日本薬理学雑誌
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115 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 森下 竜一
    2000 年 115 巻 3 号 p. 123-130
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    核酸合成機で作成される短い核酸を用いた人工化合物の総称にすぎない核酸化合物は, アンチセンスオリゴヌクレオチドや転写因子制御法であるおとり (デコイ) 型核酸医薬やリボザイムが開発され, 注目を集めている.アンチセンスオリゴやリボザイムは遺伝子の相補性を利用し, 特定の遺伝子の発現を抑制するために, 目的の遺伝子とハイブリダイゼイションする核酸配列を持った人工的に合成した短い核酸を導入するものである.それに対し, デコイ型核酸医薬は特定の転写調節因子の結合部位への結合を阻害し, 活性化される遺伝子群の抑制を行う.そのために, 転写調節因子の結合部位を含む短い核酸を合成し, 二重鎖核酸にした後に, 細胞内へ導入する.アンチセンスのメカニズムが, 1) 転写段階での阻害, 2) RNAの分解の促進, 3) RNAの核膜透過の阻害, 4) 翻訳段階での阻害, と考えられているのに対し, デコイ型核酸医薬は, そのメカニズムは転写調節因子の結合部位への結合阻害によるプロモーター活性の低下であり, シンプルである.本論文では, デコイのメカニズムとデコイを利用した薬物療法の現状について解説する.
  • 杉本 幸彦
    2000 年 115 巻 3 号 p. 131-141
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    プロスタノイドは, プロスタグランジン (PG) とトロンボキサンの総称であり, 特異受容体を介して多くの生理機能や病態発現に関与すると考えられているが, 個々の機能に関与する受容体の種類やその重要性については不明な点が多かった。この一連の研究では, 8種類存在するプロスタノイド受容体の個々についてその遺伝子欠損マウスを作成しその表現型を解析した結果, PGFとPGE2が循環適応や生殖過程などの生理機能に重要な役割を果たすことが判明した.PGF受容体 (FP) 欠損マウスは妊娠可能であるが, 出産が見られず, 胎児は子宮内で死亡する.これらマウスでは, 妊娠後期に黄体ホルモン産生の異常亢進を認め, 卵巣切除により分娩の回復が見られたことから, PGFは, 妊娠後期に黄体退縮を引き起こすことで分娩誘導の引き金となることが判明した.また, EP2欠損マウスは妊娠・分娩が可能だが, 野生型に比べて出産数の減少が見られ, 排卵数と受精率に顕著な減少を認めた.EP2の卵巣内発現と卵丘細胞の機能を解析した結果, 排卵と受精の障害は, ともに卵丘細胞の機能障害に起因しているものと考えられた.一方, EP4欠損マウスは, その発生段階に異常を認めないが, 動脈管の開存が認められ心不全により出生後72時間以内に死亡することが判明した.この一連の研究により, PGE2は, EP4を介して出生に伴う循環系の再構築に, またEP2を介して排卵と受精の遂行に, PGFはFPによる黄体退縮を介して分娩誘導に, それぞれ必須の役割を果たすことが明らかとなった.これらの結果は, プロスタノイドの病態作用を標的とした薬物を開発していく上で重要な基礎知見となるものである.
