日本薬理学雑誌
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84 巻 , 4 号
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  • 大久保 和弘, 鈴木 健一, 大鳥居 健
    1984 年 84 巻 4 号 p. 327-335
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    prostaglandins(PG)E2,F,I2およびこれらの前駆物質であるarachidonic acid(AA)をウサギ脳室内に投与して,血圧に及ぼす影響を検討した.PGE2(0.03~1μg/0.1ml/rabbit)は用量依存的に血圧を上昇させたが,PGFは血圧に有意な変動を与えなかった.PGI2(0.3~10μg/0.1ml/rabbit)は用量依存的に血圧を下降させた。AA(0.1~10μg/0.1ml/rabbit)は血圧を上昇させたが,用量依存性は認められなかった.indomethacinの脳室内前処置によって,これらのPGの昇圧効果または降圧効果は影響されなかったが,AAの昇圧効果は抑制された.以上の結果から,AAの血圧に及ぼす効果は,AAから脳組織内で生合成される種々のPG,ことにPGE2やPGI2をはじめとした幾つかの活性PGの作用から成り立っていると推察される.
  • 田村 滋夫, 葛声 成二
    1984 年 84 巻 4 号 p. 337-344
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    抗炎症剤の薬効が容易に判定でき,同時に薬効メカニズムを生化学的に分析できる炎症モデルとして,ラヅトにおけるカラゲニソ膿瘍をとりあげ再評価を加えた.2%カラゲニン0.5mlをラットの背部皮下に注射することによって生じる浮腫は炎症部位の血管透過性亢進を反映して,惹起後15時間のピーク時までは二相性変化を示した.初期の血管透過性充進は滲出液中のprostaglandin(PG)E含量と良く相関したが,PGEは15時間以後浮腫が消退する過程でピークに達し,15~24時間はこれらのパラメーターの間には良好な相関々係は認められなかった.炎症部位への細胞浸潤の指標とした滲出液中DNA含量は数時間の潜伏期の後,二相目の浮腫反応と対応して急激に増加した.この炎症反応はindomethacin(2mg/kg)又はdexamethasone(0.1mg/kg)を起炎処置と同時に1回経口投与することにより修飾を受け,前者は投与15時間後,後者は9時間後にそれぞれ最大の抑制効果を示した.indomethacinはカラゲニン注射と同時に投与した時には滲出液重量ならびにPGE濃度を有意に抑制したが,炎症発症後に投与した場合にはPGE濃度を有意に抑制したにも拘らず,重量に対しては無効であった.dexamethasoneは同様な投与方法のいずれによっても著明な抗炎症効果を示したが,PGE濃度には有意な影響を及ぼさなかった.本法は起炎処置後の早期より貯留する滲出液,後期に形成する膿瘍,更には肉芽を容易に単離でき,これらに対する抗炎症剤の感受性もよい.同時に多種の炎症パラメーターを生化学的に追求することができるので,簡便な抗炎症剤スクリーニングのモデルとして有用であると思われた.
  • 田頭 栄治郎, 松川 恵子, 浦野 知子, 鈴木 勉, 柳浦 才三
    1984 年 84 巻 4 号 p. 345-352
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    ラットを用い,授乳期におけるethanolの適用が,成熟後において薬物感受性およびbarbiturates耐性獲得・依存形成にどのような変化を示すかについて検討した.実験には以下の3群を設け,各群の仔が6~7週齢に達した時点で各実験を開始した.L群:出産後3~21日目まで10%ethanol溶液を飲料水として母ラットに適用.H群:L群と同様,10% ethanol溶液を飲料水として母ラットに与え,さらに1日4g/kgのethanolを経口適用.C群:対照群として水道水で飼育.pcntylenetetrazol誘発痙攣の閾値には各群で差は認められなかったが,barbital誘発睡眠はL群で睡眠時間の延長が認められた.また,phenobarbitalの運動協調障害に対する耐性獲得について検討した結果,ethanolの適用を行っていたH群で著明な障害率の低下と早期耐性獲得が認められ,L群でも同様にその傾向が認められた.さらに,L群ではethanol選好性の上昇が認められた.一方,morphine選好性は,LおよびH群でC群と差は認められなかった.以上のことから,ethanolの適用を授乳期に受けた仔は成熟後に,ethanol選好性の上昇およびbarbituratesの早期耐性獲得を示し,その機構には神経系の発達障害が関与していると示唆ざれた.
