日本薬理学雑誌
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88 巻 , 6 号
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  • 市原 和夫
    1986 年 88 巻 6 号 p. 403-412
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    The effect of several kinds of antianginal drugs: nitrates, coronary vasodilators, β-adrenergic blocking agents and calcium entry blocking agents on the myocardial metabolism and myocardial acidosis during ischemia was studied in the dog heart in vivo. Ischemia was induced by ligating the left anterior descending coronary artery. Ischemia accelerated anaerobic metabolism in the myocardium, in which glycogen breakdown, accumulation of glycolytic intermediates, loss of high energy phosphate and tissue acidosis occurred. Nitroglycerin, β-adrenergic blocking agents such as propranolol, and some calcium entry blocking agents such as diltiazem and flunarizine prevented the myocardial metabolism from shifting to an anaerobic metabolism in spite of ischemia. However, coronary vasodilators and the dihydropyridine type of calcium entry blocking agents were not capable of reducing changes in the myocardial metabolism and myocardial acidosis during ischemia. The author makes a point in the present review that all the drugs which dilate coronary artery are not always effective on the ischemic myocardium.
  • 山原 條二, 田中 慎二, 松田 久司, 澤田 徳之助, 藤村 一
    1986 年 88 巻 6 号 p. 413-423
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    センソより抽出したbufadienolides(bufalin, bufotalin, cinobufagin, cinobufotalin, gamabufotalin, resibufogenin)のモルモットworking heart preparationの心機能に対する作用をcardenolides(digitoxin, ouabain)と比較検討した.心拍出量と左心室内圧は全てのステロイドにより用量依存的に増加し,最少有効濃度はbufalin,cinobufagin,gamabufotalin,digitoxinが10-8Mでbufotalin,cinobufotalin,ouabainが10-7Mであった.更に,心仕事量増加作用の強さはcinobufagin=ouabain>gamabufotalin=digitoxin(1×10-7M)>cinobufotalin>bufotalin(1×10-7M)の順であったが,bufalinは10-7Mで,bufotalin,digitoxinは3×10-7Mで,cinobufagin,gamabufotalin,ouabainは10-6Mで持続性の不整脈を誘発した.又,冠動脈左前下行枝を結紮し作成した実験的虚血性心不全に対するcinobufaginの強心作用を検討した.cinobufagin(3×10-7M)とdigitoxin(10-7M)は冠血管流量をそれぞれ虚血前の値の90%,98%まで回復させたが,心拍数は増加させなかった.cinobufagin(3×10-7M),digitoxin(10-7M)は心拍出量及び左心室内圧を増加させ,心仕事量をそれぞれ虚血前の値の108%,106%まで増加させた.これらの結果よりcinobufaginはdigitoxinと同様に実験的虚血性心不全に対しても強心作用を示すことが分った.
  • 石川 敏三, 坂部 武史, 西山 芳憲, 阿部 政則, 武下 浩, 丹羽 正美, 尾崎 正若
    1986 年 88 巻 6 号 p. 425-431
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    低酸素後再酸素化時の脳内monoamine(noradrenaline: NA, dopamine: DA, serotonin: 5-HT)代謝障害に対するS-adenosyl-L-methionine(SAMe)の効果を検討するため,ラットを用い低酸素(Pao2: 31~35 mmHg, 15分間)後再酸素化60分時のmonoamine代謝回転を測定した.SAMeは再酸素化開始3分後に100 mg/kgを静注した.probenecid投与後のcatecholamine代謝物(3-methoxy 4-hydroxyphenylelycol: MHPG, 3,4-dihydroxyphenylacetic acid: DOPAC, homovanilic acid: HVA)蓄積は,対照群に比較し,非治療群ではMHPG,DOPAC/DA,HVA/DA比がhypothalamus及びstriatumで低値を示した.SAMe群ではこれらは対照群と差がなく,DOPAC,HVAは対照群より高値となった.serotonin代謝物(5-hydroxyindoleacetic acid: 5-HIAA)蓄積は非治療及びSAMe群共に対照群と差がなかった.SAMe製剤に含まれるmannitolを除いても同様な結果であった.pargy1ine·HCl投与後のcatecholamine蓄積は,対照群に比ぺ非治療群ではNAとDAがcortex,hypothalamus及びstriatumで高値であったが,SAMe群ではNAは対照群より低値となり,DAは対照群と差がなかった.また,正常覚醒ラットにSAMeを投与すると,脳内NA神経系の代謝回転が亢進した.以上から,SAMeは低酸素後再酸素化時の脳内catccholamine代謝障害を改善することが明らかになった.
