日本薬理学雑誌
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82 巻, 1 号
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  • 安部 陽一, 岡原 猛
    1983 年 82 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    Control mechanisms for total renal blood flow (RBF) or regional blood flow were reviewed. Physiological and experimental conditions will usually cause simultaneous activation of several control mechanisms. The many interactions and secondary effects through release of intrarenal hormones, i.e., the renin-angiotensin system, prostaglandin and the kallikrein-kinin system, complicate the picture even more; but they also make it easy, and tempting, to construct various feedback control systems for renal hemodynamics. 1. There is no functional evidence for renal vasodilator nerves, while both pre- and postglomerular resistance vessels are supplied by adrenergic constrictor nerves. Nervous vasoconstrictor tone is absent or low under basal conditions, but may be activated by a number of afferent stimuli. 2. Intrarenal distributions of adrenergic alpha and beta-receptor are homogeneous and beta-receptor may be selectively located in the afferent arterioles. On the other hand, the distribution of dopamine and acetylcholine receptor is not uniform, and they are distributed more in the inner cortex than in the outer cortex. 3. The renal arterioles are highly sensitive to the vasconstrictor action of angiotensin II and to the vasodilator action of prostaglandin E2 and bradykinin. Under basal conditions, there seems to be no resting “angiotensin vasoconstrictor tone” and “bradykinin vasodilator tone”, whereas salt depletion and certain types of renal hypertension may be associated with sustained renal vasoconstriction caused by angiotensin II. 4. Autoregulation tends to keep RBF and GFR constant at varying arterial pressure. There is no direct evidence for a metabolic autoregulation of RBF and for a contribution of intrarenal humoral factors for autoregulation. Thus, in spite of only indirect evidence, a Bayliss mechanism is still an attractive hypothesis, and would in fact seems to satisfy more experimental observations than any other mechanism.
  • 中村 敬太, 須永 弘子
    1983 年 82 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    幽門結紮ラットを用いて,潰瘍および胃液分泌に対するFM-100とcimetidine,pirenzepineおよびショ糖硫酸エステルアルミニウム塩の併用効果を調べた.潰瘍の数量化は実測面積xを1n(1+2x)で変換し,それを基に0~5の6段階に係数化して行なった。上記4薬物はすべて単独で用量依存的な抗潰瘍作用を示した.FM-100およびpirenzepineは高用量で軽度に胃液pHを上昇させたが,pepsin活性に対してはほとんど影響を与えなかった.すなわち,胃液の組成をほとんど変化させることなく分泌量を抑制した.cimetidineの胃液分泌抑制作用は著明な胃液pHの上昇を特徴とした.ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩は,抗潰瘍作用を発現する用量で軽度な制酸効果を示したが,分泌量およびpepsin活性には全く影響を与えなかった.FM-100と他薬剤の併用では,いずれの薬剤単独よりも抗潰瘍作用の増強が,すなわち協力作用が認められた.FM-100とcimetidineあるいはpirenzepineとの併用では,胃液分泌抑制作用にも協力が認められた.以上の結果は,FM-100と上記薬剤の併用により,抗潰瘍作用の増強と,一方では副作用の減弱が臨床的にも期待できることを示唆している.