  • 高橋 宏, 柴田 学, 大久保 つや子, 成瀬 悟
    1984 年 84 巻 4 号 p. 353-362
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    持続性疼痛反応を誘起すると言われるホルマリンを刺激源として,その1%溶液0.1mlをモルモット背側皮下に注入して起るminor tremor pain response(MTP反応)を測定した.formalin注入によって,直後より強いMTP反応が出現した(即時型)が,1~2分後には,一旦急速に消失した後,5分頃より再び持続性のゆるやかな,30分後をピークとするMTP反応が出現し(遅延型),2相性の疼痛パタンが得られた.morphine,6mg/kgは即時,遅延両相を完全に抑制した.しかしlevallorphanによる拮抗は,即時相においてのみ起り,遅延相では全く出現しなかった.aspirin,aminopyrine,pentazocineも両相を有意に抑制したが,pyridinol carbamate,hydrocortisoneは遅延相のみを有意に抑制するものの,即時相では全く抑制しなかった.また遅延相におけるピークとformalinによる末梢血管透過性のピークとが一致することから,遅延相を炎症由来の疼痛,また即時相を神経性疼痛反応と仮定し,古くから皮膚疼痛の特徴としてあげられている,一次痛(即時痛),二次痛(遅延痛)との関連について考察し,本法は臨床により近い疼痛モデルとして,客観的且つ定量的に把握出来る利点をもつ鎮痛活性評価法と考えられる.
  • 岩城 正廣, 尾関 正之, 佐藤 拓夫, 鈴木 邦彦, 元吉 明美, 鈴木 祥之, 藤田 允僧, 青山 卓夫
    1984 年 84 巻 4 号 p. 363-372
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    蛋白分解酵素阻害剤 FUT-175(nafamstat mesilate)の種々実験的急性膵:炎モデルに対する作用を静脈内持続注入により検討した.ウサギのtrypsin膵炎に対し,FUT-175(5~50μ/kg/min)は,用量に依存した延命効果を示すとともに,膵炎発症にともなう血中trypsin活性の上昇を著明に抑制した,一方,FUT-175(50μg/kg/min)は,血清amylase,lipase,glucose,ヘマトクリット,血清補体価およびcalciumの変動に対しては,一部改善傾向を示したものの明らかな作用は示さなかった.ウサギ膵の病理組織学的検討において,病態対照群が典型的な急性膵炎像を示したのに対し,FUT-175(50μg/kg/min)投与群では,病変の発現領域は小さく,また,その程度も軽減され,その効果を認めることができた.ラットのtrypsinおよびendotoxin膵炎において,FUT-175(1~50μg/kg/min)は,ウサギの場合と同様,用量に依存した延命効果を示した.また,その効果はgabexate mesilatdこ比し,約100倍強力であった.イヌの実験で,FUT-175(1~100μg/kg/min)は,trypsinおよびkanikreinの静脈内注射による降圧反応を用量依存的に抑制したが,bradykinin,histamineおよびacetylcholineの静脈内注射による降圧反応にはほとんど影響を与えなかった.また,trypsinの静脈内持続注入による血圧低下とこれに続くショック相の発現,および血中trypsin活性の上昇に対し,FUT-175(1~50μg/kg/min)は,同時投与およびあと投与ともに抑制作用を示し,膵炎発症にともなうショックに対するFUT-175の予防的および治療的効果が期待された.
