日本薬理学雑誌
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91 巻 , 4 号
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  • 須藤 伝悦, 秋山 佳代, 前田 一郎
    1988 年 91 巻 4 号 p. 173-180
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    脳内に分布する神経伝達物質を定量的に分析するための顕微測光装置システムを開発した.このシステムは,螢光免疫組織化学染色あるいは螢光組織化学染色された標本を顕微鏡下で測光するものである.受光部に最も信頼性の高い光電子増倍管を使用しており,テレビカメラを使用した顕微画像解析装置と比較して,定量性の面で2桁程優れている.パーソナルコンピューターによつて制御されている顕微鏡のオートスキャンニングステージが,毎分約250ポイントのスピードでX,Y方向に走査し,マウスやラットの脳・脊髄標本を10,000ポイントまで測光できる.測光ポイント数や走査の範囲を自由に選択でき,細胞レベルでの物質の分析が可能である.ここでは,ラット頸髄におけるacetylcholine,choline acetyltransferase及びacetylcholinesteraseの免疫組織化学像を分析し,これまでの知見と矛盾しない結果を得た.
  • 桜井 真夫, 小峰 勇, 出村 信隆, 坂口 孝, 後藤 正義
    1988 年 91 巻 4 号 p. 181-186
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    メチルキサンチン誘導体であるcafgeineとpropentofyllineの中枢作用について比較検討した.マウスを用いた懸垂試験におけるdiazepamによる筋弛緩作用に対してcaffeineは桔抗したが,propentofyllineは拮抗しなかった.マウスを用いたpentylenetetrazolに対するdiazepamの抗痙攣効果に,caffeineは拮抗したが,propentofyllineは拮抗しなかった.ネコ脊髄反射においてcaffeineは後根反射電位を抑制し,propentofyllineは影響しなかった.従って,caffeineはbenzodiazepine受容体に作用するが,propentofyllineは作用しないと考えられる.ネコ脊髄前根反射電位において,propentofylineは電位を増大させたが,caffeineは影響しなかった.メチルキサンチン誘導体であるpropentofyllineの中枢作用は,caffeineで認められるような抗diazepam作用を示さなかった.また,caffeineと異なり,propentofyllineはGABA系に作用しないと考えられる.
  • 渡辺 理恵
    1988 年 91 巻 4 号 p. 187-196
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    ラットにおいて,verapamil 1回静脈内投与後の心電図変化に著明な性差を見いだした.そこでverapamilの作用に対する性ホルモンの関与を検討した.成熟雄ラットではverapami1 0.5mg/kg投与時,心電図上全例に1度房室ブロック(以下AVブロック),PR間隔で28%の延長を認めた.1mg/kg投与時は全例に2度以上のAVブロックを認め心拍数は約50%低下した.2mg/kgでは全例に3度以上のブロックを認めた.これに対し雌では1mg/kg投与時にはじめてPR間隔延長が見られたが,心拍数に変化は無かった.2mg/kgで雌にも雄と同様のAVブロック,心拍数減少を認めた,verapamil 1mg/kg投与時の反応の年齢差を観察すると,7週齢までは雌雄ともに心拍数に大きな変化は認めなかった.性成熟開始期の8週齢で雄がAVブロックを発現しはじめ11週齢でほぼ成熟期と同様の反応を呈した.雌では成熟による反応性の変化は見られなかった.雌雄ラットを幼若期あるいは成熟期に去勢するといずれの場合もverapamilに対する反応性は正常雌雄の中間型となった.testosterone20mg/kg2時間の前投与により去勢群雌雄,偽手術群雄で基礎心拍数の著明な低下が見られ,去勢群雌においてはverapamil投与後に著明なAVブロックと心拍数低下を認めた.estradiol-17β 1mg/kg前投与では去勢群雄が対照に比し若干の基礎心拍数減少を示したのみであった.以上よりラットにおいては心臓の房室結節におけるverapamilの作用点にtestosteroneが何らかの関与をしている事が示された.