  • 武田 弘志, 大倉 靖史, 三澤 美和, 柳浦 才三
    1983 年 82 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    S-carboxymethylcysteine(S-GMC)の去疾作用機序を検索する目的で,気管分泌細胞(杯細胞,気管腺)に含有される糖蛋白(GP)の動態を含めた分泌活性に及ぼす影響について,組織学,組織化学的面から検討を行った.体重9~12kgの雄性雑犬の摘出気管をHanks液中において,S-GMC(10-7~10-4M)で30分間処置した.その後,光顕用気管組織標本を作製し,150倍の顕微鏡写真にした.分泌細胞の組織学,組織化学的変化は,著者らが先に報告した指標に従い計量的に解析を行った.1)杯細胞に及ぼす影響: alcian blue(pH2.5)-periodic acid Schiff染色陽性総杯細胞数ならびに杯細胞に含有されるGPの動態に対しては,何ら影響が認められなかった.2)気管腺に及ぼす影響: 粘膜固有層の厚さに対する気管腺腺房内径の比率は,S-CMCの10-5および10-4M処置により有意な増加が生じた.一方,腺房の厚さは濃度に依存した減少が認められた.また,Reid indexに対しては,大きな影響を生じなかった.さらに,酸性糖蛋白(AGP)含有気管腺腺房細胞数と中性糖蛋白含有腺房細胞数の比率には何ら変化が認められなかったが,AGP中の硫酸化糖蛋白(SGP)を含有する腺房細胞数の比率の,濃度に依存した減少が認められた.以上より,S-CMGは,杯細胞の分泌機能に対しては何ら影響を示さないが,気管腺の分泌機能に対しては高濃度で促進作用を示すことが明らかとなった,また,本薬物は,気管腺腺房細胞中のAGPを組成するSGPの含有量を減少することが示唆された.
  • 後藤 一洋, 久留 正生, 川添 康, 津曲 立身
    1983 年 82 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    cysteine ethylester(10~100mg/kg,p.o.)は,羊赤血球およびlipopolysaccharide(LPS)に対するマウス脾hemolytic plaque-forming cells(HPFC)の産生を亢進させたが,trinitro-phenylated polyvinylpyrrolidoneに対するHPFC産生には影響を及ぼさず,また,polyclonal B cell activatorとしての活性も示さなかった.cysteine ethylesterは3μM以上の濃度でラット腹腔内多形核白血球のyeast食食能を亢進させ,この活性はlevamisoleよりも弱いが,D-penicillamineよりも強力であった.本薬物はモルモット白血球およびヒト末梢血白血球のnitroblue tetrazolium(NBT)還元能を亢進させ,この活性はlevamisoleおよびD-penicll-lamineよりも強力であった.きらに,cysteine ethylesterは免疫増強作用を示す用量で,X線照射マウスの自然感染死を防止した.これらの成績から,本薬物は生体防御機構を増強し得るものと推定される.
  • 西 広吉, 門脇 修一郎, 遠藤 信夫
    1983 年 82 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    suloctidilのhypobaric hypoxia,完全虚血脳におけるgasping数ならびにKCNによるhistotoxic anoxiaに及ぼす作用をマウスを用いて検討し,併せてhypobaric hypoxia負荷時の脳エネルギー代謝に及ぼす作用をも検討した.1)hypobaric hypoxia負荷時のマウスの生存時間はsuloctidil3~25mg/kg,i.p.投与によって用量依存性に有意に延長された.しかしsuloctidil 50mg/kg,i.p.投与時の生存時間の延長作用は有意ではあったが,25mg/kg,i.p.投与時に比較すると短縮された.cilmarizine 50~200mg/kg,i.p.投与ではhypoxia保護作用は認められなかったが,pyrithioxineは10mg/kg,i.p.投与によって対照群の2倍と有意に生存時間の延長をもたらせた.2)完全虚血脳のgasping数はsuloctidil25ならびに50mg/kg,i.p.投与によって有意に増加した.3)histotoxic anoxia負荷時の致死作用はsuloctidil25mg/kg,i.p.投与で30.8%,50mg/kg,i.p.投与で46.2%の保護作用が認められた.しかしpyrithioxine12.5~50mg/kg,i.p.投与では何の保護作用も認められなかった.4)hypobaric hypoxia負荷時の脳内glucose濃度は,suloctidil 3~25mg/kg,i.p.投与で29~86%と有意に上昇した.この時の脳内lactate濃度の上昇は4~14%程度抑制された.suloctidil 25mg/kg,i.p.投与時の脳エネルギー代謝に及ぼす作用を検討した結果,normoxia時には有意なglucose濃度の上昇とlactate濃度の低下が認められたが,ATP濃度には変化はなかった.しかしhypoxia時のglucose,lactate濃度はnormoxia時とほぼ同様の変動を示し,ATP濃度は平均21.5%の有意な上昇が認められた.5)normoxia時の血糖値はsuloctidilで影響を受けなかったが,血中lactateは平均30.5%と有意に減少した.6)このようなsuloctidil投与時の脳内glucose濃度の上昇の機序は現在のところ不明確であるが,円滑な好気的解糖系の調節維持作用がsuloctidilの脳機能保護作用に密接に関与しているものと推定される.
