日本薬理学雑誌
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95 巻, 1 号
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  • 内田 修次, 吉田 博
    1990 年 95 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    Since acetylcholine (ACh) was identified as a neurotransmitter at parasympathetic nerve terminals by pioneering pharmacologists such as O. Schmiedeberg, R. Hunt, O. Loewi and H.H. Dale, muscarinic acetylcholine receptors (mACh-R) serving as a transducer of muscarinic action have been assumed to exist. After many tries to identify the mACh-R, it's existence was established by the group of S.H. Snyder, who employed binding assays with the radioligand 3H-QNB. The presence of a neuronal (M1) and a peripheral (M2) mACh-R was suggested from the action of an M1-specific agonist, McN-A-343; and this observation was followed by the discovery that the antagonist pirenzepine had higher affinity for M1 than for M2. Later, peripheral mACh-Rs were further subclassified in two types by the heart-specific action of gallamine and the different affinities of AF-DX116 and 4-DAMP. At present, three subtypes, M1 (neuronal), M2 (heart) and M3 (other peripheral organs), can be pharmacologically distinguished by affinity differences. On the other hand, purification of mACh-R and analysis by gene technology revealed the presence of five mACh-R mRNAs (m1-m5), which were expressed in various organs with different abundances. These subtypes couple with subcellular muscarinic responses through different GTP-binding proteins. The connection between the subtypes, GTP-binding proteins and responses is not fully understood yet. Our studies showed that in guinea pig heart, in which only m2 mRNA is expressed, muscarinic agonists recognize two subgroups (M and M) with different affinities. One couples with the inhibition of adenylate cyclase, and the other couples with PI turnover through different GTP-binding proteins. These results indicate that the subtypes can be subclassified further with posttranslational protein modification.
  • 小俣 武志, 井上 肇, 瀬山 義幸, 山下 三郎
    1990 年 95 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    ヒスタミンH2受容体遮断薬(H2遮断薬)であるシメチジンと胃粘膜保護作用を有するスクラルフェートとソファルコンの胃潰瘍の治癒に及ぼす影響を検討するため,ラット酢酸潰瘍モデルを用い,潰瘍部位と非潰瘍部位の胃粘膜ヒスタミン(HA)とセロトニン(5-HT)含量およびヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)活性に対する影響を検討した.そして,以下の結果を得た.1)シメチジン(100mg/kg,1日2回)を投与したラットの胃粘膜HDC活性は,潰瘍部位では増加傾向,非潰瘍部位では有意に増加した.2)シメチジン投与による胃粘膜HDC活性の増加は投与中止10日後も持続した.3)スクラルフェート(500mg/kg/day),またはソファルコン(200mg/kg/day)を投与したラットの胃粘膜HDc活性は対照群と差がなかった.以上の結果は,胃粘膜HDC活性の増加がシメチジン投与中止後の胃潰瘍の再燃,再発に関与することを示唆するものである.
  • 竹花 泰雄, 浜野 修一郎, 菊池 伸次, 草間 寛, 小松 英忠, 桶川 忠夫, 池田 滋
    1990 年 95 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    モルモットのPAF吸入誘発気道過敏性モデルにおけるthromboxane(TX)A2合成酵素阻害剤OKY-046・HClの抑制作用について検討した.その結果(1)PAF(1および10μg/ml)吸入30および60分後にacetylcholine(ACh)に対する気道反応は有意に充進し,気管支肺胞洗浄液(BALF)中のTXB2濃度も有意に上昇した,OKY-046・HCl(100mg/kg,十二指腸内投与)は気道反応の亢進とTXB2の産生を有意に抑制した.アスピリン(10mg/kg,十二指腸内投与)も気道反応の亢進を抑制した。BALF中の6-keto-prostaglandin(PG)Fの濃度はPAF吸入により有意な影響を受けなかった.(2)PAF(10μg/ml)吸入15分後に末梢血中血小板数の減少が認められたが,血中TXB2濃度には変化が認められなかった.また吸入15分後にBALF中タンパク濃度および好中球数比の上昇が認められたが,末梢血中白血球数さらにBALF中の白血球数,細胞分画比,leukotriene(LT)C4/D4/E4濃度,alkaline phosphatase活性,N-acetyl-β-D-glucosaminidase活性およびlactate dehydrogenase活性にはPAF吸入60分後まで変化は認められなかった.(3)摘出気管支-肺灌流標本においてPAF(1μg/min)によりAChに対する気道反応の充進と灌流液中のTXB2産生の増加が有意に認められ,OKY-046・HCl(100μg/min)はこれらの反応を著明に抑制した.(4)正常モルモットのBALF中にPAF(1μg/ml)を添加するとTXB2産生は著明に増加し,OKY-046・HClは10-4Mでその増加を有意に抑制した.(5)stable TXA2(STA2,1ng/ml)吸入30分後にAChに対する気道反応の著明な充進を認めたが,2時間後には消失した.また摘出気管支-肺灌流標本においてもSTA2(0.45ng/min)によりAChに対する気道反応は充進した.以上より,PAF吸入誘発気道過敏性は,主として肺実質,上皮細胞および気管支-肺胞内細胞成分から産生されるTXA2によって発症し,OKY-046・HClはこのTXA2の産生を抑制することにより,この気道過敏性の発症を防ぐものと考えられ,OKY-046・HClは抗喘息薬として期待できる.
