日本薬理学雑誌
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100 巻 , 5 号
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  • 三輪 聡一, 渡辺 恭良, 越村 邦夫, 眞崎 知生
    1992 年 100 巻 5 号 p. 367-381
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    6R-L-erythro-5, 6, 7, 8-Tetrahydrobiopterin (6R-BH4) is known as a cofactor for the hydroxylases of phenylalanine, tyrosine and tryptophan and also as a cofactor for nitric oxide synthase. Recently, a novel function of 6R-BH4 has been found: that is, 6R-BH4 acts on specific membrane receptors to directly stimulate the release of monoamine neurotransmitters such as dopamine and serotonin, independently of its cofactor activity. In addition, it indirectly stimulates the release of non-monoamine neurotransmitters such as acetylcholine and glutamate, through activation of monoaminergic systems. In this paper, we briefly review recent experimental data, which provide new insights into the role of 6R-BH4 as a regulator of neuronal function. We also discuss the possibility of treatment by 6R-BH4 of neuropsychiatric diseases such as Parkinson's disease, Alzheimer's disease, depression and infantile autism.
  • 原 幸男, 村山 智
    1992 年 100 巻 5 号 p. 383-390
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    解熱鎮痛薬アミノピリンの示す中枢興奮作用の基盤を,脊髄ネコ標本の脊髄反射活動電位について検討し,他の2,3の解熱鎮痛薬の作用と比較した.1)アミノピリン25~100mg/kg,i.v.で用量依存的に単及び多シナプス反射活動電位(MSR及びPSR)は増大し,後根反射活動電位(DRR)は減少した.2)ジアゼパム0.2mg/kg,i.v.はアミノピリンで減少したDRRを回復させたが,増大したMSR及びPSRには影響しなかった.3)セミカルバジド200mg/kg,i.v.前処置によりDRRを消失させた状態でもアミノピリンはMSRを増大させた.4)アミノピリンで増大したMSR,PSRはメチセルジド1mg/kg,i.v.で減少した.5)5-ヒドロキシトリプトファン50mg/kg,i.v.を前処置するとアミノピリンによるMSRの増大は一層著明になった.6)アミノピリン以外のピラゾロン誘導体ではイソプロピルアンチピリン50mg/kg,i.v.にアミノピリンと同様MSR及びPSRの増大が認められた.しかし,スルピリン500mg/kg,i.v.,アンチピリン50mg/kg,i.v.,及び4-アミノアンチピリン50mg/kg,i.v.ではMSR,PSRの増大は認められなかった.7)基本骨格を異にする解熱鎮痛薬のうちアセトアミノフェン50mg/kg,i.v.やインドメタシン10mg/kg,i.v.でもMSR,PSRの増大は認められなかった.以上のことから,アミノピリンの示す脊髄反射興奮作用の一部に5-ヒドロキシトリプタミンの関与がうかがえるが,GABA作動性機構との関連性は薄いものと考えられる.また,解熱鎮痛薬の示す中枢興奮作用にはピラゾロン骨格と共に,その4位にN-ジメチルまたはイソプロピル基の存在が重要であると考えられる.
