ヒスタミン受容体のなかでH
3受容体はシナプス前膜に存在し,オートレセプターとしてヒスタミンの遊離を調節している.脳内では,大脳皮質,扁桃体,線条体,海馬,視床,視床下部において高密度に分布している.この総説ではH
3受容体に関する細胞情報伝達機構と,この受容体のアゴニストおよびアンタゴニストに関する構造活性相関,選択的で親和性の高い新規H
3受容体リガンドの紹介ならびに,最近得られた精神疾患あるいは病態モデル(アルツハイマー病,attention deficit hyperactive disease,てんかん,ストレス,不安,パーキンソン病など)での薬理作用について概説する.これらの実験結果から,H
3受容体アゴニストの中でBP2.94は消炎鎮痛作用があり,また片頭痛への有効性が示唆され,臨床段階に入っている.他方,H
3受容体アンタゴニストのGT2016やFUB181は学習記憶障害,attention deficit hyperactive disease,てんかんへの応用が示唆され,臨床での成果が期待されている.
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