  • 花塚 光男, 堀井 大治郎, 溝上 進
    1986 年 88 巻 6 号 p. 433-441
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    新規抗高血圧薬terazosinの作用機序解明の一環として,血管平滑筋収縮薬に対する拮抗の有無,並びにαアドレナリン受容体遮断作用(α遮断作用)について検討した.1) terazosin 10-4Mはラット胸部大動脈条片におけるCa2+,Ba2+,serotoninおよびangiotensin II収縮に対して影響を及ぼさなかった.2) terazosinはラット胸部大動脈条片におけるnorepinephrine(NE)およびphenylephrine(PE)の用量収縮反応曲線を右に平行移動させた.この作用のpA2値はNE拮抗で9.28,PE拮抗で8.74であり,それぞれprazosinの0.11,0.09倍,phentolamineの8,6倍およびyohimbineの176,60倍であった.更に,pithedラットにおいて,terazosinの静脈内投与はPEの用量昇圧曲線を右に平行移動させた.その“pA2”値は5.22であり,prazosinの0.05倍,phentolamineの5倍およびyohimbineの62.5倍であった.一方,pithedラットの心臓交感神経節前線維電気刺激下のclonidineによる心拍数低下に対して,terazosinは0.3mg/kg以下の静脈内投与では有意な作用がなく,1mg/kgで弱い拮抗作用を示した.prazosinは0.3mg/kg以上で,phentolamineおよびyohimbineは0.1mg/kgで有意な拮抗作用を示した.従って,terazosinのシナプス前α2遮断作用はprazosin,phentolamineおよびyohimbineのいずれよりも弱いことが示唆された,3) 無麻酔無拘束下ラットにおけるPEの昇圧反応に対し,terazosinは0.3および1mg/kgの経口投与により遮断作用を示し,その持続はそれぞれ8時間および12時間であった.4) 以上の結果より,terazosinの抗高血圧作用は交感神経系のシナプス後α遮断によることが示唆された.
  • 小田 和佐子, 福永 玲子, 市川 悦子, 功刀 由紀子, 宮越 順二, 稲垣 千代子
    1986 年 88 巻 6 号 p. 443-448
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ラット脳の神経終末形質膜におけるATP依存性のH+輸送をacridine orangeの蛍光減弱により検索した.ATP添加後の膜顆粒内H+蓄積を示す蛍光減弱は,低張処理した神経終末では観察されたが,無処理の神経終末では観察されなかった.低張処理した神経終末のH+輸送活性は反応液のアニオンがCl-かBr-の場合にのみ観察され,Mes-,NO3-,I-およびSCN-では消失した.反応液のK+をCs+,Na+またはLi+に置き換えると,K+>Gs+>Na+>Li+の順にH+輸送活性は減少した.このH+輸送活性は,0.3 mM ethacrynic acidでは対照の39.2%に,10μM 4-acetamide-4′-isothiocyanatostilbene-2,2′-disulfonic acidでは36.3%に,また1 mM 4-aminopyridineでは33.1%にまで阻害されたが,1 mM ouabain,500 μM vanadate, 10 μM picrotoxinおよび100 μMγ-aminobutyric acidでは阻害されなかった.これらの結果から,神経終末において,ATP依存性H+輸送系のATP作用部位は細胞内側表面に存在し,Cl-またはBr-の存在,およびK+のK+チャンネルを介する移動が,H+輸送活性を高めることが示唆された.
