日本薬理学雑誌
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114 巻, 4 号
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  • 武内 正吾, 大杉 武
    1999 年 114 巻 4 号 p. 205-211
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Nevirapine (NVP) は, 最初の非核酸系の逆転写酵素阻害薬 (NNRTI) として分類される抗レトロウイルス薬である.NVPは核酸とは競合せず, Human Immunodeficiency Virus type 1 (HIV-1) 逆転写酵素の疎水性ポケット部分に可逆的に結合し, 逆転写酵素の触媒活性を阻害する.また, 選択性が高いため, HIV-2逆転写酵素およびヒトDNAポリメラーゼを阻害しない.NVPは核酸系逆転写酵素阻害薬 (NRTI) に対して耐性を獲得したHIV-1の突然変異株に対しても有効であり, また, NRTIsと併用することにより, HIV-1逆転写酵素阻害作用に対する相加・相乗効果を示す.ヒトにおける薬物動態の特徴として, 中枢神経系を含む組織全体に広く分布し, 消失半減期が長いため, 成人において200mg 1日2回投与 (200mg1日1回2週間投与後) で効果がみられることである.NVPはcytochrome P450 3A (CYP3A) を誘導するので, プロテアーゼ阻害薬 (PI) との併用に注意を有するが, 現在のところ, 用量の調節が必要とは考えられていない.NVPとNRTIs/PIsとの3剤併用した際特に抗レトロウイルス薬未治療患者で, 血漿中HIV-RNA量を長期間にわたって検出限度以下に抑制する.NVPに対する耐性株は単独投与では急速に発現するが, これには逆転写酵素の181番目のアミノ酸の変異が重要な役割を果たしていると考えられる.NVPに対する耐性株の発現は, 3剤併用した際には遅く, その頻度も低くなっている.NVPの副作用は他の抗レトロウイルス薬と重複せず, 主要な副作用は皮疹である.HIV治療においては, 長期間血漿中HTV-RNA量を20~50 copies/ml以下に抑制することが目標となってきている.そのためには併用療法で忍容性が良好でかつ投与方法の簡便な薬剤が望まれている.これら併用薬剤の一つとしてNVPが有用であると考えられる.
  • 有効性および硝酸剤との相互作用
    表 雅之
    1999 年 114 巻 4 号 p. 213-218
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    陰茎勃起は, 性的刺激により陰茎海綿体が弛緩することにより発現する.この海綿体の弛緩には, 非アドレナリン非コリン作動性神経あるいは海綿体内皮細胞から遊離される一酸化窒素 (NO) およびそのセカンドメッセンジャーであるcGMPが重要な役割を果たしている.シルデナフィル (バイアグラ®) は, ヒト陰茎海綿体のcGMP分解酵素であるホスホジエステラーゼタイプ5 (PDE5) の活性を選択的に阻害し, NO供与剤であるニトロプルシッドナトリウムとの併用により, 摘出ウサギ海綿体内のcGMP量を増大させた.また, 経壁電気刺激により発現する摘出ヒト陰茎海綿体のNO依存性弛緩反応を増強し, 麻酔イヌの骨盤神経刺激によるNOを介する海綿体内圧の上昇を血圧および心拍数に影響を及ぼすことなく増大させた.しかし, 神経刺激がない状態, 即ち, NO非存在下では, 陰茎海綿体標本および海綿体内圧に直接的な作用を示さなかった.シルデナフィルを経口投与した勃起不全患者に視覚的な性的刺激を与えると, 陰茎の硬度が増大した.シルデナフィルは, ウサギ摘出大動脈のフェニレフリン収縮にほとんど影響を及ぼさなかったが, 硝酸グリセリンの血管弛緩作用を増強した.シルデナフィルと硝酸剤との相互作用はヒトにおいてもみられ, 静脈内および舌下投与した硝酸グリセリンによる血圧低下がシルデナフィルとの併用により増大した.以上の結果から, シルデナフィルは, 性的刺激の存在下で生理的な陰茎勃起の過程を経口投与により増強する新規勃起不全治療薬と考えられた.ただし, 血管平滑筋のPDE5阻害により, シルデナフィルは硝酸グリセリンの血圧低下作用を増強したことから, シルデナフィルと硝酸剤やNO供与剤との併用は禁忌とした.