  • 水野 博之, 高橋 美紀, 大野 洋光, 三澤 美和
    1990 年 95 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    抗コリン作用を主作用とする吸入喘息治療薬flutropium bromideと作用機序の異なる他の抗喘息薬との併用効果についてモルモットでのacetylcholine(ACh)誘発気道収縮に対する抑制作用を指標に検討を行った.flutropium bromide 0.0003%溶液の単独吸入適用は,ACh(i.v.)による血圧下降に対して影響を与えることなくAGh誘発気道収縮を有効に抑制した.flutropium bromide(0.0003%)とsalbutamol(3μg/kg,i.v.)の併用適用はそれぞれの単独適用を上回るACh誘発気道収縮抑制作用を示した.また,flutropium bromideはaminophylline(5mg/kg,i.v.)およびdisodium cromoglycate(10mg/kg,i.v.)との併用適用においても同様に,それぞれの薬物の単独適用時に比較して,より有効なACh誘発気道収縮抑制作用を示した.以上より,flutropiumbromideの吸入適用は,単独適用のみならず,臨床上併用が行われる作用機序の異なる他の抗喘息薬と同時に使用した場合,より効果的な気管支拡張効果が期待できるものと考えられる.
  • 田村 智昭, 小川 純子, 谷口 登志悦, 脇 功巳
    1990 年 95 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    摘出臓器標本を用いた電気刺激法により,中枢性鎮痛薬eptazocineとナビオイド受容体の相互作用について代表的なオピオイドと比較検討した.μ-,κ-受容体優位の摘出モルモット回腸標本の電気刺激による収縮に対して,eptazocine(10-5M)は僅かな減弱効果を示し,この作用にnaloxone(10-7M)は拮抗した.この標本においてμ-アゴニストmorphine(3×10-7M)による作用は,eptazocine(10-5~10-4M)によって完全に拮抗された.一方,δ-,μ-,κ-受容体優位の摘出マウス輸精管標本で,eptazocineは10-7Mから濃度依存的に減弱効果(IC50値=3,387nM)を示し,この効力は,morphineの1/5,κ-アゴニストU50,488H,ethylketocyclazocine(EKC)の1/200,1/630であった.eptazocineのこの効果は他のオピオイドと異なりnaloxoneによっては回復せず,κ-選択的なアンタゴニストMR-2266(10-6M)で回復した.naloxone前処置標本において求めたeptazocineに対するKe値(平衡解離定数)325nMは,比較したオピオイドの中で最も高値で,morphine(5.20nM)の62.5倍となった.一方,MR-2266のeptazocineに対するKe値は33.2nMで,ナビオイド受容体K-サブタイプ選択性の指標としてKe値の比(325/33.2)を求めると9.79となり比較したアゴニストの中で最も高い数値を示した.これらの結果からeptazocineは,アゴニスト作用は弱いがκ-受容体により選択性の高い,μ-アンタゴニスト-κ-アゴニストであると考えられる.
  • 唐木 英明
    1990 年 95 巻 1 号 p. 47-48
    発行日: 1990年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
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