,骨格および内臓検査においてKNO3投与による著明な影響は認められなかった.5)F0およびF1の妊娠中に2.5%のKNO3を投与した群に生存胎仔133例中6例,自然分娩仔63例中7例に外表奇形が観察された.主な奇形の型は外脳,口唇・口蓋裂,多指,小眼あるいは無眼などであった.他の群には外表奇形は観察されなかった.6)自然分娩仔(F2)の生存率には各投与群と対照群との間に差はなかったが,各投与群の雄の成長が遅れる傾向が認められた.以上の結果より,KNO3を二世代にわたって妊娠ラットに与えたとき,F1に対する毒性は認められなかったが,F2において毒性が発現することが明らかとなった.
  • 金子 武稔, 尾崎 覚, 大川 功, 山津 清實
    1983 年 81 巻 6 号 p. 481-492
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    dl-2{3-(2'-chlorophenoxy)phenyl}propionic acid(CPP)の鎮痛・解熱作用を各種実験法を用いて検討した.CPPはマウスにおける酢酸writhingを用量依存的に抑制し,そのED50値は経口投与1時間後において47mg/kg,3時間後に31mg/kgであった.また鎮痛効力試験法として特異性の高いラットにおけるbradykiniれ(BK)誘発侵害反応に対しても著明な抑制作用を示し,そのED50値は経口投与2時間後において15mg/kgであった.既存薬との比較においてその効力は上記いずれの実験においてもindomethacin>CPP≈ibuprofen ?? aspirinの順であった.しかし,morphine様の強力鎮痛剤の検定に適すると考えられているマウスにおけるtail pinch法および熱板法ならびにモルモットの皮内にBKあるいはEDTAを注入した時の侵害反応においては,CPPは抑制作用を示さなかった.また,CPPはマウスの各種鎮痛検定法においてcodeineの鎮痛作用を増強した.一方,乾燥酵母で発熱させたラットを用いて解熱作用を調べたところ,CPPは1.25~5mg/kg,p.o.で解熱作用を示し,aspirinより10~15倍強力であった.また,ibuprofenとはほぼ同等であったが,作用持続の点ではCPPの方が長時間持続した.
  • 氏家 新生, 小松 英忠, 久保田 哲弘, 浜野 修一郎, 内藤 惇
    1983 年 81 巻 6 号 p. 493-498
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    etafenone hydrochloride(etafenone)の血小板凝集抑制作用を家兎PRPを用いて検討し,それへのアラキドン酸(AA)カスケードの関与についても検討を加えた.1)etafenoneはcollagen(15~20μg/ml)による血小板凝集に対し,用量依存性の抑制作用を示し,そのIC50は1.7×10-5Mであった.2)一方,ADP(20μM)による凝集に対しても,etafenoneは用量依存性の抑制作用を示したが,そのIC50は2.7×10-4Mであった.3)etafenoneはAA(0.3~0.5mM)で惹起した血小板凝集を用量依存的に抑制した.そのIC50は2.8×10-5Mであった.4)thromboxane(TX)A2による血小板凝集に対してもetafenoneは用量依存性の抑制を示したが,そのIC50は3.2×10-4Mであった.5)phosphodiesterase(PDE)への阻害を介して血小板凝集を抑制すると報告されているtrapidilは,ADPとTXA2による血小板凝集に対してetafenoneとほぼ同様のIC50を示したがcollagenとAAによる血小板凝集においては,そのIC50はetafenoneのそれより高濃度であった.6)etafenone(3×10-6~3×10-4M)はcollagen添加によるPRPでのTXB2産生を用量依存的に抑制した.7)etafenoneは家兎血小板homogenateのTXA2 synthetase活性にほとんど影響を及ぼさなかった.8)etafenoneの血小板凝集抑制においてcollagen,AA凝集およびADP,TXA2凝集に対する感受性のちがいとAA代謝の活性化の抑制およびPDE阻害によるcAMPの上昇の関与の可能性について考察した.