  • 小松 英忠, 氏家 新生, 内藤 惇
    1983 年 82 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    アレルギー性疾患治療剤であるtranilastのslow reacting substance of anaphylaxis(SRS-A)遊離およびSRS-Aに対する拮抗作用について検討し,以下の結果を得た.1)bovine serum albuminで感作したモルモット肺に抗原を添加したmedium,またはラット腹腔浸出細胞にionophore A23187(0.5μ/ml)を添加したmedium中には10-7g/ml atropine,10-6g/ml mepyramineおよび10-7g/ml cyproheptadineで処置した摘出モルモット回腸を強く収縮する物質が遊離された。その収縮は選択的抗SRS-A剤のFPL55712によって拮抗された(それぞれSRS-AおよびSRS),またSRS-AおよびSRSはいずれも酸性側で不安定であり,arylsulfatase(4units/ml)処置によりSRS-Aはleukotriene(LT)D4と同様に失活したが,SRSはLTC4と同様に失活しなかった.2)SRS-A遊離は10-5~10-3M tranilastおよび10-9~10-7M isoprotcrenolによって用量依存的に抑制され,IC50(conccntration of 50% inhibition)はそれぞれ1.1×10-4Mおよび8.3×10-9Mであった.しかし10-6~10-3M DSCGは遊離抑制作用がみられなかった.3)10-3M tranilastのSRS-A遊離抑制作用は3×10-6M propranololによって影響されなかったが,10-7M isoproterenolの抑制作用はpropranololによって著明に減弱した.4)SRS遊離は3×10-5~3×10-4M tranilastによって用量依存的に抑制きれ,そのIC50は6.4×10-5Mであった.しかし10-9~10-7M isoproterenolおよび10-6~10-3M DSCGは軽度な抑制作用を示したにすぎなかった.5)0.5ng/ml LTC4および1ng/ml LTD4による摘出モルモット気管筋収縮は10-4M以上のtranilastによって拮抗され,そのIC50はそれぞれ2.2×10-4Mおよび2.0×10-4Mであった.以上の結果よりSRS-Aの大部分はLTD4であり,SRSはLTC4と思われた.またtranilastによるSRS-A遊離抑制作用および気管筋におけるLTに対する拮抗作用はtranilastの抗喘息作用を担っているものと考えられ,その作用機作はisoproterenolとは異なる.
