日本薬理学雑誌
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90 巻 , 2 号
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  • 黒見 坦
    1987 年 90 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    This paper summarizes the hypothesis proposed to explain the mechanism for AChR localization at the neuromuscular synapse. Two theories have been proposed to explain the neuronal control of extrajunctional AChR. One theory claimed that motoneurons decreased the ACh sensitivity of the extrajunctional membrane through neurotrophic influence. However, direct electrical stimulation of denervated muscles resulted in a decrease of extrajunctional ACh sensitivity, supporting the other hypothesis that loss of extrajunctional AChR of the innervated muscle is directly related to muscle activity per se. AChR clusters (high density of AChR) at the neuro-muscular junction were supposed to result from the association of nerves with preexisting AChR clusters. However, Xenopus nerve-muscle cocultures clearly demonstrated that AChR clusters at the neuromuscular junction were formed after the nerve came in contact with the muscle membrane. Two hypothesis are proposed for nerve-induced formation of AChR clusters. Preferential insertion of AChR into the end-plate was suggested by the finding that AChR messenger RNA was more abundant near to than far from the end-plate in adult muscle fibers. On the other hand, in cultured and embryonic muscles, AChR clusters were formed at nerve-muscle junctions through receptor redistribution which was mediated by the passive diffusion-trap mechanism.
  • 藤井 恵美子, 塚原 富士子, 野本 照子
    1987 年 90 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    streptozotocin(STZ,170mg/kg,i.p.)投与後2,4,8週マウスにおけるpentobarbita1(Pento)による催眠作用と肝ミクロゾームにおける薬物代謝との関連性を明らかにする目的で本実験を行った.単位体重当りの肝重量は,STZ投与後いずれの週においても対照に比し増加した.Pento(60mg/kg,i.p.)の睡眠時間は,STZ投与後いずれの週においても短縮したが,Pentoの分解酵素活性(加藤らの方法,1964による)は4週まで増加,8週では低下した.phenobarbital(100mg/kg,s.c.)による肝の酵素誘導およびSKF525-A(10mg/kg,i.p.)による酵素阻害は,STZ糖尿マウスにおいても,対照群と同様に認められたが,薬物代謝酵素活性との関連は明らかではなくなった.nicotinamideの前処置は,STZ糖尿マウスでみられる高血糖とPentoによる睡眠時間の短縮を完全に抑制した.NPH-insulin処置は,STZ誘発による高血糖を部分的に抑制し,Pentoによる睡眠時間の短縮に影響を及ぼさなかった.以上の結果,STZ糖尿マウスにおけるPentoに対する反応性の低下は,高血糖状態のような肝の代謝異常に一部関与していることが示唆された.
  • 佐藤 博実, 中野 正夫, 堀田 郁子, 高橋 二郎, 森口 幸栄
    1987 年 90 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    あらかじめ両側椎骨動脈を電気凝固で閉塞したラットの両側総頸動脈を30分間閉塞することにより作製した脳虚血モデルを用いて,血流再開後の脳波および脳内ATP含量に対するFO-1561の効果を検討した.脳波をδ(0.5~4Hz),θ(4~8Hz),α(8~13Hz)およびβ(13~32Hz)の各周波数帯に分け,それぞれのパワーの血流再開後の再出現時間および45分後と60分後におけるトータルパワーに対する割合の変化を調ぺた.その結果,FO-1561 10~100mg/kg(S-adenosyl-L-methionineとして)を血流再開と同時に静脈内投与することにより,α波の再出現時間の有意な短縮が見られ,またトータルパワーに対するδ波の減少,θ,αおよびβ波の増加すなわち速波パターンへの移行が見られた.血流再開20分後のATP含量を測定したところ,FO-1561100mg/kg投与により有意な増加が見られた.以上より,FO-1561は実験的脳虚血ラットにおける脳波およびATP含量の回復過程を促進することが認められ,臨床上脳血管障害に基づく機能障害の改善に有効であることが示唆された.
  • 谷口 勝彦, 浦上 美鈴, 高中 紘一郎
    1987 年 90 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    各種抗アレルギー系薬物の多形核白血球(PMNs)におけるアラキドン酸遊離活性,スーパーオキサイドァニオン(O2-)産生能に及ぼす薬物の阻害効果を検討した.formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine(FMLP)刺激によるPMNsからのアラキドン酸遊離に,20μMの濃度でazelastineとclemastineは約50%の阻害を示し,50μMの濃度でほぼ100%の阻害を示した.他方,cromoglycate,chlorpheniramine,diphenhydramineは50μMまでの濃度では50%以上の阻害作用は示さなかった.O2-産生能に対する効果は,上記の薬物ではほぼアラキドン酸遊離阻害作用と平行的な相関性を示したが,ketotifenはこれらの薬物の中間的な作用様式を示し,アラキドン酸遊離は50μMで50%以上を抑制したが,O2-産生能にはほとんど影響しなかった.これら薬物の細胞毒性をトリパンブルー試験法により検討をおこなった結果,いずれも50μMまでの濃度では有意な障害性を示さなかった.これらの実験結果から,抗アレルギー系薬物の中で化学伝達物質遊離阻害薬として知られるazelastine及びヒスタミン(H1)受容体遮断薬として分類されるclemastineは,低濃度で細胞を傷害する事なくPMNsの機能を抑制し,アラキドン酸カスケードの第一段階を阻害することにより抗アレルギー効果の重要な一端を担っていることが.示唆された.
