日本薬理学雑誌
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77 巻, 2 号
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  • 東田 陽博, 三木 直正
    1981 年 77 巻 2 号 p. 99-113
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    This review concerns neuropharmacological properties of clonal cells from tumors in the nervous system and muscle, and/or somatic hybrid cells derived from these clonal preparations. These cells grow well under conditions of culture and show neuronal characteristics identical to those seen in normal cells. Observations of these clonal cells contribute to studies on development, differentiation, synaptogenesis and cellular recognition in the nervous system. Analyzation of eukaryotic genes also enables investigations on genetic control mechanisms by which highly differentiated neuronal functions are expressed.
  • 村居 眞琴
    1981 年 77 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    家兎,ラット脳 mitochondria および赤血球中の cholhlesterase(ChE),ヒト赤血球中の ChE に対する benzoylcholine(BzCh)の影響を検討した.ChE 活性は Ammon の Warburg 検圧法によって測定した.脳および赤血球中の ChE は acetylcholhle(ACh),acetyl-β-methylcholine(MeCh),butyrylcholine(BuCh)を加水分解するが,BzCh を全く分解しなかった.家兎,ラット脳および家兎,ラット,ヒトの赤血球を用い,基質として ACh または MeCh を用いたそれぞれの場合の ChE 活性に対する種々濃度の BzCh 添加の影響を検討したところ,いずれの濃度の BzCh においても著明な阻害が認められた.特に脳の ChE は ACh または MeCh を基質とした場合,10mM BzCh 添加により MeCh の場合はその活性が約1/3に,ACh の場合は約1/4に減少した.脳および赤血球中の ChE の Ach および MeCh を基質とした際の pS 曲線に対しBzCh はいずれの濃度に於ても強い阻害作用を示したが,特に MeCh 基質の場合には基質の何れの濃度の場合も同程度の阻害が認められたが ACh の場合は高濃度基質による阻害に拮抗し pS 極大は基質の高濃度へ移動した.この BzCh による ChE 活性阻害作用は可逆的でありまた基質 ACh および MeCh に対し競合的であった.また,これら両酵素の MeCh に対する Km は両者とも4.5Mであった.BzChはこれら両酵素に対する DFP の阻害作用に対し保護作用を示した。以上の結果から BzCh は true ChE により加水分解されることはないがこの酵素の活性中心に対し特別の親和性を持っていることが示唆された.
  • 抗アレルギー薬に関する研究 第IV報
    後藤 一洋, 寺澤 道夫, 小森 敦夫, 丸山 裕
    1981 年 77 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    1)抗原投与の直前に i.v. 投与した Y-12,141(0.1~3mg/kg)は IgE 関与のラットの48時間 passive cutaneous anaphylaxis(PCA)および気道収縮を抑制した.2)Y-12,141 0.3mg/kg i.v. の抗 PCA 作用は 1~3mg/kg を60分前に i.v. 投与することによって有意に減弱した.3)Y-12,141の前投与による抗 PCA 作用の減弱(tachyphylaxis)は,後投与との間隔および投与量に依存して発現した.4)disodium cromoglycate(DSCG)lmg/kg i.v. 後の抗 PCA 作用は 10mg/kg を30分前に i.v. 投与することによって有意に減弱した.5)Y-12,141と DSCG に対する tachyphylaxis には交叉反応性が認められた.6)Y-12,141 に対する tachyphylaxis の発現は PCA よりも気道収縮において起り難かった.7)Y-12,141 0.3mg/kg i.v. の抗 PCA 作用および抗気道収縮作用は lmg/kg の7日間連続 p.o. または s.c. 投与で影響されなかった.
  • 佐々木 健一, 古沢 忍, 高柳 義一
    1981 年 77 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    マウスの Ehrlich 固型癌を用い,6-mercaptopurine(6-MP)の抗腫瘍作用に対する butoctamide の影響を検討した.butoctamide の経口あるいは腹腔内投与では腫瘍の増殖には影響がなかった.butoctamide は 6-MP の低用量(2.5~10mg/kg/day i.p.×7)での作用を強めたが,高用量には影響がなかった.thioinosine の抗腫瘍作用は同様に butoctamide によって強められた.一方,butoctamide と cyclophosphamidc,methotrexate,mitomycin C あるいは adriamycin との同時投与では,これらの制癌薬の作用に影響がみられなかった.butoctamide を処置したマウスでは,6-MP あるいは cyclophosphamide 1回投与の抗腫瘍作用は強められなかった.butoctamide はマウス肝の hypoxanthine-guanine phosphoribosyl-transferase 活性を対照よりもいくぶん高め,xanthine oxidase 活性を阻害した.butoctamide は 6-MP から非活性体である thiouric acid あるいは hypoxanthine へと転換させるよりも,活性体である thioinosine monophosphate への転換を促進させるものと思われる.
