日本薬理学雑誌
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76 巻 , 2 号
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  • 高橋 正樹, 相澤 義雄
    1980 年 76 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    発情期ラットの子宮腔内(100ng/rat)あるいは尾静脈内(200ng/0.1ml)にprostaglandin(PG)Fを投与した.また,脳下垂体摘出ラットに対してもPGFを子宮内投与し,卵巣内ステロイド(estradiol,progesterone,20α-hydroxypregn-4-en-3-one(20α-OH-P))含量の変化を検討した.この場合PGFの投与量は従来の報告に比べ極く微量を用いた.この実験の前に先づ成熟雌ラットの卵巣周期各段階における卵巣内ステロイド含量について検討したがその結果測定した3種のステロイドはいずれも発情前期に最高値を示した.発情期ラットの子宮腔あるいは尾静脈にPGFを投与した際の卵巣内ステロイド含量を測定した結果,estradiolは投与後徐々に増加したがprogesteroneおよび20α-OH-Pは投与10分後に急激な含量の減少(P<0.05)が見られた.一方,下垂体摘出ラットの子宮腔にPGFを注入した時,上記の結果と逆のパターンがみられた.すなわち,脳下垂体摘出ラットではestradlolは減少し,一方progesteroneと20α-OH-P含量は徐々に増加する傾向が見られた.
  • 古城 健太郎, 千田 敏, 木村 哲夫, 斎藤 輝男
    1980 年 76 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本実験は有機硝酸エステルの薬理作用と考えられているPre loadおよびafter loadの減少に起因する脈圧減少作用を応用して,isosorbide dinitrate(ISDN)の徐放錠および普通錠の薬理作用とその持続性を無麻酔イヌを用いて比較検討した.また両製剤の脈圧減少作用と血中濃度との関係を検討するために同時にISDNの血漿中濃度をガスクロマトグラフ法により測定した。両製剤の脈圧減少作用を比較するに先だって,試験方法の妥当性ならびに両製剤の至適投与量を検討するために,ISDN原末を用い,その脈圧におよぼす影響について検討した.ISDN1~2mg/kg経口投与により用量依存的な脈圧減少作用が認められた.以上の成績を参考にして,ISDN普通錠の用量は2mg/kg(約10kgのイヌに対して4錠)が適量と考えられた.一方徐放錠の用量設定については,普通錠投与時におこる脈圧減少の最大反応とほぼ同等な最大反応が得られるような量を検討したところ,本剤においては8mg/kg(約10kgのイヌに対して4錠)が適量であった.普通錠投与による脈圧減少作用は投薬後2時間で最大を示し,その減少率は39.1±3.5%であった.しかし,その脈圧減少作用は投薬後6時聞で投薬前のレベルに回復した.一方,徐放錠投与による脈圧減少作用は投薬後4時間で最大を示し,その減少率は48.3±6.0%であった.また本剤においては投薬後10時間でも33.3±8.9%の脈圧減少作用が認められた.同時に測定した血漿中濃度の推移でも投薬後2~10時間で徐放錠が明らかに持続性であることが確認された.以上で得られた脈圧減少作用の経時的推移とその血漿中濃度との間には大略相関性が認められた.以上の成績より本実験でとり上げた脈圧測定法はISDNの薬効を評価するのに有用なものと考えられる.しかも本研究において,徐放性という製剤学的特性を有するISDN徐放錠はその普通錠と比較して薬効が著明に持続することが証明され,臨床上も狭心症発作の予防薬として優れた持続効果が期待される.
  • 小野寺 憲治, 桜田 忍, 安藤 隆一郎, 高橋 則男, 只野 武, 木皿 憲佐, 小倉 保己
    1980 年 76 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ビタミンB1欠乏ラットの薬物反応性を検討する目的で催眠薬をはじめとする若干の中枢作用薬の影響を検討し,次のような実験成績が得られた.1)ビタミンB1欠乏ラットは食欲不振,体重増加の停止が起こり飼育30日で著明な体重減少ならびに心拍数の低下を示した.2)この時点で心拍数が正常ラットの70%以下に低下したビタミンB1欠乏ラットに薬物を投与した; a)chloral hydrate 200mg/kg,ketamine 100mg/kgおよびsodium pentobarbital50mg/kgを腹腔内に投与すると,対照群と比較して有意で著明な睡眠時間の延長が認められた.b)薬物代謝酵素阻害剤であるSKF-525Aをhexobarbital投与30分前に処理するとビタミンB1欠乏群,pair-fed群および正常群の各群において睡眠時間が延長された.また,この時ビタミンB1欠乏群の睡眠時間は特に延長され対照群の3.5倍の増加であった.c)薬物代謝酵素の誘起剤であるsodium phenobarbitalをhexobarbital投与の48時間前に処理すると,ビタミンB1欠乏群ならびに対照群とも酵素誘導を受け睡眠時間は短縮した.また,この時各群間の有意な差は認められなかった.d)tetrabenazineにより誘発される眼瞼下垂作用には投与1時間後に対照群ではすでに3/4程度の閉眼状態を示したのに対し,ビタミンB1欠乏群では投与前の状態と同様完全な開眼状態であった.その後2,3および5時間後のいずれの測定時間においてもビタミンB1欠乏群での抵抗性が観察された.e)tetrabenazine誘発カタレプシーでは投与1時間後においてのみ抵抗性を示した.f)lateral hypothalamusニューロンの自発発火に対する影響を検討すると薬物投与前の発火パターンはビタミンB1欠乏群と対照群の間に著明な差はなかった.Ro4-4602 50mg/kg処置30分後に100mg/kgの5-hydroxytryptophan(5-HTP)を腹腔内に投与すると,ビタミンB1欠乏群では発火頻度の減少を受ける例が多く,逆に対照群では認められなかった発火頻度の増加の例もあり5-HTPに対する高い感受性が示された.
