日本薬理学雑誌
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89 巻 , 4 号
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  • 曽根 淳史
    1987 年 89 巻 4 号 p. 169-173
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    trans-4-hydroxy-3-methoxycinnamic acid (一般名ferulic acid: FA)の前立腺組織中ポリアミン代謝に対する影響を解明するため5~7週齢のSD系雄性ラットを用いて以下の実験を行った.ラットをFA50mg/kg投与群,FA25mg/kg投与群,FA10mg/kg投与群および無投与群の4群に分け5日間連続皮下注後屠殺し,ventral prostate (VP) を摘出した.VPを10%TCA溶液中でホモジナイズし,その上清をdiethyletherで洗浄した後,凍結乾燥しLKB社製細管式等速電気泳動装置を用いてポリアミンを測定した.その結果,total polyamine 含有量ではFA50mg/kg投与群と無投与群の間に,putrescineではFA50および25mg/kg投与群と無投与群の間に,spermidineではFA50および10mg/kg投与群と無投与群の間に,さらにspermineではFA50mg/kg投与群と無投与群の間にそれぞれ有意差を認め,FAがポリアミンの生合成に影響をおよぼしていることが考えられた.また,その作用は生合成経路よりornithine decarboxylase(ODC)の活性を抑制している可能性を示唆した.
  • 谷垣 範子, 萬野 賢児, 杉原 邦夫, 三木 直正, 市田 成志, 吉田 博
    1987 年 89 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    serotonin(5-HT),noradrenaline(NA)およびdopamine(DA)の取込ならびに各種神経受容体に対する新しい抗うつ薬paroxetineの影響を調ぺ,三環系抗うつ薬であるamitriptyline,chlorimipramineおよびimipramineの作用と比較した.paroxetjneは5-HT取込阻害作用が強く,NA/5-HT比は886であった.これに較べてamitriptyline,chlorimipramineならびにimipramineは,それぞれ1.7,15および1.5であった.一方,paroxetineは今回調べた[3H]標識化合物([3H]-quinuclidinyl benzilate,[3H]5-HT,[3H]ketanserin,[3H]pyrilamine,[3H]dihydroalprenolol,[3H]prazosin,[3H]clonidineおよび[3H]spiroperidol)結合に対する阻害作用はほとんど認められなかった.これに較べて対照薬である三環系抗うつ薬3種はいくつかの結合に対して阻害作用を示し,特に副作用と関連するムスカリン,ヒスタミン-1,α1-アドレナリン受容体に対して比較的強い親和性を示した.以上の結果より,paroxetineは各種神経受容体に対する親和性は弱く,特異的に5-HT取込を阻害するといえる.
  • 久我 祐子
    1987 年 89 巻 4 号 p. 181-190
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    新生仔期に0.5,1あるいは2μg/gのthyroxine投与により甲状腺機能低下状態としたwistar-今道系ラット(Neo-0.5T4,Neo-1T4,Neo-2T4)を用いて乳仔期から成熟期に至る行動発達を主として検討した.15日齢のNeo-T4ラットの血中T4レベルは幼若期前処置T4量に依存して有意に低値であったがその変化は62日齢で軽度となった.オープン・フィールドテストにおいてNeo-T4ラットのambulationとrearingは13日齢から19日齢で対照群(N)に比して著明な増加を示し,62日齢では低下傾向にあった.Neo-T4群の sniffing down 数が17,30日齢においてN群より著しい増加を示した.特に雄における増加が大きかった.apomorphine(17日齢0.1mg/kg,30日齢0.3mg/kg,成熟期0.5mg/kg,s.c.)投与後の sniffing down 数増加がN群に比しNeo-T4群の17日齢雄,成熟雌雄において小さかった.特に17日齢Neo-1T4雄の反応低下は著明であった.14週齢においてTRH(20mg/kg,i.p.)投与後にNeo-1T4雄ラットのみ体温上昇を示さなかった.以上の結果より,新生仔期thyroxine投与による甲状腺機能低下ラットにおいては自発運動の生後発達が初期の促進から低下に移行しその変化は成熟期に軽減すること,apomorphineによる sniffing down 発現頻度の低下も成熟期にかけ軽減することが明らかとなった,しかし一方でthyroxine高用量ではTRHの体温上昇反応に関連した体温調節系の変化が成熟期に認められたことから過量の甲状腺ホルモンは,その用量と新生仔脳部位機能分化の程度の差とによって,また,雌雄によっても異なることが示唆された.