  • 山本 実, 富岡 健一, 立川 四郎, 前野 弘夫
    1981 年 77 巻 2 号 p. 141-151
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    16(S)-methyl-20-methoxy-PGE2(YPG-209)の中枢薬理作用を PGE2 のそれと比較検討し,2,3の考察を行なった.1)YPG-209 を 10μg/kg 経口投与するとマウスの自発運動および探索行動が抑制されたが,これは中枢作用以外の因子,例えば消化管輸送能亢進の関与が考えられた.また,マウスの thiopental 睡眠増強作用が YPG-209 の 300μg/kg(p.o.)により観察されたが,gallamine 不動化ネコの自発脳波および脳波覚醒反応に対して YPG-209 100μg/kg の静脈内投与では影響がなかった.2)マウス馴化作用,協調運動能および各種の誘発けいれんに対し,YPG-209 3mg/kg(p.o.)は影響をおよぼさなかった.3)マウス methamphetamine 群毒性は YPG-209 の 5mg/kg の皮下投与により抑制作用を示した.4)マウス正常体温は YPG-209 100μg/kg の経口投与により下降した.5)PGE2 はYPG-209 とほぼ類似した作用を示したが,YPG-209 よりも弱かった.
  • 岡崎 雅子, 栗本 忠, 小澤 啓子, 坂本 浩二
    1981 年 77 巻 2 号 p. 153-164
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    抗腫瘍薬として開発されている soedomycin(M3)の網内系機能に及ぼす影響を正常マウスを用いて carbon clearance 法により検討し,さらに腹腔浸出細胞液(PECs)および腹腔 macrophage(Mp)の lysosome 酵素(acid phosphatase と β-glucuronidase)活性の測定とその形態変化を観察した.1)M3 の 250,300mg/kg 連続3日間腹腔投与で貪食指数 K 値が基剤である Na2HPO4 群に比べ有意な上昇を示した.250mg/kg 投与群では相対脾重量増加が明らかで訂正貪食指数であるα値も上昇傾向を示し,300mg/kg 投与群では相対肝,脾重量の増加が著明であった.2)M3,300mg/kg 1回投与後の貪食作用を経時的に検討した結果,腹腔投与2,4,96時間後に K 値の上昇がみられ,96時間後には相対肝,脾重量増加と共にα値の上昇傾向を伴った.M3 の静注では K 値は2,4時間後に低下したが,72時間後にα値の上昇傾向を伴う K 値の上昇傾向がみられた.3)組織学的には carbon 粒子は脾臓において白髄類リンパ組織が赤髄に移行する marginal zone の Mp に,肝臓では主に Kupffer 細胞に貪食されていた.4)PECs の lysosome 酵素活性は腹腔投与後2,3,4日で Na2HPO4<M3<zymosan の順に高まり,静注群では3日後に PEC 数の増加に伴う両酵素活性の増大が認められた.5)Mp の lysosome 両酵素活性は,腹腔投与3,4日後において Na2HPO4<M3<zymosan の順に活性が増大したのに対し,静注群では一定した傾向は得られなかった.6)Mpの形態を観察したところ,腹腔投与3,4日後において生食群では球状の単球が多く,Na2HPO4 群では細胞周縁に微細な突起を出したものも認められたが多くは生食群に近い形態を示した.M3 群では zymosan 群と同様に細胞質がアメーバ様に伸展し食作用活発化の傾向が強く認められた.以上の結果から,M3 はマウス貪食能を亢進し,Mp の lysosome 酵素活性亢進の傾向と形態変化より,Mp 活性化傾向を有するものと推察した.
  • 中野 正行, 高嶋 彰, 西内 偉格, 竹内 正治, 堤内 正美, 山田 秀雄
    1981 年 77 巻 2 号 p. 165-176
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    ラット母獣の副腎萎縮,胎仔の副腎腫大を誘発する化合物である betamethasone 17,21-dipropionate の妊娠末期のラットおよびマウスにおける胎盤透過性について全身オートラジオグラフィーおよび液体シンチレーション計測により検討した.これら両種において,3H-bctamethasone 17,21-dipropionate あるいはその代謝物は胎盤を透過し胎仔に達し,母獣組織より低い濃度で分布した.ラットの胎仔副腎皮質には高い放射能の取り込みがみられた.3H-betamethasone 17,21-dipropionate および 3H-betamethasone 投与後のラット母獣,胎仔下垂体および脳領域への放射能の取り込みについて調べた.血漿中放射能濃度に対する脳中放射能濃度の比は母獣より胎仔で高かった.3H-betamethasone l7,21-dipropionate を投与したラット母獣においては,他の領域に比べ視床下部,中隔に有意に高い取り込みがあった.以上の結果は,betamethasone 17,21-dipropionate 投与によるラット胎仔副腎腫大が,胎盤を透過した化合物により誘発されることを示唆している.また,ラット母獣視床下部への放射能の取り込みは,視床下部—下垂体—副腎皮質系抑制作用との関連性を暗示している.