  • 永瀬 毅, 石河 二郎, 高折 修二
    1987 年 90 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    aryl-1,4-dialkylpiperazine誘導体である1-[2-[bis(fluorophenyl)methoxy]ethyl]-4-(3-phenyl-propyl)piperazine dihydrochloride(I-893と略)の脳内dopamine(DA)およびnorepinephrine(NE)含量,合成系および代謝系に及ぼす効果をラットを用いて検討した.I-893の10mg/kg経口投与は脳内DAおよびNE量に影響しなかった.50および250mg/kg投与は,尾状核および視床下部のDA量を一過性に増加させたが,2時間後より用量依存的に減少させた.しかし,嗅結節のDA量に対する効果は比較的弱かった.視床下部および大脳皮質前頭葉のNE量もI-893により用量依存的に減少した.全脳および嗅結節を除いた上記の脳内諸部位において,I-893はα-methyl-p-tyrosineによるDAおよびNE減少効果を増強した.MAO阻害剤であるpargyline処置後の3-methoxytyramine量は,尾状核および嗅結節においてI-893の用量に依存して増加した.一方,芳香族アミノ酸脱炭酸酵素阻害剤であるNSD-1015処置後のDOPA蓄積量は,全脳,特に尾状核,嗅結節および大脳皮質前頭葉においてI-893の大量投与により減少した.I-893の10mg/kg14日間連続経口投与は体重増加率に影響しなかったが,50および250mg/kg連続投与では体重増加は明らかに抑制された.また,I-893の14日間連続投与は,本剤によるNE量減少効果を若干減弱させたが,DA量の減少効果にはほとんど影響せず,いわゆる耐性を示さなかった.以上の成績は,I-893に神経終末におけるDAおよびNEの遊離促進あるいは取り込み阻害効果の存在することを示すものである.
  • 榊原 仁作, 森 淳, 永井 慎一, 堀田 芳弘, 竹谷 和視
    1987 年 90 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    6員環ラクトンを有する強心ステロイド,proscillaridin(PS)を接触還元して得られる5種類の還元体(bufa-4,20-dienolide(PH21),bufa-4,20(22)-dienolide(PH22),20R-bufa-4-enolide(PH4-R),20S-bufa4-enolide(PH4-S),chola-4-enoate(PH4-E))の心臓に対する薬理作用をモルモットを用いて実験した.各還元体の心筋に対する陽性変力作用(PIE)は摘出右心室乳頭筋駆動標本(lHz)を用いて行った.各還元体は母化合物PSよりもPIEの発現が速く,特徴ある形の濃度-PIE曲線を示した.最大収縮値の50%の収縮を起こさせる濃度(pD2値)はPS7.4に対しPH22 6.2,PH21 5.8,PH4-R5.3,PH4-E 5.0,PH4-S 4.9であった.ラクトン環を還元したこれらの化合物ではPIEの発現時間は速くなった.各還元体の濃度-PIE曲線において効力は減少したが,PIEの最大効果の増大が認められた.PH21とPH4-Rは単一物質であるにもかかわらず広い濃度範囲でPIEを示した・このことを丸ごとの動物の心電図を測定することにより確かめた.即ち,モルモットの心電図においてPH21 11.9mg/kgあるいは,PH22 5.lmg/kgといずれもpD2値の4.4倍に相当する量を頸静脈内に投与した時,PH21(n=5)は3時間不整脈を起こさず,PH22(n=5)は,30分以内にすべて不整脈を生じ・た,これらの結果から,PH21は母化合物PSよりも速いPIEの発現と広い濃度依存性のPIE域を持つ安全な化合物と思われる.一方,PH22は濃度-PIE曲線において急峻な立ち上がりを示し,不整脈が早い時点より出現した.
  • 檜山 幸孝, 渡邊 裕司, 三浦 圭子, 杉田 昭栄, 田中 宏一, 寺澤 捷年
    1987 年 90 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    黒質線条体ドーパミン(DA)系を一側性に除神経した成熟ラットの線条体に胎仔の中脳神経細胞を懸濁化して移植し,損傷機能の修復機構を明らかにする目的で,apomorphine誘発の旋回行動評価による運動機能回復,移植した神経細胞の形態学的特徴およびDAと代謝産物の量in vivo遊離について検討した.移植後2週目,apomorphine誘発の反対側性旋回行動は移植をうけた26例中11例のラットにおいて有意に抑制され,観察期間の10週目まで持続した.残る15例のうち3例では,移植後4週目まで旋回行動は有意に抑制されたが,5週目に抑制は消失した.残りの12例では,移植後1度も旋回行動の抑制はみられなかった.旋回行動の抑制がみられたラットでは移植した神経細胞が軸索突起を宿主の線条体内へ伸長しているのが確認された.移植後に旋回行動が有意に抑制されたラットを麻酔下に脳内透析すると,線条体からDA,3,4-dihydroxyphenylacetic acid (DOPAC)およびhomovanillic acid (HVA)の遊離が認められ,methamphetamine投与によりDAの遊離量は増加し,DOPACとHVAの遊離量は減少した.これらの結果から,移植された神経細胞は宿主の線条体へ軸索突起を伸長して新しい神経回路を形成し,DAを遊離することによって損傷機能を回復させる可能性が示唆された.また,これらの神経細胞あるいは軸索突起はmethamphetamineに対して反応性を有することが示された.
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