日本薬理学雑誌
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85 巻 , 2 号
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  • 久留 正生, 後藤 一洋
    1985 年 85 巻 2 号 p. 59-70
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ヒツジ赤血球(SRBC)に対しlower responderであるC57BL/6マウスに5×108個のSRBCを腹腔内投与して免疫した.traxanox 10および30 mg/kgを免疫当日および1日目に経口投与すると,SRBCで免疫後7日目の脾および胸腺ロゼット形成細胞(RFC)の産生は亢進した.免疫後7日目の脾RFCを同系マウスに移入すると,免疫後4日目のrecipientマウス脾溶血斑形成細胞(HPFC)の産生は抑制された.traxanox 30 mg/kgを投与したマウスの脾RFCを移入してもHPFC産生は抑制されなかった.同様の結果は胸腺摘出したrecipientマウスを用いても得られた.また,抗Thy 1.2または抗Lyt 2.2抗体および補体で処理した脾RFCを移入すると,HPFC産生は抑制されなかった.一方,traxanoxを投与したマウスの脾RFCを抗Lyt 1.2抗体および補体で処理し,この細胞を移入すると,HPFC産生は抑制された.traxanox(3および30 mg/kg)は胸腺摘出マウスの脾Thy 1.2陽性RFC産生を亢進させた.以上の知見から,traxanoxはC57BL/6マウスではLyt 1.2陽性細胞(ヘルパーT細胞)の誘導促進により,SRBCに対する免疫応答を増強させるものと推定される.
  • 阿南 惟毅, 山本 吉延, 瀬戸口 通英
    1985 年 85 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    sufoxazine,(±)2-[0-(2-thenyl)phenoxy]methyl morpholine maleate,(Y-8894)の学習および記憶の過程におよぼす影響を種々の実験的記憶障害(amnesia)モデルを用い,1試行性受動的回避行動を指標に検討し,以下の成績を得た.1) 正常動物の学習行動に対して影響をおよぼさなかった.2) CO2ガス誘発amnesiaに対して5および10 mg/kgをCO2ガス負荷直後に,あるいは5 mg/kgを獲得試行の30分前に腹腔内投与することにより拮抗作用を示した.3) 電撃痙攣ショック(ECS)誘発amnesiaに対して5あるいは10 mg/kgをECS負荷直後に腹腔内投与することにより拮抗作用を示した.4) scopolamine誘発amnesiaに対して5 mg/kgを獲得試行の直後に腹腔内投与することにより拮抗作用を示した.5) 抗うつ薬のimipramineやdesipramineではいずれのamnesiaに対しても拮抗作用を示さなかった.これらの成績から,sufoxazineは実験的記憶障害に対して拮抗作用をもつことが示唆された.
  • 渡辺 敏樹, 松橋 邦夫, 高山 敏
    1985 年 85 巻 2 号 p. 79-90
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    SD系ラットの妊娠7日から19日までの13日間にmethamphetamine(0.2 mg/kg),reserpine(0.2 mg/kg: 妊娠7~13日と妊娠14~19日の期間に分割投与),norepinephrine(0.5 mg/kg),epinephrine(0.5 mg/kg),propranolol(10 mg/kg),chlorpromazine(5 mg/kg),haloperidol(1.5 mg/kg),pilocarpine(5 mg/kg)およびatropine(0.5 mg/kg)などの自律神経作用薬を1日2回に分けて連日皮下投与し,仔の中枢神経系の発達への影響を行動発達の面から捉え検討を加えた.reserpine(妊娠7~13日投与)およびhaloperidolを投与すると母動物の体重増加が抑制され,さらにmethamphetamine投与群では妊娠21日に9例中2例の母動物が死亡した以外,他の自律神経作用薬は母動物に対して影響を及ぼさなかった.投薬群の母動物の分娩は,すべて正常であり,死産仔の増加および外部奇形も認められなかった.出生仔の生後発育をみると,methamphetamineおよびhaloperidol投与群の仔に体重増加抑制がみられたが,その他の群の仔の身体的発達には薬物の影響は認められなかった.正向反射,断崖回避および負の走地性から離乳前の行動・機能発達をみると,reserpine(妊娠7~13日投与),norepinephrine,chlorpromazineおよびhaloperidol投与群の発達が遅延していた.Animexによる自発運動量の観察から,生後21日にはreserpine(妊娠7~13日投与)およびepinephrine投与群の雌に運動量の亢進が,またchlorpromazine投与群の雄に抑制がそれぞれ観察されたが,これらの変化は一時的で,生後56日の観察では影響は認められなくなった.open field試験ではreserpine(妊娠7~13日投与)投与群の雌にambulationの増加が認められたのみであった.reserpine(妊娠7~13日投与),norepinephrineおよびatropine投与群にみられたshuttle boxによる条件回避学習の獲得低下は,中枢神経系の機能的障害によるものではなく,reserpineおよびnorepinephrine投与群では中枢の器質的障害による可能性が考えられたが,atropine投与群の成因についてはその詳細は不明であった.