  • 藤村 一, 平松 保造, 田村 洋平, 柳原 雅良, 江田 昭英, 永井 博弍, 宇田 弘三, 磯 正, 山内 秀泰
    1980 年 76 巻 2 号 p. 117-129
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    新しく合成されたSH化合物である2-mercapto-2-methylpropanoyl-L-cysteine(SA96)は経口投与によってD-penicillamine(D-PA)と同様,ラットadjuvant関節炎に対して明らかな予防ならびに治療効果を示した.しかし,その効果は投与量に依存せず,SA96の至適投与量は10mg/kg/dayであった.一方,各種急性炎症および亜急性炎症モデルに対しては,SA96,D-PA共にステロイド性あるいは非ステロイド性抗炎症薬と異なり,ほとんど影響を与えなかった.SA96およびD-PAはいずれも羊赤血球で免疫したマウス脾臓のhemolyticplaque forming cellの数を増加させ,免疫促進作用を示した.このSA96の免疫促進作用にも明確な投与量依存性は認められず,その至適投与量はやはり10mg/kg/dayであった.また,in vitroにおいてもSA96はリウマトイド因子陰性化作用,コラゲナーゼ阻害作用,骨由来アルカリホスファターゼ阻害作用を示したが,これらの作用はいずれもD-PAに比べて強かった.以上,新化合物であるSA96の作用態度はD-PAと極めて類似しており,特にその抗炎症作用がラットadjuvant関節炎に特異的であることから,SA96は臨床的にもD-PAと同様に抗リウマチ効果が期待できる化合物と思われる.
  • 松村 彰一, 森茂 栄一, 宇野 攻, 上田 元彦
    1980 年 76 巻 2 号 p. 131-141
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    左冠血管結紮およびhexamethonium bromideの静脈内投与(10mg/kg)により作成した実験的ショック犬におけるdobutamine(DOB),dopamine(DA),isoproterenol(Iso)の心血管作用を比較した.DOBの静脈内投与(1~20μg/kg/min)は用量依存的に左心室dP/dt(LVdP/dt),心拍出量を増加して血圧を上昇し,ショック時循環動態を改善した.DAの大量(20~40μg/kg/min)静脈内投与も,DOBの作用をしのぐLVdP/dt,心拍出量増加作用および血圧上昇作用を示した.しかしながら,Isoの静脈内投与(0.01~0.2μg/kg/min)は,DOB,DAに比べて弱いLVdP/dt,心拍出量増加作用を示したのみで,総末梢血管抵抗を著明に減少したため低血圧を回復せず,ショック時循環動態の改善は不充分であった.DOB,DAは実験的ショック犬の下大静脈還流量増加,下大静脈圧上昇,下大静脈圧と左心室拡張終期圧の圧差増大作用を示し,これにはDOB,DAの静脈血管α受容体刺激作用の関与が推測された.Isoは静脈還流量を有意に増加したが,下大静脈圧には影響をおよぼさなかった.DOB,DA,Isoはいずれも主として心筋酸素消費の増加に伴う2次的な冠血流増加作用を示した.しかし心筋酸素消費増加率と冠血流増加率間との相関より求めたDOBとDAの回帰係数(1.18,1.30)はIso(1.03)のそれに比べて大であった(P<0.05).すなわち,DOB,DAによる冠血流増加作用は主として心筋酸素消費の増加に基くものと考えられるが,その他に冠灌流圧上昇も一部関与するものと推測される.DOB,DAによるショック時循環動態の改善作用には,β1受容体刺激作用と静脈系α刺激作用に基く静脈容量の減少も役立つものと考えられる.