  • 尾崎 覚, 大川 功, 加藤 義則, 田島 鉄弥, 木村 正一, 折笠 精一
    1988 年 91 巻 4 号 p. 197-207
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    ラットを用いて,造精機能障害の病態モデルを確立し,この造精機能障害に対するmecobalamin(CH3-B12)の効果を検討した.1)ラットにdoxorubicin(ADR)を3週間,5週間および7週間皮下投与し,造精機能を評価した.その結果,ADRを0.1mg/kg以上,5週間投与した場合,精巣および精巣上体の重量は減少した.また,精巣組織像において,精細管の萎縮および精細胞分化の阻害が認められた.さらに,精巣上体尾部の精子数と精子運動率の減少および精子奇形率の増加が認められた.これらの造精機能障害の程度は,ADRの用量と投与期間に依存していた.2)上記の基礎的な検討から,著者らは0.25mg/kgのADRを5週間投与し実験的造精機能障害を作製し,CH3-B12を5週間および10週間腹腔内投与し,CH3-B12の効果を評価した.その結果,CH3-B12を1,000μg/kg 10週間投与した場合,精細管直径および精子数が有意に増大および増加し,また,精子運動率が増加する傾向を認めた.以上のことから,CH3-B12は造精機能障害を改善する作用をもち,乏精子症治療薬の可能性が示唆された.
  • 西森 司雄, 森野 久弥, 土山 道夫, 池田 博信, 長谷川 薫, 東尾 尚宏, 秋田 晶平, 山内 敏彦, 中尾 健三, 犬飼 利也
    1988 年 91 巻 4 号 p. 209-220
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    cadralazineの中枢神経系に対する作用について検討を加えた.cadralazineはマウスにおいて,0.5mg/kg,p.o.より自発運動量の抑制.最大電撃けいれんの増強作用を示した.ラットでも本薬は0.5mg/kg,p.o.以上で尾または耳介の発赤,5mg/kg,p.o.以上で自発運動の低下および呼吸の深大化をもたらした.cadralazine 2.5mg/kg,p.o.はマウスにおいてthiopental-Naの睡眠時間の延長,methamphetamineの運動亢進の抑制および酢酸writhingの抑制を示した.なお,酢酸writhingの抑制作用はnaloxoneの前処置により拮抗されなかった.本薬は5mg/kg,p.o.でラットの体温下降,マウスのtremorine拮抗作用を示した.本薬は,25mg/kg,p.o.の高用量でマウスのreserpineの誘発による眼瞼下垂を増強した.ラット条件回避反応およびネコ脊髄反射に対しては,cadralazine 100mg/kg,p.o.の高用量でも未処置群との間に統計学的な有意差は認められなかった.慢性電極植込みウサギ脳波に対して,cadralazine 1または5mg/kg,i.v.は自発脳波および中脳網様体の高頻度電気刺激による脳波覚醒反応の閾値に対して著明な影響を及ぼさなかった.cadralazine 100mg/kg,p.o.は高用量でもtail pinch法を用いたマウスの鎮痛作用および傾斜板法および懸垂法を用いたマウスの筋弛緩作用に対し著明な影響を及ぼさなかった.以上まとめると,cadralazineにより種々の作用が認められたが,これらの作用は定性的にhydralazineとほぼ類似していた.本薬が中枢移行の極めて少ないことを考慮すると,本薬の薬効である血管拡張作用に由来する血圧下降によるものと考えられる.
  • 西森 司雄, 西村 敬治, 小林 文夫, 中野 大三郎, 福田 好造, 左近上 博司, 中西 順一, 木村 恵人, 辻 治美, 東尾 尚宏, ...