  • 中村 敬太, 須永 弘子, 大井 至, 小沢 義人
    1983 年 81 巻 6 号 p. 499-505
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    幽門結紮ラットの血清ガストリン動態に及ぼすFM-100(800mg/kg,i.d.)とcimetidine(400mg/kg,i.d.)の単独および併用投与の影響を調べた.緩衝液の胃内注入により胃内pHを制御した条件下では,胃内pHと血清ガストリン濃度との間に高度の正の相関が認められた.FM-100は,胃内の状態が強酸性あるいは弱酸性の如何にかかわらず血清ガストリン濃度を低下させた.cimetidine投与後の血清ガストリン濃度の変動は,強酸性および弱酸性のいずれの条件下においても対照の範囲に収まるものであった.FM-100とcimetidineの併用投与では,血清ガストリン濃度は強酸性下と弱酸性下のいずれの場合にもcimetidine単独と比較して低値であり,特に弱酸性の条件下ではFM400単独投与群との比較では高値であるが,cimetidine単独投与群との比較では有意に低値であった.以上,FM-100のガストリン遊離抑制作用は胃内pHには無関係であること,cimetidine投.与後の血清ガストリン濃度の上昇は胃内pH上昇に伴う二次的現象と思われること,さらに,機序は明らかではないがcimetidine投与後の血清ガストリン濃度の上昇がFM-100によって抑制されること等が幽門結紮ラットで確認された.
  • 古濱 和久, 山田 昌男, 小野寺 威
    1983 年 81 巻 6 号 p. 507-518
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    phenolsulfbnphthalein(PSP)1回静注後の血中消失率からラット腎機能を評価する方法に着目して,PSPの血申消失,尿および胆汁中排泄率,血清蛋白結合率の挙動を観察するとともにHgGl2, gentamicin(GM),puromycin aminonucleoside(AN)および抗ラット腎糸球体基底膜(抗GBM)血清投与ラットを用いて血中PSP半減期と他の腎機能パラメータとの関連性を検討した.正常ラットにPSP5mg/kgを静注すると投与10分から30分間では血中PSPは指数関数的に直線怪をもって減少し,半減期を算出すると12.0±0.3分(n=100)であった.また,投与されたPSPの71%前後が腎から尿中に,約19%が胆汁中に排泄され,血中PSP濃度が低下するにしたがって血清蛋白結合率は上昇した.HgCl2投与ラットでは血申PSP半減期遅延とともに,用量依存的な尿中PSP排泄の低下,代償的な胆汁中排泄の増加および血清蛋白結合率低下がみられた.また,これらHgCl2投与ラットでは血中PSP半減期と尿細管分泌能を表わすP-amino-hippuric acid(PAH)の尿細管排泄極量(TmpAH)はよく相関していた.GMおよびAN投与ラットでも血中PSP半減期の遅延は明らかで,HgCl2投与ラットを含め血中PSP消失遅延と血清UN,血清creatinine,尿蛋白,腎の病理変化との相関関係はほぼ良好であった.一方,尿細管障害の認められない抗GBM血清投与ラットでは血中PSP半減期の遅延はほとんどみられなかった.以上のことから血中PSP半減期の測定は腎尿細管機能とくに分泌能把握に有用であり,無麻酔下に同一個体で経時的に追跡できることから腎障害の位置づけがより厳密に行えると結論した.
  • 田島 滋, 武部 秀太郎, 佐藤 巌, 池田 善明, 今井 英子, 伊藤 敬三, 能勢 尚志
    1983 年 81 巻 6 号 p. 519-528
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素(CCl4)およびl-naphtylisothiocyanate(ANIT)で誘発したマウスの実験的肝障害に対するcianidanol(KB-53)の作用を,主に病理組織学的,組織化学的および酵素組織化学的手法により検討した.CCl4を投与したマウスの肝実質では,投与1および3日後に,出血を伴った小葉中心性の広範な壊死および水腫様変性が認められた.しかしKB-53を前処置したマウスでは,これらの病巣は小葉中心部に限局され,著明な吸収肉芽組織および合胞体の形成に伴って,酸性粘液多糖類,酸性粘液タン白質が増生し,早期より傷害組織の修復を示唆する進行性変化が認のられた.小葉辺縁帯に局在するglucose-6-phosphatasc(G-6-Pase)活性は,CCl4投与後速やかに消失したが,KB-53は用量依存的にCCl4によるG-6-Pase活性の消失を抑制した.一方,ANITを投与したマウスの肝実質では,投与1および3日後にalkaline phosphatase(Al-Pasc)活性の軽度な上が認められたが,KB-53前処置群ではこの.上界は抑制きれた.またKB-53はCCl4およびANIT投与による血清Al-Pase活性ならびに総ビリルビン量の上昇に対して,用量依存的な抑制作用を示した.以上の結果から,KB-53はCCl4およびANITによる肝の器質的ならびに機能的変化を抑制し,肝実質の組織再生能を賦活する作用を有していることが示唆された.