  • 紺谷 仁, 越浦 良三
    1981 年 77 巻 2 号 p. 177-185
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    ウシガエル摘出心臓の機械的受容器を支配する迷走交感神経から求心性発射を記録した.Ca2+ または Mg2+(1.1~4.4mM)を 1.1mMCa2+ を含む正常リンゲル液に加えると発射頻度は増加した.Ca2+ 添加により発射が増加している時期には,拡張期で心筋の張力の上昇がみられた.リンゲル液の Ca2+ 濃度を 1.1mM から 0.37mM に低下することにより発射頻度は減少し5~10分間内に消失した.しかし 0.37mMCa2+ を含む低 Ca2+ リンゲル液に Mg2+(0.73mM)を加えることにより高頻度の発射が観察され,この発射は少なくとも15分間持続した.一方 Mn2+(0.22~1.1mM)を正常リンゲル液に添加すると発射頻度は濃度依存的に減少した.Mn2+(0.22 または 0.55mM)を適用すると発射は減少したが,10~20分間適用していると発射頻度の減少は小さくなってきた.以上の結果より Ca2+ による発射頻度の増加は主として Ca2+ による心筋の張力上昇と関連していることがわかる.外液中の Ca2+ は求心性発射の発生を維持するために必要であり,Mg2+ は発射を発生するための Ca2+ の代りとして働くことができると考えられる.Mn2+ の抑制効果は機械的受容器の抑制の結果と思われるが,受容器は低濃度の Mn2+ に接触中15~20分間で Mn2+ に対し非感受性となるのかもしれない.
  • 山下 明, 浜田 陽一郎, 石井 久一, 能勢 尚志
    1981 年 77 巻 2 号 p. 187-194
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    妊娠末期家兎に dehydroepiandrosterone sulfate(DHAS)を,0,10,30,70mg/kg 静脈内投与し,血清中のDHAS,dehydroepiandrosterone(DHA),testosterone(T),estradiol(E2),progesterone(Prog)をラジオイムノアッセイにより測定した.血清中 DHAS 濃度は,投与30分後に投与量に応じて上昇し以後二相的に減少し,24時間後には正常値にもどった.DHA,T,E2 の濃度は,30分後に最高値を示し,以後漸減したが,その増加量は,DHA とT が,DHAS の約1/1,000,E2 が1/100,000 であった.Prog は30分後に一過性の有意な減少を示した.DHAS 投与後に認められた家兎血清中 E2 の上昇および Prog の減少は,ヒト分娩直前に発現する内因性の E2 および Prog の生理的な変化に一致したものである.
  • 長尾 拓, 村田 栄, 池沢 一郎, 池尾 富弘, 成田 寛, 佐藤 匡徳
    1981 年 77 巻 2 号 p. 195-203
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    Ca2+ 拮抗薬の diltiazem について,血管系および心臓における作用の選択性を調べるため,麻酔犬を用い血行動態および His 束心電図におよぼす影響を静脈内投与により検討した.diltiazem は 100~300μg/kg,i.v. で降圧,心拍数減少,心拍量および一回拍出量の増加,総末梢抵抗減少などの作用を示した.左心内圧拡張終期圧は高用量でわずかに増加したが,左心内圧の max dp/dt には有意な変化がみられず,むしろ 100μg/kg,i.v. では増加傾向を示した.また,心筋エネルギー消費の指標となる rate pressure product は有意に減少した.肺循環に対し,diltiazem は肺動脈血流量を増加させ,同時に肺動脈圧の収縮期および拡張期圧をともに増加させたが,肺血管抵抗は軽度に減少した.末梢動脈血流については,総頸,大腿および上腸間膜動脈の血流量を約30~40%増加させたが,用量依存性は低かった.なお,この増加率は心拍出量や肺動脈血流増加率と近い値であった.これに対し,椎骨動脈血流増加作用は用量依存性が高く 100 μg/kg,i.v. で100%以上の増加を示し,各動脈によって反応性が異なっていた.His 束心電図法を用いて房室伝導時間におよぼす diltiazem の影響を調べたところ,100μg/kg,i.v. で AH 時間を約10%,200μg/kg,i.v. で約25%延長させた.しかしながら HV 時間には影響を与えず,diltiazem 房室結節に選択的に作用すると考えられた.また,延長した AH は epinephrine で完全に回復し,CaCl2 では部分的にしか回復しなかった。以上の結果から,diltiazem の心臓血管系に対する作用は,第一義的には血管拡張作用であり,特に,椎骨動脈に選択性が高く冠動脈と同程度であった.また,心臓に対しては,洞調律,房室伝導に対する作用が変力作用より強かったが,血管拡張作用より弱かった.