  • 猪 好孝, 鈴木 邦彦, 佐藤 拓夫, 岩城 正廣
    1986 年 88 巻 6 号 p. 449-455
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    nafamostat mesilate(nafamostat)の各種セリン蛋白分解酵素に対する阻害作用をin vitroにおいてgabexate mesilate(gabexate),leupeptin,aprotininおよびurinastatinと比較検討した.nafamostatは,トリプシン,プラスミン,スロンビン,膵カリクレイン,Clr-およびCls-を強力に阻害し,その作用はgabexateおよびleupeptinより強かった.なお,gabexateは膵カリクレインを,leupeptinはスロンピンを阻害しなかった.一方,aprotininはトリプシン,プラスミン,膵カリクレインおよびキモトリプシンに対して,またurinastatinはトリプシンおよびキモトリプシンに対して阻害作用を示した.希釈血清中での古典経路を介する補体溶血に対するnafamostatの阻害作用は,gabexateおよびleupeptinよりも強く,aprotininおよびurinastatinでは阻害作用を示さなかった.さらにnafamostatは,非希釈血清中での古典経路を介する補体溶血に対しても阻害作用を示したが,gabexateは阻害作用を示さなかった.aprotininやurinastatinと異なり,nafamostatおよびgabexateは,トリプシン単独ばかりでなく,α2-マクログロブリンと結合したトリプシンに対しても同程度の阻害作用を示した.nafamostatおよびgabexateを予め血漿とインキュベートすると,nafamostatと比較してgabexateでは,時間経過と共に,より著明なトリプシン阻害作用の低下が認められ,血漿中の安定性に関しても,gabexateよりnafamostatの方が優れていた.これらの結果から,nafamostatは従来の種々セリン蛋白分解酵素阻害剤よりも広域な阻害スペクトラムを有し,かつ優れた作用を有することが明らかになった.
  • 溝田 雅洋, 及川 善博, 中山 和男, 水口 清, 寶田 哲仁, 小島 正裕, 兼広 秀生, 船戸 秀幸, 栢本 美沙江, 佐藤 正巳, ...
    1986 年 88 巻 6 号 p. 457-466
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    MO-8282の抗うつ薬としての薬理学的特性を検討した.MO-8282はラット大脳皮質膜分画の3H-clonidine特異結合を阻害し,その作用はmianserinより約5倍強力であった.また,モルモット摘出回腸標本のfield stimulationにより生ずる攣縮反応においてもclonidine拮抗作用を示したことから,α2-アドレナリン受容体遮断作用を有することが示唆された.MO-8282はin vivoの実験において,30 mg/kg, i.P.投与においても脳内noradrenaline(NA),dopamine(DA)およびserotonin(5-HT)の取込みを阻害しなかったが,mianserinは脳内5-HTの取込みのみを阻害した.MO-8282は,ラット大脳皮質シナプトゾームからの3H-NAの自然遊離には影響をおよぼさなかったが,線条体シナプトゾームからの3H-DAおよび3H-5-HTの自然遊離を軽度に促進し,これらの作用はmianserinに類似していた.MO-8282 30 mg/kg, i.p./day 15日間投与により,脳内NAの代謝回転の亢進がみられたが,脳内DAおよび5-HTの代謝回転は不変であった.以上の成績は,MO-8282の薬理学的特性が,これまでの三環系抗うつ薬と異なり,mianserinと同様主としてα2-アドレナリン受容体遮断作用を介する中枢NA系への作用を有することを示唆するものと思われた.
  • 岡部 進, 竹内 孝治, 森 吉美, 古川 修, 山田 義治
    1986 年 88 巻 6 号 p. 467-476
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    azulene誘導体KT1-32のラヅトの各種急性胃損傷,十二指腸潰瘍,胃液分泌および十二指腸HCO3-分泌に対する効果を検討し,以下の結果を得た.対照薬としてcimetidineを使用した.KT1-32(30, 100 mg/kg)は経口投与によりHCl·ethanol胃損傷を用量依存的に抑制し,その抑制の持続時間は6時間以内であった.KT1-32の抑制効果はindomethacin処置ラットにおいても同様に発現した.KT1-32(100 mg/kg)は経口投与によりHCl·aspirin胃損傷を,十二指腸内投与により幽門結紮-aspirin胃損傷およびShay胃潰蕩の発生を有意に抑制した.KT1-32(30および100 mg/kg×2)の経口投与はmepirizole十二指腸潰瘍の発生を有意に抑制したが,胃損傷には影響を与えなかった.KT1-32(30および100 mg/kg)の経口および十二指腸内投与により幽門結紮法による胃液分泌を用量依存的に抑制した.KTl-32は基礎十二指腸HCO3-分泌およびmepirizoleによるHCl刺激HCO3-分泌の抑制にも何ら効果を示さなかった.cimetidine(200 mg/kg)はHCl·ethano1,HCl·aspirinおよび幽門結紮-aspirin胃損傷の発生を抑制したが,Shay潰瘍には有意の効果を示さなかった.mepirizole十二指腸潰瘍の発生も強力に抑制したが,胃損傷は増悪した.cimetidine(200 mg/kg)は経口投与,十二指腸内投与のいずれにおいても胃液分泌を著明に抑制したが,基礎およびmepirizoleによるHCl刺激十二指腸HCO3-分泌の抑制に対し影響を示さなかった.
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