  • 中牟田 弘道, 小井田 雅夫, 小川 保直, Ronald C. Orlowski
    1987 年 89 巻 4 号 p. 191-195
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    サケカルシトニン(sCT)は血清Ca低下作用以外に多様な薬理作用を示すことが動物実験で報告されている.そのうち摂食抑制作用は中枢だけでなく末梢投与でもみられ,血清Ca低下を目的にヒトに投与する場合,副作用となりうる,sCTの誘導体でsCTより強力な血清Ca低下作用を有する[Gly8]-sCTについてラットの摂食抑制作用を調べ,末梢投与でこの作用を持たないことを認めた,そこで,誘導体の薬理学的評価を行った.1)1U/kgの皮下投与でsCTとその誘導体は投与後1~3時間をピークとする血清Ca低下作用を示し,両者の作用の間に差を検出しなかった,2)1日2時間(17:00~19:00)の限定給餌下のラットに給餌前30分に1U/ラットを脳室内投与すると,両ペプチド共に摂食量と摂水量を有意に減少し,体重の低下をきたす.さらにsCTは皮下投与でも100U/kgで摂食量と摂水量を低下させ,この作用は24時間以上持続し,体重が著明に低下した.これに対し,誘導体にこのような作用を検出しなかった.3)脳および腎臓の膜画分にたいする125I-sCTの結合を50%阻害する濃度は,sCTがそれぞれ0.78と1.2nM,誘導体がそれぞれ3.1と7.2nMであった.4)50U/kgの皮下投与で,いずれのペプチドも約45%の血糖上昇をきたした.以上の結果は,sCTの末梢性の摂食抑制作用が,1)中枢性の抑制作用と機構を異にし,2)血清Ca低下作用や血糖上昇作用とも独立した作用で,3)N-末端から8番目のVal-残基をGly-残基で置換すると消失することを示しており,[Gly8]-sCTがsCTより副作用の少ない誘導体である可能性を示唆する.
  • 入野 理, 斉藤 清, 坂東 和良, 内田 勝幸, 本多 秀雄
    1987 年 89 巻 4 号 p. 197-202
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    Ifenprodil tartrateのラットにおけるex vivo全血炉過能に対する作用をフィルター(5μm)炉過時間を測定する標準的方法により検討した.ifenprodil tartrate (5~20mg/kg,p.o.)は用量依存的に炉過時間を短縮し,20mg/kgでは著明な作用が認められた(P<0.05).しかし,ヘマトクリット値,血漿フィブリノーゲン量,赤血球数および平均赤血球容積に対する作用はみられなかった.これらの成績からifenprodil tartrateのex vivo赤血球変形能亢進作用が示唆された.この作用は赤血球のATP:量,ATP/ADP比およびadenylate energy chargeに影響を及ぼすことなく発現した.また,外方突出を起した赤血球に対してphenothiazine様の改善作用も認められた.したがって,ifenprodil tartrateは赤血球膜に対し,直接的に作用しex vivo赤血球変形能亢進作用を発現したものと推察された.また,無麻酔ラットへの静脈内投与(0.3mg/kg)で視床下部血流を著しく高めた(P<0.05).このようにifenprodil tartrateには赤血球変形能を高める作用および,脳血流増加作用が認められ,脳血管障害の治療への有用性が示唆された.
  • 安田 寛治郎
    1987 年 89 巻 4 号 p. 203-211
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    methylazoxymethanol acetate(MAM)を胎生15日に1,5および20mg/kg投与し得られた出生仔につき,一般発育および各種の中枢作用薬に対する反応を検討した.MAM20mg/kg投与群ではオープン・フィールドテストにおけるrearing activityが減少し,haloperidol(lmg/kg)の週1回3週連続投与後もhaloperido1に対しsuperscnsitivity発現が認められず,apomorphine(0.3mg/kg)投与によるhead down sniffing頻度は増加傾向を示し,pentobarbital(30mg/kg)誘発睡眠時間は延長し,picrotoxinおよびkainic acid痙攣閾値の著しい低下等を示した.一方,生化学的変化は認められないとされているMAMlmg/kg投与群では,一部異なった反応を示した.すなわち,rearing activityは著明に減少したが,picrotoxinおよびkainic acid痙攣閾値は変化を示さず,chlorpromazine(5mg/kg)投与後の体温下降が著明であった.MAM20mg/kg投与群では小頭症が発現したが,MAM1mg/kg投与群においては脳重量に変化が認められなかった.以上,胎生期15日齢でMAMに曝露されたラットはMAMの前処置用量の違いにより,成熟後に中枢作用薬に対し異なった反応を示した・特に・生化学的変化が認められていないMAMlmg/kg投与群に:おいても薬物反応により機能変化がとらえられる可能性が示された.従って,本モデルは脳神経機能の発育あるいはその統合過程の研究に応用しうると考えられる.