  • 小野寺 憲治, 木皿 憲佐, 岡辺 治男, 小倉 保己
    1980 年 76 巻 2 号 p. 143-152
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    生後35日令のWistar系雄ラットを用いてビタミンB1欠乏飼育を行ない,飼育30日におけるビタミンB1欠乏の睾丸組織に対する影響を検討し,次の成績が得られた.1)ビタミンB1欠乏群 a)erection陽性群の精細管は萎縮し,精租細胞および精母細胞の数の減少を示した.また,巨大細胞が出現しており精子はほとんど観察されなかった.他方,セルトリー細胞が中等度の増加を示していた.b)erection陰性群は間質の浮腫が中等度あらわれており,精租細胞および精母細胞の変性ならびにこれらの細胞数の減少が著明であった.2)ビタミンB1投与群では間質に中等度の浮腫があり,精細管は萎縮像を示した.3)pair-fed群では間質の浮腫は著明であるが精細管は萎縮が中等度見られる.精子形成の障害はビタミンB1欠乏飼育群のerection陽性群に最も強く現われ,ビタミンB1投与群,pair-fed群,erection陰性群の順に悪化していた.4)睾丸中のポリアミン含量に対するビタミンB1欠乏の影響は飼育12日でのスペルミジン量の減少および飼育30日でのスペルミンの増加が著明であった.分裂・増殖が低下している時には比の値が小さいことが知られているスペルミジン/スペルミン比は飼育12日ならびに飼育30日で有意な低下がビタミンB1欠乏群で認められた.
  • 工藤 照夫
    1980 年 76 巻 2 号 p. 153-167
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    substance P(SP)の唾液分泌ならびにamylase分泌作用の機作をラットおよびラット脳synaptosomeを用いてin vivoおよびin vitroで検討した.(1)脳室内投与されたSPの作用は静脈内投与されたSP(i.v.)のそれよりも極めて微弱であり,SPは主として末梢性に作用していると考えられた.(2)SP(i.v.)の唾液分泌作用はhexamethoniumにより影響されず,baclofen,atropine,d-tubocurarine,alcuronium,phenylephrineおよびprostaglandin E2(PGE2)により抑制され,arachidonic acidおよびindomethacinにより増強された.(3)SP(i.v.)のamylase分泌作用はpropranololにより影響されず,isoproterenol,phenoxybenzamine,phentolamineおよびadrenergic neurone blocking agentであるNo.865-123により著明に増強され,また,baclofen,PGE2およびarachidonic acidにより軽度に増強された.phenoxybenzamineによるamylase分泌の増強はpropranololにより完全に抑制された.(4)ラット脳synaptosomeを用いたin vitroの実験で,SPはPGsの合成,とくにPGE2のそれを著明に増強した.(5)これらの結果は,SP-receptorがnicotinic receptor様の性質を有し,presynapticおよびpostsynaptic membraneに存在すること,また,このSP-receptorはadrenergic α-receptorおよびPGE2-receptorと相互に密接な関係をもつことを示唆した.(6)また,これらの結果から,SPがPGsの生合成を促進し,それによってSPの唾液分泌ならびにamylase分泌作用が修飾されていると結論された.
  • 田頭 栄治郎, 浦野 知子, 柳浦 才三
    1980 年 76 巻 2 号 p. 169-177
    発行日: 1980年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    マウスに塩化メチル水銀(MMC)を単一および連続適用したときの中毒症状,特に運動協調障害と中毒発現の性差をMMCの適用量および脳内総水銀量との面から検討した.1)急性適用として50.6mg/kg(雌マウスのほぼLD50値)を雌雄マウスに単一経口適用し,一般症状および死亡の経日変化を13日間観察した.2)MMC50および100ppm混入飼料を両性のマウスに30日間暴露した.適用期間中,毎日rotarod perfbrmance testを行ない,一般中毒症状と運動協調障害の発現時期(onset)を比較した.また適用期間中,1~2日間隔で脳内水銀量を測定した.単一適用時,雄では適用3日目から死亡がみられはじめ7日目までに7/8例が死亡した.一方,雌の死亡は雄より遅く,適用8日目からみられ,その後の死亡も5/8例で毒性に明らかな性差があった.しかし,MMC混入飼料で適用した場合には中毒症状の発現時期および中毒の程度ともに雌に強い感受性がみられた.本MMC連続適用量範囲内での発症の性差は発症までの水銀摂取量からみて雌は雄のほぼ半量を摂取した時点で発症することが判った.中毒症状とその発症過程は次の如くまとめられた.軽症:rotarod performanceの抑制(後肢のスリップ),中等症:rotarod performance中5分以内に落下,開脚,後肢の指を握りしめた状態の持続,ドルフィンキック様異常歩行,後肢の麻痺,体重減少,重症:rotarod performance 完全に不可能,前肢・後肢ともに麻痺,正向反射の抑制あるいは消失,衰弱,死亡.50および100ppm両群にみられたrotarod performance抑制の開始時点(onset)ならびに発症までの日数と1日のMMC摂取量とには相関性があり,発症までのMMC総摂取量は両群ほぼ等しかった.脳への水銀蓄積は両群共に直線的に上昇し,発症時点の含量はほぼ20μgHg/g brain(湿重量)とヒトの約2倍であった.雄に比べて雌はこの中毒発症の脳内水銀濃度閾値に達するのが早い傾向を認めた.
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