日本薬理学雑誌
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107 巻, 2 号
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  • 萩原 正敏
    1996 年 107 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    Transcription of a number of eukaryotic genes is activated in response to an increase in the intracellular cAMP concentration. These genes stimulated by cAMP have a common promoter element, cAMP response element (CRE). The CRE is recognized by a CRE binding protein, CREB. The binding of CREB to CRE does not induce transcription. Activation of transcription requires the phosphorylation or CREB at Ser-133. In the case of the cAMP pathway, the activated catalytic subunit of cAMP-dependent protein kinase (PKA) translocates to the nucleus and phosphorylates Ser-133 of CREB. In the nervous system, signals transmitted across synapses are known to regulate gene expression in the post-synaptic cell. This process often involves membrane depolarization and subsequent amplification of intracellular Ca2+. The transcriptional activation induced by membrane depolarization and Ca2+ influx is mediated by a promoter element, called the Ca2+ responsive element (CaRE). Recent studies of c-fos and proenkephalin gene expression have shown that the CaRE is indistinguishable from a CRE. In this paper, we focus on the possible interactions between Ca2+ and the cAMP signaling pathways into the nucleus.
  • 豊口 禎子, 仲川 義人, 渡辺 皓
    1996 年 107 巻 2 号 p. 53-66
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症治療薬である塩酸バンコマイシン(VCM)の腎における薬物相互作用を検討した.VCMはグラム陽性菌に抗菌作用を有し,混合感染発症患者ではグラム陰性菌にも有効な抗生物質,特にイミペネム(IPM)―シラスタチンナトリウム(CS)合剤などと併用されることがある.VCM,IPMは腎障害を惹起する作用を有しているが,CSはIPMの腎障害を抑制する作用を有することから,IPMに配合されている.そこで,これら3つの薬物の腎における相互作用を明らかにすべく,家兎を用い,VCMの腎障害,体内動態をIPM-CS併用時,CS併用時と比較検討した.家兎にVCM300mg/kg静注時に血清クレアチニン,BUN,組織学的変化等の明らかな腎障害がみられたが,CS300mg/kg併用時,IPM300mg/kg-CS300mg/kg併用時,IPM150mg/kg-CS150mg/kg併用時には臨床検査値の異常はみられず,組織学的にも変化はほとんど認められなかった.また,VCM体内動態に関しても,VCM単独投与時に比べ,CS併用時またはIPM―CS併用時には明らかにVCMクリアランスの増加がみられ,尿中VCM排泄率も増加した.さらに,家兎腎皮質スライス取り込み実験を行ったところ,VCMが能動的に腎皮質に取り込まれることが示唆された.また,CSの併用により腎皮質スライスへのVCMの取り込み抑制効果傾向がみられ,CS併用時の腎障害抑制効果には,CSによるVCMの腎細胞への取り込み抑制作用が関与している可能性が考えられた.
  • 関口 治男, 大澤 吾由美, 小林 文義, 大久保 秀夫, 多賀 福太郎
    1996 年 107 巻 2 号 p. 67-78
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    ラット酢酸胃潰瘍の治癒,再発および再燃に対する新規H2受容体拮抗薬KU-1257の影響を検討した.潰瘍は肉眼および組織学的に238日間観察した.潰瘍の自然治癒例は潰瘍作製後56日目から見られ119および153日目と経過するにしたがって増加し,再発,再燃例は210から238日目にかけて確認された.KU-1257群では潰瘍作製後56日目で対照群に比較して潰瘍の有意な治癒促進が認められた.また,休薬期間に入っても対照群に比べて再発・再燃例は少なかった.一方,シメチジン群では薬物投与期間中は潰瘍の明確な治癒促進効果は見られず,また,休薬期間に入ると再発,再燃例が漸次増加した.治癒例について再生粘膜では粘膜の厚さ,再生腺管の密度および配列から,また,粘膜下の間質では膠原線維の発育度,線維層の厚さ,新生血管および炎症性細胞の消退度から総合的に評価した.KU-1257群では対照群に比べ薬物投与期間において再生粘膜では腺管の密度が高く,その配列および粘膜の厚さも比較的均一であった.休薬期間に入ると粘膜下の間質の修復も進み,線維層の減少,新生血管および炎症性細胞の漸次消退が認められた..一方,シメチジン群では対照群と同様の推移であった.以上の結果から,KU-1257群では再生粘膜および粘膜下の間質の成熟度が高く,このことが再発,再燃の発現率の低下の一因と推察された.
  • 道善 公美, 渡辺 潔, 細野 昌宏, 林 裕
    1996 年 107 巻 2 号 p. 79-89
    発行日: 1996年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    SHRおよび腎機能低下モデルにおけるシルニジピンの腎機能に対する作用を,尿量,腎血流量(RBF)および糸球体濾過量(GFR)を指標としてニフェジピンおよび二力ルジピンと比較検討した.シルニジピン(3および10mg/kg,p.o.)は無麻酔SHRにおいて尿量,尿中Na+排泄量およびNa+/K+比を増加させた.ニフェジピン(3mg/kg,p.o.)およびニカルジピン(3および10mg/kg,p.o.)も尿量および尿中Na+排泄量を増加させた.麻酔SHRにおいてシルニジピン(3および10μg/kg,i.v.)はRBFを増加させた.ニフェジピン(10μg/kg,i.v.)はRBFを増加させたが,ニカルジピン(o.3~10μg/kg,i.v.)はRBFを増加させなかった.さらに,シルニジピン(10μg/kg,i.v.)はGFRも増加させた.一方,ニフェジピンはGFRを変化させなかった.麻酔SHRにエンドセリンを静脈内持続投与するとRBF,GFRおよび尿量は低下し,腎機能低下状態を示した.シルニジピン(1~10μg/kg,i.v.)は,エンドセリンにより減少したRBFおよび尿量を増加させた.二力ルジピン(3μg/kg,i.v.)およびニフェジピン(10μg/kg,i.v.)でも同様の作用が認められた.シルニジピンは,o.3μg/kgよりエンドセリン投与により減少したGFRを有意に増加させた.一方,ニカルジピンおよびニフェジピンにはGFR増加作用は認められなかった.以上,シルニジピンは,ニカルジピンおよびニフェジピンと同様,SHRにおいて利尿作用,RBFおよびGFR増加作用を示すことが明らかとなった.さらに,シルニジピンはエンドセリン処置SHRの腎機能を改善することから,腎機能障害時の腎機能を改善する効果を有することが示唆された.
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