  • 田島 滋, 佐藤 巖, 池田 善明, 今井 英子, 伊藤 敬三, 能勢 尚志
    1983 年 81 巻 6 号 p. 529-538
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    細胞性免疫能におよぼすhepatotoxinの影響を検索する目的で,マウスに四塩化炭素(CGl4),1-naphtylisothiocyanate(ANIT)およびD-galactosamine(Gal)を投与し,脾細胞数,末梢白血球数および遅延型皮膚反応(DTH)の変化を検討した.Galを投与したマウスでは,これらの免疫パラメータに何ら変化は認められなかった.一方,CCl4およびANITを投与したマウスの脾細胞数ならびに末梢白血球数には,著明な変化は認められなかったが,塩化ピクリル(PC)誘発のDTH(PC-DTH)は,CCl4およびANITの用量ならびに投与回数に依存して明らかに低下した.このDTH低下はCCl4およびANIT投与1~3日後にPG感作を行った場合に最も著明に認められた.しかし,7日後に感作した場合にはDTHの回復傾向が認められ,14日後に感作した場合にはほぼ正常のDTHに回復した.またツベルクリン(PPD)誘発のDTH(PPD-DTH)も同様に,CCl4およびANIT投与によって低下した.cianidanol(KB-53)は上記DTHの低下をいずれも用量依存的に抑制し,細胞性免疫低下に対して改善作用を有することが示唆された.
  • 佐藤 巌, 武部 秀太郎, 田島 滋, 池田 善明, 伊藤 敬三, 能勢 尚志
    1983 年 81 巻 6 号 p. 539-547
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素(CCl4)を10~12週間投与した慢性肝障害ラット,および正常ラットならびに慢性肝障害ラットの肝臓を部分切除した再生肝ラットを用いてcianidanolの作用を検剤し,以下の成績を得た.1) 慢性肝障害ラットおよびその肝部分切除による再生肝ラットにおいて,cianidanolはCCl4投与によって減少した血漿総蛋自質量,血漿蛋白質分画への14C-Leu取り込みおよび肝糖質量を増加きせ,肝臓に蓄積したコレステロールおよびトリグリセライド量を減少させた.cianidanolは血中bromosulfophthalein(BSP)停滞率を改善した.2) 慢性肝障害ラットにおいて,cianidanolは血漿GOTわよびGPT活性を改善した.3) cianidanolは正常ラット肝部分切除後の肝再生率には何ら影響を及ぼさなかったが,慢性肝障害ラット肝部分切除後の肝再生率を増加させた.以上の結果から,cianidanolはCCl4により障害を受けた肝細胞の蛍白質合成能および分泌能を充進し,糖代謝および脂質代謝を改善し,肝機能を正常に回復させる作用を示すと考えられる.
  • 榊原 曩人
    1983 年 81 巻 6 号 p. 549-563
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    eptazocine(l-1,4-dimethyl-10-hydroxy-2,3,4,5,6,7・hexahydro-1,6-methano-1H-4-benzazonine)の中枢作用,特に自発運動に対する効果についてpentazocineおよびmorphineと比較検討した.なお自発運動量は,多次元行動記録解析装置によって測定した.eptazocme 20,40および80mg/kg,s.c.は用量依存的に,マウスの自発運動量を増加した.pentazocineは逆に用量依存的に自発運動量を減少した.一方morphine20mg/kg,s.c.は自発運動量を抑制し,morphine40および80mg/kg,s.c.では,逆にcirclingおよびrearingが用量依存的に増加し,二相性の薬理作用が認められた.eptazocine,Pentazocineおよびmorphine 20mg/kg,s.c.の自発運動におよぼす効果は,naloxone 1mg/kg,s.c.の併用により拮抗された.これら3薬物の40mg/kg,s.c.1日2回連続10日間の投与によって,自発運動に対する薬物の効果に,pentazocineでは耐性が,morphineでは耐性および逆耐性が認められたが,eptazocineのそれは変化しなかった.上記3薬物の用量を80mg/kg,s.c.として1日4回,4日間連続投与すると,自発運動に対する効果に対して耐牲が全ての薬物についてみられた.一方eptazocineの自発運動亢進作用は,apomorphineにより増'強され,haloperidol,α-methyl-p-tyrosineおよびdisulfiramによって,拮抗された.一方pentazocineの自発運動抑制作用は,apomorphineで拮抗された.morphine20mg/kg,s.c.の自発運動抑制作用はapomorphineおよびhaloperidolで拮抗された.以上の結果により,eptazodneの自発運動におよぽす薬理作用は,pentazocineおよびmorphineと異なっており,耐性形成能も弱いが一部オピエート受容体を介しており,さらにcatecholamineニューロンの関与も示唆された.