  • 栗山 澄, 肥山 良之, 伊藤 清, 市川 清之進, 北田 繁樹, 吉中 一朗
    1987 年 89 巻 4 号 p. 213-224
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    KP-136の薬理特性をモルモットとラットの皮内反応モデルを用いて検討した.KP-136は静脈内投与と経口投与のいずれの投与経路でも,受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応を強く抑制した.しかしながら,その作用には明らかな種差が認められ,KP-136はモルモットよりもラットのPCA反応に対して強い抑制作用を示した.3種のアレルギー反応とcompound 48/80による皮内反応の4種のラットモデルのうち,KP-136はIgE抗体とIgGa抗体によって惹起される2種のhomologous PCA反応に対して著効を示した.その50%抑制量は,静脈内投与では0.2mg/kgから0.4mg/kgであり,経口投与では0.5mg/kgから0.9mg/kgであった.KP-136は,ラットPCA反応の主要なchemical mediatorsであるhistamineやserotoninの皮内反応に対しては,ほとんど影響を及ぼさなかった.しかし,KP-136はPCA反応によって惹起される肥満細胞の脱顆粒反応と皮膚histamine含量の減少を明らかに阻害した,また,KP-136はアレルギー反応によるラット腹腔滲出細胞からのhistamine遊離に対し低濃度で阻害作用を示し,その50%抑制濃度は5ng/mlであった.これらの結果は,KP-136が経口投与で強いPCA反応抑制作用を示す物質であり,その作用機序が肥満細胞からのchemical mediator(s)の遊離の阻害であることを示している.
  • 幸 敏志, 花塚 光男, 渡辺 俊明, 西 広吉
    1987 年 89 巻 4 号 p. 225-233
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    抗高血圧薬terazosinの腎神経遠心性自発放電(腎神経活動)に及ぼす作用を,麻酔―非動化ラットを用いて検討した.terazosin0.3mg/kg,i.v.を投与すると,腎神経活動は投与前値に比べ投与0.5分後で平均15.4%,10分後で平均21.7%ならびに15分後では平均29.4%増加した.一方血圧は,投与0.5分後に最大平均58.4%と明らかに下降し,以後緩徐な回復傾向を示したが,投与15分後でも完全回復には至らなかった.この時心拍数には,明らかな変化は認められなかった.prazosin 0.1mg/kg,i.v.投与でも血圧はterazosin 0.3mg/kg,i.v.とほぼ同程度に下降し,腎神経活動も投与直後では平均21.6%増加した.また心拍数も最大平均5.6%の増加が認められた.terazosinならびにprazosin 3μg/kgを脳室内(i.c.v.)に投与すると,2~3分後から腎神経活動は緩徐に増加し始め,投与10~15分後のterazosinの場合は平均16%,prazosinでは平均7.2%前後の増加を認めた.この時の両者にも,軽微な血圧下降ならびに心拍数増加作用が認められた。中枢性抗高血圧薬clonidineは,0.1mg/kg,i.v.投与で最大平均69.2%,10μg/kg,i.c.v.投与でも26.2%の腎神経活動の抑制作用を示した.一方,terazosinならびにprazosinlOμ9/kg,i.c.v.前投与によって,phenylephrine 1μg/kg,i.v.による昇圧反応を明らかに抑制した.以上の事実から,terazosinの血圧下降作用の本態に,clonidineとは異なり中枢性血管収縮神経の抑制作用を介する機序の関与はないものと考えられる.
  • 宇佐美 研一, 真鍋 厚史, 中山 貞男, 坂本 浩二
    1987 年 89 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 1987年
    公開日: 2007/02/23
    ジャーナル フリー
    phenol,guaiaco1,m-cresolの膜作用について,生体膜としてラットの赤血球と単離肝細胞,人工膜としてdipalmitoyl phosphatidylcholine (DPPC)のリポソームニ重膜を用い検討した.また,これら薬物の表面張力におよぼす影響についても実験を行い,膜作用と界面活性作用との相関を検討した.ラット赤血球の低張性溶血において,phenolは10mMで溶血抑制傾向を示したが有意ではなかった.guaiaco1は4~10mMで,m-cresolは0.6~10mMで有意な溶血抑制を認めた.ラット単離肝細胞に対する被検薬物の作用は酵素逸脱を指標として検討した.GOTの逸脱に対してphenolは0.001~0.4mMと2~10mMで逸脱抑制を示したが,1mMの適用では偏差が大きく抑制傾向を認めたものの有意差はなかった.guaiacolは2~10mMで逸脱抑制を示した.m-cresolでは0.001~4mMまで逸脱抑制を示し,10mMでは著明な促進を認めた.GPTの逸脱に対して,pheno1は0.01mMから逸脱抑制を示し,phenol 0.4~10mMとguaiacol 2~10mMでは用量に応じた有意なGPT逸脱の抑制を認めた.m-cresolでは0.001~4mMで逸脱抑制を示したが10mMでGOT逸脱と同様に著明な促進を認めた.LDHの逸脱に対して,phenolは0.001mMと0.1~1mMで抑制を示した.m-cresol 1mMにおいても抑制を示したが,これの10mMとguaiacol 10mMでは促進がみられた.DPPCリポソームの液晶相↔固相間の相転移温度に対して,phenolは1~10mM,guaiaco1は5,10mM,m-creso1は1~10mMで有意な低下を示した.表面張力は,phenolでは明らかな低下を示さず,guaiacol 1,10mM,とm-cresol 10mMで有意な低下を認めた.膜作用の強さはm-cresol>phenol≥guaiacolの順であり,フェノール係数の強さとよく相関したが,界面活性作用との間に相関々係は認められなかった.
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