  • 岩城 正廣, 織田 実, 尾関 正之, 猪 好孝, 鈴木 邦彦, 越山 良子, 元吉 明美, 荻原 まどか, 鈴木 祥之, 藤田 允信, 青 ...
    1984 年 84 巻 4 号 p. 373-384
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    新しい蛋白分解酵素阻害剤FUT。175(nafamstat mesilate)の抗炎症作用を種々の実験的炎症モデルを用い,indomethacin(IDM)を中心とする非ステロイド抗炎症薬と比較しながら検討した.invivoの実験において,FUT-175はほとんどの炎症モデルに対して用量依存性のある抑制効果を示した.とくに,FUT・175の効果は,IDMの効力を基準にしてみると,zymosanによる血管透過性元進,熱足浮腫,zymosan-pouch,Arthus反応および酢酸wr呈thingなど補体あるいはkallikrein-kinin系の関与が大きいと思われる炎症モデルにおいて比較的強く発現した.in vitroの実験においては,FUT-175は非ステロイド抗炎症薬と異り,赤血球熱溶血,蛋白熱変性および化学遊走因子による白血球遊走に対してほとんど作用を示さなかったが,抗原抗体反応による化学遊走因子の産生は抑制した,以上,in vivoおよびin vitroの結果から,FUT-175は非ステロイド抗炎症薬とは異る作用機序を有することが判明し,その抗炎症作用には本剤が有するセリン蛋白分解酵素阻害作用が重要な役割を果しているものと推察された.
  • 井口 賀之, 徳田 寛, 岸岡 史郎, 尾崎 昌宣, 田村 定子, 山本 博之
    1984 年 84 巻 4 号 p. 385-393
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    HPLCとRIAの併用による,ラットβ-endorphin(β-E)の特異的定量を試みた.1)合成ラクダβ-E(cβ-E)を抗原とした家兎抗血清を新たに作製し,最終希釈1万倍でRIAが可能であった.cβ-E 0.1~2.0ngで定量性が得られ,Met-Enk,Leu-Enk,α-MSHおよびα-endorphinとの交叉反応は認められなかったが,ACTHとは2%,ヒトβ-Eとは100%の交叉反応を示した.2)μ-Bondapak Pkenylカラムを用いた逆相分配系のHPLCにより,Met-Enk,Leu-Enk,α-MSH,ACTH,cβ-Eおよびヒトβ-Eは互いに分離された.UV254nmによる検出ではcβ-E(1~10μg)の注入量とピークの高さまたは面積との間には直線的な相関が得られ,最小検出感度は1μgであった.3)標準cβ-Eまたは下垂体(Pit),視床下部(Hyp),脳脊髄液(CSF)および血漿の抽出試料をHPLCに注入後,流出液を分取して凍結乾燥し,RIAによって各分取画分中のβ-E様免疫活性(β-ELIR)を測定した.標準cβ-EではUVによる検出ピークと一致した分画(cβ-E分画)に単一のβ-ELIRピークが認められ,2分間のcβ-E分画中に注入量(1~100ng)の80%が検出された.Pit,Hyp,CSFおよび血漿のHPLCによるβ-ELIRクロマトグラムにはそれぞれ3,3,2および1個のピークが認められ,いずれの試料においてもその内の1個はcβ-E分画と一致した.PitのHPLCによる生物活性のクロマトグラムには2個のピークが認められ,cβ-E分画においてのみβ-ELIRピークと生物活性ピークが一致した.種々の生体試料中β-E含量については,いずれの試料においてもHPLCによるcβ-E分画中のβEHR(rβ-ELIR)は,RIA単独による総β-ELIRより低く,rβ-ELIRと総β-ELIRの比は臓器によって異なった.4)ゲルクロマトグラフィー存こよるcβ-E分画は,HPLCによってさらに3個のピークに分離され,その内の1個がcβ-Eと一致した.以上の結果から,HPLCによるcβ-E分画の分取と,この分画中のRIAによるβ-Eの定量との併用によって,特異的にラットβ-Eが定量されることを明らかにした.
