日本薬理学雑誌
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80 巻 , 6 号
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  • 寺澤 道夫, 後藤 一洋, 丸山 裕
    1982 年 80 巻 6 号 p. 417-427
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    traxanox sodium は DNP-Ascaris を抗原として用いたラット48時間PCAを1~10mg/kgのp.o.および0.1~0.5mg/kgのi.v.投与で用量に依存して抑制し,受動感作ラット・アナフィラキシー性気道収縮反応を0.025~0.lmg/kgのi.v.投与で抑制した.traxanox sodiumのこれらの効力はdisodium cromoglycate(DSCG)より強く,特に気道での差が著しかった.抗egg albuminおよび抗DNP-AscarisラットIgE様抗血清を用いたOrrらの二重感作PCA法の結果から,traxanox sodiumはDSCGと同様,抗原抗体結合を直接阻害せず,抗原抗体反応が起きた後からchemical mediatorの遊離が開始されるまでの段階で抗アナフィラキシー作用を示すものと推定された.in vitroでtraxanox sodium(0.1~1mM)は低張圧溶血を抑制せず,補体依存性の免疫溶血反応を抑制することから,抗補体作用を有することが推定されたが,in vivo(100mg/kg p.o.,5mg/kg i.v.)でモルモットのForssman anaphylaxisを抑制しなかった.ラットのdirect passive Arthus reaction(DPAR)の初期相およびArthus相をtraxanox sodiumは50~250mg/kgのp.o.投与で用量に依存して抑制し,またラットのhyperacute実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の発症を25~250mg/kgのp.o.投与で遅延させ,EAEによる死亡率を低下させた.DSCGは両反応に対して無効であった.以上の成績から,traxanox sodiumはI型アレルギー反応をDSCGと同様の作用機作で抑制し,特に気道アナフィラキシーに対して強い作用を示すことがわかった.また,traxanox sodiumはIIIおよびIV型アレルギー反応に対しても有効なことから,DSCGより広い抗アレルギー活性を有することが示唆された.
  • 塩崎 静男, 久保 和博, 周藤 勝一, 中溝 喜博
    1982 年 80 巻 6 号 p. 429-439
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    誘発眼振および膜蝸牛血流速度に対するflunarizineの作用をcinnarizineおよびdiphenidolと比較検討した.1) 温度(冷水)刺激によって誘発されるウサギの眼振(眼振数および持続時間)に対して,flunarizineは5mg/kg i.v.で有意な抑制を示し,cinnarizineおよびdiphenidolは5mg/kg,i.v.で軽度に眼振数を減少させた.2) 視覚刺激によって誘発されるウサギの眼振に対して,flunarizineは2.5mg/kg,i,v.で眼振電位を有意に減少させ,cinnarizineおよびdiphenidolは,それぞれ5mg/kg,i.v.で抑制した.3) 外側膝状体の電気刺激によって誘発されるウサギの眼振に対してflunarizineは,用いた5mg/kg,i.v.までの用量では作用を示さなかった.4) 麻酔モルモットの膜蝸牛血流速度に対して,flunarizineは血流速度を用量依存的(0.312~1.25mg/kg,i.v.)に増加させた.一方cinnarizine(0.625~2.5mg/kg,i.v.)およびdiphenidol(0.625~2.5mg/kg,i.v.)のいずれも膜蝸牛血流速度を増加させたが,同用量でその作用持続をflunarizineと比較するとcinnarizineおよびdiphenidolの作用は短かった.以上のように,flunarizineは温度刺激および視覚刺激による実験的誘発眼振を抑制した.膜蝸牛血流速度の増加が認められたことから,前庭器における血流改善が眼振抑制に重要な役割りをはたしていると推察された.