    1988 年 91 巻 4 号 p. 221-236
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    cadralazineの薬理作用を呼吸・循環器系・腎・自律神経系・消化器系・血液その他について検討を加えた.cadralazineは麻酔ネコに3mg/kgを静脈内投与した時,呼吸数の増加,血圧の明らかな下降,心拍数の増加および心電図のQT間隔の短縮を示した.5mg/kg以上の経口投与時にも降圧作用が認められた.呼吸・心拍数・心電図には100mg/kg,p.o.での投与でも著明な作用を示さなかった.麻酔ネコにおいて,cadralazine 3mg/kg,i.v.によりadrenalineの昇圧反応は抑制され,acetylcholineの降圧反応は著明な影響を受けなかった.モルモット摘出心房に対し,cadralazineおよび本薬の活性代謝物であるISF 2405は10-4g/mlの高濃度で負の変時作用を示した.cadralazine 25mg/kg,p.o.は麻酔ネコの電気刺激およびadrenaline刺激による瞬膜収縮に対し影響を及ぼさなかった.cadralazine2.5mg/kg,p.o.でマウスの消化管輸送能の抑制がみられたがウサギの生体位腸管運動(100mg/kg,p.o.)および自動運動(10-4M)は影響を受けなかった.ラットの胃液分泌は本薬の5mg/kg,i.d.(十二指腸内投与)以上で抑制されたが,本薬は生体位胃運動,生体位および摘出子宮運動に対し高用量の投与時以外はほとんど影響を及ぼさなかった.cadralazine 2.5mg/kg,p.o.以上でラットにおいて尿量および尿中Na+,K+,Cl-排泄の減少あるいは減少傾向が認められた.cadralazineはラットの血液凝固および赤血球浸透圧脆弱性,ウサギの溶血性および血小板凝集に有意な影響を及ぼさなかった.代謝物ISF2405は溶血性に対して0.Ol%で軽度の0.1~1.0%では中等度の作用を,血小板のarachidonic acid凝集に対しては10-4Mで抑制したが,これはきわめて高濃度であった.cadralazine 5mg/kg,p.o.以上はラットcarrageenin足浮腫に対し抑制作用を示した.以上の作用は定性的にhydralazineとよく類似したものであった.
  • 竹田 茂文, 新井 一郎, 長谷川 雅之, 立木 朱美, 油田 正樹, 細谷 英吉
    1988 年 91 巻 4 号 p. 237-244
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    五味子リグナン成分TJN-101(3~100mg/kg/day)を4日間反復経口投与した際の胆汁分泌,肝色素排泄能および肝内循環動態についてphenobarbital(100mg/kg/day)と比較検討した.TJN-101(30,100mg/kg/day)およびphenobarbitalは投与終了24時間後における胆汁流量を増加させた.これらの作用は総胆汁酸濃度の減少を伴っており,胆汁酸非依存性画分の分泌促進に起因すると推測された.投与終了24時間後のBSP負荷試験において,TJN-101(30,100mg/kg/day),phenobarbitalともBSPの血中からの消失ならびに胆汁中への排泄を促進した.肝内循環動態は水素ガスクリアランス法および肝湿・乾重量の測定により検討した.TJN-101およびphenobarbital投与群において,総肝血流量は増加傾向にあったが,肝含水率に著変は認められなかった.これらのことから,両化合物による肝重量増加は肝浮腫を伴っておらず,胆汁分泌や肝色素排泄能の促進といった作用の発現には総肝血流量の増加が関与している可能性が示唆された.
  • 大久保 千代次
    1988 年 91 巻 4 号 p. 245-253
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    アセチルコリン(ACh)とその誘導体であるmethyl N-trimethyl-γ-aminobutyrate chloride (MTB)のウサギ皮膚表面への局所適用および静脈内投与を行ない,両薬剤の微小循環系ならびに広域循環系に及ぼす影響について比較した.微小循環動態の観察は耳介透明窓(REC)を装着したウサギ6羽を対象に無麻酔下で生体顕微鏡的に,TV-システムおよび微細光電プレシスモグラフィを用いて行ない,以下の結論を得た.1)両薬剤の1%クリームを耳介皮膚表面へ適用することにより,MTBは広域循環系に何等の影響を与えずに,REC内の皮膚微小循環系において血管運動を維持しながら拡張期には細動脈管径を処置前に比較して有意に増大させ,微小循環系血行を30分以上にわたって促進することが判明した.AChにもこのような血管拡張作用が軽度に認められるものの有意ではなく,またその持続時間はMTBに比較して短かった.2)両薬剤の静脈内投与では,ともに微小循環系ならびに広域循環系血行動態に対してコリン作動性に働くが,極めて短時間で,且つ,両者の間にその効果の程度や作用持続時間に差は認め難かった.3)従って,MTBの1%含有クリーム皮膚表面局所適用は,全身性に何等の影響を与えることなく,血管運動を温存しながら微小循環系に生理学的に望ましい血管拡張効果を示し,毛根部皮下組織への酸素供給を促進しているものと思われる.