  • 井上 肇, 吉川 典孝, 大西 栄子, 瀬山 義幸, 山下 三郎
    1985 年 85 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    アレルギー性疾患モデルとして用いられている,即時型のアレルギー性喘息モデル,遅延型の実験的アレルギー性脳脊髄膜炎(EAE)を用い,喘息発作時の肺および血清中ライソソーム酵素活性と,EAE発症時の脳内および血清中ライソソーム酵素活性値の変動を検討した.ライソソーム酵素活性は,β-glucuronidasc(β-G)と,arylsulfatase(AS)を蛍光法によって測定した.その結果,喘息モデルにおける肺ライソソーム酵素活性は,いつれも対照群に比ぺ,有意な差はなかった.しかし,EAEでは,脳内ライソソーム酵素活性は,EAE発症後1日目で対照群に比べ有意に上昇した.また,発症後2日目では,β-G活性が有意に上昇し,AS活性は上昇傾向にあった.一方,血清ライソソーム酵素活性には,一定の傾向はみられなかった.以上の事から,アレルギー性疾患モデルにおいて,ライソソーム酵素は,I型の即時反応に関与するよりも,IV型の遅延型反応に関与している可能性が示唆された.又,EAEにおけるβ-G,AS活性の上昇は,中枢神経髄鞘の脱落つまり脱髄に関与している可能性も示唆された.
  • 石井 秀美, 久保木 正明, 大倉 実, 平石 さゆり, 坪内 二郎, 風間 睦美
    1985 年 85 巻 2 号 p. 97-110
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    局所用トロンビンは局所的止血剤としての有効性が知られているが,本剤使用後稀にショック,アナフィラキシーあるいは汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)の合併をみることが報告された.凝固因子であるトロンビンは,血流中への流入によりDICを惹起する可能性がある.本研究では腹腔内にトロンビンを注入した際にDICが起る可能性につき,ラットを用いて実験的に検討した.体重200gウィスター系ラットに四塩化炭素0.12 ml/匹を週2回,12週腹腔内注射して肝硬変を,四塩化炭素0.30 ml/匹の1回腹腔内注射により急性肝障害を作成した.これらに種々の量のトロンビン局所用(Parke-Davis)を腹腔内注射し,90分までの種々の時点で心採血,屠殺して各種凝血学的検査を行なった.未処置対照群および肝硬変群では血小板数の一過性の増加をみたのみでフィプリノーゲン,プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)には有意の変動を認めなかった.四塩化炭素注射後24時間あるいは48時間後の急性肝障害群につき同様に検討すると,血小板やフィブリノーゲンの減少,PTおよびAPTTの延長が認められ,ことに48時間群でこの傾向が著しかった.また48時間群にトロンビン局所用20,100,1,000 U/100 gを注入すると用量依存性に上記の指標が変動し,血清GPT値も用量依存性に上昇した.一方本製剤からトロンビンを除去した非トロンピンタンパク分画(トロンビン900 U相当)を48時間群に注射すると上述の諸指標はほとんど変化せず,GPTの上昇のみが認められた.以上の成績から腹水を貯留する程度の急性肝障害では腹膜の透過性亢進のために腹腔内に注入されたトロンビンが血流中に侵入して,DIC様の凝血学的所見を現わしたと考えられたが,臨床的にみられる烈しいショックや即時的DICは認められず,後者の合併としてはアナフィラキシーの如き機序を考慮する必要があると考えられた.
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