  • 大森 健守, 石井 秀衛, 周藤 勝一, 中溝 喜博
    1982 年 80 巻 6 号 p. 441-449
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    肥満細胞を含むラッット腹腔浸出細胞(PEC)および摘出肺切片からのアレルギー性の,あるいは非アレルギー性のhistamine遊離におよぼすoxatomideの影響を,disodium romo-glycate(DSCG)のそれと比較検討し,以下の成績を得た.1) phosphatidyl-L-serine(PS)存在下における感作ラットPECからの抗原抗体反応にもとづくhistamine遊離に対し,oxatomideは10-6Mから有意な抑制作用を示し,10-5M以上で抑制作用を発現するDSCGに比べ低濃度から有効であった.2) concanavalin AおよびPS共存下に惹起されるhistamine遊離に対し,oxatomideは10-7M以上の濃度で,DSCGは10-5M以上の濃度で抑制作用を示した.3) compound 48/80 0.5μg/mlによるhistamine遊離に対し,oxatomide 10-8~10-5Mはほとんど影響をおよぼさなかったが,DSCGは10-5M以上の濃度で抑制作用を示した.4) calcium ionophore;A-23187 10-6Mによるhistamine遊離に対し,oxatomideは10-5Mで有意な抑制作用を示したが,DSCG 10-7~10-4Mは影響をおよぼさなかった.5) 感作ラット摘出肺切片からの抗原抗体反応にもとづくhistamine遊離に対し,oxatomideは10-7M以上で,DSCGは10-5M以上の濃度で抑制作用を示した.6) oxatomide 10-8~10-5M,DSCG 10-6~10-4Mの濃度範囲では,薬物それ自体でhistamine遊離を惹起しなかった.
  • 安原 一, 殿岡 まゆみ, 坂下 光明, 中山 貞男, 坂本 浩二
    1982 年 80 巻 6 号 p. 451-461
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    propranolo1(5~10mg/kg/day,s.c.,10mg/kg/day,p.o.)を,8週間ラットに投与し,血清および肝臓の脂質動態さらに血圧,脈拍に及ぼす影響を検討した.propranolol経口投与により血清脂質ではtriglycerideおよびnon-esterified fatty acidsの減少が見られ,cholesterolでは前半減少傾向が,後半に増加傾向が見られた.また,全投与期間を通し,propranolol投与群は無処置群に比べ,α-lipoproteinでは高値を示し,β-lipoproteinでは低値を示した.さらにlecithin cholesterol acyl transferaseおよびhigh density lipoprotein中のcholesterolは,第1,8週に高値を示した.肝臓脂質ではpropranolol投与によりtotal cholesterolが第1週で減少し,第8週では増加傾向が見られた.また,phospholipidでは第8週に増加が見られたが,triglycerideでは変化は見られなかった.これらの結果はpropranololが細胞上のβ-receptorを介しadenyl cyclaseの活性を抑制し,さらにlipaseやphosphorylaseの活性低下を引き起こしたためと思われる.また,皮下投与群と経口投与群とでは,血清脂質および血清酵素活性に相違が認められたが,これはpropranololが門脈血流を介する肝の通過と,循環血流による通過とで異なった肝細胞膜作用が関与するものと考えられる.
  • 石森 勉, 白土 賢治, 和泉 昭弘, 桧森 憲夫
    1982 年 80 巻 6 号 p. 463-469
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SH rats)を用い,β-受容体遮断薬,D-32,propranolol,pindololの連投(8週間)による抗高血圧作用と末梢交感神経系への影響について検討を加え,以下の結果を得た.1) 対照群においては,薬物投与前のSH ratsの平均血圧は132±1.3mmHg(n=10)であったが,投与終了時では,179±2.7mmHgであった.β-受容体遮断薬処置群では,いずれも血圧上昇の抑制傾向が見られたが,対照群より最大でも18mmHg低値を示すという弱いものであった.2) D-32とpropranolol処置群では,脊髄神経電気刺激,noradrenalineによる昇圧に対照群との差は見られなかったが,angiotensin IIによる昇圧はpropranolol処置群で,有意の増強が認められた.3) guanethidine処置群では,程度は弱いが血圧下降傾向が見られた.脊髄神経電気刺激による昇圧には著明な抑制が見られた.以上より,propranololおよびD-32が上述の如く,交感神経節前刺激による昇圧反応に影響を与えなかったことから,弱いながらも観察されたこれら両薬物による血圧上昇過程への抑制作用が,シナプス前β-受容体の遮断を介する神経末端からのnoradrenaline遊離減少効果に因るかもしれないという証拠は得られなかった.また,propranololのα-遮断作用やguanethidine様神経遮断作用は観察されなかった.