  • 林 真知子, 山添 寛, 山口 優, 国友 勝
    1992 年 100 巻 5 号 p. 391-399
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    ウイルス性肝炎の病態モデルであるラットのD-ガラクトサミン(GalN)誘発肝障害に対する緑茶抽出物の肝機能改善効果について検討した.Wistar系雄性ラットにGalN(700mg/kg,i.p.)を単回投与すると48時間まで劇症肝炎様の症状,すなわち,血清中アスパラギン酸アミノ基転移酵素(GOT),アラニンアミノ基転移酵素(GPT)およびアルカリホスファターゼ(ALP)の各活性の著しい上昇に加え,血清タンパク値,血清コレステロール値および肝ミクロソームP-450値の減少などを呈した.血清中のレシチンコレステロールアシル転移酵素(LCAT)活性はGalN投与8時間後に著しい上昇,24時間以後に著しい低下という興味ある変化を示した.また,肝臓,腎臓,脾臓および副腎の各重量の著しい増加と胸腺重量の減少が認められた.このような肝障害に対し,GalN投与前後に緑茶抽出物50,100,200mg/kgを1日2回,計5回経口投与したところ,血清GOT,GPTおよびALPの著しい上昇が用量依存的に有意に抑制された.また,血清アルブミンおよびコレステロール値の減少も有意に抑制されたが用量依存的ではなかった.GalN投与8時間後にみられるLCAT活性の上昇および48時間後にみられる肝ミクロソームP-450値の減少も抑制される傾向を示した.その他の異常な血清脂質値,血清タンパク値および臓器重量の変化にはほとんど影響がみられなかった.以上のことから緑茶は,肝機能低下を改善する作用を有すると考えられる.
  • 新井 通次
    1992 年 100 巻 5 号 p. 401-414
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    バナジウム塩には,ストレプトゾトシン誘発糖尿病(STZD)ラットにおける高血糖を低下させるなどのインスリン様の作用のあることが報告されている.本研究では,STZDラットの骨減少に対する硫酸バナジル(バナジウム)ならびにインスリンの長期投与の効果を比較検討した.9週齢のSprague-Dawley系雄性ラットにストレプトゾトシン(30mg/kg,i.v.)を投与した.2日後に高血糖(>300mg/dl)を示した個体のみをSTZDラットとして群分けし,その後54日間にわたりインスリン(0,0.4または4.0U/日,s.c.)の投与またはバナジウム水溶液(0,0.02,0.1または0.5mg/ml)の給水を行った.脛骨および大腿骨を,成分分析,コンタクトマイクロラジオゲラフ像およびテトラサイクリン二重標識法により検討した.STZDラットには,糖尿および持続的な高血糖のほかに,血中アルカリホスファターゼ活性の上昇およびカルシウム排泄の増大も認められた.また,その骨の成分分析からは,総骨量の低下および単位骨体積あたりの灰分含有量の著しい低下が認められた.この骨減少所見に一致して,STZDラットの骨の組織標本には著しい海綿骨密度の減少および骨吸収像が認められた.また,骨形成の抑制もテトラサイクリン二重標識法により認められた.このようにSTZDラットに認められた糖尿病性骨減少の症状の進行は,バナジウムまたはインスリンの投与により用量依存的に抑えられた.この骨減少の抑制は,0.5mg/mlのバナジウム投与群および4.0U/日のインスリン投与群においてほぼ同程度に認められた.これらの結果から,バナジウムにインスリンと同様のSTZDラットにおける骨減少の防止効果のあることが示された.
  • 東野 英明, 鈴木 有朋, 田中 康雄, Krisana Pootakham
    1992 年 100 巻 5 号 p. 415-421
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    東南アジア地域で広く食用に供されるニガウリ(Momordica charantia: M.c.)は糖尿病の病状を軽くすると伝えられ,コミカンソウ(Phyllanthus urinaria: P.u.)は糖尿病による尿路感染症を治癒させるとの伝承から,タイ国産の両植物の血糖降下作用をラットを用いて調べた.M.c.とP.u.の50%メタノール抽出物は,30mg/kgの経口投与で3時間後にストレプトゾトシン(SZ)処置高血糖ラットの血糖値をそれぞれ25%と24%低下させた,その抽出物より得られたM.c.のエチルエーテル,n-ブタノール,水易溶画分の10mg/kgと30mg/kgの経口投与は,3時間後にそれぞれ18,26,15%と19,34,16%SZ処置ラットの血糖値を低下させた.P.u.のエチルエーテル,n-ブタノール,水易溶の各画分は10mg/kgと30mg/kg投与量でそれぞれ6,23,17%と27,39,25%血糖値を低下させた.ブドウ糖経口負荷試験(1.0g/kg)を試みたところ,両植物のn-ブタノール抽出物の30mg/kgの経口投与は同程度に血糖上昇を遅延させたが,腹腔内へのブドウ糖負荷試験ではM.c.が血糖値上昇抑制作用を示したのに反し,P.u.では全く効果がなかった.したがって,M.c.とP.u.の両植物は,n-ブタノールに可溶性の高い中等度非極性の血糖降下作用物質を含み,その作用機序は,M.c.抽出物ではインスリン様またはインスリンを介して作用(スルフォニル尿素系(SU)剤様)するのに対し,P.u.抽出物では糖代謝の促進作用や腸管でのブドウ糖吸収抑制作用(ビグアナイド系(BG)剤様)であることが示唆された.