  • 近藤 章市, 河田 光雄, 佐野 宣之
    1981 年 77 巻 2 号 p. 205-211
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    dilazep の正常時脳血流および脳虚血後の再灌流障害に対する作用を麻酔犬を用いて検討した.正常時脳血流に対して dilazep は100および300μg/kg,i.v. 投与により用量依存的な増加作用を示したが,動脈血ガス分圧および pH には変化が認められなかった.あらかじめ両側椎骨動脈結紮を施したイヌに10分間の総頸動脈の閉塞を加えると,閉塞時に約40%の血流減少がみられ,CCA の閉塞解放後も30,60,90および120分後の各時点においてそれぞれ15,20,23および25%の血流減少を示し,いわゆる再灌流障害が観察された。CCA の閉塞解放後120分では,灰白質の水分含量,Na 含量の増加および K 含量の減少がみられ,軽度ではあるが,脳浮腫の発現傾向が認められた.CCA 閉塞30分前に dilazep 100 および 300μg/kg を投与した群では,閉塞時の血流減少には control 群との間に差は認められなかったが,CCA 閉塞解放後の血流は解放30分において閉塞前のレベルにほぼ回復し,再灌流障害に対する改善作用が認められた.また対照薬の papaverine 300μg/kg投与群においても再灌流障害改善作用が認められた.
  • 木村 文男, 下沢 純子, 斉藤 文子, 森久保 真理, 竹内 節弥
    1981 年 77 巻 2 号 p. 213-220
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    生体内での insulin 分泌機構に関与する膵外因子検索のために,ラットの膵と胃および十二指腸の一部の人工的灌流床を設定し,その他の血液循環は可及的生理的に近い状態に保持できるような生体内膵分離灌流標本が適用された.灌流液中 bovine serum albumin(BSA)およびラット赤血球(RRC)の至適濃度は,それぞれ4~5%および5~20%であった.そこで Krebs-Ringer bicarbonate buffer+5% RRC+4% BSA+0.1% glucose の混合液を標準灌流液として用いた.glucose:lhr の interval で 25% glucose 25mg/0.1ml を膵灌流液中に投与したときの両 IRI 分泌反応には有意差を認めなかった.迷走神経刺激:右側および両側頸部迷走神経電気刺激(5~10V,5msec,50Hz for 5min)で有意(P<0.05)な IRI の上昇をみた.acetylcholine : 5~10μg/0.1ml 灌流液中投与では,1~2min で頂値に達する用量相関性の IRI 分泌促進反応を示し,この反応はatropine(100μg/ml in perfusion fluid)で阻止された.noradrenaline および isoproterenol : 各 1μg/0.ml を膵灌流液中に投与したが,IRI 分泌に認むべき変化はなかった.しかしながら,noradrenaline 投与群の個々の観察では興味ある所見が得られた.
  • 谷 孝之
    1981 年 77 巻 2 号 p. 221-230
    発行日: 1981年
    公開日: 2007/03/09
    ジャーナル フリー
    formaldehyde(HCHO)の血管平滑筋に対する弛緩作用について,ウサギの胸部大動脈条片標本を用いて検討し,以下の成績を得た.K+ 25mM 適用による標本の収縮に対して,HCHO 6.6×10-4M の前処置は抑制を生じたが,K+ 収縮後の添加は抑制をひき起さなかった.すなわち,HCHO は前処置によってのみ K+ 収縮を抑制するが,抑制の強さは処置時間に依存する傾向にあった.Ca2+ 除去 K+ -脱分極筋における Ca2+ の収縮に対して HCHO は著明な抑制を示したが,Ca2+ 除去液(EGTA 無添加)中での高 K+(50mM)の収縮に対しては抑制を示さなかった.また,Ca2+ 除去液(EGTA 添加)中での Ba2+ 2.2mM の収縮に対しても HCHO は抑制を示さなかった.以上のことから,HGHO は細胞内 Ca2+ の遊離もしくはその利用能には影響を及ぼさず,Ca2+ の細胞内への流入を抑制することが示唆された.また,一方,HCHO は NE による筋収縮を抑制した.しかし,NE は HCHO と37°C の栄養液中で化学反応してかなり急速にその濃度の減少することが高速液体クロマトグラフィーでの測定の結果,認められた.このことから,NE の収縮に対する HCHO の抑制作用の主な原因の一つは,NE のHCHO による不活性化にあると思われる.以上の成績から,HCHO の血管平滑筋に対する弛緩作用には,NE の不活性化と Ca2+ 流入阻止の両作用が関与しているものと思われる.
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