  • 大幡 勝也, 村田 保, 坂本 博彦, 井上 和子, 小林 元樹, 河野 茂勝, 長坂 保則, 笠井 浩
    1982 年 80 巻 6 号 p. 471-480
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    clonidineよびguanethidineの部分構造を併有する新規中枢性抗高血圧guanabenz(Wy-8678)の中枢神経系に対する作用を,マウス,ラットおよびウサギを用いて検討し,clonidineおよびguanethidineのそれと比較した.1) マウスー般症状観察において,guanabenz(1~30mg/kg,i.p.)投与は,尾部圧迫および腹部接触刺激に対する反応性の低下,耳介反射の抑制,運動量減少,運動失調,体温下降,呼吸数減少など,主として中枢抑制によると考えられる症状が用量依存性に認められた。clonidine(0.3,1mg/kg,i.p.)によっても質的にはほぼ類似する症状の出現をみたが,その作用は,guanabenzに比較して10倍程度強力であった.2) ラットにおいては,guanabenzは,著明な筋弛緩作用を示さない用量(2.5~20mg/kg,p.o.)で,運動協調性の障害,条件回避行動の抑制,抗最大電撃痙攣作用を示し,さらにthiopental睡眠時間延長作用,正常体温下降作用を示した.しかし,strychnine誘発痙攣に対しては,抗痙攣あるいは抗致死作用を示さなかった.これらの作用は,質的にはclonidineに類似するが,量的にはclonidineよりも遥かに弱いものであった.また,guanethidineについては,いずれの作用も極めて弱く明確なものではなかった.3) ウサギ正常体温に対してguanabenz(5~20mg/kg,,p.o.)およびclonidine(0.5,1mg/kg,p.o.)は明確な作用を示さず,ラット正常体温に対する作用との相違が認められた.以上の如く,guanabenzは中枢神経系に対して概して抑制的に作用し,質的にはclonidineに類似するものであったが,その作用の程度はclonidineに比較して遥かに弱いものであった.
  • 大森 健守, 石井 秀衛, 武井 好三, 周藤 勝一, 中溝 喜博
    1982 年 80 巻 6 号 p. 481-493
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    benzimidazolone系の抗アレルギー薬oxatomideのアナフィラキシー性気道収縮反応およびSchultz-Dale(SD)反応におよぼす影響を検討し,以下の成績を得た.1) 能動感作ラットの気道収縮反応に対し,oxatomideは経口投与では10mg/kg以上,静脈内投与では0.01mg/kg以上で投与量に依存した抑制作用を示した.disodium cromoglycate(DSCG)は静脈内投与ではoxatomideと同程度の効力を示したが,経口投与では無効であった.2) 抗EWA家兎血清で受動感作したモルモットの気道収縮反応に対して,oxatomideは経口および静脈内いずれの投与方法でも有意な抑制作用を示したが,DSCGは静脈内投与でも無効であった.3) 抗serotonin薬methysergideはラットの反応を,抗histamine薬tripelennamineはモルモットの反応を選択的に抑制した.抗SRS-A薬FPL-55712はラット,モルモットの反応をほぼ同程度に抑制した.4) IgE抗体を主に含む抗BPO・BGGモルモット血清で受動感作し,BPO・BSAで惹起したモルモットの気道収縮反応に対し,oxatomideおよびDSCGはともに抑制作用を示した.5) EWA能動感作モルモットから摘出した回腸標本のSD反応は潜伏期の短かい第1相と潜伏期の長い第2相から成り立っているが,oxatomideは10-8M以上で第2相を,10-7M以上で第1相を抑制した.tripelennamineは第1相を,FPL-55712は第2相を選択的に抑制したが,DSCGは両相の収縮に影響をおよぼさなかった.6) 摘出気管標本のSD反応のtonic contractionに対しても,oxatomideは10-7M以上で濃度依存的に抑制作用を示したが,DSCGは無効であった.tripelennamine,FPL-55712はともに本反応を部分的に抑制した.以上の成績から,oxatomideはIgEおよびIgG抗体関与のアナフィラキシー性気道収縮反応を経口投与で抑制すること,また,摘出回腸および気管標本のSD反応も抑制することがわかった.
