日本薬理学雑誌
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116 巻 , 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 浜田 知久馬, 小野 英樹
    2000 年 116 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    薬理学研究を計画する段階と,得られた実験結果を評価する段階の双方で,生物統計学は重要な役割を果たす.実験計画において特に重要なプロセスは,ランダム化である.ランダム化の目的は,系統誤差を偶然誤差に転化することによって,群間の比較可能性を保証することである.またランダム化によって,統計学的な検定を適用するための土俵が与えられる.このランダム化と局所管理,マスク化を組み合わせることによって,科学的に最も水準が高く,かつ効率的な実験が可能になる.ランダム化の方法によって,適切な解析手法は異なり,実験デザインと,解析方法はリンクしたものである.薬理学研究を成功させるためには,計画段階で統計学的な考慮を十分行う必要がある.
  • 小宮山 靖, 平田 篤由, 半田 淳
    2000 年 116 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    薬効薬理試験から得られる情報は,薬の性質を語るときに推論の根拠を与えるものであり,医薬品開発の最初の関門である人への投与を決定する際にも重要な根拠となるものであるため,科学的な客観性の高い情報が求められている.実験計画法の考え方を導入して結果に影響を与える変動因子群を予め管理し,例数設計に基づく検証的な試験を実施することにより,信頼性の高い情報が効率よく得られるようになる.これは試験の進め方の再考であって,今まで行われてきた試験に追加して検証的な試験を行うことを求めているのではない.統計学はデータを収集した後の推定や検定の手段だけではなく,予備実験の方法,試験の計画に大きく貢献できるはずである.ある意味で臨床試験よりも完全な実験が行える非臨床試験こそ,早い段階からの生物統計家との共同作業が必要であると考えられる.
  • 山田 雅之, 橋本 敏夫, 前田 博
    2000 年 116 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    医薬品を科学的な根拠に基づいて開発するためには,試験を適切にデザインし,計画に従ってデータの収集および解析を実施し,正確に報告することが重要である.薬効薬理試験:においても,試験を科学的に実施し,その結果を客観的に評価することが重要となる.そのための一つの手段として統計解析が利用されているが,その利用に問題のある場合も指摘されている.そこで本総説では,薬効薬理試験の試験計画を立案し,試験実施に対し十分な情報を含んだ試験計画書を作成するにあたって,必要と考えられる統計的留意事項を示した.ただし,本総説で示す統計的留意事項は,全ての薬効薬理試験に画一的に適応されるものではなく,試験において必要とされる統計的な裏付けの強さにより適宜適応範囲を決定されるべきものである.本総説で示した統計的留意事項としては,試験計画立案時の留意事項として,「試験:目的の明確化」,「評価項目・評価指標の選択」,「作業仮説の設定」,「統計解析手法の選択」,「試験:デザインに関する検討」,「統計解析方法の記載に関する留意事項」の6項目を挙げた.これらの留意事項に配慮し,適切な試験計画を立てることによって,より信頼性の高い結論を得ることが可能になると考える.
  • 橋本 敏夫, 山田 雅之, 前田 博
    2000 年 116 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    医薬品を科学的な根拠に基づいて開発するためには,試験計画書に従ってデータの収集および解析を実施し,正確に報告することが重要である.本総説では,薬効薬理試験の試験報告書作成における統計的留意事項として5項目をあげた.(1)統計解析方法の記載の項に,使用した統計解析手法を具体的に記載することの必要性を示した.(2)解析対象の記載の項に,解析に含めなかった個体数とその理由,および処置群間の比較可能性に関する記載の必要性を示した.(3)図表作成の項に,データの特徴,例数,統計解析手法などの十分な統計的情報を含める必要性を示した.(4)結果・考察の表現を含めた全般的留意事項の項には,使用する統計解析手法の特性を十分に把握した上で薬理学的な結論を導くことの重要性,および試験結果に関する情報の活用のために重要と考えられる統計的留意事項を示した.(5)複数の試験報告書をまとめて新たな報告書を作成する上での留意事項の項に,複数の試験結果をまとめて総合的に考察する場合に考慮すべき事項を示した.これらの留意事項に配慮し,適切な試験報告書を作成することによって,より信頼性の高い結論を得ることが可能になると考える.
  • 河合 統介, 後藤 昌司
    2000 年 116 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    悉無応答型生物試験とは,生物にある医薬品あるいは化合物を与えたときに惹き起こされる悉無反応によって,その物質(あるいは過程)の特性,組成あるいは効力を推測する実験をいう.例えば,医薬品開発における生物試験の主要な目的は,所与の標準薬に対する新しい化合物の相対的な効力を生体反応に及ぼすそれらの影響の大きさに基づいて測定することである.そして,薬理作用の強さに関する定量的な評価は,それらの用量・反応曲線の比較に集約される.本稿では,悉無応答を伴う2つの用量・反応曲線の比較を意図した解析に焦点をあて,モデルの妥当性診断とあてはめ結果の解釈を中心に統計的観点から考察する.
  • 吉岡 俊正, 塚原 富士子
    2000 年 116 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    Green fluorescent protein(GFP)および関連する蛍光タンパク質は,細胞生物学の様々な分野に応用されている.その中で蛍光タンパク質と核レセプターなどの細胞内の情報伝達に関与するタンパク質のキメラは細胞内情報伝達の輸送系を可視的に解析することを可能とした.輸送機序とその病態による異常の解明には,輸送されるタンパク質(例えばステロイド受容体)と輸送に関わるタンパク質群(熱ショックタンパク質,イムノフィリン等)の動的な相互作用を解析しなくてはならない.GFP融合キメラタンパク質の発現系を用いて,生きた細胞内での標的タンパク質の移動を観察することにより,例えばグルココルチコイドによる転写調節の過程で,従来解析されているホルモン-レセプターあるいはレセプター-DNA相互作用だけでなく,レセプター-輸送タンパク質群の相互作用を明らかにすることが出来る.従って本技術は,例えばグルココルチコイド抵抗症などタンパク質輸送系の異常に対する薬理学的アプローチに応用することが可能である.
  • 若林 広行, 小野寺 憲治
    2000 年 116 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2000年
    公開日: 2007/01/30
    ジャーナル フリー
    骨粗懸症などの骨代謝疾患におけるビタミンK1,ビタミンK2各同族体の生理的ならびに病態生理的な役割と生体内での動態を解明するためには,ビタミンK同族体の高感度で簡便な測定法が不可欠である.そこで,ビタミンKの構造特性から,白金触媒還元カラムを高速液体クロマトグラフィーの逆相系分離カラムの直後に接続し,分離溶出された各ビタミンK同族体を白金触媒カラム中で還元し,その還元体を直ちに電気化学検出器(EICOMECD-300)で酸化検出(+0.6Vvs.Ag・AgCl)する方法を検討した.その結果,従来法に比べより微量な試料で各ビタミンK同族体を高感度(検出限界:2~10pg)に定量することが可能となった.本法を用いて,骨粗霧症患者の血中のビタミンK同族体ならびに変形性関節症患者の皮質骨と海綿骨中のビタミンK同族体を測定した結果を紹介する.
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