  • 山崎 光雄, 下 武男, 田中 田中, 久保 信治, 伊藤 安夫, 柳浦 才三, 武田 弘志
    1983 年 82 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    去痰疾薬brovanexineの生体位での有効性を追求する目的で,気管杯細胞および気管腺に含有される糖蛋白(GP)の動態を含めた分泌活性に及ぼす影響について,組織学的,組織化学的面から検討を行った.pentobarbital-Na麻酔下で,雄性雑犬にbrovanexine,その主要代謝産物であるBR-227およびbromhexineの10および20mg/kgを十二指腸内適用し,経時的に気管組織のbiopsyを行った.その後摘出気管組織の標本を作製し,alcian blue(pH2.5)-periodic acid Shiff[AB(pH2.5)/PAS]染色,AB(pH1.0)/PAS染色の2種染色を施した.これを150倍の顕微鏡写真にして,組織学的,組織化学的指標に従い解析した.1)気管腺および杯細胞の分泌機能に及ぼす影響: brovanexine適用により,気管腺の腺房内径(AI)および粘膜固有層の厚さに対する腺房内径の比率(AIWR)は適用4時間後をピークとしいずれも用量依存的な増加を示した.この変化はBR-227およびbromhexine適用においても同様にみられ,程度的には3薬物ともほぼ同等であった.AB(pH2.5)/PAS染色陽性総杯細胞数に対しては,BR-227にのみ減少傾向が認められた.一方,Reid indexに対しては3薬物とも影響を与えなかった.2)気管腺および杯細胞含有GP動態に及ぼす影響: brovanexine適用により,気管腺腺房細胞および杯細胞に含有される酸性糖蛋白(AGP)は適用4時間後をピークとし,用量依存的な減少がみられた.この変化はBR-227およびbromhexineにも同様にみられ,なかでもbromhexineに若干強い作用が認められた.3)血圧および心拍数に及ぼす影響:brovanexine,BR-227およびbromhexineはいずれもイヌの血圧および心拍数に対しては何ら影響を与えなかった.以上の結果より,brovanexineは生体内においても気管腺.の分泌機能に対し選択的な亢進作用を示すと同時にこれら分泌細胞に含有されるAGPに対して溶解作用を示すことが示唆され,さらにこれらの作用は適用4時間後をピークとし,6時間後まで持続する作用であった.
  • 堀井 大治郎, 石橋 昭, 佐野 文男
    1983 年 82 巻 1 号 p. 67-78
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    suloctidilの静脈内および動脈内投与時の末梢血行動態(大腿,腎,上腸間膜,総頸および椎骨の各動脈)に及ぼす作用を,pentobarbital麻酔イヌにおいてpapaverineならびにcinnarizineの作用と比較検討し,以下の成績を得た.1)静脈内投与 : suloctidil,papaverineおよびcinnarizineの末梢動脈血流量増加作用ならびに血管抵抗の低下作用はいずれも0.1mg/kgから発現し,この時の血管抵抗の低下作用は大腿,椎骨および総頸の各動脈において強く,上腸間膜動脈では著しく弱かった,各薬物1mg/kg静脈内投与後の血管抵抗減少率は大腿動脈ではsuloctidilが最も高い値を示し,椎骨ではsuloctidilとcinnarizineが同程度の値を,総頸および上腸間膜ではpapaverineが最も高い値を示した.腎動脈血流量に対して,三薬物はいずれも軽度な減少作用を示した.2)動脈内投与 : suloctidil,papaverineおよびcinnarizineはいずれも大腿動脈において最も著明な血流量増加作用を示し,次いで総頸動脈および上腸間膜動脈の順であった.腎動脈血流量に対してはsuloctidilおよびpapaverineともに増加後減少の二相性変化を示したが,cinnarizineでは増加相のみが認められた.3)各種遮断薬による影響:suloctidilの動脈内投与による大腿動脈血流量増加作用はatropine,propranololおよびdiphenhydramineの前処置後も何ら影響を受けなかった.以上の結果から,suloctidilの血流量増加作用は0.1mg/kg静脈内投与から発現し,その作用は大腿,椎骨および総頸の各動脈において強く現れ,血管拡張作用に血管平滑筋に対する直接作用の関与が考えられる.