  • 横山 俊英
    1999 年 114 巻 4 号 p. 219-226
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    トロピセトロンは1985年に合成された初めての5-HT3受容体拮抗薬で, 既に臨床において抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐の抑制剤として用いられている.トロピセトロンは, 5-HT3受容体に強い親和性を示し, また, 5-HT3受容体の1/80-1/200程度の親和性で5-HT4受容体に対しても作用する.In vitroにおける機能的な検討でも, 強い5-HT3受容体拮抗活性と弱い5-HT4受容体拮抗活性を持つことが示されている.一方in vivoにおいては, 抗悪性腫瘍剤や放射線などによる種々の嘔吐動物モデルを用いてトロピセトロンの有効性が示されている.また抗悪性腫瘍剤誘発モデルにおいて, i. p.投与よりもむしろp. o.投与において強力な制吐活性を発現することから, トロピセトロンには一旦消化管から吸収されて全身性に作用する以外にも, 小腸粘膜側から直接作用する経路があると考えられる.また, トロピセトロンはメトトレキセート誘発嘔吐や高用量シスプラチン誘発嘔吐など, 他の特異的5-HT3拮抗薬には作用が認められない嘔吐モデルにおいても嘔吐を抑制する.この作用が特異的な5-HT3受容体拮抗薬と5-HT4受容体拮抗薬を併用した場合の作用と類似していることや, またトロピセトロンが5-HT4受容体作動薬による嘔吐を抑制することから, トロピセトロンの制吐作用には, 5-HT3受容体拮抗活性以外にも5-HT4受容体拮抗活性が関与していることが示唆される.さらに, トロピセトロンには制吐作用以外にも, 胃排出亢進や抗下痢, 内臓痛抑制, 抗不安などの作用が報告されており, これらの作用がトロピセトロンの強力な制吐作用に関与している可能性が考えられる.
  • 古川 安之
    1999 年 114 巻 4 号 p. 227-231
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    調律を調節する歩調取り電位を持つ細胞群は洞結節だけでなく心房内の他の歩調取り部位 (洞結節の上大静脈・右心房前面の部位, いわゆるBachmann's bandleや洞結節の下部領域など) にも存在することが知られてきた.しかし, これらがどのように心房調律を調節しているかについての報告は殆ど無く, 心房不整脈の理解も含めて研究が必要と思われる.そこで, 我々は多極電極マッピング法を麻酔犬の心臓に応用し, 最早期興奮部位と心房周期を検討することによって歩調取り部位と心房調律に対する自律神経あるいは歩調取り電位を調節する薬物の作用を検討したのでその方法と結果について述べる.実験はペントバルビタール麻酔開胸犬で行った.歩調取り細胞は多極電極から得られた最早期興奮部位内にあると考え, 最早期興奮部位を右心房前面と洞結節領域を含む右心房後面を覆うことができる48極の単極電極からなる2つの電極板を用い求めた.電極は直径1mm, 電極間は横3mm, 縦5mmとした.48極の単極電極からのデータはFUKUDADENSHIのHPM-7100を用い解析した.3msの等時線図を作成し, 最早期興奮部から3msまでの領域を最早期興奮部位とした.この多極電極マッピング法を用いて, (1) 交感・副交感神経活動によって最早期興奮部位が移動すること, (2) 交感・副交感神経相互作用において最早期興奮部位の移動についても副交感神経優位であること, (3) 心房内歩調取り細胞のCa2+電流, 過分極誘発内向き電流, 遅延整流K+電流の役割が異なることなどが示され, 多極電極マッピング法を用いることによって更に多くの情報が得られることが期待される.
  • 福田 陽一, 沢多 美和, 鷲塚 昌隆, 東野 雷太, 福田 義久, 田中 芳明, 武井 峰男
    1999 年 114 巻 4 号 p. 233-238
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ウシ肝臓水解物のラット肝再生に対する作用について70%部分肝切除モデルを用いて検討した.肝臓水解物は肝切除24時間後の肝重量を用量依存的に増加させ, その効果は, 0.5g/kg, p. o. の用量から有意であった.細胞増殖の指標として, 肝オルニチンデカルボキシラーゼ (ODC) 活性およびproliferating cell nuclear antigen (PCNA) labeling indexについて検討した.肝臓水解物は肝切除4時間および24時間後の肝細胞質中の0DC活性を有意に上昇させた.また, 肝切除24時間後のPCNA labeling indexを用量依存的に上昇させ, その効果は0.5g/kgの用量から有意であった.以上の結果から, 肝臓水解物は肝再生促進作用を有すことが示唆された.
  • 1999年6月5日(土) 横浜市
    1999 年 114 巻 4 号 p. b49-b61
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 1999年6月18日(金) 広島市
    1999 年 114 巻 4 号 p. b62-b81
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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