日本薬理学雑誌
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96 巻, 6 号
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  • 唐木 英明
    1990 年 96 巻 6 号 p. 289-299
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    Simultaneous measurements of cytoplasmic Ca2+ level ([Ca2+]1) and muscle contraction in smooth muscle indicated that [Ca2+]1 gradually decreases during sustained contraction. This time-dependent dissociation has been explained by the latch bridge hypothesis, positive cooperativity between phosphorylated and non-phosphorylated crossbridges, involvement of cytoskeleton phosphorylation, or connection between myosin and actin filaments by caldesmon. Furthermore, it has been found that receptor agonists induce greater contraction than high K+ for a given increase in [Ca2+]1. This stimulus-dependent dissociation may be due to the receptor agonists-induced activation of protein kinase C which in turn decreases the inhibitory effect of calponin on the actin-myosin interaction, resulting in an apparent Ca2+ sensitization. Thus, the contractions induced by receptor agonists are due not only to the increase in [Ca2+]1 but also to the increase in Ca2+ sensitivity of contractile elements. Ca2+ channel blockers inhibit the increase in [Ca2+]1 but not the Ca2+ sensitization, and this may be the reason why these blockers are relatively weak inhibitors of the contraction induced by receptor agonists. By contrast, cyclic AMP and cyclic GMP decrease the Ca2+ sensitivity of contractile elements in addition to their effects to decrease [Ca2+]1.
  • 松岡 隆, 宇留野 強, 山田 誠, 金武 有里, 水上 晶子, 砂金 信義, 久保田 和彦
    1990 年 96 巻 6 号 p. 301-306
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    lactuloseの炭素末輸送能,腸内水分含量,及び固形内容物含量に及ぼす影響をラットまたはマウスを用いて検討した.ラットにおけるlactuloseの下痢を発現させるED50値は3.891kgであった.lactuloseの瀉下用量(5.4および8.6g/kg)は,マウスの小腸炭素末輸送能及びラット,マウスの小腸内水分含量を有意に増大させた.さらに,ラット小腸管内の固形物含量は,lactulose5.4g/kgの投与により有意に減少した.以上,ヒトで確認されているlactuloseの潟下作用が小動物でも確認できた.また,これらの結果はlactuloseが小腸洗浄剤として利用できる可能性を示唆している.
  • 加藤 久宜, 米田 智幸, 吉田 昭彦, 尾関 正之, 田頭 栄治郎
    1990 年 96 巻 6 号 p. 307-313
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    新規非ステロイド性抗炎症薬CN-100の生体高分子との相互作用について検討した.CN-100はcollagenによるラット血小板凝集に対して抑制作用を示し,その作用はindomethacin(IM)とほぼ同程度であったが,pranoprofen(PP)に比べて弱かった.arachidonic acid(AA)によるラット血小板凝集に対するCN-100の抑制作用は,IMおよびPPの作用に比べて弱かった.CN-100は,collagen刺激による血小板機能(セロトニン放出およびmalondialdehyde産生)に対して抑制作用を示したが,AA刺激による血小板機能に対する抑制作用は弱かった.薬物の作用点を明らかにするために,赤血球,liposomeおよびウシ血清アルブミン(BSA)をそれぞれ膜,脂質および蛋白質モデルとして用い,それらのモデルとCN-100の相互作用を検討した.CN-100は,赤血球熱溶血およびliposomeのCa2+凝集に対し抑制作用を示し,その作用はIMより弱くPPより強かった.GN-100のBSAの熱変性抑制作用はIMおよびPPよりも強力であった.BSAとアゾ色素であるHABAとの結合によるメタクロマジーをGN-100は弱く増加させたが,IMは影響を及ぼさなかった.BSAに対しCN-100およびIMはサイトIプローブであるdansyl amideとの結合による螢光強度を増加させ,PPはサイトIIプローブであるdansyl prolineの螢光を減少させた。以上の結果より,CN-100は生体膜との相互作用が強く,特に膜蛋白質との結合により膜の安定化に寄与している可能性が示された.