  • 三澤 美和, 細川 友和, 亀井 淳三, 柳浦 才三, 藤井 祐一, 渡辺 潔, 上原 美弥子, 笠間 俊男
    1984 年 84 巻 4 号 p. 395-406
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    抗choline作用およびpapaverine様作用を有するoxybutyninの循環器系に対する作用を,pentobarbital麻酔犬を使用してatropineと比較検討した.oxybutyninの全身静注では用量依存的な一過性の血圧下降と心拍数増加を生ずるとともに,領域血流量に対しては大腿動脈で最も強い血流増加を示し,次いで左胃動脈前腸間膜動脈,総頸動脈の順で血流量増加を示した.腎動脈血流量に対しては減少を示した.atropineの全身静注ではoxybutyninより強く,しかも持続的な血圧下降と心拍数減少を生じるとともに,領域血流量に対してはoxybutyninと類似した反応を示したが,oxybutyninに比較しその効果は弱かった.一方,開胸犬において,oxybutyninは血圧下降と心拍数滅少を起こすとともに,心拍出量,冠静脈洞血流量およびdLVP/dt/P(3mg/kg,i.v.迄)の増加,左心室内圧の減少を示した.atropineでは著明な血圧下降,心拍数減少のほか冠静脈洞血流量,dLVP/dt/Pおよび左心室内圧の減少など強い心抑制効果が認められた.またoxybutynin投与により,norepinephrine,epinephrineおよびtyramineの昇圧反応を増強するとともにacetylcholineの降圧反応を完全に抑制した.しかし,histamine,isoproterenol,serotonin,dopamineおよびDMPPの反応には影響を与えなかった.近接動注法にて,oxybutynin,atropineおよびpapaverineは,大腿動脈,腎動脈血流量を増加させたが,その強さはpapaverineが最強であり,次いでoxybutynin,atropineの順であった.また,イヌ摘出乳頭筋標本において,oxybutyninおよびatropineは,負の変力作用を示し,一方papaverineは,正の変力作用を示した,以上・xybutyninの心血管系作用をatropineと比較検討したが,oxybutyninはatropineと比較して,心機能抑制作用や血圧下降作用が,効力および持続性の両面からみても緩和であることが明らかになった.また,oxybutyninには冠血管床を含めてatropincより強い血管拡張作用が認められ,これには,抗choline作用ならびにpapaverineとは異なった筋直接作用が関与することが示唆された.
  • 寿野 正廣, 柴生田 正樹, 永岡 明伸
    1984 年 84 巻 4 号 p. 407-410
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/03/07
    ジャーナル フリー
    脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHRSP)における赤血球寿命および赤血球溶血反応に及ぼすCV-2619の影響について検討した.SHRSPの赤血球寿命は,Wistarラット(WKY)のそれに比して署明に短縮しており,WKYの赤血球半減期,14.8±0.5日(n=6)に対して,SHRSPのそれは11.7±0.4日(n=11)であった.CV-2619,0.1%(w/w)を含む飼料(71mg/kg/dayに相当)でSHRSPを飼育した場合,SHRSPの赤血球半減期は,13.8±0.1日(n=5)となり,正常値に近づいた.CV・2619の低用量(21.9mg/kg/day)も半減期を正常化する傾向を示した(12.7±0.4日,n=5).赤血球溶血反応は食塩負荷SHRSPを用いて検討した.SHRSPの溶血反応もWKYのそれに比して著明に亢進しており,CV-2619(20.0および70.0mg/kg/day)を2週間経口投与した場合,CV-2619の用量に依存して溶血反応の抑制が認められた.以上の成績から,CV-2619の赤血球膜に対する安定化作用が示唆され,また,本薬剤の脳卒中治療に対する有用性が推察された.
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