  • 溝田 雅洋, 甲木 由紀夫, 水口 清, 遠藤 彰二, 宮田 治男, 小島 正裕, 兼広 秀生, 岡田 美智子, 高瀬 あつ子, 石黒 淳三 ...
    1988 年 91 巻 4 号 p. 255-266
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    エイコサペンタエン酸エチルエステル(EPA-E)の3および30mg/kg/日の高コレステロール食(HCD)飼育した家兎における血管病変および血液成分の変化に対する作用を検討し,一部,チクロピジン30mg/kg/日投与による作用と比較した.HCD飼育による胸部大動脈伸展性の低下は,EPA-E30mg/kg投与により有意に改善された.チクロピジン30mg/kg投与によっても軽度ながら改善作用が認められた.大動脈粥状硬化面積に対してはEPA-Eおよびチクロピジンの作用は明らかではなかった.胸部大動脈の乾燥組織重量,エラスチン量ならびにコラーゲン量にEPA-Eの影響は認められなかったが,チクロピジンと異なり,EPA-E30mg/kg/日投与により血管壁コレステロール(Ch)量の低下傾向が認められ,更に,エラスチン画分中のCh量も低下傾向が認められた.EPA-Eおよびチクロピジンは頸動脈PGI2様活性産生能の亢進に対しては一定の作用傾向を示さなかった.胸部大動脈の弾性線維,膠原線維,酸性ムコ多糖およびカルシウム沈着のいずれについても対照群とEPA-E投与群との差は認められなかった.一方,EPA-Eの血漿総Ch,HDL-Chおよびトリグリセリド(TG)への影響は明らかではなかったが,HCD飼育による血小板のアラキドン酸(AA)凝集能およびTXA2様活性産生能の亢進に対し,EPA-E 30mg/kg/日投与によりわずかながら抑制傾向が認められた.更に,血中および血小板中EPA量はEPA-E 30mg/kg/日投与により著明に上昇したが,ドコサヘキサエン酸(DHA)およびAA量には変化がなかった.以上のように,EPA-EをHCD飼育家兎に連日経口投与することにより,血漿および血小板中EPA量の明らかな増大と血管弾性低下の著明な改善が認められ,このEPA-Eの作用機序は明らかではないが,一部はChへの血管壁の蓄積をはじめとするエラスチンに富む弾性線維の生化学的な変化に対する抑制作用が想定された.
  • 竹尾 聰, 田野中 浩一, 平野 智行, 三宅 慶子, 岡本 淳子
    1988 年 91 巻 4 号 p. 267-273
    発行日: 1988年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,naftidrofuryl oxalate (LS-121)が両側総頸動脈結紮マウスの生存時間と脳エネルギー代謝に有益な効果を示すか否かを明らかにするために企画された.両側総頸動脈結紮マウスの生存時間は100から308秒であった.15,45,100mg/kg,i.p.及び100mg/kg,p.o.のLS-121の投与でその生存時間が有意に延長された.脳アデノシン3燐酸(ATP),クレアチン燐酸(CP)及びglucose含量は両側総頸動脈結紮後2分目で著明に減少した.脳乳酸量は結紮により増加し,一方ピルビン酸量は不変であった。15,45mg/kg,i.p.及び100mg/kg,p.o.LS-121をマウスに前投与すると両側総頸動脈結紮により誘発されるマウス脳ATP,CP量の減少は有意に抑制された.結紮により誘発されるglucose量の減少及び乳酸量の増加は45mg/kg,i.p.LS-121処置により減弱される傾向を示した.45mg/kg.j.p.LS-121前処置,あるいは未処置下における両側総頸動脈結紮により変化する代謝変数値の経時的変化を追うと結紮により減少する脳高エネルギー化合物の有意な抑制が観察された.上記結果は,LS-121が虚血マウス脳エネルギー代謝に有益であることを示唆している.この効果が生存時間延長に関連あると思える.
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