経口投与で活性の強い頻尿治療薬を見い出す目的で,新規に合成されたFL-155の麻酔下ラットの律動的膀胱収縮に対する作用を検討した.膀胱内圧を10 cm H
2O以上にすると律動的な膀胱収縮が発現し,この反応は少なくとも120分間持続した.律動的膀胱収縮は脊髄のC
1部切断,骨盤神経両側切断,thiopental(3.0 mg/kg, i.v.)あるいはlidocaine(1.0mg/kg, i.v.)により消失し,またatropine (0.01 mg/kg, i.v.)はその反応の高さを強く抑制した.FL-155およびflavoxateは,静脈内投与(それぞれ0.3~3.0 mg/kgおよび1.0~3.0mg/kg)あるいは十二指腸内投与(それぞれ12.5~100mg/kgおよび200~400mg/kg)において,この膀胱収縮を用量依存的に消失させ,特に十二指腸内投与においては,FL-155はflavoxateの8~16倍の活性を示した,これらの結果より,麻酔下ラットにおいて認められた律動的膀胱収縮は骨盤神経および中枢神経系(脊髄より上位の反射中枢)を介した多シナプス反射であること,さらにFL-155は経口投与で活性の強い頻尿治療薬に成る可能性が示唆される.
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