benzodiazepine系minor tranquilizerの呼吸抑制作用の有無,程度をpentobarbital麻酔ラットの換気量および両側の迷走神経を頸部で切断したネコの横隔神経活動(吸息中枢の活動を反映している)を指標として検討した.後者の実験においては,血圧,心拍数および赤外線CO
2ガスアナライザー(LB-1 Beckmann)で呼気中のPCO
2を同時に測定記録した.1.diazepam 10,20mg/kg p.o.,chlordiazepoxide 20,40mg/kg p.o.でラットの換気量は投与前より減少した.oxazolamおよびcloxazolamは20,40mg/kg p.o.でラットの換気量を投与前より減少させることはなかったが,CMC投与群よりは幾分換気量を減少させる傾向があった.2.ネコの横隔神経活動に対して,diazcpam(溶媒にとかしたもの)および注射剤(Gercine
®)0.5mg/kg/i.v.は群発放電の頻度および積分された電位の大きさを抑制した.chlordiazepoxide 1mg/kg i.v.は神経放電の積分値の大きさを軽度に抑制した.oxazolam 1mg/kg i.v.はネコの横隔神経活動へほとんど影響しなかった.cloxazolam 1mg/kg i.v.は逆に投与直後のみ増大させる傾向があった.3・以上の結果からminor tranquilizerによる呼吸機能への影響は一様でなく,oxazolam,cloxazolamはdiazepam,chlordiazepoxideに比べて呼吸抑制作用は確かに弱いと推察された.
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