モルモット回腸より剥離した縦走筋に対するpapaverine(10
-6~3×10
-4M),Aspaminol(1,1-diphenyl-3-piperidinobutanolhydrochloride)(3×10
-6~1.5×10
-3M),benactyzine(10
-4~10
-3M),verapamil(10
-7~10
-5M)およびD-600(10
-6~10
-5M)の収縮作用を調べて以下の結果を得た.1)これらの薬物は反復適用によって縦走筋に収縮反応を起し,その収縮反応はCa
2+栄養液中の濃度を高くすると増強された.2)Papavcrineの収縮作用は10
-5Mの濃度で最大となりさらに濃度を増しても変わらないが,Aspaminolおよびbenactyzineの収縮作用は3×10
-4Mの濃度で最大となり,さらに高濃度では収縮反応は減少した.3)これらの薬物による収縮反応は主にphasic contractionのみからなる.4)Papaverineによる収縮反応はMn
2+でacetylcholineのそれより容易に抑制されたが,Mn
2+でも収縮反応が観察された.5)Papaverineで収縮が起きているとき,またはそのあと弛緩に移行したときにAspamino1またはbenactyzineを適用しても後者による収縮は見られなかった.6)Papaverine,benactyzineおよびAspaminolによる縦走筋の収縮が最大になった時点に,cyclic GMP量の増大は見られなかった.このように,これらの平滑筋弛緩薬はいずれもモルモット回腸縦走筋に対し類似の収縮作用を示した.これらの薬物は平滑筋に結合しているCa
2+と置換し,そのさい内向きのCa
2+移動を起こさせて縦走筋を収縮させると考えられる.また,papaverme,Aspaminolおよびbenactyzineによる収縮とcyclic GMPレベルとは関係ないものと思われる.
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