DOCA-saline高血圧ラット(DOC rat)にRinger液の段階的注入を行って水およびNaを負荷し血圧,尿量,尿申へのNa
+およびK
+排泄量に対する数種β遮断薬経口投与の効果につきthiazide系利尿薬penfluzideのそれと比較検討した.内因性交感神経興奮様作用を有するpindololはRinger液負荷2.3,4.3および8.9ml/hrいずれの条件下にも少量(1mg/kg)で抗高血圧作用を示したが,最低負荷の55ml/dayの条件下には尿量減少とともにNa
+とK
+の貯留がみとめられた.血圧と尿量の成績からGuytonの所謂腎機能曲線(RFC)を描いて解析を行ったところ,RFCの左方(低血圧側)への平行移動がみとめられpindololによる腎細動脈の拡張作用が示唆された.同様の作用はα遮断作用を有するβ遮断薬labetalol 15mg/kgでも観察された.一方propranolol 15mg/kgではRingcr液負荷最大の時,尿量および尿中Na
+排泄の有意な増加(利尿作用)が観察された.この時血圧は下降の傾向を示した(有意ではない).いずれの負荷条件でも尿中K
+排泄は有意に増加した.β
1選択性遮断薬atenolol 15mg/kgでは血圧,尿量,尿中Na
+排泄何れのparameterにも変化は見られなかったがK排泄はすべての負荷条件で増加の傾向を示した.α遮断作用を有する新しいβ遮断薬K-351 30mg/kgでは血圧下降(中等度負荷時)とナトリウム(最低負荷時),カリウム排泄増加(中等度負荷時を除く)とがみとめられた.一方もう1つの新しいβ遮断薬N-696 15mg/kgでは血圧下降(最大負荷時)のみがみとめられた(カリウム排泄は増加の傾向).thiazide利尿薬penfluzideは通常のratでは充分利尿作用を発揮する用量である2.5mg/kgでも利尿作用を示さなかったが,いずれの負荷条件でもカリウム排泄は増加した.また負荷中等度および最大の条件下には降圧がみとめられた.
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