  • 岡田 謙司, 今井 浩達, 外川 芳子, 野崎 正勝, 鶴見 介登, 藤村 一, 長岡 俊治
    1982 年 80 巻 6 号 p. 495-503
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    tiemonium iodide(tiemonium,20μg/kg i.v.)のイヌ生体位結腸運動に及ぼす効果をmepenzolate bromide(mepenzolate,20μg/kg i.v.),butylscopolamine bromide(butylscopolamine,50μg/kg i.v.)およびatropine sulfate(atropine,10μg/kg i.v.)と比較検討した.バルーン法で得た結腸運動波形を高速フーリエ変により解析し,またパワースペクトルの第1項値をtonus indexとして腸管緊張の指標とした.結腸正常運動は近位部で1および4~5cycle/minを主成分とする複雑な波形であり,遠位部では1 cycle/minを主成分とする比較的単純な波形を示し,tonus indexは両部位でほぼ同等であった.neostigmine metylsulfate(neostigmine,50μg/kg i.v.)投与により両部位で低周波成分の増強,tonus index(近位部2.6倍,遠位部1.7倍)の増大となった.prostaglandin F(PGF,10μg/kg i.v.)投与では両部位で運動波形消失を伴う基線上昇が出現した.この時tonus indexは近位部で2.1倍,遠位部で1.6倍を示した.近位結腸正常運動およびneostigmine投与後の運動亢進に対しtiemonium投与はbutylscopolamine投与同様のパワースペクトルとtonus indexの変化を伴う抑制作用を示した.しかし遠位結腸では,正常および亢進運動の両者に対しmepenzolate同様の抑制作用を示した.PGF投与後の緊張増強に対しtiemonium,mepenzolate,butylscopolamineおよびatropineは近位,遠位両部位でほぼ同等の抑制作用を示した.また前記の各被検薬投与後PGFを投与した場合,tiemoniumとmepenzolateはPGF。の作用を抑制したが,butylscopolamineとatropineは無影響であった.以上のように結腸運動に対しtiemoniumは正常およびコリン作動性あるいはPGFによる緊張上昇運動に対し,butylscopolamine,atropineとは異なるmepenzolate類似の抑制作用を示した.