  • 小島 英里, 田村 典彦, 東出 康志, 李 文昇, 山浦 哲明, 大西 治夫
    1990 年 96 巻 6 号 p. 315-321
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    抗炎症・鎮痛解熱作用を有する非ステロイド性抗炎症薬であるalminoprofenの抗アレルギー作用を検討した.alminoprofen30mg/kgは,十二指腸内投与でモルモットアナフィラキシー性気道収縮を有意に抑制した.また,alminoprofenは12-lipoxygenase活性に対し作用を示さなかったが5-lipoxygenase活性に対し阻害作用を示し,そのIC50値は3.9×10-6Mであった.マウスアラキドン酸耳浮腫およびラットhomologous PCA反応に対しalminoprofenは高用量(300mg/kg,P.o.)で抑制作用を示した,しかし,ibuprofenはモルモットアナフィラキシー性気道収縮,lipoxygenase活性阻害作用,アラキドン酸耳浮腫およびラットhomologous PCA反応のいずれに対しても作用を示さなかった.これらの結果から,alminoprofenの抗アレルギー作用はibuprofenには認められない作用であり,臨床応用を考える上で興味深い.
  • 安藤 和正, 礒野 恵美子, 久保田 賢子, 芋川 英紀, 井上 肇, 石田 寛友, 荻野 洋一
    1990 年 96 巻 6 号 p. 323-332
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    実験的な簡易熱傷モデルの作成を試み以下の結果を得た.1)マウス耳介を,100°C,5秒間処理することで.II度熱傷を作成できた.2)耳介熱傷作成後,耳介重量が3時間迄増加し以後漸減した.3)耳介熱傷作成後,熱傷側耳介と正常側耳介重量との重:量比は3時間で最大となり,以後漸減した.4)耳介熱傷作成後,熱傷側耳介へのEB漏出が認められ,耳介当りのEvans blue(EB)漏出量は,3時間で最大となり,単位重量当りでは,24時間後に最大となった.5)EB色素の漏出量と耳介重量との間に正の相関が認められ,特に1~3時間後に高度の相関性が得られた.6)初期の血管透過性亢進を抗ヒスタミン薬と副腎皮質糖質ステロイドが抑制した.そして,非ステロイド系抗炎症薬は無効であった.7)熱傷創面のヒスタミン総量に有意な差はなかった.しかし,ブラジキニンは有意な増加を認めた.以上の事から,血管透過性を指標とする本熱傷モデルは,簡易で薬理学的な又は生化学的な検討をする上で有益なモデルとなる可能性が考えられた.
  • 井田 逸朗, 浅見 隆康, 栗原 久, 町山 幸輝, 田所 作太郎
    1990 年 96 巻 6 号 p. 333-341
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    各種中枢作用薬の投与によるマウス自発運動促進に対するceruletide(CER)の抑制効果の特徴を検討した.CER10~300μg/kg,i.p.の単独投与は自発運動を軽度に抑制したが,3μg/kgでは促進する傾向があった.methamphetamine 2mg/kg,s.c.による自発運動促進はCER10~300μg/kgの併用によって拮抗され,haloperido 10.25~0.1mg/kg,s.c.を追加併用するとさらに強まった.ephedrine 80mg/kg,i.p.,methylphenidate 4mg/kg,s.c.,cocaine20mg/kg,s.c.,mazindol 2.5mg/kg,s.c.,apomorphine0.5mg/kg,s.c.,bromocriptine8mg/kg,i.p.,morphine20mg/kg,s.c.,scopolamine0.5mg/kg,s.c.およびcaffeine10mg/kg,s.c.の自発運動促進効果もCER100μg/kgの併用投与によって拮抗された.しかし拮抗の程度は薬物種によって異なり,methamphetamineに対して一番強く,morphineに対して一番弱かった.methamphetamineの自発運動促進効果に対する逆耐性の形成はGER10~300μg/kgを併用すると軽減されたが,逆耐性形成後にCERを反復投与しても完全に維持されていた,一方,CER3μg/kgを5回経験したマウスは,methamphetamineに対する感受性亢進を示したが,10~300μg/kg経験マウスでは,感受性充進は認められなかった.マウスの自発運動からみたCERと各中枢作用薬との併用効果は,それぞれの薬物の中枢作用の特性,およびCERと抗精神病薬との相違を反映している可能性がある.しかし,その相互作用について特定の神経系との関連を断定するには,さらに詳細な検討を行う必要がある.
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