  • 只野 武, 相沢 智樹, 浅尾 太宏, 穂積 雅人, 木皿 憲佐
    1992 年 100 巻 5 号 p. 423-431
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    10数種の生薬を含有するドリンク剤の強壮効果を探る目的でマウスの強制水泳,跳躍及び自発運動量に及ぼす影響について検討した.ドリンク剤は3種を用い,その処方内容は強壮生薬に該当する人参,淫羊〓及び反鼻がほぼ同量3種に共通して含まれているが,その他にサンプル1(S1)は8種,サンプル2(S2)は10種,サンプル3(S3)は12種の生薬内容である.疲労回復効果に対する影響を観察するためにはドりンク剤を経口投与する前にあらかじめ強制水泳或はテトラベナジン(tetrabenazine:TBZ)によるストレスを負荷してから行った.5分間の強制水泳前負荷の場合,S1,S2,S3は遊泳時間を延長させた.その発現のピークは1時間であり,遊泳中の不動時間はS3,S2,S1の順に短縮された.TBZ(50,100mg/kg,i.p.)前処理の場合,ドリンク剤は遊泳中の不動時間の減少及び自発運動量の増加を強制水泳負荷時と同様の効力で発現させた.TBZ(200mg/k9)前処理後ドリンク剤は跳躍の回数の増加と跳躍する迄の潜時を短縮させた.疲労予防効果に対する影響を観察するために,TBZ或は強制水泳負荷をしない状態でドリンク剤を投与した場合,強制水泳試験による不動時間はS2及びS3で短縮されたが,ストレス負荷時の不動時間と比較し,その短縮効果は弱かった.自発運動量に対してドリンク剤は運動量力ウントを増加させるものの生薬成分の種類の増加に依存した結果は得られなかった.跳躍に対しては回数及びその潜時に無影響であった.以上の結果から3種のドリンク剤はいずれも強壮効果を有しており,それらは疲労予防効果よりもむしろ疲労回復効果の方が強いことが示唆された.
  • 駄場崎 達朗, 小林 和治, 加藤 穣, 植村 昭夫
    1992 年 100 巻 5 号 p. 433-444
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    α1-アドレナリン受容体刺激薬であるM6434の昇圧作用及び起立性低血圧モデルでの血圧,脳組織血流量に対する作用をウサギ及びイヌを用いて検討した.M6434は,ウサギでは1.0及び3.0mg/kgの用量,イヌでは0.3及び1.0mg/kgの用量を経口投与することにより,顕著な昇圧作用を惹起した.この作用を対照薬として用いたミドドリンと比較したところ,効力はウサギでは約3倍強く,持続時間も長かった.また,昇圧に伴い,心拍数は減少したが,その作用はミドドリンに比べ著しく弱かった.ウサギの起立性低血圧モデルにおいて,起立時に生じる血圧及び脳組織血流量の低下は,M6434 3.0mg/kgを経口投与することにより有意に抑制された.イヌ起立性低血圧モデルにおいても,M6434 10μg/kg以上の静注で血圧,心拍出量,脳組織血流量及び椎骨動脈血流量の低下は有意に抑制された.この作用はウサギではミドドリンの約3倍強く,イヌでは10~30倍強力であった.これらの結果から,M6434は徐脈作用が軽度な昇圧薬であり,起立性低血圧や脳血流の低下を予防するのに有効な低血圧治療薬としての可能性が示唆された.