  • 渕野 勝弘
    1982 年 80 巻 6 号 p. 505-515
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    diazepamの乳仔期連続投与が,中枢神経系機能発達にどのように影響を及ぼすか,雄ラットを用い生後8日から20日令までdiazepamを投与し,投与中および投与中止後4週間(7週令まで),行動変化および急性投与diazepamに対する反応性を指標にして経時的に検索を行った.diazepamは臨床的応用量に近い0.2mg/kg(D0.2),2.0mg/kg(D2),5.0mg/kg(D5)投与の各群とし,1日1回皮下注射をした.対照は5%エタノール(EtOH)群と無処置(N)群とした.diazepam連続投与中14,16,19日令においてopen-field test による行動発達および棒にぶらさがらせて筋力と協調運動の発達を検索した結果,16日令のD2,19日令のD2,D5群においてambulationの有意な減少が認められた.diazepam急性投与に対する反応を検索するため,20日令では0.5mg/kg,5週,7週令では2.0mg/kg diazepamを腹腔内注射し,行動をopen-field装置を用いて観察した.20日令においてはD0.2,D2,D5群ともにambulation,rearing値の減少度がNおよび5% EtOH群に比べ小であり,急性diazepam効果の減弱が示された.さらに,diazepam群では急性diazepamによるアタキシア発現も軽度であった.5週令D0.2,D2群においてもambulation,rearing値およびアタキシア発現強度からみて,急性diazepam効果の減弱が認められた.7週令における急性diazepamに対する反応に差を認めなかった。以上,乳仔期における比較的低用量のdiazepam連続投与は,体重増加度にはほとんど影響を与えないが,正常の行動発達を遅延させること,急性投与diazepamに対する耐性を発現させることが明らかとなった.しかも耐性は連続投与中止2週後でも認められ,4週目で消失することが示された.
  • 須田 浩, 山内 秀泰, 磯 正
    1982 年 80 巻 6 号 p. 517-523
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    angiotensin converting enzyme阻害作用を有する(4R)-3[(2S)-3-mercapto-2-methyl-propanoyl]-4-thiazolidinecarboxylic acid(YS980)は,全身投与のみならず局所投与によっても,また起炎30分前および起炎3時間後のいずれの時期に投与しても,ラットのcarrageenan足浮腫を増強した.同様の増強作用が浮腫部位の血管透過性亢進についても観察された.carrageenan浮腫はbradykinin potentiating peptide-B(BPP-B)および1,10-phenanthrolineによっても増強され,増強の強さは YS980>BPP-B>1,10-phenanthrolineの順であった.一方,これら化合物はin vitroにおいてラットの血清kininaseII阻害作用を示し,その強さの順序はcarrageenan浮腫増強のそれと一致した.YS980およびBPP-Bはkininase Iに対し影響を与えなかった.また,YS980はcarrageenan浮腫以外にもcellulose sulfate,kaolin,bradykinin浮腫等のkininが関与するとされる炎症モデルに対して増強作用を示したが,dextran,histamine,serotonin,prostaglandin E1浮腫に対しては全く影響を与えなかった.以上の結果から,YS980のcarrageenan浮腫増強作用は,そのkininase II阻害作用に基づくこと,特に炎症局所での酵素阻害によるkinin分解抑制が重要であることが示唆された.
  • 亀山 勉, 鍋島 俊隆, 伊藤 治朗
    1982 年 80 巻 6 号 p. 525-535
    発行日: 1982年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    薬物を胎生期に投与することによって生じる胎児の聴器毒性を検定する方法として,訓練および実験操作が簡単な,shuttle boxによる条件回避反応を利用したラットの聴覚閾値測定法を利用し検討した.妊娠10日目から19日目までの10日間生理食塩液(S群),kanamycin sulfate 200mg/kg(KM群),dihydrostreptomycin sulfate 200mg/kg(DHSM群)および neomycin sulfate 100mg/kg(NM群)を連日筋肉内投与したラットより出産し,生存した90%以上の仔について聴覚閾値を測定することが可能であった。各群の聴覚閾値は,S群 53.8±0.6dB(N=36),KM群63.8±1.1dB(N=34),DHSM群60.0±1.2dB(N=29),NM群62.4±1.2dB(N=24)であった.KM群,DHSM群およびNM群では,S群に比較して聴覚閾値が有意に上昇した.訓練の過程および聴覚閾値測定時の動物の行動から,視覚機能,運動機能,条件反応の学習機能には障害が認められなかった.以上の結果から,条件回避反応を利用した本実験スケジュールは,短期間に多数の動物の行動測定が可能であるので薬物を母体に投与した場合の次世代の知覚,運動,学習機能への影響についてのスクリーニング法として有用であると思われる,
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