新規に合成したSWR-00151(4-[2-[4-(1H-indol-3-yl)-piperidinyl]ethyl]-2(1H)-quinolino-ne)の実験的I型アレルギー反応に対する作用をオキサトミドおよびケトチフェンのそれらと比較検討し, その作用メカニズムについても若干の検討を加え, 以下の成績を得た. 本薬物は3~30mg/kgの経口投与でラットの48時間受動的感作皮膚アナフィラキシー(PCA)を用量依存的に抑制し,摘出モルモット回腸のヒスタミン収縮に対しても強い拮抗作用を示したが, ラット腹腔浸出細胞からのアナフィラキシー性ヒスタミン遊離には影響しなかった. これらの結果から, SWR-00151のPCA反応抑制作用は,遊離したヒスタミンに対する拮抗作用によるものと考えられた. 本薬物は低用量(1mg/kg,p.o.)でγ
1-richおよびIgE-richな抗血清によるモルモット実験的喘息を強く抑制した. しかし, ヒスタミンH
1およびH
2拮抗薬の前処置下では, この喘息に対して全く影響を与えなかった. モルモット実験的喘息にはヒスタミンの関与が大きいことから, 本実験的喘息に対するSWR-00151の抑制作用もPCAと同様に抗ヒスタミン作用によるものと考えられた. 一方,ラットの実験的喘息に対して, 抗ヒスタミン作用の強いケトチフェンおよびオキサトミドは,強い抑制作用を示さなかったが, SWR-00151はきわめて強い抑制作用を示した. 抗原惹起後の初期の反応に対しては, 抗セロトニン薬のメチセルジドも抑制作用を示した.オキサトミドおよびケトチフェンはモルモット回腸のセロトニン収縮を抑制したが, SWR-00151は高濃度で抑制傾向を示すにとどまった. SWR-00151の前処置は,ラットの実験的喘息発作時の血漿中トロンボキサン(TX)B
2量の増加を明らかに抑制した. これらの成績から,SWR-00151は,抗ヒスタミン作用に加えて,TXA2のような他のアナフィラキシー性メディエーターの生成/遊離を抑制する作用により,喘息に対して有効性を示す薬物であることが期待される.
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