  • II.心脈管系に及ぼす影響
    中村 忠男, 三浦 洋治, 相原 研一, 佐藤 裕行, 後藤 一洋, 津曲 立身
    1983 年 82 巻 1 号 p. 79-92
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    抗アレルギー薬traxanoxの心脈管系に対する作用を,麻酔イヌおよびネコならびに摘出心臓標本を用いて検討した.麻酔イヌにおいて,traxanoxは0.01mg/kgの静脈囚投与で心脈管系にほとんど影響はなかった.0.1~30mg/kgでは呼吸数の増加,血圧の下降,心拍数の減少,腎動脈血流量の一過性の減少に続く増加および大腿動脈血流量の減少作用を示した.これらの現象は両側迷走神経の遮断によって抑制され,traxanoxの心脈管系に対する作用に迷走神経の興奮を介した機作が示唆された.一方,経口投与では100mg/kgの大量でも血圧および心拍数に影響はなく,さらに麻酔ネコでは3および30mg/kgの静脈内投与で血圧の軽度上昇が認められるのみで,traxanoxの作用に投与経路による差あるいは種差が認められた.モルモットの摘出心房および乳頭筋標本に対し,traxanoxはtheophyllineと同様に10-4Mで弱い陽性変時および変力作用を示すとともに,isoproterenolの陽性変時および変力作用を増強した.しかし,麻酔イヌを用いた生体位の実験では,traxanoxはtheophyllineと異なり3および10mg/kgの静脈内投与で心筋収縮力に何ら影響を及ぼさず,isoproterenolの作用も増強しなかった.麻酔イヌにおいて,traxanoxは1および10mg/kgの静脈内投与でnorepinephrine,epinephrine,DMPPおよび星状心臓交感神経刺激による血圧上昇作用を軽度に増強し,心拍数の減少および増加作用を軽度に抑制した.また,isoproterenol,acetylcholineおよび迷走神経刺激による血圧下降,心拍数の増加および減少作用をいずれも軽度に抑制した.しかし,traxanoxのこれらの作用に用量依存性は認められなかった.histamineの血圧下降および心拍数増加作用に対しては何ら影響はなかった.以上の成績から,traxanoxは抗アレルギー作用を示す用量(1~5mg/kg,p.o.)では心脈管系に憂慮すべき影響はほとんどないものと推定される.
  • 寺澤 道夫, 今吉 朋憲, 後藤 一洋
    1983 年 82 巻 1 号 p. 93-101
    発行日: 1983年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    traxanoxのslow reacting substance of anaphylaxis(SRS-A)遊離1こ対する作用をin vivoでdisodium cromoglycate(DSGG)と比較検討した.mepyramine(2.5mg/kg,i.v.),indomethacin(1mg/kg,i.v.)およびpropranolol(0.05mg/kg,i.v.)で前処置したegg albumin感作モルモットに抗原を静脈内投与でchallengeすると強い気管支収縮が惹起された.この気管支収縮はSRS-A拮抗薬FPL55712(2.5mg/kg,i.v.)の前処置で,ほぼ完全に抑制された.さらに,lipoxygenase阻害薬BW755C(10mg/kg,i.v.)もこの反応を有意に抑制した.これらの成績から,このアナフィラキシー性気管支収縮力内因性のSRS-Aの遊離によるものであることが示唆された.この実験モデルに対して,traxanox(5および10mg/kg,i.v.)は用量に依存した抑制作用を示したが,DSCG(10mg/kg,i.v.)は抑制作用を示さなかった.FPL55712(1 mg/kg,i.v.)を気管支収縮のpeak時に投与した時,緩解作用を示したが,traxanox(10mg/kg,i.v.)にはこのような作用は認められなかった.IgEによる受動感作ラット腹腔アナフィラキシー(PPA)で,traxanox(0.01~10μg/ラット,i.p.)は用量に依存してSRS-Aおよびhistamineの遊離を抑制した.traxanoxの抑制作用はDSGGの約10~20倍強力であった.traxanox(0.1μg/ラット,i.p.)はPPAのSRS-A遊離に対して,isoproterenol(0.01μg/ラット,i.p.)と相乗的な抑制作用を示し,theophylline(100 μg/ラット,i.p.)とは相加的な抑制作用を示した.以上の成績から,traxanoxはin vivoでSRS-A遊離を抑制し,アレルギー性の気管支喘息の治療に有効であると思われる.
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