  • 柳原 行義, 信太 隆夫
    1983 年 81 巻 6 号 p. 565-572
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    新しい抗補体剤である6-amidino-2-napthyl-4-guanidinobenzoate(FUT-175)のマウスの免疫応答および感染抵抗性におよぼす影響を検討した.羊赤血球に対するIgMおよびIgG抗体産生はFUT-175(10~100mglkglday,p.o.)の免疫前または免疫日からの3日間投与によって抑制きれなかった.dinitrophenyl-conjugated ovalbumin(DNP-OA)とalumを用いて引き起こしたprimary抗DNP IgE抗体産生はFUT-175(10~100mglkglday,p.o.)の免疫前の5日間投与によって抑制されなかったが,FUT-175の100mg/kg/dayの免疫日からの5日間投一与群においてのみ抗DNP IgE抗体産生は軽度抑制された.しかし,adoptive transferを用いたsecondary抗DNP IgE抗体産生はT cell sourceとした脾細胞(OAとalumとで免疫)およびB cell sourccとした脾細胞(DNP-conjugated ascaris extractとalumとで免疫)のいずれにFUT-175(10-6~10-4M)を作用させても抑制されなかった.FUT-175は10-6~10-4Mの濃度ではconcanavalin Aおよびlipopolysaccharideによるマウス脾細胞の幼若化を抑制しなかったが,10-4Mでは両mitogenによる幼若化を有意に抑制した.また,1,000R照射したBDF1マウス脾細胞をstimulator cellとし,C57BL/6マウス脾細胞をresponder cellとしたone-way mixed lymphocyte culture(MLC)反応は10-6~10-5MのFUT-175によって抑制されなかったが,10-4Mでは有意に抑制された.一方,Escherichia coliによるマウスの感染死はFUT-175(10~100mg/kg/day,p.o.)の感染前または感染日からの3日間投与によって増悪されなかった.
  • 柳原 行義, 利波 裕子, 相馬 幸子, 石崎 美智子, 宮本 祐一, 油井 泰雄, 信太 隆夫
    1983 年 81 巻 6 号 p. 573-584
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    新しい抗補体剤である6-amidino-2-napthyl-4-quanidinobenzoate(FUT-175)のヒトにおける種々の免疫反応におよぼす影響を検討した.FUT-175はアトピー患者の末梢白血球からのanaphylactic histamine遊離を用量依存的に抑制したが,FUT-175の局所投与はダニ抗原およびcompound 48/80による即時型の皮円反応,カンジダ抗原による即時型,遅発型および遅延型の皮内反応,さらにはPPDによる遅延型の皮内反応のいずれの反応も抑制しなかった.一方,concanavalin A,pokeweed mitogenおよびダニ抗原によるヒト末梢リンパ球(PBL)の幼若化反応はFUT-175の10-4Mの濃度においてのみ有意に抑制されたが,10-6~10-4MのFUT-175は標識PBLからの51Cr遊離を軽度に促進した.また,FUT-175はB細胞表面のSIg receptorおよびC3 receptorには影響を与えず,また健常者およびアトピー患者における好中球のnitroblue tetrazolium還元能およびEschericia coliによるchemo-taxisに対してもほとんど影響を与えなかった.
  • 武部 秀太郎, 佐藤 巖, 田島 滋, 池田 善明, 伊藤 敬三, 能勢 尚志
    1983 年 81 巻 6 号 p. 585-591
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素(acCl4)を週2回,10週間皮下投与して肝硬変を誘発したラットを用い,病理学的手法によりcianidanolの作用を検討した.対照群の肝では病理解剖学的所見として表面の褐灰白色化,光沢消失および穎粒状結節性増殖巣が認められ,割面では明瞭な偽小葉の形成が認められた.病理組織学的所見として肝実質細胞の変性脂肪化および水腫性変性,隔壁性線維増殖による偽小葉形成,細胞周囲性線維化によるロゼット形成および胆管の増生が認められた.これらいずれの異常所見に対しても,cianidanolは200mg/kgおよび400mg/kgを7日間経口投与することにより明らかな改善効果を示し,その効果は用量依存的であった.したがって,cianidanolはCCl4投与により誘発された肝硬変において,障害きれた肝実質細胞の治癒,再生および増殖した線維の吸収を促進して肝の器質的変化を改善することが推察された.
feedback
Top