黄連解毒湯,三黄瀉心湯,安中散ならびに大柴胡湯のethano1およびaspirinによって誘発されるラットの胃粘膜障害に対する作用を胃粘膜電位差(PD)を指標として検討し,sucralfate,cimetidine,16,16-dimethyl-prostaglandin E
2(DMPGE
2)およびproglumideの作用と比較した.1)黄連解毒湯および三黄瀉心湯は,sucralfateおよびDMPGE
2と同様に,ethanolならびにaspirin誘発PD低下を有意に抑制した.2)安中散および大柴胡湯は,cimetidineと同様に,aspirin誘発PD低下を抑制したが,ethano1誘発PD低下を抑制しなかった.3)proglumideは,ethanolおよびaspirinによって誘発されるPD低下を抑制しなかった.4)黄連解毒湯は,sucralfateおよびproglumideと同様に,正常なPDに対して著明な作用を示さなかったが,三黄瀉心湯,安中散ならびに大柴胡湯は,DMPGE
2およびcimetidineと同様に正常なPDを有意に増加した.以上の結果から,黄連解毒湯,三黄瀉心湯,安中散および大柴胡湯はいずれも胃粘膜を保護する作用を有しているが,その作用機序は,黄連解毒湯と三黄瀉心湯,安中散,大柴胡湯とでは異なることが推察された.
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