  • 松野 浩之
    2000 年 115 巻 3 号 p. 143-150
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    β3インテグリンは血小板膜上ではαII/β3として, 血管平滑筋においてはαv/β3として存在していることが知られている.RGD (Arg-Gly-Asp) 構造を有するペプチドは血管狭窄モデルにおける内膜傷害後に誘発される血栓のみならず慢性期に見られる血管肥厚においても有意な抑制作用を示した.さらに培養平滑筋細胞を用いた実験で平滑筋の遊走はβ3インテグリンの拮抗作用によって抑制されることが確認された.一方, 血小板の粘着は内膜傷害による初期血栓形成時だけでなく再開通時にも修復が完了していない内膜面やshear stressを起こすような隆起部に見られる.粘着に関与するインテグリン機構にGPIb/V/IXがあり, 近年この機能の抑制による抗血栓効果がGPIIb/IIIa拮抗薬に次ぐ新しい抗血小板薬として注目されている.Aurinotricarboxylic acid (ATA) の高分画成分 (平均分子量7500) はGPIb/V/IXに対する選択的拮抗性が高く, 血管傷害後におきる血小板粘着による血栓形成と慢性期に見られる血管肥厚を有意に抑制した.しかし, ATAは平滑筋に対して直接増殖を抑制する作用を有することが培養細胞を用いた実験葉で確認され, 血管肥厚の抑制には血小板と平滑筋の両方の活性化 (増殖・遊走) を制御する必要性があることが確認された.次いで, 低分子量heat shock proteins 20 (HSP20) の生理活性機能について検討した.HSP20は血管平滑筋に存在する分子シャペロンの一つで, 今回世界で始めてHSP20の血小板に対する生理学的な凝集抑制作用を確認した.この作用はトロンビンとボトロセチン刺激による血小板凝集を用量依存的に抑制するもので, 近年GPI/b/V/IXとトロンビンの相互作用が注目されていることからも新しい抗血小板作用を有する生体内物質として注目されるものと考えられれた.
  • 稲田 義行, 仲 建彦
    2000 年 115 巻 3 号 p. 151-160
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    非ペプチド型アンジオテンシンII (AII) AT1サブタイプ受容体拮抗薬, カンデサルタンシレキセチルは腸管吸収の過程で完全に活性体のカンデサルタンに変換される.In vitroの血管標本でカンデサルタンはAIIの収縮曲線の最大収縮を濃度に依存して抑制し, insurmountableな拮抗作用を呈し, 高濃度のAIIのAT1受容体を介する作用を確実に抑制させる.結合阻害実験の成績からカンデサルタンがAT1受容体に強固に結合し, その解離が遅いことが示唆されている.カンデサルタンシレキセチルの抗高血圧作用は種々の高血圧モデルにおいて認められており, 高血圧自然発症ラットにおいて, カンデサルタンシレキセチルは0.1~10mgkgという低用量で持続性の降圧作用を発現した.カンデサルタンシレキセチルの持続的な降圧作用は高血1圧症患者におけるtrough peak比からも確認されている.AII受容体拮抗薬の投与によりAII濃度は増加することが知られており, 上昇したAIIは受容体へ拮抗薬と競合し結合する.AII濃度が上昇した場合insurmountableな拮抗薬はsurmountableな拮抗薬よりもAIIの作用を効果的に抑制し, 有利に働くものと考えられる.多数の研究おいてカンデサルタンシレキセチルが降圧作用に加えて臓器保護作用を有することが示された.AT1受容体拮抗薬はACE阻害薬と同様に高血圧症の治療のみならず, 心臓不全および腎疾患の治療に加え, 他の循環器疾患の治療および防止に役立つものと期待される.
  • 笹又 理央, Michael A. MOSKOWITZ, Eng H. LO
    2000 年 115 巻 3 号 p. 161-169
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年, 我々はfunctional computed tomography (CT) scanning法を用いて, 局所脳虚血後における造影剤のbolus transit dynamicsの時間的な変化を解析するために, temporal correlation mapping (TCM) 解析法を新規に確立し, 血行動態異常の観点から薪しい概念のhemodynamic coreおよびhemodynamic penumbraを定義した.この方法を用いて, 血管内皮型一酸化窒素合成酵素 (eNOS) 欠損マウスにおける局所脳虚血後初期のhemodynamic coreの拡大およびhemodynamic penumbraの縮小を初めて画像化した.また, 新規AMPA型グルタミン酸受容体拮抗薬であるYM872の薬効評価において, hemodynamic penumbraに対する神経細胞保護作用を観察することができた.虚血後初期におけるTCM解析法によりhemodynamic penumbraの神経細胞保護治療の効果ならびに神経細胞傷害の進展を直接的かつ定量的に評価することができる.
  • 2000 年 115 巻 3 号 p. b41-b61
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 115 巻 3 号 p. b63-b80
    発行日: 2000/03/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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