  • 江頭 亨, 工藤 欣邦, 村山 文枝, 後藤 信一郎, 河野 俊郎, 高山 房子, 山中 康光
    1992 年 100 巻 5 号 p. 445-451
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    ラット肝の虚血―再循環による実験的肝障害の病態モデルを用い,再循環の時間経過と肝障害の程度を生化学的および病理学的に検討した.30分間の虚血後,再循環で高値を示していたLDH値は時間の経過とともに減少したが,GOTおよびGPT値は再循環とともに増加し,12時間後に最高値を示し,その後回復した.また,脂質過酸化物(TBA反応物)も再循環3時間頃から増加し続け48時間後にピークを示したが,その後対照値に戻った.一方,肝マイクロソーム膜の酵素であるチトクロムP-450(cyt.P-450)含量およびNADPH cyt.c レダクターゼ活性は再循環の時間経過とともに減少し,12時間後に最低値を示したが,その後増加し,96時間後に回復した.ヘムオキシゲナーゼ活性は反対に再循環の時間経過とともに増加し,12時間後に最大値を示し,その後徐々に低下し対照値に戻った.また,病理組織的にも再循環12時間後に細胞障害が著明であった.この事から,この虚血―再循環モデルでは過酸化脂質の増加が見られる再循環3時間頃から細胞障害が惹起され,12時間頃をピークとし,その後回復するものと思われる.また,この肝の虚血―再循環モデルは活性酸素種による肝障害の病態モデルであり,種々の肝庇護剤の開発に最適なモデルと思われる.
  • 井上 勉, 重栖 幹夫, 林 昌亮, 坂口 茂樹, 中尾 健三, 犬飼 利也, 小田切 則夫, 小野 悌二
    1992 年 100 巻 5 号 p. 453-462
    発行日: 1992年
    公開日: 2007/02/13
    ジャーナル フリー
    新規カルシウム拮抗薬felodipineの降圧作用について,高血圧自然発症ラット(SHR),DOCA-食塩負荷高血圧ラット(DOCA-saltラット),2腎性1clip高血圧ラット(2K1Cラット)および2腎性2clip高血圧犬(2K2C犬)を用いて検討した.SHRにおいてfelodipineの0.1および1.0mg/kgでは単回経口投与により用量依存的な降圧作用を示した.ニフェジピンの1.0mg/kg投与群においても同量のfelodipineとほぼ同程度の降圧作用を示した.felodipineの0.1および1.0mg/kgを反復経口投与すると,しだいにその最大降圧,作用持続時間は増大し,投与開始3週間後でほぼ定常状態となった.この傾向はニフェジピンにおいても見られたが,定常状態における有意な降圧作用の持続はニフェジピン1.0mg/kgで投与1時間後までであったのに対し,felodipine1.0mg/kg群では4時間後まで観察された.DOCA-saltラット,2KICラットにおいてもfelodipineはその0.1~1.0mg/kgの単回経口投与により用量依存的な降圧作用を示し,いずれの場合においてもその作用持続時間はニフェジピンに比べて長かった.これら3種の高血圧モデルラットにfelodipineおよびニフェジピンを最大1.0mg/kgまで経口投与した時,DOCA-saltラットでニフェジピン1.0mg/kg投与後24および48時間で有意に低い値を示した以外には,いずれも心拍数の有意な変化は認められなかった.2K2C犬にfelodipille0.2および0.5mg/kgの経口投与を行なうと,投与0.5~1時間後に最大降圧を示し,2時間後まで持続する降圧作用が認められた.この作用は,ニフェジピンに比べて強力かつ持続的なものであった.felodipine0.5mg/kgの経口投与により一過性の心拍数の増加が認められた.以上の結果からfelodipineは各種高血圧動物においてニフェジピンと比べて強力かつ持続的な降圧効果を有することが示唆された.
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